異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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 20時にも更新していますので、読み飛ばしにご注意ください。


  特別篇 歩む先は

 ワープゲートから出た先は薄暗く、獣の臭いが鼻を突いた。

 いきなり俺たちが出現したことに驚いたのか、そこにいた馬が鳴き声をあげる。

 

「馬小屋ですか? ご主人様、どうしてこのような場所へ?」

 

 突然こんな所へ連れてこられて疑問を抱くのも当然だろう。セリーが問いかけてきた。

 

「そうだなぁ……。自分の出発点を改めて確認するってところか。まあ、ちょっとした気まぐれみたいなものだ。そこまで深い意味はない」

「そうなのですか」

 

 納得したのかはわからないが、それ以上問いかけてくるつもりはないようだ。

 

 

 

 小屋を出るとあたり一面の畑に、点在する家屋。所々に雲が浮かんだ抜けるような青い空。

 そして、遥か彼方に連なる山脈は豊かな緑で覆われている。

 

 そうだ。確かにこういう光景だった気がする。

 わずか一日だけの滞在でその後訪れることもなかったが、この世界で見た最初の景色だ。

 俺の心の奥底にちゃんと残っていたんだな。

 

 

 

 彼女たちは辺りを見回し興味深そうにしている。

 

「のどかでいいところですね」

 

 そう言うとベスタは指を組んで頭の上へ持っていき、そのまま胸を張りぐーっと伸びをした。

 わーお。なんとダイナミックな動きだろう。お胸様が荒ぶっておられる。これはどんな男でも目で追ってしまうに違いない。

 

 ……セリーさんや。そんな目で見ないでおくれ。

 

 

 

 改めて村を見回してみる。

 うん。やっぱりのどかでいいところだよな。

 

「そうだな。こういうところでのんびり昼寝でもすると気持ちいいだろう。そのときは何時ものようにベスタに抱き着いてもいいか?」

「はい、もちろんです。眠るときにご主人様に抱きしめていただくのは私だけの特権ですからね。これだけは誰にも譲るつもりはありません」

 

 おお。嬉しいこと言ってくれるなぁ。出会った頃は何事にも遠慮がちだったのにベスタもずいぶん変わったもんだ。

 

 抱きしめて背中をゆっくり撫でると、ベスタも俺の頭を優しく撫でてくれる。

 顔に柔らかいものを感じながら頭を撫でられると、なんというか、こう、くるものがあるな。

 顔を上げベスタの顔をうかがうと、和らいだ表情を浮かべて気持ちよさそうにしている。

 迷宮ではパーティーの頼れるタンクとして前線を支えてくれているのに、こうして見ると本当にかわいらしい女の子だ。

 いやまあ、すでに女の子という年齢ではないんだが、種族が違うせいでいまだに若々しく見えるんだ、女の子でいいだろう。

 

 

 

 一頻り撫でてから体を離すとベスタがヒョイと横へ移動する。

 先ほどまでは大柄なベスタの陰に隠れて見えていなかったが、その後ろで待機していたロクサーヌが俺の前まで出てきて手を広げた。

 そして、その後ろにはセリー、ミリア、ルティナもスタンバイしている。

 

 何を求めているかはわかるんだけどさぁ。

 ご主人様はこんなところで立て続けにやることじゃないと思うわけですよ。

 

 ……でもまあ、嫌じゃないしな。というか彼女たちを抱きしめるのは大歓迎だ。

 よし、今からここはフリーハグの会場だぜー。

 

 

 

 四人と次々に抱き合うと、こちらを遠巻きに見つめひそひそと話をしている村人たちの姿が目に入った。

 

 うわー……。やっちまった。

 

 五人もの女性を侍らせた見たこともない男が自分たちの村にやってきて、いきなり抱き合い始めるなんて怪しいどころの話じゃないぞ。

 

 

 

 村人たちの中から男がこちらに進み出て声をかけてくる。

 

「わたくし共の村に何か御用でしょうか?」

 

ビッカー 男 41歳

商人Lv14

 

 あー。こんな人もいた気がするな。

 そうそう、確かキュピコを特産品にするんだったか?

 

「いや、キュピコが食べたくなってな。この村の特産品だと聞いて来てみたのだ」

「そうでしたか。村をあげて取り組んでいる事業が評判になっているとはありがたい限りです」

「購入させてもらうことは可能だろうか?」

「ありがとうございます。もちろん、問題ございません」

「では、村を見させてもらってから購入することにしよう」

 

 購入する旨を告げると商人は三階建ての建物を手で示し答える。

 

「購入する際はあちらの建物までお越しください。拙宅なのですが集荷場にもなっており、ご購入いただくことも可能です」

「そうか、では後ほど寄らせてもらおう」

 

 そう言うと商人の男は村人たちのもとへ戻り説明をしている。

 彼の説明を聞き村人たちは納得したのだろう。三々五々に散っていった。

 

 

 

「ご主人様。キュピコを購入されるのですか?」

 

 ミリアが近づいてきて嬉しそうに問いかける。

 魚じゃないのに食いつくねー。

 

「特産品らしいしな。みんなで味を確認してみよう」

 

 愛らしく動くネコミミを撫でながら答えると、にゅふーと笑みを浮かべている

 しばらく撫でていると、急に緩んでいた顔が元に戻り俺の手から抜け出し離れていった。

 

 いつものことだがミリアのこの気まぐれっぷりよ。

 嬉しそうにしていたのに、いきなりスンっと表情を変えどこかへ行ってしまう。

 猫人族のこの習性は毎度のことながらドキッとするわ。

 

 

 

「それじゃあ、ちょっと村を見て回るか」

 

 彼女たちにそう告げて歩き出す。

 

 

 

 そうそう、あの馬小屋で目覚めてデュランダルを手に、小屋の裏側にある林に隠れたんだよな。

 そして、村の様子をうかがっているうちに盗賊の襲撃が起こったんだ。

 

 

 

 しばらく歩いているとルティナが口を開く。

 

「アユム様。この先に何かあるのですか?」

 

 そうだな。いい機会だから話しておくか。

 

「今までみんなにも話したことがなかったが、俺はみんなと出会った十年前にこの国に来てな。そして、初めて訪れた場所がこの村だったんだ」

「そうだったのですか。わたくしたちと初めて会ったあの年に……」

 

 それを聞いていたセリーが口を開く。

 

「なるほど。先ほどおっしゃっていた出発点の確認とはそういう意味だったのですね」

「ああ、ちょうど十年前の今日と同じ春の一日目だったので、いい機会だと思って来てみたのだ」

 

 そして、ロクサーヌからも声が上がる。

 

「ご主人様と私が初めてお会いしたのは十年前の春の二日目でしたよね。ということはこの国へ来た翌日に出会ったのですね」

 

 そう言うと嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「そうだな。ベイルの商館で初めてロクサーヌを見たときには女神に出会ったと思ったものだ」

「ご主人様……。嬉しいです」

 

 俺の言葉を聞くとはにかんだ表情を浮かべ答える。

 

 あのときは深く考えずに、スマホの操作をしたんだよな。まさかそれがこんなことになるとは。お釈迦さまでも気づくめぇってなもんだ。

 今ではもう、よく思い出せないがあの世界は衛生的で便利な道具にあふれ、美味しいものがたくさんある豊かな世界だった。

 

 周りを見ると彼女たちがこちらを向き、興味深そうに話を聞いていた。

 

 うん。彼女たちと共に過ごせるこの世界を選んだことに何の後悔もない。

 今この瞬間に元の世界に戻れる選択肢が現れたとしても、それを選ぶことはないと断言できる。

 

 

 

 さて、話を続けよう。

 

「俺がこの国に初めて訪れたのが先ほどの馬小屋だったのだ。そして、そこを出ると村が盗賊に襲われていてな。色々あって助太刀に入ることになった」

 

 色々というか完全にゲームのイベントだと思ってたんだけどな。

 

「村を襲う盗賊を見過ごせず助太刀に入るなんて、さすがご主人様です!」

 

 尻尾を揺らしながら興奮したような表情でロクサーヌが声をあげる。

 そのさすごしゅは心にくるからやめてー。

 

「まあ、犠牲者が出てしまっていたから、そう褒められたものじゃない」

「そうだったのですか……」

 

 俺の言葉にロクサーヌのテンションが落ちる。

 

「でも、この村を見ると盗賊の襲撃があったことを感じさせないのどかな風景です。これこそ、ご主人様が護ったものなのでしょう」

 

 どんなときでもこんな俺のことを常に気遣ってくれる。本当に優しくていい娘だ。

 

 

 

 盗賊と戦闘をした広場に向けて歩いていると農作業をしている男の子が目に入った。

 同じくその子を見つけたのだろう。セリーが疑問を口にする。

 

「この辺の人間族で黒髪とは珍しいですね」

「ご主人様以外に黒髪の人間族を見たのは初めてかもしれません」

 

 セリーの言葉にベスタも同意した。

 

 その言葉を聞きながら男の子へ向けて鑑定をかける。

 

アム 男 9歳

村人Lv1

 

 ああ、そういうことか。

 あの夜の出来事は確かにあったことなのだろう。

 盗賊の襲撃で夫を亡くした彼女の家に泊めてもらい、寝所を共にした。

 

 そして、そのとき交わした情が……。

 

 

 

「ご主人様……」

 

 ロクサーヌがもの問いたげにこちらを見ているが今はあの子に話しかけてみよう。

 

 

 

 畑に近づき声をかける。

 

「よう、精が出るな」

 

 すると頭を上げこちらに顔を向けた。

 ……顔立ちは、どことなく似ている気がする。

 

「おじさん誰?」

「この村の特産品がキュピコだと聞いてな。それを買いに来たんだ」

「そう。だったらあの一番大きい建物があるだろ? あそこにいるビッカーさんに頼んだら買えると思うよ」

「そうか。ありがとうな」

 

 九歳にしてはなかなかしっかりした子だな。

 

「ところでお前は大きくなったらやりたいことはあるのか?」

「え?」

 

 男の子は知らない大人に将来の夢を聞かれて戸惑っている。

 あー。いくら何でも唐突すぎるわな。

 

 

 

 戸惑いながらもおずおずとしゃべりだした。

 

「父ちゃんはおいらが生まれる前に死んじまったんだけど、母ちゃんが言うにはすごい冒険者だったらしいんだ。だから、おいらも大人になったら父ちゃんと同じすごい冒険者になりたい」

「そうか……」

 

 すごい冒険者か……。

 彼女がどちらのことを言ったのかはわからないが、今まで何もしてやれなかったんだ。

 少しくらいはな。

 

 アイテムボックスから剣を取り出す。

 

いかりのシミター 片手剣

スキル 攻撃力五倍 HP吸収

 

 男の子と目を合わせながら話す。

 

「これはスキルの付いた剣だ。お前に渡しておこう。冒険者を目指すならきっと役に立つはずだ」

「スキル付きの剣!」

「ああ、だがこれを人前で使うことはやめておけ。他人に知られると間違いなく奪われてしまうだろう」

 

 そう言うと目を輝かせて剣を見つめていた男の子は表情を引き締めてこちらを仰ぐ。

 

「大人になるまでは使いこなせないはずだから、母親にあずかってもらうんだ。いいな?」

 

 俺の言葉を聞きしっかりと頷いた。

 

「この剣を使いこなし、すごい冒険者になれるよう祈っている」

「おじさん、ありがとう」

 

 シミターを差しだすと、彼は恭しく受け取って宝物のように抱え込み、お礼の言葉を口にするとそのまま駆け出していった。

 

 

 

「ご主人様、今のは一体……。それにあの子の顔立ちは……」

 

 ロクサーヌが俺を見つめ問いかけてくる。

 

 うーん……。

 なんと説明すればいいんだろう。

 考え込んでいるとロクサーヌがどんどん近寄ってくる。

 

「ご主人様? どういうことですか?」

 

 ちょ、目がすげー怖いんだけど。

 

「ロクサーヌ。落ち着いてくれ」

「私は落ち着いています。ご主人様? ご主人様は私に会うために便利で平和な元の世界を捨ててこの世界に来たのですよね? なのに別の女性と子を儲けたのですか? それはおかしいことですよね? 私のご主人様がそんなことをするはずないですよね?」

 

 え? いや? なんだこれ? なんでロクサーヌがあの世界のことを知ってるんだ?

 

 ……あれ? ロクサーヌに元の世界のことを話したよな?

 いや、それどころか原作知識のことも話したはずだ。

 ん? 原作?

 あ、そうだ。原作だ。これは一体どういうことだ?

 

 考え込んでいるとガラス玉のような目で俺の顔を覗き込み、どうしてどうしてと壊れたスピーカーのように問い続けている。

 

 本当に何なんだこれは? 俺のロクサーヌがこんなことをするはずないじゃないか。何が起きているんだ?

 

 

 

 

 

「…………」

 

 ……んっ。

 

「………ま」

 

 ……何か聞こえる。

 

「………様」

 

 

 

 ……机に座ったまま腕を枕に眠っていたようだ。

 頭を上げてゆっくり目を開くと、美しい顔が不安気にこちらを覗き込んでいた。

 

「目が覚めましたか? ずいぶんとうなされていたようなので声をかけさせていただきました。旦那様、大丈夫ですか?」

 

 

 

 ……ああ。夢だったのか。

 そうだよなぁ。ロクサーヌがあんなことするはずない。

 

「ふぅ」

 

 思わず息を吐きだし、目を合わせると気遣うような顔でこちらを見ている。

 

「ありがとうルティナ。ずいぶんとおかしな夢を見ていたから助かったよ」

 

 その言葉を聞くとルティナは穏やかな笑みを浮かべた。

 

 パーティーに加入した頃の張りつめたような表情はどこにもない。

 他種族を見下すことの多いエルフの中では珍しく、いつも柔らかく暖かい表情をしている。

 

ルティナ・タガワ・アンセルム ♀ 42歳

魔導王Lv198

装備 身代わりのブレスレット

 

 種族が違うおかげもあってか、全然四十を超えているようには見えない。

 輝くような長い金髪に青い瞳。先のとがった特徴的な耳。

 何年経とうとも変わることのない美貌に思わず見惚れてしまう。

 

 ルティナは微笑みながら問いかけてきた。

 

「旦那様。おかしな夢とはどういったものだったのですか?」

「いやー。なんというか突拍子もない夢だったな。みんなと出会う前、初めてこの世界に来たときに俺は別の女性と子を生していたんだが、そのことに気づいていないんだ」

「まあ。それは、なんと言いましょう……」

 

 そりゃあ驚くわな。

 今考えるとあの夢はむちゃくちゃだ。

 そもそもティリヒは未亡人じゃない。

 というか家臣の妻に手を出すなんぞ反乱フラグが立つわ。

 親子二代に渡って仕えてもらっているのにそんなことできるか。

 ビッカーは我が侯爵家の御用商人をしてもらっていたし、ソマーラの村にも何度も訪れていて住民たちとも顔なじみだ。

 

 そして、いかりのシミターなんていう、とんでもない装備品を作ってしまっている。

 性能の低いシミターに白金サイクロプスとハイコボルト、それからつぼ式食虫植物とコボルトのスキル結晶を融合するなんてどんな判断だ。金をドブに捨てる気か。

 それに公には第三ランクの最上位種は、ガムスライムとイモータルタートルしか倒されていないことになっているのに、白金サイクロプスのスキル結晶をつけた武器を子供に渡すのはヤバすぎる。

 

 あーでも、なんかこんなエピソードが原作にもあった気がするなぁ。

 もう何年も読み返していないせいで記憶も薄れてきているが、確かにあった気がする。

 

 

 

 まあいいや。話を続けよう。

 

「それで、十年ぶりにそこを訪れるんだけど、そのとき俺に似ている男の子を発見してね。何もしてやれなかった負い目もあって、父親としてスキル付きの装備品を与えたところで、ロクサーヌが問いかけてきたんだ」

「まあ! それはロクサーヌ姉様の怒りを買ってしまったことでしょう」

 

 そう言うとルティナは口元を手で覆い声を出して笑っている。

 こっちは本当に怖かったんだから、そんなに笑わなくても……。

 

「そして、ロクサーヌが絶対しないような恐ろしい問い詰め方をされていたときに、ルティナに起こしてもらったんだよ」

「ふふ。お役に立てたようで何よりです。それにしても、ふふ、このお話はロクサーヌ姉様のお耳に入れるわけにはいきませんね。ふふ」

 

 ちょっと! この奥様ずっとクスクス笑ってるんですけどー!

 

「そうだね。他の妻たちには内緒ってことで」

「はい。旦那様とわたくしだけの秘密です」

 

 家内安全が一番だからな。

 俺に何の責任もないのに変に火種になっても困るわ。

 

 

 

「それにしても旦那様が執務室で居眠りとは珍しいですね」

「このところ色々なことが重なってずっとバタバタしていたからなぁ」

「本当にそうでした」

「まあ、すべて上手くいったし、骨を折った甲斐があるよ」

 

 そう言うとルティナは俺の目をじっと見つめてから頭を下げた。

 

「旦那様。わたくしたちの継嫡家名回復とレオナルトのセルマー伯爵継承のためお力添えいただきありがとうございました」

 

 めちゃめちゃ面倒だったけど上手く事が運んでよかった。

 陛下と内々に会談を持ち裁可を得たり、ハルツ公を通して全エルフ最高代表者会議の多数派工作を行ったり、本当に大変だったわ。

 

「先々代セルマー伯の領内統治や、成人を過ぎても迷宮に入っていなかったルティナに問題があったことは間違いない。だけど、やはり君が奴隷に落とされたのは不当だと思ったんだ」

「旦那様……」

「まあ、それをもらい受けた者が言うことではないだろうけどね。それに我が子の栄達のために動くのは親として当然のことだよ。そしてなにより、あの子たちは本来ならいがみ合ってもおかしくない間柄なのにお互いを想い合っていた。なら、その想いを叶えてやりたいじゃないか」

「ふふ、ありがとうございます。いつまでも優しいわたくしたちの旦那様」

 

 

 

 

 

 ルティナと話をしていると部屋にノックの音が響いた。

 入室の許可を告げるとドアが開き、入り口にぶつけないよう少しだけ下げられた燃えるような赤い髪が見える。

 

ベスタ・タガワ ♀ 42歳

探索者Lv99

装備 身代わりのブレスレット

 

 真っ赤な髪に健康的な小麦色の肌。

 美人なのにどこかあどけなさのあるかわいらしい顔立ち。

 そして、何年経っても俺の目を釘付けにしてしまう、大きく張り出した山脈。

 

 その山脈を揺らしながらベスタが部屋に入ってきた。

 

「旦那様。ただいま戻りました」

「おかえりベスタ」

「おかえりなさいませ、ベスタ姉様」

 

 挨拶を済ませると立ったままだったルティナと二人でソファーに腰を下ろす。

 

 

 

 今日の引率はベスタだったな。とりあえずジョブを戻しておくか。

 

「ベスタ、アイテムボックスは?」

「大丈夫です。空にしてあります」

 

 よし、問題ないな。

 ベスタにパーティー申請を行いジョブを変更する。

 

ベスタ・タガワ ♀ 42歳

竜王Lv203

装備 身代わりのブレスレット

 

 うん。オッケーだ。

 

「お疲れさん。ちびっ子たちの様子はどうだった?」

「いつものことですが連携も考えずに四人一斉に魔法攻撃を行おうとするので、詠唱共鳴が発生して大変でした。それに、一番小さいジェシカが真っ先に飛び出して魔物の真正面で攻撃を回避し続けるのは本当に心臓に良くないです」

 

 あれはどうしようもない。完全に母親の影響だわ。

 

「昔聞いたんだけど、ロクサーヌは幼いころにニートアントの毒針を集めて迷宮外に出現するノンレムゴーレムを狩るという遊びをしていたらしいよ。ジェシカについては好きにさせてやろう。あれは一生治ることはないだろうからね」

「まあ。ロクサーヌ姉様はそのようなことをしていたのですか?」

「でも、ロクサーヌさんならそのくらいのことをしていても不思議はないです」

 

 俺の言葉に二人は驚きつつもロクサーヌならやっていてもおかしくないと納得しているようだ。

 

「それに、ジェシカは末っ子でずっと弟や妹を欲しがっていたからな。甥っ子、姪っ子に格好つけたいのかもしれない」

「確かにそうかもしれません。甥や姪の前ではお姉さんぶっていますからね」

 

 ベスタの言葉に頷きながらルティナも続ける。

 

「そうですね。小さな子たちを集めて迷宮での武勇伝を語り、お姉さん風を吹かせていますものね」

 

 孫たちの前で得意げに語るジェシカを思い出し、三人で思わず笑ってしまった。

 

 

 

「あの子は自分のことを叔母様ではなく姉様と呼ばせていますもの。よほど弟妹が欲しかったのでしょう」

 

 ルティナの言う通りジェシカはずっと弟か妹を望んでいたが十七人目はなぁ。

 

「旦那様はロクサーヌさんがジェシカを妊娠して以降、授精師をつけることがなくなりましたよね? どうしてなのですか?」

 

 ニコニコ笑いながら問いかけるベスタに返事を返す。

 

「十六人でも多いのにさすがにそれ以上はね」

 

 授精師のジョブに就いていなければ妻たちも妊娠することはない。云わば百パーセント確実な避妊方法みたいなものだ。

 まあ、実際には逆で授精師をつけているときにしか子供ができないんだけどさ。

 

 

 

 それにしても、子供たちのジョブをどうするか考えないといけないな。

 うちの子たちは全員自爆玉を使用しているため、一人残らず魔法使いになることが可能だ。

 物理攻撃を好む子や、就きたいジョブが決まっている子以外はすべて魔法使いになろうとするんだよなぁ。

 

「詠唱共鳴を起こさないための連携についてはロクサーヌとルティナにまかせるから、上の子たちにしたようにちびちゃんたちにも教えてあげて」

「おまかせください。姉様と一緒に子供たちを教導いたします」

 

 自爆玉を使用しているため初陣が盗賊戦とはいかず、英雄のジョブを得ることは叶わなかった。オーバーホエルミングさえあれば前衛をやろうという子も増えたんだろうが。

 

 でもなぁ、隠す手段もないのに英雄のジョブを所有するのは危険すぎる。

 陛下は気にしなくても、その周りの役人や帝国解放会に所属していない貴族から皇位簒奪の疑いをかけられてしまうだろう。

 

 うーん……。

 ちびっ子組も修行に参加させた方がいいのか?

 俺たちはジョブとレベル、それに装備品がとんでもないことになっていて、まるでバトル漫画の世界だ。

 そのため、今までは成人後にロクサーヌが認めたうえで参加させていたけど、早いうちに近接戦闘になれさせないと固定砲台になってしまうかもしれない。

 それではいざというときに身を守れない危険性がある。

 

 それとも、早めにロクサーヌ道場の方に放り込むか?

 そっちはそっちで厳しいだろうしなぁ……。

 

 夜にでも妻たちと相談してみるか。

 

 

 

 俺が考え込んでいるとルティナが問いかけてくる。

 

「ところで旦那様。わたくしたちも孫たちにお婆様ではなくてお姉様と呼んでもらうというのはいかがでしょう?」

 

 こらこら。自分の年齢を考えなさい。

 

 

 

 ルティナの提案を華麗にスルーし、子供たちのジョブについて三人であれこれ話していると再びノックの音が聞こえてきた。

 入室を促すとネコミミと尻尾を動かしながら女性が入ってくる。

 

ミリア・タガワ ♀ 42歳

仕置人Lv317

装備 身代わりのブレスレット

 

 濃紺の髪にそこから生えているピンと立った愛らしい三角のネコミミ。

 やや丸みを帯びた顔には、特徴的な光彩を持つ瞳が輝いている。

 こちらを見ながら満面の笑みを浮かべているのがとてもかわいい。

 

「おかえり、ミリア」

「旦那様。ただいま、です」

 

 俺の言葉にミリアは片言で返した。

 あまりの懐かしさに思わず吹き出してしまった。

 

「なにそれ。どうしたの?」

「村でブラヒム語を覚えようとしている子がいたんですけど、まだまだ片言だったんです。なんだかあの頃を思い出してしまって、ついやっちゃいました」

 

 そう言うといたずらっぽく笑う。

 孫もいるというのに、いつまでも童女の様なかわいさを失うことなく持ち続けている。

 

 

「おかえりなさいませ。ミリア姉様」

「お姉ちゃん。おかえりなさい」

「ただいまー」

 

 ミリアは二人とあいさつを交わし、ベスタの隣に腰を下ろした。

 

 

 

 しかし、忙しいのによくもまあ頻繁に漁業指導に出かけるなぁ。本当に大したもんだわ。

 

 領地と爵位を得るため攻略する迷宮を選定していたとき、ミリアは俺たち五人を向こうに回し領内に海があることの利点を大演説して、現在の我が領を猛プッシュしていた。

 そして、最終的には俺たち全員で決め、当時存命だったカッサンドラ婆さんや帝国解放会の思惑をガン無視して突き進んだ。

 今考えると、よくあんな無茶をしたよなぁ。

 

 

 

 拝領後は漁村を作って、領内や他の都市に魚介類を卸すことを主張し、そのために自ら漁業指導を行うとぶち上げていたが、もう二十年以上経つのにいまだに続けているのは本当に感心する。

 最初の頃は領主夫人に漁業指導をされることに戸惑っていた漁村民たちも、ミリアに関しては完全に村の一員という扱いだ。

 

 

 

「それでミリア。村の様子はどうだった?」

「そうですねー、特に大きな問題はありませんでした。ただ、旦那様にあこがれて迷宮討伐を目指す若者が増えたせいで、漁業の担い手が不足しているという声がチラホラ聞こえてきます」

 

 マジかぁ……。

 

 統治を始めた頃は特にそういうことはなかったのに、生まれた時から俺の立志伝を聞いて育った世代が大人になったらこんな問題が起きるとは……。

 

 ……自分で立志伝とかいうと無茶苦茶恥ずかしいな。

 間違っても自分の銅像を建てたり、肖像画を公共の場所に飾るなんて痛い真似をしないように気をつけよう。

 

 

 

 しかし、俺の成り上がりに憧れて迷宮に入っても、キャラクター再設定とボーナスポイント99がなければどうにもならないんだが……。

 

「それはちょっと問題だなぁ」

「はい。このままの状態が続くと領都に入ってくる魚が減少して価格が上がったり、手に入らなくなるかもしれません。そうなる前に何か手を打った方がいいと思います」

 

 うーん……。とはいってもなぁ。

 迷宮を目指す若者を無理やり村に縛り付けて漁師にするという訳にもいくまい。

 どうしたもんか。

 

 

 

 俺とミリアが頭をひねっているとベスタが声をかけてきた。

 

「おいしい魚介料理を振舞って、漁師を希望する人を増やすのはどうでしょう」

「そうですね。旦那様とミリア姉様の作る魚料理は絶品ですから、レシピを広めることでそれを食べた領民の中から漁師を目指す者が現れるかもしれません」

 

 その言葉に続いてルティナもアイデアを出す。

 

 なるほど。

 村おこしのイベントを行う訳か。

 

「ベスタ! ルティナ! いい提案だよ! 美味しい魚料理を食べればそれを手に入れようと思うはずだもんね!」

 

 二人のアイデアにミリアから大きな声が上がった。

 

 確かにいいかもしれない。

 他にも色々できそうだしな。

 

「それなら、料理自慢の人たちで料理対決なんてのもいいかもしれない。あとは、一番貴重な魚を獲った人とか、一番大きい魚を獲った人に商品や賞金を出すのもアリだね」

 

 思いついたことを口にするとミリアが大興奮で絶賛してくれた。

 

「さすが旦那様です! 早く村のみんなに知らせないと!」

 

 こらこら。落ち着け。

 ソファーから立ち上がろうとしているミリアを制止する。

 

「ミリア。まだ何も決まってないから村人たちに知らせるのはちょっと待って。これは侯爵家で行うイベントとなるだろうから、詳細が決まってから知らせることにしよう」

 

 開催場所は領都にするか、漁村にするか。

 他領の者を招くか否か。

 領民の移動をどのように行うのか。

 魚介類以外の食材をどう仕入れるか。

 

 考えないといけないことが山のようにあるな。

 まあ、妻や家臣たちと一緒に頭を悩ませるとしよう。

 

 

 

 未来のイベントについて、それぞれのアイデアを出し合っているとドアが開いた。

 

 

 

セリー・タガワ ♀ 43歳

名匠Lv233

装備 身代わりのブレスレット

 

 小さくてかわいらしいのに均整の取れたスタイル。

 長くて艶やかな黒髪と、そこから飛び出すとがった耳。

 大きく美しい瞳に、整った鼻立ち。

 四十をとうに過ぎているのにどこから見ても美少女そのものだ。

 

 セリーは入ってくるなり告げる。

 

「旦那さま。今日作製した分の確認をお願いできますか?」

「大丈夫だよ。見せてもらえる?」

 

 そう返すと、アイテムボックスを開き次から次へと装備品を取り出したので、一つ一つ確認していく。

 

 

 

 うーん……。

 ダマスカス鋼と竜革の装備品か。

 これはどういうことだろう?

 

「セリー。今日は何かあったの?」

 

 俺の言葉にふっと表情を緩めると逆に問いかけてきた。

 

「何かとは何でしょうか?」

 

 何かとは何かとは何かな?

 ってこんなこと続けていられないよな。

 

「今日の装備品はどれも簡単なものだし、鍛冶師でも作れるような物ばかりで数も少ない。それにスキルスロットが付いている物も少ないし、しかも付いている数も一つだけ。とてもセリーが作った物とは思えない」

 

 俺の言葉をニコニコしながら聞いていたセリーが答えた。

 

「これは私ではなくグロリアが作りました。あの子は早く父様のお役に立ちたいそうですよ」

 

 うそー! マジで!

 

「セリー! 本当!? グロリアが俺のためにこれを!?」

 

 鍛冶師のジョブに就いているのは知っていたが、今までは特に装備品を作っている様子がなかったのに、そんなことを考えていたのか……。

 かわいい娘が俺のためにこんなに素晴らしい装備品を作ってくれるなんて……。

 

 ヤバイ。涙腺がマジでヤバイ。

 

 

 

「グロリアは本当に旦那様のことが大好きですね」

 

 涙腺が崩壊しかかっている俺の顔を優しく見つめながらベスタがそう言うと、ミリアも言葉を続ける。

 

「旦那様は好奇心旺盛なグロリアが本当に小さいころから、なんでなんでと質問されるたびに色々答えたり、一緒に考えたりしていましたからねー」

 

 そうだなぁ。あの子はセリーに似て知りたがりで他の子たちに比べ、なんでなんで攻撃がすごかった。

 なんで空の色は時間によって変わるのだの、なぜ星は光っているのだの、どうして雨が降るのだの、海の端っこはどうなっているのだの。地球にいた頃の知識を必死に思い出して答えたもんだ。

 

 

 

「セリー姉様。やはり、グロリアは名匠を目指しているのですか?」

 

 ルティナに尋ねられたセリーは頷きながら答える。

 

「ええ。あの子は将来名匠になるのを夢見ています。そのため、今のうちから武器、防具の製造やスキル結晶の融合を行い経験を積みたいと考えているようです」

 

 うーん……。でもなぁ。

 俺が生きている間は鑑定でスロットの有無を見極めて、確実にスキル結晶の融合を成功させることが出来るが、俺が死んでしまった後は成功率が著しく下がってしまう。

 そうなれば、グロリアは辛い思いをしないだろうか?

 今までは装備品の製造やスキル結晶の融合をしている様子がなかったため、成人前にそれとなく他のジョブを勧めるつもりだったんだが……。

 

 

 

「旦那様のお考えはわかりますが、グロリアの人生なのです。あの子の好きにさせてはもらえませんか?」

 

 俺の懸念に気が付いたのだろう。子を思う母親としての表情を浮かべながらセリーが告げる。

 

 ……そうだな。親がいつまでも面倒を見るわけにはいかない。

 次期侯爵として領地運営にかかわり、貴族の義務として迷宮攻略に奔走しているカケルを始め、成人した子たちはすでに自分の足で立ち、そして歩んでいる。

 たとえスキル結晶の融合がいばらの道だとしても思いとどまるように説得するのは違うよな。

 

「わかった。グロリアの意思を尊重しよう」

「ふふ。ありがとうございます。さすが私たちの敬愛する旦那様です」

 

 セリーは俺の言葉を聞くと嬉しそうに笑った。

 

 

 

 ……でも、それなら最低限の手助けはしてやりたい。

 

「そうなると少しでもあの子の力になるため、パワーレベリングを解禁するべきじゃないだろうか?」

「またですか?」

 

 俺の提案を聞くとセリーは眉を寄せ、呆れたようにつぶやく。

 そして、他の妻たちも言葉をかぶせてきた。

 

「旦那様はいつまで経っても本当に過保護ですね」

「お姉ちゃんが絶対に許さないと思いますよ?」

「ロクサーヌ姉様だけではなく、わたくしたちは全員反対しているのですから、いい加減にあきらめてください」

 

 くっ。この件になるといつもそうだ。

 ビビりな俺は子供たちに万が一が起こるのが怖くて、それをはねのけられるように第一子のカケルが生まれた時からずっとパワーレベリングを提案してきた。

 しかし、怠惰な子になるだの、自分の力で生きられなくなるだの、他人を見下す子になるだのと反対されて、今日に至るまで実行できていない。

 

 パワーレベリング用にクーラタルの迷宮は、九十九階層のボスを撃破せずにキープしてある。

 なので、エクストリームドロップデッドを使用し、恐ろしいほどの効率で狩りが可能だ。すぐにでもレベルをカンストさせることができるだろう。

 まあ、レベル制限解除は妻たちだけで十分だろうが、上級ジョブのレベルを99にしておけば、ちょっとやそっとでは死ぬ心配はなくなる。

 そして、セリー謹製のスペシャルな装備品を渡しておけば鬼に金棒だ。

 

 ……なのに反対されるんだよなぁ。

 この世界に来て随分経っているが、やはり今でも安全確保に関してはギャップを感じてしまう。

 

 

 

「ご自分の意見を押し通すおつもりならロクサーヌさんの説得を頑張ってください」

 

 セリーは俺の子供たちに対する精いっぱいの愛情を鼻で笑うとそう言った。

 

 感じ悪っ!

 こやつめ。絶対に俺がロクサーヌを押し切ることが出来ないと知っていながら何ってことを言いやがるんだ。

 

 

 

 四人にロクサーヌの説得を手伝うよう請い、あっさり袖にされていると扉が開く。

 

「私が最後ですか?」

 

ロクサーヌ・タガワ ♀ 43歳

宮司Lv224

装備 身代わりのブレスレット

 

 優しげな鳶色の瞳に栗色の髪。そこから生えている愛らしく垂れた犬耳。

 大きく形の整った胸部に括れたウエスト。

 脚の間から見えるかわいい尻尾。

 そして、美しく艶のある心地良い声。

 

 ああ、ロクサーヌだ。

 いつまで経っても慣れることのできない新鮮な魅力に、一瞬で心が捕らえられてしまう。

 今でも毎日、顔を合わせるたびに改めて恋に落ちる。

 

 

 

「今日も子供たちの修行、お疲れ様」

 

 労いの言葉をかけると花が綻ぶような笑みを浮かべ答えた。

 

「このくらいのことは何でもありません。あの子たちを一角の戦士として育てるのが私の責務ですから」

 

 昔俺にしていたように、今日も容赦なく子供たちをしばき回したのだろう。

 うちの子供たちは成人を迎えると、たとえ後衛職を目指していても、このロクサーヌ道場からは逃れることはできない。

 そして、ロクサーヌから合格を貰えない限り独り立ちさせてもらえないのだ。

 まあ、合格を貰ったところで、今度は俺たちの修行へ組み込まれてしまうのだが。

 

 ……やはりちびっ子組にはまだ早いか?

 

「あまり無理はさせないようにね」

「みんな旦那様の子供なのです。あの程度は何でもないでしょう」

 

 ……子供たちよ頑張っておくれ。そして、何も言えない弱い父を許しておくれ。

 

 

 

「ロクサーヌ。話があるんだ」

「はい。なんですか?」

 

 俺が切り出すと嬉しそうに返事をする。

 本当にいつまでも美人でかわいくスタイル抜群でそのうえ性格まで完璧な女性だなぁ。

 

 おっと、見惚れているわけにはいかない。子供たちに対する俺の思いを伝えなくては。

 

「みんなはこの世界に寄る辺のなかった俺に家族をくれた。自分の子供を育てることができるのは何ものにも代えがたい喜びだ。本当にありがとう」

「そんな。私たちの方こそ旦那様のおかげで毎日たくさんの幸せをいただいています。こちらこそありがとうございます」

 

 俺の言葉にロクサーヌは幸せそうな笑みを浮かべ感謝を口にした。

 

 ……視線の端に呆れたような顔をしているセリーが目に映るが無視して言葉を続ける。

 

「俺はこの幸せを守るために全力を尽くしたい。子供や孫たちにできる限りのことをしてやりたいと思っているんだ」

「はい。私も旦那様と同じ気持ちです」

 

 そうだよな。子や孫を思う気持ちに変わりはないよな。

 

 ……話の流れを理解したのだろう。ミリア、ベスタ、ルティナもセリーと同じ表情を浮かべながらこちらを見ているが無視だ無視。

 

「なので、パワーレベリングを行いたい。いや、もちろんロクサーヌたちの懸念も理解しているよ? 過保護だと言いたいんだろう? 大丈夫、俺もそこまで過保護じゃないぞ。当然レベル制限解除までは行わない。上級ジョブのレベルを99までで止めておくつもりだ。あ、いや、エクストリームドロップデッドを使える人間がいないとも限らないか。せめてレベル100にしておくべきだろうね。それに、今は強力な装備品を渡していないだろう? しかし、それだと怪我をする可能性が高いはず。なので、セリーが丹精込めて作った最高級の装備品を渡しておくべきだと思うんだ。それから――」

「旦那様」

 

 あ、はい。

 

「いけません」

 

 やばい。ロクサーヌさんが静かに怒っていらっしゃる。

 くそー。四人は後ろでうんうん頷いているだけで、俺のフォローに回る気は一切ないようだ。

 

 

 

 さんざんへこまされ、今回もパワーレベリングについては却下されてしまった。

 まあいい。折を見て提案し続けるさ。

 筋金入りのチキンハートを舐めるなよ。

 

 

 

 うん。全員揃ったしそろそろ時間かな?

 

「よし、それじゃあ昼食を取ったら迷宮探索に出よう」

 

 妻たちに声をかけて椅子から立ち上がり、攻略予定の迷宮について話しながら部屋をあとにする。

 

 さて、午後からも頑張るとしますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人物紹介

 

 

 

 

 

ミハマ侯爵アユム・タガワ・アース 男 45歳

開拓者Lv593 救世主Lv428 魔導王Lv588 渡世人Lv539 大僧正Lv514 賢者Lv472 遊び人Lv651

 

 我らが主人公。課長田川歩から探索者田川歩、冒険者田川歩を経て、男爵アユム・タガワに至る。

 叙爵して拝領地と継嫡家名が決まった時に、鑑定結果が田川歩ではなくなってしまった。

 拝領地のミハマはとても美しいビーチがあったため、日本にいた頃の地元である美浜町から拝借。

 また、継嫡家名は地球への望郷の念と、地球人であることへの誇りから。

 拝領後も攻略者が現れないような、周辺の高階層迷宮を次々と撃破して領地を拡大していき、子爵アユム・タガワ、伯爵アユム・タガワ、侯爵アユム・タガワと駆け上がっていった。

 これで妻たちに手を出そうなどと考える不埒者はいなくなったことだろう。よかったよかった。

 

 特別篇時点での迷宮討伐数は百二十七。このうち、八十九階層以上が存在していた迷宮の討伐数は十六。

 ただし、領内にある八十九階層のボスがフロストドラゴンだった迷宮については、クーラタルの迷宮九十九階層の同ボスを撃破するわけにはいかないためキープしてある。

 そして、クーラタルのような街を作るため、この迷宮がある場所に領都を移し、アイテムや食材を安定供給できるようにした。

 

 数々の対策を講じるものの運命を変えることはできず、四十を前に再び相棒に去られたという悲しみを背負いし男。そして、歴史上初となるエリクシールを抜け毛対策に使用した男でもある。

 まあ、効果はなかったのだが……。

 

 

 

ロクサーヌ・タガワ ♀ 43歳

宮司Lv224

 

 第一夫人。美人でかわいくスタイル抜群で性格も良く、そのうえ美声まで兼ね備えた完全無欠のヒロイン。

 奴隷解放とプロポーズを固辞していたが、アユムの授精師取得と叙爵を機に提案を受け入れた。

 家族に対する愛情が深く、優しくも厳しいお母様。

 

 子供たちの教育については、そのほとんどが彼女の発案である。教育内容は以下の通り。

 十歳を過ぎると成人するまでは、母親たちがローテーションでインストラクターとして同行し迷宮探索を行う(ジェシカについてはまだ九才だが、ロクサーヌがその能力を認め特別に迷宮探索を許された)。

 そして、成人を過ぎると自ら模擬戦の相手を務め、子供たちを一角の戦士とするために愛を持ってぶちのめしていく。通称ロクサーヌ道場。

 彼女から認められたものは独り立ちが許され、親たちの修行に参加できる権利を得る。

 ただし、この修行より五十階層の迷宮を撃破する方が楽というのが子供たちの総意である。まあ、バトル漫画の世界ですし。

 

 温厚で面倒見が良く、怪我人や病人に回復魔法を使ってくれるため、領民たちからは女神のように慕われる。

 

 

 

セリー・タガワ ♀ 43歳

名匠Lv233

 

 第二夫人。パーティーの参謀役。

 領内にスキル付きの装備品を安定的に流す凄いお方。

 ただし、一般向けに販売されている物はスキルが一つで、ダマスカス鋼と竜革製まで。

 それでも他領より安く購入できるため、ミハマ領をホームタウンにして領都に存在する迷宮に入る人も多い。目指せクーラタル。

 

 子供たちが独り立ちするときのために特別版の装備一式を用意しているが、ロクサーヌの許可が下りないため死蔵されている。

 

 パワーレベリングはともかく、独り立ちした子には装備品を与えてもいいのではないでしょうか?

 

 

 

ミリア・タガワ ♀ 42歳

仕置人Lv317

 

 第三夫人。侯爵家の水産大臣。

 ミハマ拝領の立役者。

 攻略する迷宮を探していた時に、現在の領地を聞きつけ猛プッシュした。

 当初はカッサンドラ婆さんや全エルフ最高代表者会議、また帝国解放会の意向を気にしてアユムは消極的だったものの、一度全員で現地を確認したところあまりの美しいビーチに心を奪われ、この地を得ることに決めた。

 

 拝領後は漁村設置、漁業指導、レシピの伝授と大車輪の活躍で、それは現在も続いている。

 いつでも美味しい海の幸が味わえる場所。そう、それがミハマ領。

 

 漁村の住民にとっては領主様より偉大なお方。

 

 

 

ベスタ・タガワ ♀ 42歳

竜王Lv203

 

 第四夫人。子供たち及び孫たちに大人気のお母様。

 いつも穏やかで優しく、大きな体で受け止めてくれるため、幼い頃はとにかくみんなベスタへしがみついていた。

 しかし、子供たちが大きくなりそんなこともなくなって寂しく思っていたところ、今度は孫たちが同じようにまとわりついてくることに。

 体に孫たちを乗せのんびり日向ぼっこをしながらうたたねをすることが何より幸せ。

 そんなベスタも、迷宮では竜王の圧倒的な防御性能で前線を支える頼もしい盾役。

 

 私にこんな穏やかで幸せな日々が訪れるなんてあの頃は想像もしていませんでした。

 

 

 

ルティナ・タガワ・アンセルム ♀ 42歳

魔導王Lv198

 

 第五夫人。ミハマ家が貴族としての体面を保てているのは彼女のおかげ。

 パーティー加入時は父親と自らの怠惰な行いにより、家を奪われ、自身も奴隷落ちをしており、常に張り詰めた雰囲気を纏っていた。

 しかし、パーティーメンバーと共に過ごし、また人知を超えた速度で成長し迷宮探索を進めていく様子に、思い悩むことが馬鹿馬鹿しくなってしまい、すぐに吹っ切れる。

 帰属意識はタガワ家にしかなく、他種族を見下すようなエルフには逆に嫌悪感を抱くように。

 

 史上最もエリクシールを使用した人物。

 

 

 

カケル・タガワ・アース 男 24歳

冒険者Lv26

 

 第一子でロクサーヌとの子。次期侯爵で自称凡夫。傍から見れば若くして迷宮討伐を複数成し遂げている英傑。

 

 様々な才能あふれる弟妹たちに手を焼きつつ、面倒をみるお兄ちゃん。

 マザコンの上、初恋の人がルティナという重い十字架を背負いし者。

 帝国解放会入会時の儀式において腹を括りそのことを告白するが、公然の事実だと一蹴され心に傷を受ける。

 そりゃもう、子供時代はあからさまでしたから。

 そんな彼も妻を娶り、現在は三児の父である。

 

 昔はのんびり屋でパッとしない父に対し、なぜ素晴らしい母親たちを娶り貴族になれたのか疑問を覚えていた。

 しかし、十歳を迎え始めて迷宮に連れて行かれ、そのとき目撃した父の姿に度肝を抜かれる。

 目視できないスピードで動き、圧倒的な攻撃力で魔物を制圧する姿を見せられたらそりゃあねぇ。

 家臣や使用人に見られる可能性があるのと、その頃にはもう超人バトル状態だったため庭での修業は行われなくなっており、また家では詠唱省略も使用していなかったため、父親の戦闘能力に子供たちは全く気付いていなかった。

 

 戦う姿を見せなかった父上が悪いのだよ。

 

 

 

セルマー伯爵レオナルト・ノルトシュヴァルツ・アンセルム ♂ 20歳

魔道士Lv18

 

 第五子でルティナとの子。爵位を継承したばかりの若きセルマー伯爵。

 

 父母と共に参加したハルツ公爵主催の晩餐会で、現在の妻である前セルマー伯爵の娘と出会い恋に落ちる。

 その後、母の出自及び互いの関係を知り苦悩するが、自らの想いを止めることができず、隠れて恋心を育んだ。

 まあ、親は全員知りつつスルーしていたわけだが。

 

 どうしても彼女と一緒になりたかったため、家族で一番頼りにしているカケルに相談したところ、そのままアユムに丸投げされてしまう。

 話を聞いたアユムはロミジュリみたいになっても困るなぁと考え、添い遂げることができるよう算段をつけることとなる。

 

 次期セルマー伯爵が誕生する日も近い。

 

 

 

グロリア・タガワ ♀ 13歳

鍛冶師Lv23

 

 第十二子でセリーとの子。子供たちの中で一番のファザコン。

 

 幼い頃から好奇心旺盛で、疑問に思ったことを周囲の人に尋ねていた。

 しかし、他の子供たちが納得した由来譚的な説明では一切納得しないため、母親たち、家臣、使用人はお手上げとなりアユムへ回すことに。

 問いかけられるたびに日本にいた頃の知識を絞り出して答えていると、何か疑問が湧いたときは直接父親のところへ来るようになる。

 たいていの疑問に答えてくれるうえに、わからないことは一緒に考えてくれる父様が大好きで、いつもべったりくっついて育つ。

 セリーでさえ納得するまでに時間がかかった、大地や海が球体であることや地動説を論理的判断で納得しているすごい娘。

 

 自分の将来を考えたときに父様の役に立ちたいと鍛冶師を目指し、内緒でセリーに師事することとなる。

 それを知らなかったアユムは鍛冶師になると辛い思いをするだろうと、そのうち別のジョブを目指すようアドバイスをするつもりだった。

 しかし、特別篇後に考えを改め、グロリアのサポートをすることになる。

 

 十三歳になっても、いまだに父様のお嫁さんになると口にするため、母親たちは気が気じゃない。

 

 ライバルはロクサーヌ母様。

 

 

 

ジェシカ・タガワ ♀ 9歳

獣戦士Lv11

 

 第十六子でロクサーヌとの子。才気あふれる末っ子ちゃん。

 

 母親から圧倒的な回避能力と鼻の良さを受け継いだ傑物。

 その能力を認められ、また本人が希望していたこともあり九歳にして迷宮デビューを果たす。

 そして、自ら望んでロクサーヌ道場で鍛錬に励む。

 彼女だけはロクサーヌのフッと動いたらハッと引くといったアドバイスを理解可能で、日々実力を伸ばしている。

 目標は母様に手加減をされないようになること。

 

 末っ子のため、弟妹が欲しくて何度もお願いするがそれが叶えられることはなかった。

 しかし、甥や姪が生まれ、遂に下の子ができたことに大喜びで、叔母様ではなく姉様と呼ばせてお姉さん風を吹かせ世話を焼きまくる。

 

 オーバークロッキングを使った父様にも挑んでみたいなぁ。

 

 

 

 

 

ジョブについて

 

 

 

 

・上位ジョブについて

 基本的にジョブは初級、中級、上級の三種類が存在する。ただし派生職のみ、派生初級と派生上級の二種類。

 中級ジョブ以上は、転職するために必要なレベルとパラメーターが設定されており、それを満たした上でなんらかの条件を達成する必要がある。

 そして、参照されるパラメーターの値は装備品やパーティー効果で加算された分を含まない(キャラクター再設定でポイントを振った分や複数ジョブの加算分は含まれる)。

 実は特別篇時点でもアユムはパラメーターによる足切りがあることには気づいていなかったり……。

 

・レベルアップ時の処理

 パラメーターの上昇があるが、上昇量や、どのパラメーターが上がるのかはジョブ、種族、個人の適性等により異なる。

 他にもパーティー効果の加算値の増加や、探索者等特定のジョブはアイテムボックスが拡張される。

 

・ドープ薬について

 ドープ薬を服用した際のレベルアップでは、パーティー効果の加算値上昇とアイテムボックスの拡張しか行われない。

 そのため、過剰に服用すると上位ジョブ取得の必要パラメーターを満たすことができない。

 レベル制限解除を持たない場合、上位ジョブの取得が不可能となってしまう。

 

 

 

開拓者

効果 体力大上昇 精神中上昇 器用小上昇 敏捷微上昇

スキル アイテムボックス操作(レベル依存) パーティー編成 ダンジョンウォーク フィールドウォーク

 

 探索者系の上級ジョブ。

 必要レベルは冒険者Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は移動魔法での総移動距離が三十八万四千四百キロメートル以上。

 

 開拓者については他の上級ジョブに比べると条件が緩く、キャラクター再設定を持たない者でも不可能とまではいえないため、少数ではあるが過去にも存在した。

 

 

 

救世主

効果 HP特大上昇 MP特大上昇 腕力特大上昇 体力特大上昇

   知力特大上昇 精神特大上昇 器用特大上昇 敏捷特大上昇

スキル オーバークロッキング アイテムボックス操作(50)

 

 英雄系の上級ジョブ。

 必要レベルは勇者Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は二十以上の迷宮を討伐すること。そして、そのうち八十九階層以上の迷宮の討伐を含むこと。

 

 現在までにこの条件をクリアしたのはアユムのみ。

 正真正銘のぶっ壊れジョブ。

 スキルのオーバークロッキングは体感速度の引き延ばしと攻撃力及び魔法攻撃力上昇、敏捷上昇に加え、効果時間がオーバードライブより長い。

 オーバークロッキングとはいっても特にデメリットはなし。

 

 最強ジョブが持つ最強スキルのはずなのに、最愛の妻にはまったく及ばないのが悲しいところ……。

 

 

 

魔導王

効果 知力大上昇 MP中上昇 精神小上昇 体力微上昇

スキル 上級火魔法 上級水魔法 上級風魔法

    上級土魔法 上級氷魔法 上級雷魔法

 

 魔法使い系の上級ジョブ。

 必要レベルは魔道士Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は魔物への魔法攻撃百万回以上。

 

 これは毎日百発以上魔法を撃っても二十七年以上かかる計算になる。

 そして、普通の人は一日に五十発魔法を撃つことも難しいので、現在の取得者はアユムとルティナのみ。

 

 パラメーターによる足切りがあることには気づかず、アユムが取得した際に条件を推測し、これ以降ルティナは消費MP半減と最大MP二倍の付いた装備品を身に着け、魔法を撃ち続けることになる。

 最初は高価な薬を使用することに躊躇していたが、詠唱をしなくてはいけないため喉のケアが必要になり、MP回復と併せて万金丹やエリクシールを常用していた。

 自力調達できるからこその荒業である。

 

 魔法の名称は火がブレイズ、水がハイドロ、風がトルネード、土がロック、氷がブリザード、雷がライトニング。

 

 既に魔導王を取得しているが、事あるごとに『魔導王に俺はなる!』とのたまう夫に妻たちは不思議そうな眼差しを向けるのであった。

 ミリアの手前、海賊王と言わないくらいの分別はあるらしい。

 

 

 

渡世人

効果 知力大上昇 器用中上昇 精神小上昇 腕力小上昇

スキル クリティカル発生大 状態異常耐性大ダウン

 

 博徒の上位ジョブ。

 必要レベルは博徒Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は魔物一万体以上をクリティカルで倒す。

 

 お控えなすって。

 手前生国と発しますは、地球に浮かぶ戸板が一つ、ユーラシアの地をトントントトンと東へ進み、海をも越えた端も端、ちんけな島国日本は美浜でございます。

 武陵桃源、安寧秩序、天下泰平のふるさとなれど、惚れた女を追い求め、親兄弟に別れも告げず、やって来たるは、迷宮、魔物、盗賊蔓延る因果な渡世。

 それの始末を稼業と定め、縁持ちまして、身の片親と発しますは帝国皇帝ガイウス・プリンセプス・アンインペラ。

 おあにいさん、おあねえさん方にご厄介をかけながら、帝国西部に領地をいただき、ミハマ家初代を興したものの、いまだ未熟の駆出し者。

 姓はタガワ、名はアユム。人呼んでチート野郎のアユムと発します。

 以後、面体お見知りおかれまして、向後万端引きたって、よろしくお頼み申します。

 

 

 

大僧正

効果 精神大上昇 MP中上昇 知力小上昇 体力微上昇

スキル 手当て 治療 施術 全体治療 状態異常解除

 

 僧侶系の上級ジョブ。

 必要レベルは沙門Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は回復スキルの発動一万回以上。

 全員にエリクシールを渡している上、ロクサーヌが宮司のジョブに就いているため、ぶっちゃけ要らないよなぁと思ってはいるものの、念じるだけで緊急時の立て直しが行えるので万が一を考え外すことが出来ない。

 

 賢者のスキル枠を潰すわけにもいかないしなぁ。

 

 

 

賢者

効果 空き 空き 空き

スキル 効果設定 スキル設定 空き 空き 空き

 

 遊び人の上位ジョブ。

 必要レベルは遊び人Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は一部のジョブを除き三十六のジョブを取得すること。

 設定効果は知力特大上昇(救世主)、知力大上昇(魔導王)、知力大上昇(勇者)。設定スキルは上級雷魔法(魔導王)、上級氷魔法(魔導王)、上級火魔法(魔導王)。

 

 おそらく、一部を除き五十四のジョブを取得することでさらに上のジョブが出現すると思われるが、生きているうちにお目にかかることはないだろうと諦めている。

 

 

 

遊び人

効果 空き

スキル 効果設定 スキル設定 空き

 

 言わずと知れたお馴染みのジョブ。

 上位互換の賢者を取得した後も性能の強力さから使用せずにはいられない。

 設定効果は知力特大上昇(救世主)。設定スキルは上級雷魔法(魔導王)。

 

 ボーナスポイント的にはファーストジョブにするべきだが、ジョブを付け替え忘れてインテリジェンスカードのチェックを受けてしまう危険性があるため、ファーストジョブにされることがない日陰者。

 

 

 

宮司

効果 MP大上昇 知力中上昇 精神小上昇 敏捷微上昇

スキル 全体手当て 全体治療 全体施術 治療 状態異常解除

 

 ロクサーヌが就いているジョブで神官・巫女系の上級ジョブ。

 必要レベルは禰宜Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は回復スキル発動回数一万回以上。

 ルティナと同じく消費MP半減、最大MP二倍の装備品を身に着け、家臣の冒険者と領内を回り、体調が悪い者をパーティーに入れて回復魔法を使用し続けた。

 

 魔導王に比べるとだいぶ条件が緩いため一年ちょっとで宮司のジョブを得るが、その後もやめるにやめられず怪我人や病人を癒し続ける。

 

 

 

名匠

効果 腕力特大上昇 体力大上昇 器用大上昇 HP中上昇

スキル アイテムボックス操作(50枠) 最上位武器製造 最上位防具製造 最上位スキル結晶融合

 

 セリーが就いているジョブで鍛冶師系の上級ジョブ。

 必要レベルは隻眼Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は装備品製造一万品以上及びスキル結晶融合成功千回以上。鑑定がなければ到底達成できない鬼のような条件である。

 

 鍛冶にまつわる神話や伝説で隻眼といえば天目一箇神の他にキュクロープスが有名なため、その師匠であるヘーパイストスにちなみ、内反足というジョブ名を考えたが、先天性な上、隻眼とは違いポジティブな意味がないため名匠に。それに、魔物でサイクロプスがいるし……。

 拙作ではオリハルコン等上位素材の装備品は隻眼でも製造可能だが、最上位素材の製造は名匠にならないと不可能という設定。

 

 セリーは今日も城の一室で、表に出せない家宝を作り続ける。

 

 

 

仕置人

効果 知力大上昇 精神中上昇 腕力小上昇 体力小上昇

スキル 状態異常確率大アップ 状態異常耐性大アップ クリティカル発生

 

 ミリアの就いているジョブで暗殺者の上位ジョブ。

 必要レベルは暗殺者Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は魔物を十万回以上状態異常にすること。

 パーティーにおける絶対的なエースで、渡世人とのコンボは凶悪そのもの。雑魚もボスもお構いなしで石にする。

 

 がんばれミリア……。お前がナンバーワンだ!!

 

 

 

竜王

効果 体力特大上昇 体力大上昇 体力中上昇 体力小上昇

スキル 二刀流 クリティカル発生 クリティカル無効 ダメージ半減 ブレス強化大

 

 ベスタの就いているジョブで竜騎士系の上級ジョブ。

 必要レベルは昇竜Lv50以上。必要パラメーターは……。

 取得条件は一人だけで倒した魔物の数が一万匹以上。

 圧倒的な防御性能で前線を支える、パーティーの盾役であるベスタにふさわしいジョブ。

 そして、セリー謹製の高威力武器二本から繰り出される手数二倍の物理攻撃に、スキルで強化されたブレスを吐くと、まさにやりたい放題。

 とにかく攻守隙のない種族固有ジョブ。

 

 運営さーん。やっぱり竜人族は贔屓されすぎだと思いまーす。

 

 

 

 

 

ミハマ侯爵アユム・タガワ・アース 男 45歳

開拓者Lv593 救世主Lv428 魔導王Lv588 渡世人Lv539 大僧正Lv514 賢者Lv472 遊び人Lv651

装備 身代わりのブレスレット

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

鑑定:1

ワープ:1

メテオクラッシュ:1

ガンマ線バースト:1

エクストリームドロップデッド:1

パーティー項目解除:1

パーティーライゼイション:1

パーティージョブ設定:3

パーティーレベル制限解除:3

パーティーダメージ限界解除:3

詠唱省略:3

クリティカル率三十パーセント上昇:63

セブンスジョブ:63

必要経験値二十分の一:63

獲得経験値二十倍:63

結晶化促進六十四倍:63

武器六:63

腕装備:63

頭装備:63

アクセサリー:63

知力上昇:99

腕力上昇:5

 

所持金:632,314,914,106ナール

 

28年目 春の1日目

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