「すまない、まったくの別件で確認したいことがあるのだが、いいだろうか?」
その言葉に、アランは再びソファーへ腰を下ろした。
「はい。なんなりとお尋ねください」
「鍛冶師の奴隷を買うことは出来るか? 前衛を探しているのだが、鍛冶師だとピッタリだと思ってな」
俺の言葉を聞いてロクサーヌの体がピクリと動き、息を飲むような音が聞こえてくる。
しまった! いきなりのことでロクサーヌを動揺させてしまったかもしれない。
あらかじめ説明しておく時間がなかったとはいえ、彼女を蔑ろにしたと思われると困る。
後で謝ってちゃんと話し合わなければ。
彼女には誠心誠意説明するとして、今は話に集中しよう。
「鍛冶師でございますか……」
アランは難しい顔をしながらそう呟いた。
「絶対に無理とは申しませんが難しいことは確かです。スキル結晶の融合は失敗が多く、それが続くと主人と奴隷の関係が悪化していき、待遇がどんどん悪くなっていきます。ドワーフたちもそれをわかっているため、鍛冶師のまま奴隷になろうとはしません。そのため、数が少なくどうしても高価になってしまいます」
まあ、これはあくまでも前振り。実際に手ごろな値段の鍛冶師がいたところで買うわけにはいかない。
さあ、次が本当の確認だ。
「では、鍛冶師じゃなくてもドワーフの取り扱いは?」
「確かにドワーフは力や頑丈さに優れた種族であり前衛にふさわしいでしょう。しかし、当家では現在ドワーフは一人しかおらず、彼女は性格的に荒事には向いておりません。それに数日前に来たばかりで教育も行き届いておらず、ブラヒム語も満足に話すことが出来ません」
原作でセリーについて説明していた時と同じような言葉だ!
これは間違いなく彼女のことを言っているのだろう。
しかし、まだブラヒム語が喋れないのか……。
ということは、セリーは三十日にも満たない期間で完璧にしゃべれるようになったということだよな?
とんでもねぇな。
いや、それを言うならロクサーヌもか。
冬に払うはずの税金が用意できずに奴隷落ちしたってことは、ここに居たのは最長でも九十日ほど。おそらくそれより大分短いだろう。
それなのに、ブラヒム語を完璧に喋れるようになっており、読み書きも問題なくこなしている。
奴隷商館には言語学習について、なんらかのノウハウがあったりするのだろうか?
原作のエピソードによると、すべての言語は同じ文字を用いているということだった。
もしかしたらこの世界の言語はブラヒム語から派生しており、とても似ているのかもしれない。
それに、セリーは自分の探索者レベルを把握していた。
普通の人はボーナススキルである鑑定を持たないため、一般的には探索者しかレベルが存在しないと思われている。
そして、その確認方法はアイテムボックスを開いてスタック数を調べる事だ。
つまり、セリーはアイテムボックスを開くためにブラヒム語の呪文詠唱を行っていたということになる。
ロクサーヌはブラヒム語が完璧じゃないと詠唱は成功しないと言っていたが、頭に思い浮かぶ詠唱を正しく発音すれば発動するのだろうか?
まあ、それは一旦置いといて、スキルを使うためにはブラヒム語の詠唱が必須である以上、この世界では日本における英語以上に身近な言葉として、普段から接する機会があるのだろう。
だとすれば、短期間で習得出来てもおかしくはない。
文字についても、ブラヒム語と各言語で文字の発音が同じだとすれば、習得は比較的楽なのかもしれない。
ミリアも商館の短期集中合宿講座を受ければブラヒム語がペラペラになりそうだよな。
購入後にアランに掛け合ってみよう。
だが、もし本当にその通りなら困ったことになるぞ……。
他の者とは違い俺は日本語で思考し、口から出る言葉がブラヒム語に自動翻訳されている。また、相手がブラヒム語をしゃべっていた場合は、同じように日本語へ自動翻訳されて聞こえている。
そのため、ブラヒム語話者とは何の不自由もなくコミュニケーションが取れるが、どれだけブラヒム語に似ていても別の言語をしゃべっていた場合、自動翻訳がされずまったく意思疎通が図れないという事態に陥ってしまうかもしれない。
通常なら方言程度の違いしかない会話が成り立ちそうな相手であっても、俺だけは何を言っているのかさっぱりわからないということになる。これはかなり不自然だ。
しかも、自動翻訳をされてしまうため文字に対応する音を覚えても、なかなか単語を覚えることが出来ないだろう。
ん? あ、逆に文字を覚えて書かれている内容を自分で読み上げれば、日本語として理解できるのだろうか?
日々の生活に追われ文字の習得を疎かにしているが、パーティーメンバーが増えて手が空くようになったら、本格的に勉強を始めてみよう。
考え込んでいると、鍛冶師に執着していると勘違いしたのかアランが告げる。
「どうしても、鍛冶師をお求めになりたいのでしたら、懇意にしている帝都の奴隷商に紹介状を書くことも可能です。それを持って訪ねてはいかがでしょうか」
予想外の棚ぼたに思わず顔を上げ、アランを凝視して問いかけた。
「よいのか?」
「問題ありません。この商売は横のつながりが重要で、融通し合うこともままございます。紹介させていただく店も間違いのない商いを行っておりますので、ご満足いただけることでしょう」
イェス! イェス! ナイスアラン! グッジョブアラン!
信じてたぜ!
内心の興奮を隠しながら答える。
「では、よろしく頼む」
よし! ミリアへの道筋がついたぞ!
「その前に、一応こちらにいるドワーフをご覧いただきたく存じます」
あたりきしゃりきのこんこんちきよ!
当然見るに決まっている。それを見ずに帰れるかってんだ!
「うむ。鍛冶師じゃなくてもドワーフなら前衛を張ってもらえそうだからな。是非確認しておきたい」
「ありがとうございます。ですが、本日は準備ができておりません。また、明日の午前中はゴタゴタするでしょうから、午後以降にお越しください」
えー。おあずけー?
今じゃないのー?
でもまあ、しょうがないか。
これから、盗賊の襲撃に備えないといけないし、明日は戦闘後の片づけをしたり、インテリジェンスカードを騎士団に持ち込んだり色々あるだろうからな。
その後、裏口を案内され外へ出る。
「アユム様、本日は大変お世話になりました。明け方前のお越しをおまちしております」
アランは感謝の言葉を述べると、イカしたポーズで頭を下げた。
相変わらずキマってんなぁ。
渋いイケおじだからこそ似合うポーズだ。
四十五のときの俺がやっても失笑もんだろう。
「では、失礼する」
アランに一声かけて商館を後にする。
商館から離れて路地裏に入り、アランが見えなくなってからロクサーヌの方を窺うと、沈んだ表情を浮かべていた。
これは絶対に盗賊襲撃を心配してのものじゃないよなぁ……。
セリーについて思いついたのは、盗賊の見張りを発見した後、アランに会う段になってからだ。
説明する暇なんてまったくなかったが、ロクサーヌにはそんな事情が分かるはずもない。自分が蔑ろにされたと感じてしまったのだろう。
「ロクサーヌ。先ほど商館で尋ねた新しい奴隷の件だが、思いもよらない出来事が起こったせいでいきなりアラン殿と会うことになり、その場で急に思いついたことなのだ」
弱々しくこちらを向いた彼女としっかり目を合わせ、一つ頷いてから続きを口にする。
「そのためロクサーヌに説明する暇がなかっただけで、決して君を軽んじたのではない。詳しい話は家でゆっくりするが、俺の一番大切な人はロクサーヌだ。それだけは覚えておいてくれ」
「ご主人様……」
いつもの優しく柔らかで明るい笑みには戻らなかったものの、それでも幾分か不安が解消されたようだった。
「それでは、クーラタルに戻ろう」
「はい」
いつものように、パンと食材を買い自宅へ戻ろうとしたところでロクサーヌは袖を引いて、俺の耳に顔を寄せると小声で囁く。
「ご主人様、盗賊のアジトを探すためには暗い中を移動しなければいけません。カンテラが必要になると思います」
あ、確かにそうだわ。
盗賊のアジトを襲撃するつもりなら必要になるな。
「全然思い至らなかった。ありがとう、ロクサーヌ。本当に気が利くな」
「お褒めいただきありがとうございます」
感謝を告げると、彼女は微笑みながら答える。
いつものような一点の曇りもない、輝くような笑顔というわけではないが、それなりに気分が持ち直しているのだろうか?
「では、雑貨屋へ寄っていこう」
「はい」
カンテラと油を購入して自宅へ戻り、食材をキッチン収納へしまい込むと、リビングでロクサーヌと話をすることにした。
食休みやくつろぐときの様に同じソファーに座るのではなく、ローテーブルを挟んで向かい合い、顔を合わせた状態で話し始める。
「さて、まずは急にアラン殿へ新しい奴隷の確認をした件について話し合いたい」
「はい……」
話し始めると彼女の表情は再び沈んだものに変わった。
こんな表情をさせておくわけにはいかない。きちんと説明しなければ。
「盗賊を発見して商館を訪れ部屋で待っているときに、ふと思ったんだ。『異世界迷宮でハーレムを』で盗賊が見張っていたのは春の十二日目、しかし俺たちが発見した今日は十一日目だ」
「はい」
「もしかしたら、こんな風に物語とは違うことが起こり、セリーが別のところに売却されてしまうかもしれない。その可能性があるのなら、なるべく早く買っておかないと取り返しがつかないことになってしまうと思ったんだ」
ロクサーヌは不安そうに揺れる眼差しでじっと俺を見つめながら説明を聞いている。
不安が解消されるように願いながら、しっかりと目を合わせて頷き続きを口にする。
「そして、その直後にアラン殿が部屋に入ってきたためにロクサーヌに相談することが出来なかった。それに誰に聞かれているかわからない場所で、予言めいた話をするわけにはいかないからね」
「そうだったのですか」
彼女はそう呟くと少しだけ表情を緩める。
「もちろん、ロクサーヌを蔑ろにするつもりなんて一切なかったけど、それでも君を傷つけてしまったことは確かだ。本当に申し訳なかった」
その言葉とともに深く頭を下げると、狼狽したような声が聞こえてくる。
「いいえ! ご主人様は何も悪くありません! 私が勝手にご主人様の考えを誤解して思い悩んだのがいけないのです。どうか頭を上げてください!」
頭を下げたまま言葉を続ける。
「ロクサーヌ、すまない。俺はいつも考えが足りない。アラン殿に尋ねるにしても、あのタイミングである必要はなかった。一度家に帰って君に相談した上で日を改めて商館に行けばよかったんだ」
「そんなことはありません。一刻も早くセリーを手に入れなければならないとお考えだったのですよね? ご主人様は何も間違ってはいません。それに思い至らなかった私が悪いのです。お願いですから頭を上げてください!」
悲鳴のように叫んだロクサーヌの声を聞いて頭を上げる。
目が合うと彼女はほっとしたような表情を浮かべた。
「ロクサーヌ。今後もこのように考えなしに動いて君を傷つけてしまうことがあるかもしれない。そういうときは不満を溜め込まず、どうかそれを口にして俺にぶつけてほしい」
「えっ! そのようなことは出来ません!」
お願いした途端、即座に拒否される。
「いや、そうしてもらわないと、気づくことが出来ないほどの鈍い男なんだ。この世界の何よりも大切で身を焦がすほどに恋焦がれている君が、知らないうちに俺のせいで悲しい思いをするなんて絶対に嫌だ」
「ご主人様……」
「ロクサーヌ。お願いだ」
再度告げると、目を閉じて考え込む。
程なくして目を開き、こちらを見つめながら答えた。
「はい。すぐにできるかはわかりませんが、なるべくそのようにいたします」
これからもなるべくコミュニケーションを取って、お互いに不満を溜め込まないように過ごしていこう。
「ロクサーヌ、今日は本当にごめんね」
「いいえ、私の方こそご主人様の考えに思い至らず申し訳ありませんでした」
その後しばらく、俺が、私が、と謝り続けていたが、その間抜けなやり取りにどちらからともなく笑ってしまった。
「それじゃあ、これからはお互いに気を付けようか」
「はい、そうですね」
返事をしたロクサーヌの顔には、いつもの輝くような笑みが浮かんでいる。
よかった。やはり、彼女には笑顔で過ごしてもらいたい。そのための努力を惜しむことなく続けていこう。
最初の話し合いが終わると、ロクサーヌは不満げな表情を浮かべながら口を開く。
「早ければ明日にでもセリーが来るのですね……。春の三十二日目までは私だけのご主人様だったのに……」
おいおい。一度しか聞いていないはずなのに、セリーを購入する日付が春の三十三日目だったことを覚えているぞ。
それだけ、俺と二人きりの生活を望んでくれているということなんだよな。
本当にもう。この娘さんはかわいすぎる。
「そのことなんだけど、先ほどのアラン殿の話によるとセリーはまだブラヒム語を上手くしゃべることが出来ないとのことだった。だけど、パーティー加入後、彼女には調べ物をしてもらったり、値段交渉をしてもらう必要がある」
「はい。そうでしたね」
「なので、購入した後にすぐに引き取るのではなく、しばらく商館でブラヒム語の教育を受けてもらいたいと考えているんだ。ロクサーヌ、商館ではそういったこともやってもらえるのかな?」
問いかけを聞いた彼女の顔は、見る見るうちに大輪の花が咲き誇るような笑みが浮かび、弾むような声で答えた。
「さすがご主人様! それはとても素晴らしいお考えだと思います!」
「そ、そう?」
「はい! 本当に素晴らしいお考えです」
ロクサーヌさんや。いくらなんでも露骨すぎやしませんかねぇ。
いや、二人だけの時間が続くことを喜んでくれているのは、本当に嬉しいんだけどさ。
実際のところ俺も、もうしばらく二人きりのイチャラブ同棲生活を楽しみたいし。
「それじゃあ、大丈夫なのかな」
「幾許かお支払いする必要はあると思いますが、問題なく受け入れてもらえることでしょう」
となると、あとは金額の問題か。
「いくらぐらいになるんだろう?」
「そうですね……。正確なところはわかりませんが、何万ナールも掛かるということはないと思います」
うっし。問題なさそうだな。
これでたとえ明日購入したとしても、セリーのブラヒム語については問題はなくなる。
危うく、セリーとミリアの二人と意思疎通が図れないという、かなり厳しい状況に陥るところだった。
しかも、ミリアについてはロクサーヌに通訳してもらえるが、セリーは通訳なしというヤバさだ。本当によかったわ。
「別の商館で購入することになるミリアについても、教育を施してもらうことは可能かな?」
「おそらく問題ないのではないでしょうか」
オッケー! いいよいいよ。
原作だと購入から百日近く経ってもミリアのブラヒム語は片言のままだったからな。
暗殺者という重要なジョブに就くことになるのだ、早い段階でブラヒム語を習得してもらい、彼女とコミュニケーションがとれるようになるのは、とても有意義なことだろう。
しかし、こうなってくると、俺の中のもったいないお化けが顔を出してくる。
経験値を無駄にしないため、商館で学ぶ前にセリーは鍛冶師、ミリアは戦士にジョブを変えてパーティーに入れておきたい。
だが、これを実行するとかなりのリスクを抱え込むことになる。
他人様から預かっている奴隷のインテリジェンスカードをチェックすることがあるとは思えないが、それでも万が一がないとは言い切れない。
それに、言葉が通じないセリーやミリアに口止めすることも難しいだろう。
もしインテリジェンスカードをチェックされてしまえば、セリーなら何故いきなり鍛冶師にジョブ変更をすることが出来たんだと疑念を抱かれてしまうはずだ。
それに、探索者のままパーティーに入れたとしても、アイテムボックスの拡張でガンガンレベルが上がっていることを悟られ、俺たちの取得経験値の異常さを知られてしまう。
そして、ミリアの場合はもっとヤバいことになるはず。
彼女の就いている海女はギルドとの契約で十年間ジョブ変更ができず、変更してしまうと自動的に海賊に落ちてしまう。それを変えてしまうのだ。おそらく、この世界の常識を覆すとんでもない異常事態だろう。
アランと帝都の奴隷商は懇意にしているとのことだったので、もしかしたらミリアの事情を聞いている可能性がある。絶対にそんなリスクを負うわけにはいかない。
……もったいないが、正式加入までパーティーに入れるのはやめておいた方が無難だろうな。
すぐに稼げる程度の経験値惜しさに、危ない橋を渡るような真似は出来ない。
……あー、それにしてももったいないなぁ。
一番の懸念だった新しい奴隷の件は片付いたので、次は盗賊の襲撃について打ち合わせを行おう。
「明日はいつもより早く準備をしてアラン殿の商館を尋ねなければいけない」
「そうですね。普段もまだ薄暗いうちから迷宮に入っていますが、明日はそれよりだいぶ早く活動を開始しなければいけないと思います」
だな。いつもは薄暗いくらいだが明日は真っ暗な中、町中を移動しなければならないはずだ。
万が一にも、盗賊に後れを取るわけにはいかない。体調を万全にしておく必要があるだろう。
苦渋の決断になってしまうが、仕方がないか……。
「ロクサーヌ。今日は修行をするのはやめておこう。それに、情を交わすのも控えた方がいいと思う」
「えっ! そんな……。昨日もお情けをいただくことが出来なかったのに、今日もなんて……」
その言葉を聞いたロクサーヌは、悲しそうな表情を浮かべ不満を口にした。
俺自身二日連続でのお預けは正直本当にきついが、彼女の方も同じように思ってくれていることが嬉しくてたまらない。
こんなにも俺を求めてくれるなんて幸せなことだよなぁ。
「そのかわり、明日の午後は休みにするのはどうかな?」
「お休みですか?」
「うん。商館で盗賊を撃退した後は、逆にアジトを襲撃する。それが終われば、午前中はいつものように迷宮探索をして、お昼になったらベイル亭で食事をしよう」
「はい」
ロクサーヌは頷き相槌を打つ。
「その後はセリーの購入を行う。そして、明日はベイルの市が立つ日だから、そのまま買い物だね。もちろん今回も給金を渡すから、ロクサーヌの行きたいお店にもいくよ」
「ご主人様、ありがとうございます!」
彼女の顔に輝くような笑みが浮かんだ。
ロクサーヌは買い物好きだからな。きっと楽しんでもらえるだろう。
「それが終わったら自宅に戻り、修行と食事、それから風呂を手早く済ませて、その後はたくさん愛し合おう」
「はい。ご主人様、いっぱいかわいがってくださいね」
返事をすると彼女は挑発するように淫靡な笑みを浮かべた。
ロクサーヌさん、それは俺にクリティカルなんだぞ。
我慢できずに今から致したくなるので誘惑するのはよしなさい。
商館での出来事と明日の予定を説明したところで、この後について話をする。
「それじゃあ、装備品の手入れを終えたら俺は風呂を沸かすから、ロクサーヌは食事の方をお願いできる?」
「おまかせください」
本当ならパーンからドロップしたヤギの肉を試したかったところだが、今日はそれどころじゃない。それにさっき肉屋で牛肉を買っているからな。
ヤギの肉は後日にしよう。
話し合いが終わったところで、装備品の手入れを始める。
今日の主役は誰が何と言おうとロッドだ。
これまでの活躍に報いるため、労ってやらないとな。
心を込めて磨き上げ、グリップ部分や上部と下部にある、溝のようになっている部分にも汚れを残さないよう、丹念に拭っていく。
……短い間でしたが!!! くそお世話になりました!!!
食事と風呂を済ませてから、寝室へ移動し蝋燭を消してからベッドで抱きしめ合う。
しかし、ロクサーヌの体を抱きしめると、昨日致していないため体の一部がホットホットだ。
悟られるわけにはいかないので、それが当たらないように腰を後ろにそらしておく。
だが、俺の不自然な体勢に気がついたのだろう。
ロクサーヌのしなやかで柔らかな手が、ガチガチになっているそこにそっと触れる。
「ご主人様、とてもお辛そうです。お慰めいたしましょうか?」
くっ。途轍もなく甘美な誘惑だ。
何もかも忘れてお願いしたくなってしまう。
……別に我慢しなくてもいいんじゃないか?
前回盗賊を襲撃する前には、彼女に慰めてもらっているのだ。
今回、我慢する必要なんてどこにもない。
ここは欲望に身を任せても許される場面だろう。
いやいや、いかんいかん! 性欲に流されるな! 万全の態勢で事に挑め!
俺は童貞を四十五年も守り通した男、たった二日我慢することなど造作もない!
それに、明日はロクサーヌと共に我慢に我慢を重ねたものを解放して、愛欲の宴を繰り広げるのだ。
先走ることはまかりならん。
葛藤の末、彼女に告げた。
「……ありがとう、ロクサーヌ。でも、明日のお楽しみのために今日は我慢をするから大丈夫だよ」
「ふふ。そうなのですか? では、私も明日を楽しみにしています」
楽しそうな声で言葉を返すロクサーヌに伝えておかなければ。
「自分を抑えられないかもしれないから覚悟をしていてね」
それを聞くと、ぎゅっと抱きつき自分の大切な部分とギンギンにいきり立った俺のものを合わせ、こちらの頬をぺろっと舐めて反撃の言葉を口にする。
「ご主人様も覚悟してくださいね。限界まで搾り取って差し上げます」
もう。なんてこと言うのこの娘は!
今からおっぱじめたくなるじゃないか!
そんなに誘惑されたら色魔でもないのに禁欲攻撃をブッパ出来ちまうぞ!
柔らかく暖かなロクサーヌの体を強く抱きしめ、イチモツを押し付けながら激しく口づけを交わしていく。
田川 歩 男 18歳
探索者Lv26 英雄Lv22 魔法使いLv25 戦士Lv24
BP振分 残BP:16
キャラクター再設定:1
フォースジョブ:7
必要経験値十分の一:31
結晶化促進二倍:1
詠唱省略:3
鑑定:1
ワープ:1
MP回復速度二十倍:63
所持金:220,541ナール
春の11日目