異世界迷宮へ行ったなら   作:三星織苑

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096 陳謝

 

 

 

 

 

クーラタル郊外

アユムの家

 

 

 

 

 

 買い物を終え自宅へ戻り、サンダルへ履き替える俺たちを見て、セリーも同じようにしてくれた。

 

 キッチンへ移動したところで、彼女へ声を掛ける。

 

「セリー、我が家では外から帰ったら、石鹸を使って手を洗い、うがいをすることになっているんだ。あと、料理をする前もだね。それと、トイレにも石鹸が置いてあるから、用を足した後もちゃんと洗うようにしてね」

「石鹸を使うのですか! とても贅沢な気がするのですが……」

 

 何を言う。これは絶対に必要なことなんだぞ。

 不潔な環境だと病気になるかもしれないし、なにより俺のやる気スイッチがオフになってしまう。

 

「ふふ。ご主人様はとてもきれい好きですから。セリーも遠慮することなく石鹸を使って清潔にしてくださいね」

 

 さすがロクサーヌさん。よくわかってらっしゃる。

 

「よろしいのですか?」

 

 その言葉を聞いて、セリーは上目遣いで問いかけてきた。

 

 以前にも思ったが、彼女のこれ、めちゃくちゃかわいいよなぁ。

 背が低いのもあって、いじらしさにキュンキュンするぞ。

 

「大丈夫だよ。健康に過ごすためには、清潔にしておくのが一番だからね」

「ありがとうございます」

 

 問いかけに答えると、はにかんだような笑みを浮かべて、感謝の言葉を口にした。

 

 本当にかわいいわぁ。

 

 

 

 手洗いを終えると、朝食の支度にとりかかる。

 

 遂にフープロの撹拌羽モードが初陣を迎える。

 今後もきっと役に立ってくれるだろう。

 近いうちにマヨネーズも作らないといけないな。ピクルスとゆで卵を入れてタルタルソースも作っておくか。

 きっとミリアが加入したときに大喜びしてくれるぞ。

 

 

 

 卵を割り、白身をフープロに、黄身をボウルに移していく。

 白身の方に削ったコボルトスクロースを足し、蓋を閉めたらハンドルをグルグル回す。

 

「ご主人様! それは何ですか!」

 

 ギアの噛み合うガリガリとした音が気になったのだろう、好奇心で目をキラキラ輝かせながら、セリーが問いかけてきた。

 

「これは物を混ぜたり、みじん切りにしたりする器具だよ」

「そんな器具があるのですか。初めて知りました」

 

 彼女は感心したように頷きながら、フープロを凝視している。

 

「初めて知ったのも当然です。セリー、その器具はご主人様の知識から作られた物なのです」

 

 ロクサーヌ! 言い方! それは語弊があるから!

 

「本当ですか! こんなものを思いつくなんてすごいです!」

「いやいや、思いついたわけではなく、知っていたものを注文しただけだから、別にすごくないよ」

「そうなのですか?」

「そうなんです」

「それでも、そんな知識を持っていることがすごいと思います」

 

 俺の手柄じゃないことを褒められてもなぁ。

 いたたまれないから話題を変えてしまおう。

 

「セリーも試してみる?」

「いいのですか!」

 

 彼女は目を輝かせて声を上げる。

 

 おー、喜んでる、喜んでる。

 

「もちろん。はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

 

 場所を変わると、セリーは少し緊張した様子でハンドルを握った。

 

 その様子を見守るロクサーヌの顔には、微笑ましいものを見るような笑みが浮かんでいる。

 いやいや、金物屋で最初に試したときには、君もあんな感じだったからね。

 

「いきます」

 

 そう言うと、セリーはゆっくりと慎重にハンドルを回していく。

 

「セリー、もうちょっと速く回しても大丈夫だよ」

「はい。このくらいでしょうか?」

 

 アドバイスをすると、回転速度が速くなる。

 

「そう。そのくらい」

 

 ……ロクサーヌが試した時とは全然違うな。このあたりは性格の差なんだろうか?

 

 

 

 さて、彼女がメレンゲを作っているうちに、別の作業をしておくか。

 

「じゃあ、俺は続きをするから、セリーはその作業をお願いね」

「かしこまりました」

 

 セリーにメレンゲをまかせ、俺たちはそれぞれの作業に戻る。

 

 

 

 黄身の入ったボウルに、ふるいにかけたコボルトフラワーと、牛乳にシェルパウダー、そしてバニラエッセンスを入れて混ぜ合わせる。

 

 そして、セリーが作ってくれたメレンゲとさっくり混ぜ、フライパンで次々に焼いていく。

 

「甘くて、とても良い匂いがします……」

 

 呟く声が聞こえたのでそちらを向くと、知らず知らずに漏れたのだろう。

 恥ずかしそうにしているセリーが目に入った。

 

「美味しいと思うから期待しててね」

「ロクサーヌさんの言っていた通り、本当にご主人様と同じ食事がいただけるのですね」

 

 ああ、そう言えばロクサーヌがいろいろ吹き込んでいたんだったな。

 

「うん。嫌いなものや苦手なものがない限り、食事は俺と同じものを食べてもらう。最初は戸惑うかもしれないけど、すぐに慣れるよ」

「そうです。私も最初は戸惑いましたが、この待遇に慣れてしまった今では、他のところではやっていける気がしません。セリーもすぐに慣れるでしょう」

 

 俺の言葉を聞いて、ロクサーヌもセリーに語り掛ける。

 大丈夫。君が他のところへ行くことは絶対にないから。

 

「はい。ありがとうございます」

 

 まあ、徐々に慣れていけばいいさ。

 

 

 

 出来上がった朝食をダイニングに運び、昨日の残りのスープを取り分けたところで食事の挨拶を行う。

 

 一かけらのバターをホットケーキに塗り広げ、一口サイズに切って口へ運んだ。

 うん。美味い。この世界の食材は本当にすごいなぁ。

 

「やはり、ご主人様のホットケーキは本当にすごいです。バニラエッセンスが加わったことで、更に美味しさが増していますね」

 

 咀嚼していた物を飲み込むと、ロクサーヌはニコニコ笑いながらそう言った。

 美味しそうに食べてくれるのが本当に幸せだわ。

 

 

 

 俺たちが食べているのを見て、セリーも恐る恐る手を動かし始めた。

 バターが染みたホットケーキを口へ運び、咀嚼をすると大きく目を見開く。

 

「なんですかこれは! こんなに美味しいものを食べたのは生まれて初めてです!」

 

 そんな女将を呼べ、みたいなテンションで言われても……。

 

 それから、セリーは憑りつかれたかのように、夢中で食べだした。

 まあ、気に入ってくれたようでなによりだ。

 

 

 

 食事を終えると、食器を持ってキッチンへ移動する。

 

 棚に置かれている、コップと歯ブラシ、それから歯磨き粉を取る。

 夕食以外はバスルームへ移動するのが面倒で、いつの間にかキッチンで磨くようになったんだよなぁ。

 

「セリー、うちでは食後に必ず歯磨きをすることになっているんだ。君はこの歯ブラシを使ってね」

 

 そう言っておろしたての歯ブラシを手渡す。

 

「あの、とても高級なもののように見えるのですが……。私は買っていただいたシュクレの枝があるので大丈夫です」

 

 遠慮をしているセリーへ、ロクサーヌが話しかけた。

 

「大丈夫ですよ。ご主人様は私たちが清潔にしていることを好まれます。セリーもこの歯ブラシを使ってちゃんと口の中をきれいにしておきましょう」

「そうなのですか? わかりました。清潔を心掛けるようにします」

 

 彼女は折に触れて、セリーが気に病まないようにフォローを入れてくれる。

 思うところがあるだろうに、本当にやさしい娘だ。

 今後も絶対にロクサーヌのことを大切にしていかないと。

 

 

 

 三人で歯磨きを終えた後は、ミントフレーバーの歯磨き粉を取り出す。

 こいつで歯を磨くのは三日に一度の夜だけだからな。

 今回はうがい薬として使用する。

 

 中に入っている木匙で粉を掬い、それぞれの口に放り込んでグジュグジュうがいを行う。

 それが終わったら、フリーザーバッグを閉じて元の場所に戻しておいた。

 

「一度破れたのに、また閉じてしまいました! その透明な袋は一体何なのですか!」

 

 あ、いつものルーティーンになっているため、全然気にしてなかったけど、このフリーザーバッグもかなりのオーパーツじゃん。

 

「そのあたりについてもこの後説明するから、少しだけ待っててね」

「申し訳ありません。つい……」

「知らないことが気になるのは当然のことなんだから、全然謝る必要はないよ」

「はい。ありがとうございます」

 

 さて、それじゃあとっとと洗い物を済ませて、セリーの疑問に答えるとするか。

 

 

 

 洗い物を終えると部屋へ戻り、日本から持ってきたものをリュックに入れて、ロクサーヌとセリーが待つリビングへ移動する。

 

 部屋へ入ると、二人は立ったままで話をしていた。別に座っててもいいんだけどなぁ。

 リュックをローテーブルに置いてソファーへ腰を下ろすと、右側にロクサーヌが、そして左側にセリーが座ってくる。

 座る位置にも何かしらの意味があるのかね?

 

 まあ、いいか。それじゃあ、秘密を話していくとしよう。

 

 

 

「んー。何から話したもんかなぁ」

 

 思わず口から漏れた言葉に、ロクサーヌが答える。

 

「一番初めに私へしてくださった、ジョブとボーナスポイントからはいかがでしょう」

 

 ああ、その方が話を理解しやすいかもしれない。

 

「ありがとう、ロクサーヌ。それじゃあ、それについて話していくことにしよう」

 

 

 

 すべてのジョブにレベルがあること、レベルが上がるとボーナスポイントを得ること、通常ボーナスポイントはジョブの固定をしなければ振り分けられることはないが、俺はキャラクター再設定により、自由に振り分けを行えることを伝える。

 

 話を聞いているセリーの顔は、知的好奇心を刺激されているようなワクワクとした表情、自分の中の常識を揺さぶられている驚きの表情、世界の深淵を覗いているような恐れにも似た表情。それらが目まぐるしく入れ替わり続けていた。

 

 

 

「というわけで、たとえばパーティージョブ設定というスキルを使えば、自分やパーティーメンバーのジョブを、所持しているものの中から自由に変更することが出来る」

「私がいきなり鍛冶師になっていたのは、そういうことだったのですね。自分が体験していなければとても信じられないような話です」

 

 この世界の常識では考えられない現象だもんな。そう思うのも無理はない。

 

「他にも、固定で出現するような貴重な装備品を自由に出すことが出来たり、他の人には使えないボーナス魔法やボーナススキルを使うことが出来るというわけなんだ」

「なるほど。貴重なスキルの付いた装備品を複数所有していたり、探索者では使えないはずのスキルを使用したり、詠唱を唱えることなくスキルを使用していたのは、そういう理由だったのですね」

 

 彼女は合点がいったとばかりに頷ている。

 

「そして、直接セリーに関わることなんだけど、このボーナススキルの中に鑑定というものがある」

「鑑定……。武器鑑定や防具鑑定のようなものですか?」

 

 俺の言葉を聞いて不思議そうに問いかけた。

 

「それらよりもっと強力なもので、人や動物やアイテム。それから武器と防具も鑑定することが可能なんだ」

「それは便利そうですね」

 

 鑑定結果が武器鑑定や防具鑑定と同じだと思っているのだろう。セリーの言葉はあっさりしたものだ。

 まあ、それだけ聞くとそんな感想になるか。

 

「そして、装備品を鑑定した場合、スキルスロットの数を確認することもできる」

「スキルスロットって、あのスキルスロットですか!」

 

 その言葉を聞いた途端、興奮したようにセリーが声を上げる。

 

「そう。現在ないと否定されているスキルスロットだ。鑑定を行えば俺にはその存在がはっきりと認識できる」

「そのようなことが……」

 

 最初にスキルスロット仮説を唱えた人は、もしかしたらジョブの固定で鑑定を得ていたのではないだろうか?

 何の根拠もないが可能性はありそうだよな。

 

 また一つ常識が崩れてしまったのだろう。彼女はわなわなと震えていた。

 

「というわけで、今後セリーはスキル結晶の融合に失敗することはない。もし失敗したのなら、装備品を渡し間違えた俺のミスだ」

「とんでもない話です……」

 

 ショックから立ち直れていないセリーにロクサーヌが声を掛ける。

 

「心配する必要はないですよ。セリーはご主人様を信頼して、託された装備品の融合を行えばいいだけです。何の問題もありません」

 

 うーん……。雇われや奴隷の鍛冶師は、主人の言うままに融合を行っているのだろうが、その言葉はどうなんだろう?

 

 ロクサーヌの言葉で彼女は表情を引き締め、俺に告げる。

 

「ご主人様のお役に立てるよう頑張りますので、よろしくお願いします」

 

 それを聞いたロクサーヌは、選手にアドバイスを行ったコーチのように頷いている。

 いや、まあ、いいけどさ。

 

 

 

「俺の持つ特殊な力について説明したところで、今度は俺自身のことについて説明していきたいと思う」

「はい。お願いします」

 

 

 

 日本から持ち込んだ品を見てもらいながら元の世界のこと、その世界でどのように育ち、どんな仕事をして生きてきたのかを説明する。

 『異世界迷宮でハーレムを』に出会い夢中になったこと、そしてある日あのサイトに出会い、ロクサーヌに会いたくてこの世界へと飛び込んだことを話した。

 

 

 

「ロクサーヌさんに会いたくてこの世界へ……」

 

 セリーは呆然としてそう呟いた。

 彼女の顔には傷ついたような表情が浮かんでいる。

 

 気のせいかもしれないが、なんだかセリーからの好感度が高い気がする……。

 今日迎え入れたばかりで、まだ数えるほどしか会っていないのに、どうしてなんだ?

 

 

 その様子を見たロクサーヌが立ち上がり、セリーの前まで移動する。

 そして、しゃがみこむと、彼女の手を取って目を合わせた。

 

「セリー、大丈夫ですよ。ご主人様はあなたのこともちゃんと想ってくださっています。私のことが好きだと言いながら、あなたたちのことも好きで見捨てることが出来なかったのです」

 

 あの、胸が痛いです……。

 不誠実な男で本当に申し訳ないです……。

 

「絶対にご主人様の一番を譲るわけにはいきませんが、一緒にこのお方を支えていきましょう」

「ロクサーヌさん……。はい、ありがとうございます」

 

 ロクサーヌのことが一番好きで一番大切であることは、一生変わることはない。間違いなく断言できる。

 しかし、短い間だが一緒に過ごしたことで、セリーも本当に良い娘だということがわかっている。

 彼女のことも大切にしていかなくてはならない。

 

 

 

 ロクサーヌが元の場所へ座りなおすと、セリーが口を開いた。

 

「あの、それでは、ご主人様はこれから起こることがわかるのですか?」

「いや、夏の途中までの間にミチオの周りで起きた出来事しかわからない。それだって、俺の行動によって変化している可能性も考えられる」

「なるほど……」

 

 彼女はそう呟くと、何やら考え出した。

 

「じゃあ、今度は『異世界迷宮でハーレムを』のストーリーについて話しておこう」

「はい。お願いします」

 

 だが、その前に彼女へ伝えておかなくてはならないことがある。

 

「セリー、君に謝らなければならないことがある」

「謝らなければならないことですか?」

 

 その言葉に彼女は不思議そうな表情を浮かべた。

 

「俺は君が奴隷になることを知っていた。お兄さんが迷宮で怪我をして、その薬代を工面するため、自ら奴隷になることを知っていたんだ。それなのに、君を救うことが出来なかった。本当に申し訳ない」

 

 そう言って、彼女へ頭を下げる。

 

「え? あ、そういうことですか。ご主人様、大丈夫です。頭を上げてください。気にする必要はありません」

 

 セリーの言葉に頭を上げると、その顔には柔らかな笑みが浮かんでいた。

 

「私の家は兄の稼ぎによって支えられていました。たとえご主人様に怪我をすると忠告をされたところで、迷宮に入るのをやめるわけにはいきません。それに、怪我をする日はわかっていたのですか?」

「いや、物語の中では出てこないので、それがいつなのかはわからない」

「それならなおさらです。生活が懸かっているため、いつまでも迷宮に入らないというわけにはいきません。私が奴隷になったのはご主人様のせいではありませんので、お気になさらないでください」

 

 恨みに思っても不思議はないのに、彼女は論理的な判断で俺に非がないと言ってくれる。

 いや、論理的な判断というだけではなく、俺が罪悪感を抱いていたため、それを慮って言ってくれたのだろう。

 心のどこかにずっとあったもやもやが、彼女の言葉を聞いてどこかへ行ってしまった。

 

「セリー、ありがとう。そう言ってもらえて本当に助かる」

「ふふ。どういたしまして」

 

 かわいらしい笑顔だなぁ。

 

 

 

 その後、セリーが加入する書籍版の四巻からのストーリーを伝える。

 ロクサーヌも改めて聞いたことで疑問を覚えることもあったのだろう。二人の疑問に答えながら、十二巻までのエピソードを話し終えた。

 

「そのようなことが起こるのですね」

「まあ、過信するわけにはいかないけど、ルティナを手に入れるまでは、なるべくこの通りの行動を取ろうと思う」

 

 まあ、装備品やスキル結晶については、有用な物を見つけたら絶対に手に入れる。バタフライエフェクトがとかいってられない。

 

「はい、その方がいいと思います。それにしても、鍛冶師や巫女のジョブ変更にそんな条件があったなんて……」

 

 自分が就けなかった鍛冶師や巫女の条件を明かされ、セリーがへこんでいる。

 まあ、知ってしまえば簡単なことだからなぁ。

 どうして槌を装備して複数の魔物を攻撃しなかったんだとか、村人のときに魔物を倒しておけばよかったとか思っているんだろう。

 

「気にすることはありません。セリーはもう鍛冶師になっているのです。これからどう過ごしていくのかが大切でしょう」

 

 本当にこの娘さんはポジティブで素敵だわ。

 一緒に居るだけで心が明るくなる。

 

「そうですね。ロクサーヌさんの言うとおりです。これから鍛冶師として頑張っていかないと」

「ふふ。セリーは偉いですね。その意気です」

 

 俺を挟んで仲良く会話をしている二人の姿に、改めて喜びがこみあげてくる。

 こんな俺のことを受け入れてくれたんだ、どんなことがあっても、この娘たちのことは守り抜こう。

 

 

 

 それにしても、ロクサーヌと同じく、セリーも自己同一性に対して思い悩む様子がまったくない。

 自分が物語の登場人物だと聞かされても、気にならないのだろうか?

 

 まあ、彼女たちはメンタルが強く、確固たる自分を持っているため、揺らがないのかもな。

 

 

 

 俺はどうなんだろう?

 俺が『異世界迷宮でハーレムを』を見ていたように、もし今いるこの世界が創作物の中の世界で、自分も登場人物の一人だったと告げられたら……。

 

 

 

 うーん……。正直どうでもいいかなぁ。

 有益な情報があれば教えてもらいたくなるだろうが、自分自身の存在について悩むということはない気がする。

 

 地球を基にゲーム的なシステムが組み込まれて作られたと思しい世界。

 そして、インターネットを介した、そこへ転移するためのプロセス。

 何らかの意図を持った超越的な存在の関与は明らかだ。

 ここが創作物の中の世界だったとしても不思議はない。

 

 でも、たとえそうであったとしても、ロクサーヌと仲良く幸せに生きていきたいという望みが変わるわけじゃないしなぁ。

 まあ、そんな懊悩は哲学者にまかせて、俗人である俺は自分の幸せを追求していくさ。

 

 

 

 

 

田川 歩 男 18歳

探索者Lv36 英雄Lv31 魔法使いLv35

装備 サンダル

 

BP振分 残BP:0

キャラクター再設定:1

サードジョブ:3

必要経験値二十分の一:63

詠唱省略:3

ワープ:1

MP回復速度二十倍:63

 

所持金:1,217,982ナール

 

春の32日目




遂にセリーが加入し、アユム自身のことや原作知識について打ち明けました。
今回の連続更新はここまでとなります。

次回からはまた五日ごとに更新していきますので、これからもお楽しみいただければ幸いです
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