「影~いるか?~」
稲妻城に顔パスしてパイモンと共に将軍の間に入る。しかし、そこには誰もいない。おかしなことに影の薙刀すらもおいていないのだ。
「影いないみたいだな。どうする旅人?」
首を傾げこちらの意見を聞こうとするパイモン。こうゆう時に私の意見を尊重してくれるのはありがたいことだ。
「そうだね、影がいないなら他の人に聞いてみようか」
「お前たち何をしている?」
背後から声を掛けられたので振り返ると、
「ん?なんだ沙羅じゃないか!奇遇だな」
そこにいたのは天領奉行の九条沙羅がいた。
「奇遇も何も、私は仕事中なら大体稲妻城にいるぞ?」
「それもそうだな」
彼女なら鬼刀斎について何か知っていると思い聞いてみる。
「沙羅。鬼刀斎について何か知らない?」
「鬼刀斎?あぁ、あの剣鬼か。あまり詳しくはないぞ」
鬼刀斎は幕府所属だったから沙羅なら知人でもおかしくはないと思ったがどうやら見当違いだったようだ。
「そうなのか?」
「あぁ。私と鬼刀斎はあまり顔を合わせたことは無いんだ。強いて言っても2、3回程度だ。寡黙な奴だった」
幕府に努めて長いであろう沙羅ですらこれなのであるから、稲妻城で得られる情報は少なそうである。
「お前たちは例の辻斬り事件を追っているのか。案ずるなすぐに終わる」
「「???」」
そうはっきりと言い切った沙羅に私とパイモンは首をかしげる。
「先ほど、将軍様が鬼刀斎の討伐に向かった。じきに終わるであろう」
なるほど、影が鬼刀斎を倒しに向かったようである。
「なら、もうすぐ終わるな!」
「どうかな?」
すると、パイモンと沙羅が私の方を凝視する。
「いくら、伝説の鬼刀斎であろうと所詮は神の目を持たぬもの将軍様には勝てまい」
「そうだぞ!影には『夢想の一太刀』があるんだぞ!」
たしかに、あのおっぱいソードがあれば大抵の相手には負けないだろうね、
「鬼刀斎はその例外だと?」
うん。なんとなくそんな気がする。あったことがないけど私の勘がそう言ってる
「うむ。そうかならば我々も念のために加勢しよう」
「そうだな。念には念をっていうもんな!」
そうして、私たちは影が向かった場所に向かうことにした。その時である…
「申し上げます。九条様!」
幕府の侍が突然報告に現れた。その様子はただ事ではないことが察せる。
「何事だ!申してみろ」
「そ、それが……」
なにやら、言い淀んでいる侍に沙羅はイライラを募らせる。
「早く言え!」
「将軍様が敗走し、深手を負いました!」
「えっ!?」
「なんだと、そんな莫迦なことがあるか!嘘を申すでない」
沙羅は激昂のあまり侍の襟をつかみ持ち上げて締めあげてしまう。殺しにいくほどの勢いである。
「お、おい!沙羅。そいつ死んじゃうぞ…」
慌ててパイモンが止めに入る。すると、沙羅は少し落ち着いたようである。
「そ、そうだな。将軍様の元に行かねば!」
そう言って駆け足しで影の下に向かっていった。
「パイモン私たちも向かうよ!」
「わかったぞ!」
この時、私たちは確信した稲妻において前代未聞の事件が起こっていると……