無常…永遠などなく、万物は常に移り変わっていくこと
「逃げた臆病者が今更何の役に立つ!?」
鬼刀斎は旅人に憑依した一斗の首を落さんと斬りかかる。しかし、一斗はその一閃を防ぐ。互いの刀剣がぶつかり鍔迫り合いとなる。
「あぁ、そうだ!俺様は刀を捨てて傾奇者になった臆病者さ!でもな、そんな俺様でも捨てちゃならねぇもんがあるんだよ」
その言葉と共に一斗は【乱神の怪力】を背中に浮かばせ荒滝逆袈裟を放ち、鬼刀斎を吹き飛ばす。
「小癪な…」
「お前の出番だぜ!」
岩元素を駆使し岩べこ「丑雄」を生成する。丑雄は鬼刀斎に突撃していく、
「牛なぞで己は倒れんよ」
数分でやられる丑雄だったが、もとより一斗は時間稼ぎに使うつもりだった。
「まだまだぁ!鬼王のお通りだ!」
元素爆発によって憤怒の鬼王の姿になり、旅人が持っていた剣は鬼王金砕棒へと変化する。荒瀧逆袈裟を鬼刀斎に連続で繰り出し、すべて命中させる。
「愚かな……そのような力任せの戦い方で己に勝てると思ったか?」
しかし、鬼刀斎は歴戦の剣客。荒瀧逆袈裟はすべて鬼刀斎の巧みな刀裁きによって軌道をずらされ、返す刀で切り返されてしまう。
「……んなこったわかってんだよ」
切り傷だからけになった体に鞭打って立ち上がる。
「そうだ俺様は…鬼刀斎だったころの俺様は強かった。誰よりも強さに飢えてた」
懐かむような、後悔するような、そんな万の感情を混ぜたように一斗は吠える。
「だからこそ、俺様は今のてめぇが嫌いだ。」
その言葉に鬼刀斎は眉を顰めたのだった。
「わかりかねるな?お前は己が強いことを何故恥じる?」
「簡単だ、今のお前には誇りがねぇ。剣客としての在り方を見失ってやがる。俺様は人を斬るのが好きだったんじゃない。【剣術】を極めるのだ何よりも好きだったんだ。型を思いつくたびに心躍ったし、強い奴に勝つたびに自分の成長を感じられて嬉しかったそんな強ぇ奴らと競い合えるのも好きだった。そんな純粋な心をお前は汚してやがる。てめぇは鬼刀斎なんかじゃねぇ!ただの人斬りのいかれぽんちだ!そんな独りよがりの強さに俺様は負けねぇ!」
そう言って、一斗は旅人の持っていた剣を握りなおし、正眼の構えをとった。
「言わせておけば!【剣術】などただの殺人術!そこになんの美がある!絆がある!よかろう貴様は今ここで斬る。そして、今日から己こそが荒瀧一斗となる!」
一斗の言葉に激昂した鬼刀斎も同じように正眼の構えをよる。
場には静寂が訪れる。その戦いをずっと見守っていたもの達も固唾を飲んで見守っていた。
【無常の一太刀】
静寂が終わりを告げた時、高速の踏み込みを持って二つの影は消え。入れ変わるように二人は移動する。どちらも、刀剣を下段に構えて動かない。
「うっ!」
一斗が左肩を押さえてうずくまる。
「どうやら正しかったのは……」
鬼刀斎の服が紅色に染まっていく
「貴様だったらしい」
辻斬り・鬼刀斎今を持って敗れる。
「皮肉なものよ、如何に剣の腕が立とうとも縁に恵まれたものの前では意味をなさぬのだからな。まさしく無常よ」