「世話になった。ありがとうな煙緋さん」
「なぁに、これも仕事だ。お礼なら旅人と君の部下に言ってくれたまえ?」
裁判が終わった後、一斗に下された判決は執行猶予15年だった。煙緋の弁護もあったのだろうが、なによりも将軍の鶴の一声が聴いたのか極刑は免れた。しかし、
「その…指のことは残念だったね…」
「なぁに、指の一本や二本なくたって生きていけますよ」
そう言って一斗はない親指の第二関節を動かしながら平気そうな顔をする。一斗は極刑は免れた。そう、免れはした。それでも、約1000名あまりを負傷させた罪は消えはしない。その代償として、一斗は…鬼刀斎は二度と刀を握れない体になってしまった。利き手である右腕の爪をすべて剥がされ、その上刀を握る上で大切な親指すらも切り落とされてしまった。
「一斗……」
「そんな不安そうな顔すんじゅねぇよパイモン。剣鬼に落ちた俺様自身へのケジメだ。まぁ、これで踏ん切りがついた」
「そうか、じゃあ私は璃月に変えるとするよ。」
煙緋は悲しそうな顔をして港へと歩を進めていった。
「応。じゃあ、俺様もそろそろ………」
「鬼刀斎」
一斗がピクッと一瞬反応するが、振り返ろうとはしてこない。
「荒瀧派初代親分としての荒瀧一斗も鬼刀斎としての荒瀧一斗もきっとどっちも荒瀧一斗っていう誇り高き赤鬼であることには違いないと思うよ。だから、鬼刀斎としての自分も否定しないであげて。鬼刀斎っていう剣に真っ直ぐだった赤鬼がいたってこと忘れないであげて、少なくとも私はそう思う」
花見坂の方に向かっていく一斗の背中を見送りながら私は思ったことを一斗の背中に伝える。一斗がした反応は手を振ってくれただけだったがどこか憑き物が落ちたような感じがした。
「畜生っ!雨が降ってきやがった。」
荒瀧一斗は雲一つない快晴の空を見上げながら呂律の回らない声を出していた。
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「あっ!鬼の兄ちゃんだ!」
花見坂で遊んでいた子供の一人が遊び相手の存在に気づきたくさんの子供たちが駆け寄ってくる。
「よぉ!坊主!久しぶりだな。俺様が怪我してる間になんかあったか?」
相変わらずの元気さに子供たちは寂しさなど忘れワイワイ騒ぎ出した。
「鬼の兄ちゃん!久しぶりに虫相撲しようぜ!」
「おお!いいぜ、望むところだ今日こそは俺様の勝ちにさせてもらうぜ!」
そうして、花見坂にはいつもの光景が戻ってきた。一部を除き一斗が起こした事件などしりもしなかった。ただ、いつもより子供たちの相手をしている赤鬼の姿は晴れ晴れとしていたとその光景を見ていた人々は囁いたとか囁かなかったとか
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8 伝説任務・稲妻の剣鬼 8
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8 終幕 8
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これにて、稲妻の剣鬼完結です。