異世界帰りの呪術師   作:北山 真

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 前話で虎杖が宿儺の器になってから一週間後に死んだと書いたのですが、よく調べたら七月に死んでおりましたので、七月に入ってから死んだと修正しました。

 今話から原作沿いの展開になりますが、直樹君が混ざることにより展開が変わっていきます。
 また、テコ入れとしてオリジナルの呪霊を出すこともあると思います。予めご了承ください。

 それでは本編をどうぞ。


東京都立呪術高等専門学校

 

 七月に両面宿儺の器が死亡してはや二ヶ月。

 九月に入っていた。

 

 ある日の午前中。

 直樹と新田は学長室にて、楽巌寺学長と話していた。

 入学した時の様に、テーブルを挟んで向かい合ってソファに座っていた。

 

「学校生活はどうじゃ二人とも」

「楽しいですね」

 

 俺が答える。

 

「学校に通った経験が無かったので新鮮で楽しいです。面白い人達ばっかりですし」

「そうか、新田はどうかね」

「俺も楽しいし、同級生にこんな凄いやつがいるんで、凄い充実してます」

 

 そう言って答えてくれる。

 

「そうかそうか。それは上々」

 

 楽巌寺学長はそう言ってお茶を啜る。

 飲み終わり、ふぅと一息吐いてから、今日の本題を告げてきた。

 

「先日、五条から話があってな。姉妹校交流会に一年も参加させたいようじゃ」

「俺達がですか?」

 

 新田から質問が出る。

 

 姉妹校交流会とは、一年に一回行われる、呪術高専の京都校と東京校の交流会のことである。

 その年によってある程度内容は違うが、一日目が団体戦で、二日目が個人戦である事は決まっている。

 基本的には呪術を学んで実力を付けたニ、三年が出ることが殆どであり、一年が出る事は殆どない。

 

「うむ。あちらの一年が有望株らしくての、経験を積ませたいという話であった、そこで京都校も一年を参加させてはどうかと」

「分かりました。俺は経験が積めるなら出てみたいです」

「そうか、分かった。直樹はどうするかね?」

 

 新田は出るらしい。

 東京校からは金次さんと綺羅羅さんも出るだろうし、出てみるか。

 

「俺も出させて貰います」

「そうかそうか。それは良かった」

 

 ホッホッホッと、上機嫌に笑う楽巌寺学長。

 

「そう言ってくれて良かった。いや、実は五条のやつがな…」

 

 楽巌寺学長の体から呪力が迸る。

 めちゃくちゃ機嫌悪くなってる。

 

「あの糞餓鬼、『こっちの方が強いからそっちは人数多くても良いよ』とか巫山戯たことぬかしおってっ!」

 

「それも『憂太(ゆうた)は忙しいから出ないけど、まぁ良いでしょ』とまで言いおったっ!!」

 

「お主らが承諾してくれて良かったわ!交流会の時には目にも見せてやれっ!」

 

 そう言って怒り出した楽巌寺学長。

 

「「はい!分かりましたっ!」」

 

「「失礼しましたっ!!」」

 

 そこから逃げる様に、二人揃って急いで部屋を出た。

 

 


 

 

 二人で一年の教室まで来た。

 

 新田は荷物を取りに、俺は待ち合わせがあったから。

 

「待っていたぞ直樹」

「お待たせしました東堂さん」

 

 待ち合わせしていたのは東堂さんやった。

 今日は午後から東堂さんと一緒に、高田ちゃんの個別握手会に行く予定やった。

 その午前中に楽巌寺学長から呼び出し受けて先程の会話があり、その間一年の教室で東堂さんに待ってもらっていた。

 

「それで?話は何だったんだ?」

「俺達も交流会に出ることになりました」

 

 詳しい経緯を話す。

 五条さんから連絡があったらしいこと。

 一年が有望株らしいこと。

 東京校に在籍している()()()()()()()()()()()()()()()()()乙骨憂太(おっこつゆうた)が交流会には出ないこと。

 それでも東京校の方が強いと煽られたこと。

 

「何だと?乙骨は出ないのか、それは張り合いが無いな」

「東堂さんは知り合いなんですか?」

「ああ」

 

 新田からの質問に東堂さんが答えていく。

 

「去年の交流会の時に乙骨にはやられてしまってな。そのリベンジを、と思っていたのだが、出ないなら仕方ないな」

 

 去年そんなことあったんか。

 乙骨さんは一年やったはずやけど、流石は特級やな。

 

「乙骨の代わりに出るやつらがどんなやつか、確認がいるな」

「あんま無茶せんといて下さいよ」

「それは相手次第だな」

 

 そう言う東堂の顔は非常に真面目だった。

 また異性の好みを聞く気やろな。

 

 その時、ガラガラッと教室の扉が開いた。

 

「お待たせ」

 

 教室に入ってきたのは真依姉さんやった。

 

 真依姉さんが揃った事で、今日の個別握手会に行くメンバーが全員揃った。

 東堂さん、真依姉さん、俺の三人で行く予定やった。

 

 因みに、チケットは四枚あったが東堂さんが二枚は使わないと気が済まないらしく、新田の分は無かった。

 チケットが無いために新田は東京に行かずに京都でゆっくりするらしい。

 

「ほな揃ったし、行きましょか」

 

 教室の後ろにある日本地図で呪術高専東京校の場所を確認する。

 東京校に夜の炎で行き、そこで俺と真依姉さんは用事を済ませてから、個別握手会に行く予定やった。

 

 夜の炎で直接個別握手会に行くには周りの状況が読めない。

 万が一、夜の炎を使っている所を一般人に見られると非常に面倒くさいことになるので、確実に一般人のいない東京校に飛んでから個別握手会に向かうという予定になっていた。

 

「ホントに便利よね。その能力」

「ふぅむ」

 

 真依姉さんが褒めてくれて、東堂さんは何か考え込んでいるようだった。

 

「ほな行ってくるわ」

「うん。お土産期待して待っとくわ」

 

 新田と話したタイミングで、夜の炎のワームホールが開いた。

 そして、三人でワームホールを潜る。

 

 ワームホールを通った先は東京校の運動場だった。

 

 その場に俺達三人以外に五人いた。

 

 真希姉さん、白髪の男性、パンダ、黒髪の男性、茶髪の女性。

 全員がジャージ姿で運動場にいた。

 

 パンダだけ異質だが、彼は本物の動物では無く夜蛾正道によって作られた意思を持つ呪骸である。

 

 その五人全員が戦闘体勢で構えたまま、直樹達を見ていた。

 全員がワームホールに警戒していた。

 

「お騒がせしてすんません。俺の能力です」

 

 慌てて頭を下げる。

 初見でこんなんやられたら警戒するわな。

 

「お前の?けど、お前の術式は確か『異世界転移』だったはずだろ?」

「うん、そうなんやけどね。向こうで色々覚えてん」

 

 真希姉さんに見せた事は無かったので、そう言う質問が出る気持ちも分かる。

 周りの人達も異世界という言葉に反応して驚いていた。

 

「真希、アンタいつまで構えてるの?ビビり過ぎじゃないかしら?」

「何だと…」

「まぁまぁ」 

 

 真依姉さんが煽って喧嘩になりそうな所を仲裁する。

 

「チッ、んで何の用だよ」

「その前に自己紹介してもええかな?お互い知らん人も居るやろうし」

「そうするか」

 

 お互いに自己紹介に入る。

 

「俺は京都校一年の禪院直樹です」

「同じく二年の禪院真依よ」

「三年の東堂だ」

 

 京都校側の自己紹介に東京校側の人間が少し騒つく。

 が、気を取り直して自己紹介に入ってくれた。

 

「俺はパンダ。二年だ。こっちは二年の狗巻棘(いぬまきとげ)

「しゃけ」

 

 そう言ってパンダさんと、白髪の男性、狗巻さんが手を挙げて挨拶をしてくれる。

 狗巻さんは名前からして、呪言師の人やろな。やから変な発言しかせえへんのか。

 

 呪言師とは言葉の通り呪いの言葉を扱う呪術師の事である。

 放つ言葉全てに呪いが掛かるので迂闊に言葉を話せないのである。

 

「一年、伏黒恵(ふしぐろめぐみ)だ」

「同じく一年の釘崎野薔薇(くぎさきのばら)よ」

 

 黒髪の男性、伏黒君と、茶髪の女性、釘崎さんも挨拶してくれた。

 

「それで、一体何の用なんだ?」

 

 真希姉さんから改めて質問される。

 

「真希姉さんと伏黒君に用があって来てん」

「俺に?」

 

 怪訝そうな顔をする伏黒君。

 

「そう、君と真希姉さんに。まずは真希姉さんの方から済ますわ」

 

 ほいっ、と持って来ていた日輪刀を渡す。

 

「その刀、異世界から持って帰って来た退魔の剣の一種やねん。真希姉さんに渡そう思てたんやけど、タイミング無くて今日になってしもたわ」

「「「「「ええっ!」」」」」

 

「退魔の剣って、ヤバくない!?」

「売ったら何円になるんだろうな」

「多分、1億は固いんじゃないですかね」

「ツナ」

 

 その場にいた東京校の皆が驚いてく仲良く会話している。

 多少は雰囲気がほぐれたみたいやな。

 

「何で私に…」

「そら従姉妹には良いもん渡しときたいだけや。真希姉さんが呪術師続けるなら役に立つとは思うで」

 

 そう言うと、少し俯き何か考え込んでしまう。

 

「高菜?」

「大丈夫だよ」

 

 狗巻さんがよく分からない発言をして、真希姉さんと会話していた。

 いや、何と無く心配している様には見えるが。

 

「真希、向こうで少し話しましょう」

「…分かった」

 

 真依姉さんが真希姉さんに呼びかけて、近くの校舎の影まで歩いていく。

 

「さて、真希姉さんへの用が済んだところで、次は伏黒君への用やね」

「どんな要件なんすか?」

 

 若干不機嫌そうに聞き直す伏黒君。

 禪院家から自分への用事ってだけで、普通は警戒するよな。

 

「君が良かったらやけど、禪院家に来うへん?」

「ええっ!?」

 

 伏黒君の横に立つ茶髪の女性が驚くが

 

「行きません」

 

 即答で断られる。けど、それは想定済みやった。

 

「アンタ禪院家だったの!?金持ちじゃん!」

「親父がな。しかも元だし」

 

 何て会話をしている。

 

「否定する理由、聞いてもええかな?」

 

 そう尋ねるが

 

「禪院家から良い話を聞かないから」

 

 スッパリと言い切られてしまう。

 しかし、

 

「そら今までの代の話やろ?」

 

 俺の発言にさらに怪訝な顔をする伏黒君。

 

「俺の代ではもうちょっとマシな家にしたい思てるねん」

「そうか、お前が時期当主だったな」

 

 伏黒君も禪院家時期当主の話は聞いてたらしい。

 横にいる釘崎さんの眼が一瞬だけドルマークになった気が…

 

したけど気のせいやね。うん。

 

 おほん、と態とらしい咳払いして仕切り直す。

 

「それでな。現当主の親父に聞いたんやけど、俺の親父と君の親父が約束してたらしいねん」

「何の話だ、知らねぇぞ」

 

 嫌な予感がしたらしく、不機嫌そうになる。

 

「君の術式が相伝なら10億、それ以外でも7億で禪院家に譲るって話や」

「あの糞親父そういうことかっ!?」

「10オクゥっ!?」

 

 伏黒君は何かに気づいた様に吠えて、釘崎さんは金額に驚いている。

 

「ただ、その約束は五条さんに握り潰されとるけどな」

「…なら何でわざわざ誘ったんだ」

 

 そう。この約束は五条さんが恵君を引き取った段階で、一旦止まっとる。

 

 親父は禪院家にいるよりも、五条さんの元に居た方が良いと判断したんやろうな。

 伏黒君的にも良いやろうし、五条さんにも恩を売れるしな。

 

「禪院家時期当主として、自分に出来る範囲の事はしたかってん。君が禪院家に来うへんとしても、君が禪院家の血筋である事は確かや」

 

 その台詞に苦虫を噛み潰したような顔をする伏黒君。

 

「勘違いせんといて欲しいのは、君の力を当てにしたとか、相伝の術式が欲しいとかちゃう。純粋に、禪院家の血を引く君に、何一つせえへんのは当主として情け無いし、俺も嫌やから聞いただけや」

「…何度聞かれても答えはノーだ」

「せやったらしゃーないな。気が変わったらいつでも言うてな」

 

 さて、これで俺の用事は終わったが、

 

「話は終わったか?」

「ええ、東堂さん」

「なら、次は俺の番だな」

 

 東堂さんが何か言い出した。

 こっち来る前に言ってたやつやろな。

 

「伏黒だったな」

「…何ですか?」

 

「どんな女が好み(タイプ)だ」

 

 ほら、やっぱりな。

 

 

 

 

 

 

 




 いかがだったでしょうか。今話も楽しんで頂けていると幸いです。

 さて、この小説の独自展開として、直樹と新田が交流会に参加することが決定しました。
 そして、遂に東堂と伏黒の会うシーンにまで行けました。交流会までもう直ぐになったので、どの様な展開になっていくのか、楽しみに待って頂けると幸いです。

 それでは、今話も読んでくださりありがとうございました。次話以降も楽しみに待っていてくださると幸いです。

 
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