皆様、本当にありがとうございます。
また、記念すべきハロウィンの日に、日刊ランキングに載っていました。
私、3回ぐらい確認して、サイトを閉じた後に存在しない記憶を疑ってもう一回確認したりしました。
これがハロウィン渋谷事変効果なのかなぁ。とか思ってました。
それもこれも、皆さんがこの小説を読んで下さり、高評価やお気に入り登録をしてくれているお陰であります。本当にありがとうございます。
また、今話についてですが、r-15的展開が御座います。
原作ほどダークでは無いですが、ご承知下さい。
それでは本編をどうぞ。
東堂葵と虎杖悠仁が木を操る呪霊と対峙し出した頃。
龍人の呪霊から逃げていた星綺羅羅、狗巻棘の二人は危機的状況にあった。
呪霊は『星間飛行』により一定の距離以上は近づけない。
しかし、逆に言えば一定の距離までは近づける。
その距離は
呪霊にとって、直接攻撃するには遠く、術式により攻撃するならば近すぎる距離であった。
故に、お互いが術式を絶えず使い続けながらの追撃戦になっていた。
「動くな!」
狗巻の『呪言』により呪霊の動きが止まる。
その隙に、二人は少しでも距離を稼ぐ為に走る。
星は走りながら近くの樹木に手当たり次第に呪力のマーキングを施していく。
それは呪霊に施したマーキングと同じ印である。
『星間飛行』により同じマーキングを施された物体は引かれ合う。
故に、動けない呪霊に向けて、樹木が引き寄せられた事で地面から引き抜かれ激突する
呪霊は、動けない状態からノーモーションで自らの術式を発動させた。
呪霊の周囲で空気が渦巻く。
それは急速に勢いを増して、一瞬にして小規模な竜巻と化して、呪霊の姿を隠した。
竜巻と樹木が衝突するが、ギャリギャリッと音を立てて樹木が削れていく。
高出力の呪力で作られた竜巻は、まるでシュレッダー様に、触れた物全てを切り刻んだ。
『星間飛行』により、樹木は次々と飛来するが、どれ一つとして呪霊に到達する事はなかった。
切り刻まれ、緑と茶色の細かい粒子となり竜巻の起こす風を色付けるだけであった。
「マジでっ!?」
その様子を見た星が驚愕し、叫ぶ。
隣にいる狗巻もまた、声には出していないが同じ気持ちであった。
信じられないほどの呪力が込められた竜巻であった。
戦慄と共に、二人の駆ける足が速くなる。
いくら呪力で強化した所で、自分があの竜巻に捕まったら樹木と同じ末路を辿る事が、容易に想像出来たからだ。
だが、
足は先ほどよりも速く動かしている。
既に呪力による強化も全開である。
しかし、後ろの竜巻との差が広がらない。
「…引き寄せられてるっ!」
星が叫ぶ。
そう、樹木を飲み込んだ竜巻は徐々にその勢力を強めていた。
呪霊を隠す程度の小規模だったはずの竜巻は、今や十メートルを超す規模となっていた。
巨大化し、勢力を増した竜巻は、周囲の存在を吸い込みながら二人に近づいている。
「近づけないなら、貴様達から近づいて貰えば良い」
二人には届いて居なかったが、竜巻の中で呪霊はそう呟いた。
呪霊は竜巻に呪力を注ぎ込み続けていた。
それは正しく台風の具現であった。
水上で発生した水蒸気が、やがて雲となり、積乱雲となり、熱帯低気圧となり、最終的に台風へと至る様に。
発生時は小規模だったはずの竜巻が、呪力を注ぎ込み続けられた事により台風へと至ろうとしていた。
竜巻の規模が更に大きくなる。大きくなり続ける。
既に樹木の高さを超していたが、更に巨大になろうとしていた。
二人は必死に逃げるが、竜巻との距離が離れない。
いや、むしろ縮まってきていた。
「止めろっ!!」
狗巻が渾身の呪力を込めて叫ぶが、竜巻は止まらない。
ゴウゴウと唸りをあげる竜巻の轟音と、その竜巻に込められた呪力を貫通できなかったのだ。
最早万事休すかと思われたその時、救援が現れた。
「
救援に現れたのは京都校のメカ丸であった。
駆けつけた瞬間に、メカ丸は手の平に取り付けた砲から火を放った。
しかし、メカ丸の豊富な呪力が込められた攻撃でさえも、竜巻の勢いを少し抑える程度の影響しか与えられなかった。
「チッ、この程度では駄目カ」
メカ丸が悪態を吐き、この呪霊を止める事を諦めた。
「二人とモ、捕まレ!」
メカ丸が二人に対して指示を出した。
その声を信じて二人がその腰にしがみつく。
しがみついたのを確認したメカ丸は、その体を変形させる。
肩と肘の制服が破け、呪骸の装甲が剥がれる。
中から現れたのは飛行機などに見られるジェット機構であった。
「
メカ丸の全力の呪力の供給を受けて、ジェット機構が火を吹いた。
三人分の体重をものともせず、竜巻の吸引力をも引き剥がし、みるみるうちに竜巻から距離が離れた。
竜巻から、そして木の呪霊が暴れている場所からも遠ざかった場所、森のすぐ近くにある木製の建物の屋根にメカ丸が着陸した。
「ありがとう助かったよ」
「しゃけしゃけ」
星と狗巻が安堵しながら感謝を示した。
メカ丸が来ずに、あのままだったなら二人とも粉微塵にされていただろう。
ギリギリのタイミングでの救援であった。
「だガ、事態は何も解決していなイ」
メカ丸がそう告げた。
メカ丸の助けにより二人は助かったが、呪霊の脅威はまだある。
いや、むしろ酷くなる一方であった。
竜巻は遠目で見ても分かるほど巨大化していた。
高さはそろそろ帳の天井部分に届きそうで、横幅もそれに伴って広がり続けていた。
この竜巻がいつまで大きくなり続けるのか、呪霊以外には誰にも分からなかった。
「五条先生まだ来ないのかな…」
「こんぶ」
星と狗巻が不安気に言葉を交わす。
メカ丸も声には出さないが同じ事を思っていた。
五条悟は、まだ来ない。
side.真依
東堂先輩と虎杖悠仁が呪霊と戦っている間に、私達四人は、校舎の方へと逃げていた。
私は霞に肩を貸してもらって、真希も釘崎に肩を貸してもらって歩いていた。
姉妹揃って同じ様な有様だった。
四人の足は重かったが、しばらく歩くと森を抜けて木製の建物のある所まで帰って来れた。
ほっ、と安堵する四人。
しかし、待っていたのは
「あっれ〜、女の子がいっぱいいるじゃん!」
教師では無く、呪詛師であった。
その呪詛師は、長い金髪を一つに括り、顔の横に垂れ下げる様にサイドテールにしている男性だった。
顔には両目の下から頬にかけて、三本のライン模様が浮かんでいた。
服とズボンが一体化した物を着ているが、上半身は左肩から腰にかけての部分しか無く、右の上半身は何も着ていない状態であった。
また、袖も無く、ズボンも脹脛の途中までしかないため、全体的に露出度の高い格好をしていた。
そして、右手は気味の悪い刀を握っていた。いや、握られていた。
誤字では無く、刀の柄部分が人の手になっており、お互いに握り合う形になっていた。
四人は、見知らぬ男性、それも風貌から見て呪詛師である相手に対して身構える。
「誰だよテメェ」
釘崎が真希から離れて、怪我をしていない手で金槌を構える。
私も霞から離れて、銃を構える。
霞も刀を握って私の斜め前に陣取る。
「ええ〜俺の名前知りたいの〜?俺モテモテじゃん」
そいつは四対一の状況にも関わらず、能天気に笑みを浮かべている。
このクソみたいな状況を作り出した奴らの仲間の時点で、まともな神経をしている訳がなかった。
「動いたら撃つわよ」
いつでも撃てる様に、狙った状態で警告する。
「えぇ、銃持ってるじゃん怖っ!」
それでも、そいつは戯けた態度を取り続けた。
だから、撃つ。
バンッバンッと銃声を響かせ、そいつの足に向けて二発の銃弾を放ったけど、当たらなかった。
「チッ」
舌打ちをして、もう一度撃つが、やはり当たらなかった。
「めっちゃ撃つじゃん!怖いなぁ君」
そいつには掠りもしてなかった。
私の銃の腕は悪くない。狙いも悪くなかったはず。
けど、全然当たらなかった。
「ちゃんと狙えよ真依っ!」
「狙って撃ったわよ!多分あいつの術式だわ!」
理屈は分からないけど、感覚では分かる。
私の弾は
「なら、近接でぶっ叩く!」
釘崎が金槌を片手に相手に近づいていく。
「霞も行って!」
「はい!」
私の言葉に従って、遅れて霞も近づいていく。
「おらぁ!」
「その怪我でよく動けるね、っと」
釘崎は金槌で殴りかかったけど、相手がひらりと躱して、釘崎の怪我をしている部分を蹴った。
「ってぇなぁ!」
「おっと」
釘崎は痛みを我慢しながら武器を振り回すけど、それすらも避けられた。
怪我と痛みのせいで、明らかにいつも通りの動きが出来て居なかった。
「はっ!」
「よっと」
霞が釘崎とは違う角度から斬りかかるけど、それもまた避けられた。
見た目と態度によらず、そこそこ動けるらしい。
「モテモテなのは嬉しいけど、多すぎても困るなぁ」
「キメェんだよ勘違い野郎が」
呪詛師の気持ち悪い言葉に対して、真希が辛辣にツッコミを入れたけど、
「じゃあそんな事言う君に相手して貰おうかなっ!」
「真希さん!」
呪詛師が標的を変えて、真希に向けて走り出す。
咄嗟に釘崎と霞が動くけど、間に合わない。
私も、足止めの為に銃を撃ったけど、また当たらない。
「さっきから邪魔だよ!」
銃を撃ったせいで、標的が私に向いてしまった。
「そんな物持ってちゃ駄目でしょ〜」
「あっ」
持っていた銃を蹴り飛ばされた。
そして、
「そんな危ない子にはお仕置きだね」
そう言って私の足に刀を刺そうとした
しかし、刺したのは私ではなかった。
「つぅっ!」
「お姉ちゃんっ!」
真希が私に覆い被さり庇ったからだ。
私の代わりに、真希の背中に刀が刺さっていた。
「あれ?君達は姉妹なの?言われてみれば確かに似てるね」
「テメェ!よくも真希さんを!」
呪詛師が余裕を持って私達を見下ろす。
そんな呪詛師に、釘崎が噛み付いたが
「いやぁ、状況見なよ」
そう言って、さらに真希の背中に刀を刺した。
「ったぁ!」
真希が痛みを押し殺す。
「ほら、君達が動いたら余計に傷が増えちゃうよ〜」
えい、えい、とさらに二度、真希の背中に刀を差し込んだ。
その度に真希の口から呻き声が漏れた。
「もう止めて!」
「嫌だね、俺は弱い者いじめが好きなんだ」
私の制止なんて意味をなさず、男は止まらない。
「人質なんて二人も要らないし、一人で良いよね?」
ニヤニヤと笑う男と目が合う。
「お前は私が守るからな、真依」
「お姉ちゃん…」
お姉ちゃんの上で刀を振りかぶる男。
今にも振り下ろされるその瞬間に
「アンタ達!無事!?」
「…無事じゃないみたいだね」
救援が現れた。
現れたのは歌姫先生と冥冥さんだった。
冥冥さんは歌姫先生と仲が良いこともあり、私も知っていた。
「また二人女の人が増えた!これってモテ気到来ってやつ?」
二人増えたにも関わらず、男は余裕な態度を保ったままだった。
それもそうよね。
私達っていう人質がいる状態は変わってないんだから。
「ふぅん、君はモテたいのかな?」
「そりゃあ男なんだし、当然でしょ」
冥冥さんと男がそんな会話をし始めた。
「じゃあ君、お金は幾らあるんだい?」
「はぁ?何言ってんの?」
「そうですよ冥さん!今それどころじゃないでしょ!」
いきなり貯金を聞き出す冥冥さんに対して、呪詛師の男と歌姫先生からのツッコミが入った。
しかし、尚も冥冥さんは続ける。
「男の価値って言うのはね。金だよ」
冥冥さんがキッパリと言い切った。
「私に言わせれば、金の稼げない男に価値なんてないよ。その点、君には価値を感じないね」
「…あのさぁ、状況分かってる?俺はいつでもこの子を殺せるんだけど?」
男は刀を振りかぶった状態で、私達のすぐ近くに立っている。
対して、歌姫先生と冥冥さんは男から10メートルは離れている。
その状態で挑発するのは、私達の命が危険に晒される事に他ならない。
男が苛立った様子で、冥冥さんを睨む。
が、しかし
「やってみたらどうだい?」
「何言ってるんですか冥さん!」
冥冥さんは尚も挑発を繰り返した。
「じゃあお望み通り、一人死んでもらおうかな!」
「お姉ちゃん!」
男が真希に向けて刀を振り下ろす。
私は咄嗟に躱そうとするが、真希は動かない。
真希に刀が当たる直前で、刀が止まった。
冥冥さんが男の腕を握り、止めていた。
「何で…」
「だから言っただろう?
冥冥さんは言葉と共に、膝蹴りを男の鳩尾に叩き込んだ。
「グボォァッ」
男が血反吐を吐きながら、地面に蹲る。
「だけど、君
そう言って冥冥さんが足を上げる。
茶色のブーツの高いヒールが、男の上で構えられた。
「だけど、殺しはしないよ。殺したら生け捕りボーナスが貰えなくなってしまう」
「ま、まっでぇ」
男の制止を聞かずに、ヒールが振り下ろされた。
「ギャアアアァァァ!!俺の足ガアアァァ!」
冥冥さんのヒールによって、男の足が潰された。
肉が抉られて、中の骨が見えている。見えている骨もまた折れていた。
「大丈夫!?」
「私は大丈夫です!それよりも真希が!」
歌姫先生が慌てて駆けつけて来てくれた。
それと同時に、
「おーい、大丈夫かぁ!?」
パンダと新田がやって来た。
先程から銃声や悲鳴が上がっていたから、周りにいた人達が集まって来たみたいだった。
「新田!止血お願い!急いで!」
「わ、分かりました!」
歌姫先生の要請を受けて、新田が自身の術式を発動させる。
新田新の術式は傷の状態を固定して、それ以上血が流れない様にする術式である。
この場で傷を負った全員の傷を固定し、出血死を避ける事が出来た。
冥冥の活躍により、呪詛師、
更には新田新の術式により、怪我人の出血死も避けられた。
この後、この場にいる負傷者を連れて冥冥と歌姫は帳の外へと出ることになった。
この時、冥冥と歌姫はこの場に来るまでにもう一人の呪詛師と出会っていた。
故に、呪詛師や呪霊が後何体いるのが分からない状況で、負傷者だらけの生徒達だけで、帳の外へと離脱する事を歌姫が不安視したからであった。
これで帳の中に残された生徒は九名。
そして、冥冥率いるメンバーが帳の外に脱出したと同時刻。
秤の領域展開が解除された。
いかがだったでしょうか。今話も楽しんでもらえていると幸いです。
今話では流れで重面が捕まってしまいました。
作者何も考えてませんでした。しかし、今話を書いている内に、歌姫と冥冥って仲良いよな?多分一緒に動くよな?重面と冥冥の掛け合い何か良い感じになるな?冥冥さんが情報源生け捕りにしないわけないよな?って考えていると自然と捕まっていました。
まぁ、重面の代わりなんて誰でも出来るだろうし、補助監督の死人は減るし、これで良いかなって考えで投稿までいきました。
渋谷事変の細かい流れは、またその時に考えます。
それでは、今話も読んでくださり本当にありがとうございました。