また、禪院家の人間は原作ではあんまり話して無いので、出来るだけキャラ崩壊しないようにしたつもりですが、皆様のイメージと違ったら申し訳ございません。
百鬼夜行終了後、直樹は禪院家の屋敷へと帰ってきていた。
帰宅後、女中から直毘人の伝言を聞かされた直樹は、伝言通りに食事と入浴を済ませた後に、大広間に呼び出されていた。
「重要な話やって聞いてるけど、疲れたから明日にしてくれへんかな」
してくれへんよなぁと、小言を言いながら屋敷の中を歩く。
まぁ大広間に呼ばれるって事は家の連中集めとるやろし、家全体に関係のある話ってことか?
直樹がこれから話されるであろう内容について考えていると、大広間の襖の前についた。
大広間から話し声が聞こえるが、大勢が話すぎていて話の内容は理解できなかった。
「入るでぇ」
声を掛けながら入る。
すると、俺の顔を見た中の全員が、話すのを止めて顔を見てきた。
しかし、直樹も驚いていた。大広間の中にはおよそ禪院家の主要な人間が全員集まっていた。
まず、直樹を呼んだ張本人なので当たり前だが、当主の禪院直毘人いた。上座の一段高くなっている段差の部分に腰掛けて瓢箪から直で酒を飲んでいる。
次に、直毘人の右手側に片膝をついて座っているのが、禪院家次期当主候補筆頭であり、直樹の兄である禪院直哉。また、この男は禪院家の呪術師の中でも準一級以上の実力者しか所属出来ない精鋭部隊『
反対側にはこれまた次期当主候補、そして『炳』の所属である二人組。
その他にも炳に所属している人間全員が集められていた。
他にもまだまだ人がいる。
『炳』には所属出来ていないが、術式を持ち、呪術師と活動している『
また、術式を持たない禪院家の男子が参加を義務付けられる『
総じて三十人以上、禪院家のほぼ全戦力がこの大広間に集められていた。
ほとんどの人は緊張して顔が強張っているが、一部の人間は表情が苛立っていた。
「よく来たな直樹」
「親父が呼んだんやろ。ほんで何やねんこの人数は」
重要な話があるとは言われとったけど、禪院家の主要な呪術師ほぼ全員集められてるとは思わんかった。
ほんまに何の用なんやろうか。
「まぁ
親父はグビグビと酒を飲みながら適当に言ったが、なるほど、その理由ならここまでの面子を集める必要性が分かる。
「ほんで誰になってん?クソ兄貴か?甚壱さんか?」
直樹に呼ばれたクソ兄貴こと直哉と、呼ばれなかった扇の二人の顔が怒りに染まる。
二人の顔は元々苛立っていたが、余計に酷くなった。
直哉はその呼ばれ方により怒り、扇は自分のことを当主候補ですらないと言外に言われたことに怒った。
しかし、直毘人が次期当主に指名したのは三人のうち誰でもなかった。
故に、直哉と扇は元々苛立っており、その他の大多数の人間はその怒りに触れないように緊張した顔をしていたのだから。
「いや、お前じゃ直樹」
「は?」
「次期当主は禪院直樹とする」
突然のことに直樹の思考が停止した。
確かに
しかし、直樹が止まっても話は進んでいく。
「やっぱり俺は反対や!耄碌したんか親父!」
「そうだ当主の座は私の方が相応しい」
「老い先短いジジイは黙ってろや!」
「何だと貴様っ!」
「やはり直哉様の方が」「しかし」「直樹様もかなりの才を示して…」「いや経験豊富な甚壱様の方が」「いや相伝でないのは…」「扇様は…」「いや、あの人は…」
全員が話すことでその場が騒然とする。
直樹が入る前の状況に逆戻りしていた。
直樹はようやく状況を理解した。
自分が父親に
親父の顔をじっと見る。
親父はこの状況を見てニヤニヤ笑って酒の肴にしとる。
場を納める気が全くない親父を見て俺も笑う。
親父のやつ。
直樹の予想は
直毘人は、次期当主になるのなら、周囲の人間を
その点に関して直樹の予想は当たっていた。
しかし、それだけでは半分しか当たっていない。
残りの半分は
直毘人は今の禪院家の状況を憂いていた。
禪院家には「禪院家に非ずんば呪術師に非ず、呪術師に非ずんば人に非ず」と言う言葉がある。この言葉が禪院家に歪みを生み出していた。
この傲慢過ぎる考え方により禪院家は敵を作り過ぎる。
禪院家以外の呪術師を蔑み、非術師を見下す。
禪院家の中ですらそうだ。女は子を孕む道具として扱い、男ですら呪術師としての能力が低ければ碌な目に遭わない。
そんな事を続けていればいつか禪院家は滅ぶ。
いや、十年以上前のあの日、
滅んでいないのは運が良かっただけ。そう考えていた。
直樹が頭角を表すまでは、直哉か甚壱か、はたまた甚爾の息子である
しかし、直樹が術式に目覚め、異世界に行く事で力をつけ、そして
そして今年の春、鬼のいる日本大正時代から帰ってきた直樹は
時が来たと思っていた。
そして、その力を自分以外に秘密にさせ、自分が直々に呪力の扱いについて稽古をつけ、禪院家が代々伝えてきた技術を全て継承した。
そうして呪術師として仕上がった直樹を、百鬼夜行に行かせることで箔と経験をつけさせた。そして、次期当主として指名に至った。
なお、真希も当主になるつもりであったが、その実力がないとして、現時点では当主候補に考えていなかった。実力がついたならば、有力候補として見ていただろうが。
閑話休題。
直毘人の意図を察して、一つ深呼吸を置いてから
「ちょっと黙れ」
呪力を出して威圧する。
百鬼夜行による戦闘と反転術式により平常時の四分の一程度の呪力とはいえ、効果をあったみたいやな。
ザワついていた大勢は静まり返り、言い争いをしていた直哉と扇ですらも直樹のことを見る。
「親父。条件付きで、その話受けるわ」
「ほう」
「何言うとんねん!お前みたいなやつに当主が出来るかいな」
俺の提案に親父は頷き、直哉が反対する。
言葉にはしてないが扇も目付きが鋭くなっているから反対の立場だろう。
「まぁ、こんな感じで反対しとるクソ兄貴がおるからな。他にも言うてへんだけで反対しとる奴はいっぱいおるやろ?」
俺は周囲の人間を見渡しながら話す。
「特に俺の実力疑っとる奴が多いと思うわ。そこんところどう?甚壱さん」
俺の話にも、直哉と扇の言い争いにすらも我関せずの態度をとっていた甚壱さんに話を振る。この人の意見も聞いときたかった。
「確かに、お前の実力は気になるな」
甚壱は顎髭を触りながら頷く。
「なら話は簡単やろ。
「その条件、縛り入れるんやろな」
直哉が気色ばみながら言ってくる。
『縛り』とは呪術的な契約のことで、お互いに縛り合うことにより契約を破った相手に相応の罰が下るようになる。
「縛り入れるなら
そう返した。今の条件では俺に関しての条件しかない。
一方的な条件では契約とは言えないし、何よりもこれはチャンスやった。
「ええよぉ。お前が俺に勝つなんて有り得へんけどなぁ、直樹」
直哉が代表で返事した。
それに関する反対意見が出ぇへんところを見るに周りの奴らも認めるみたいやな。
それを確認した俺は、その場にいる全員に向けて縛りの条件を宣言した。
「なら俺に負けた奴全員、
その場にいた全員が唖然とする。
この条件こそが、この禪院家を変えるために、どうしても俺がやりたかったことであり、この縛りを受け入れさせたら、女子供の扱いはある程度マシになるはずやった。
「まぁ呪詛師が女やったら困るやろし、任務中と自身の身を守る時は除くとか、条件はつけたるけどな」
「お前らしい甘っちょろい考えやなぁ」
いち早く驚きから回復した直哉が話しかけてきた。
それに対して俺も言葉を返す。
「そんでどうすんねん。この条件呑むんか、呑まへんのか」
改めて聞き返す。
「本気で勝てると思うとるんか!?この俺にっ!」
自分の実力に自信があるのだろう。
直哉が苛立ちを隠そうともせずに聞いてくる。
しかし…
「なんか勘違いしとるみたいやし、もっかい言ったるわ。俺と
「言うとる意味分かっとるんやろなぁっ!」
再三にわたり聞いてきよるけど、こっちの覚悟は決まっとる。
「当たり前や、全員纏めてかかってこいや」
俺の挑発に直毘人以外の全員が怒気と共に呪力を発する。
禪院家の呪術師としての自負があったのだろう、俺の挑発に乗ってきた。
「ぶわっはっはっ!話は決まったみたいじゃな」
酒を飲んでいた親父が豪快に笑いながら締めくくる。
「年が明けたらこの戦いを行う!参加するものはそれまでに儂に言いに来い!」
そんな酔っ払い当主の決定により、決着は年明け。
禪院家の今後を左右する次期当主決定戦が決まった。
いかがだったでしょうか。今話も楽しんで貰えていると幸いです。
今回の後書きも結構な文章量になりましたのでサラッと流し読みして頂けるとありがたいです。
さて、今話に感してですが、結構急な展開だったかも知れません。
ですが、原作でも加茂憲紀が高専生で加茂家次期当主になっているので、まぁありかなと思って次期当主になっても良いかなと思い直樹が次期当主に指名される展開にしました。
また、直毘人の考えについてですが、キャラ崩壊してると思われた方は本当に申し訳ございません。
ただ、原作でも、真希が試練を超えたら当主にしても良いと捉えられる発言や、何だかんだ言っても真希を守るような立ち回り、甚爾に対する対応や、恵についての対応を見ると、禪院家の中ではかなり常識人的な考え方をしているように見えます。
後は、プロローグで少し書きましたが、直樹は孫ほど歳の離れた息子かつ、アニメ鑑賞も一緒にしてくれる相手と言うこともあって、ちょっと甘いです。自ら修行を手伝うぐらいには甘いです。
禪院家当主として、禪院家を存続させる判断として、今のところ直樹が一番マシであると言うのも嘘偽りない本音だったりします。
まぁそれはそうとして酒の肴にして楽しんでますけどね。
では、今回の話も読んでいただきありがとうございました。次回も楽しみにお待ちいただけると幸いです。