同級生が何かキラキラしとる   作:yua

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カミキヒカルと背景通過出来なかった一般人

出会い

 

その子はキラキラしていた。光る金髪はサラッサラでキューティクル。瞳は青く、中性的な容姿は日本人的でありながら中性的な天使の様…とは今だからこそ言えるが当時の自分では「何かキラキラしたのがおる」程度の語彙しか出なかった。実際に言葉に出た。

「えっと…天星銀河くん、だよね?」

戸惑いながら遠慮がちに話しかけてくる声も透き通って人間離れしていたが

「おう、お前の名前は?」

幼さは無謀と同義語であった。全く怖気つかない返答に面食らった顔をして天使はつっかえながら答えた。

「カミキ…カミキヒカルだよ」

 

 

友達(ダチ)になるのは秒速

 

まぁ昔の自分は大雑把というか相手がどうとか自分がどうとか全く考慮せず気ままに横暴に好きなまま言葉を放ち行動していた。人間というより獣に近かっただろう。

「カミキー、ドッヂボールしようぜ~」「カミキー、鬼ごっこしようぜ~おまえ鬼な」「カミキーお前俺の班な。みっちゃんがお前居るなら班一緒になってくれるってよ」

名字から下の名前に呼び方が変わる頃には「ヒカルーお菓子おごって」「超嫌」カミキは無事に反抗期を迎えた。

「最近ヒカルが言う事聞いてくんない」「むしろよく耐えたよ」

クラスメイトの意見は一致していて泣きそうになった。でも、男共はカミキの容姿と勉強も運動も出来る所や常に冷静な物言いに萎縮してるし、女子は遠巻きにキャーキャー言うだけだからカミキは結局、今日も俺とダベっている。

「生まれ変わったらサイヤ人になってみたいわ。ヒカルはエルフとか行けそうじゃね?」

「それ見た目のイメージだけで言ってない?」

「最近ヒカルは更にキラキラしてきたからな。正直、正面から見ると目に痛い。ちょっと光量落とせない?」

「そんなライトか何かじゃないんだし」

「…ヘイ、カミキ!暗くして」

割りと本気のアイアンクローで頭握り潰されるかと思った。

 

 

そんなカミキ君がスカウトされたらしい。

「やっぱジャ◯ーズとかにスカウトされたん?」

「ううん、劇団だって。出来たばっかりの劇団ララライ」

「ララバイ?」

「ララライ」

ふーん、と頷きカミキを観察する。控え目だが嬉しそうであり、ややドヤ顔をかましている。「デュクシ!」カミキの額に指を突き刺す。「え、なに?」「デュクシ!デュクシ!」「やめ…止めろこの馬鹿!」凄い勢いで殴られた。強くなったなヒカル…。

 

大人の女性は怖い。それはそれとして俺は無一文になった。

 

あれは真冬の寒い日だった。

その日は劇団の練習も午前までで、午後は遊びに行こうとカミキと約束をしていた。だが何時もは時間10分前には来るカミキが10分過ぎても来なかった。真面目が息をして二足歩行しながらキラキラしている様なカミキにしては珍しい。こういった時はカミキの人の良さを考えて人助けか誘拐を考える。やや過保護気味なカミキの親父さんからGPS(普通は保護者が幼い子供の為に持つタイプ)を貰っているので、それを起動させる。

「劇団ララライと家の真ん中位かな」

駅で乗り換えするには中途半端だしララライの人に飯でも奢って貰っているのか。「俺との約束をブッチして奢って貰う飯は美味いか?」決め台詞を用意した俺は走り出した。道路まで。

「ヘイ、タクシー!!」

 

着いたらカミキにタクシー代は払わそうと考えながらGPSを頼りに運ちゃんに指示を出していると何か明らかに昼間に居ちゃいけないタイプのホテル街に着いた。運ちゃんが戦慄しながら俺を見ているのに耐えられずタクシーを停めてなけなしの小遣いで支払いを済ませる。ゲーセンでプライズ取るために貯めたのに…カミキには飯代とゲーセン代も出して貰おう。

GPSを頼りに歩くと何か女の人と密着して歩くカミキが居た。髪の毛キラキラで目立つな本当に。ここは天星はクールに去るぜ…とは行く訳もない。なにせ俺は小銭しか無い為に帰りは徒歩になる。家に着くまでに足が千切れ飛ぶし母にクソ怒られてしまう。何か女の人に寄り掛かってボーっとしているが知ったこっちゃない。こちとら命がかかっているのだ(誇大表現)。

「あのー」

「え?」

女の人がめっちゃ焦って振り返る。

その時には俺はカミキを抱え女の人の背後に居た。

「ふっ、残像だ」

更に振り返った女の人の顔が凄い怖かった。完全に目が座って俺を敵として見る目だった。やばいと思った俺はカミキを女の人に投げた。

「あっ!?」

ビックリしてカミキを受け止める女の人は中腰になり左足が前に出る。その細い脛を俺は思いっきり踏みつけた。枯れ木の折れる様ななんてもんじゃなく思いっきり“バキィッ”と音がして女の人が悲鳴を上げて倒れ込む。カミキは再び放り出され、俺はカミキを受け止め走り出す。後ろから意味は判らんけど俺の悪口を言っているのだろう。悲鳴とも怒鳴り声とも言える金切り声が背中にナイフみたいに刺さるのが恐ろしくて俺は必死にカミキを引きずりながら逃げた。何処をどう走ったのか覚えていないが何時の間にか俺は交番で横になって居た。警官の人が色々聞いてくるが息が切れた俺は勿論、ボーとしたままのカミキは何も言えず警官の人はもう一人の人と何やら話した後に病院へ行くと俺に言った。

 

 

病院から俺の親とカミキの親に連絡がいき、俺はどちゃくそに叱られた後にめっちゃ泣かれた。頭に拳骨や頬にビンタを喰らいまくった俺の方が泣きたいんだが?

そんな俺の意見は封殺され、カミキが何か意識が朦朧とする薬を飲まされてたとか、女の人の足を折るのはやり過ぎだけどよくやった。とか色々言われた。名前は聞かなかったが何か女優さんにカミキが誘拐されかけたらしい。カミキも慕ってた人でショックを受けていた。カミキの親からは感謝されたがそれはそれとして何で連絡してくれなかったと言われ、飯とゲーセン代目当てだったのがバレてまたタンコブとほっぺたにビンタの後が増えた。ガンジーでもここまでやられっ放しでは無かっただろう。そろそろ俺も聖人の列に加わりそうだな、とか思っているとカミキの親が劇団にはもう通わせないと言い出した。世間的に見れば誘拐されかけたんだから当たり前だが、学校でも俺くらいしか話し相手の居ないカミキが人並みに元気になったのは劇団で演技の才能を認められていたからだ。学校での評価は顔が良過ぎる文武両道のカミキ君だが劇団では将来が楽しみな甥っ子みたいな感じで扱われているらしく、色々と劇団の人に甘えているみたいだった(カミキの親は色々と厳しい割にかまってくれないとはヒカルの談)。何か目の奥に絶望の星みたいな真っ黒なものが湧き上がるカミキに俺はあの女の人みたいなヤバさを感じて必死にカミキの親に説明をした。その途中で「お願いします。何でもしますから」と言ったかは定かではない。

 

 

「どうして俺が劇団ララライに居るのかって?俺にも分からん」

「意味わかんないウケる」

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