転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します!   作:たかきょう

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第13話.時には演技力だって必要なんだよね~!

 

 

教室に戻ってからは、私達は普段通りに午後の授業を受けていた。

 

 

(あっ‼真鍋さんはすっかり、顔が死んでるけどね...)

 

 

ちなみに私は真鍋さんの退学が取り消しになった事をまだ、本人には伝えていない。そのため、彼女は溢れんばかりの涙を堪えながら残りの時間を過ごした。

 

 

真鍋グループのメンバー達は、そんな彼女を憐れんでる様子を見せるが、自分達にはどうにもできない...

 

 

屋上での取り決め通り、帰りのホームルームの最後に坂上先生に言ってもらう手筈になっている。もちろん、彼女にお灸を据えるためだ。

 

 

それまでの間は退学の恐怖に怯えながら、最後の授業を受けてもらうとしようかな...

 

 

「あっ‼西野さん、前にあなたが読みたがっていた恋愛小説をお貸ししますね。」

 

 

「わざわざ、ありがとう...椎名さん。」

 

 

ホームルーム直前、私は中間試験期間中に仲良くなっていたひよりちゃんから、とある恋愛小説を受け取っていた。ひよりちゃんとは勉強会で一緒に教え役に回ったり、その合間に好きな小説の話をするなりで、いつのまにか仲良くなったのだ。

 

 

「それにしても...西野さんも悪い人ですね。」

 

 

「えっ⁉それって、どういう意味かな?」

 

 

そんなひよりちゃんから...いきなり、物騒な事を言われて私は困惑する。

 

 

「ふふっ...真鍋さんを救済したのにそれを本人には伝えていないなんて、腹黒いじゃないですか?」

 

 

「なっ⁉...何で、それを知ってるの?」

 

 

真鍋さんを救済した事は本人はおろか、友達の美野里ちゃんや麻里子ちゃん...ましてや、龍園にすら話していないんだけどな?

 

 

「急に教室を出たかと思うと、今度は坂上先生を屋上へと誘導...そして教室に戻るなり、チラチラと真鍋さんの方を見て悪い笑みを浮かべている...真鍋さんを救済して、彼女を何かに利用しようと考えているのでは?」

 

 

「えっ⁉見てたの⁉」

 

 

「はい、西野さんの行動に興味があったので、こっそり尾行させていただきました。西野さんも気づかなかったでしょう?」

 

 

そう言って...まるで、いたずらっ子のように私を見て、クスクスと笑うひよりちゃんを見て私は己のミスを悔いていた。

 

 

(あぁ...それは完全に私のミスじゃん...誰にも見られてない事をちゃんと確認してから、坂上先生を屋上に誘導するべきだったね...)

 

 

今回、幸いにもその現場を見られたのが同じクラスのひよりちゃんだったから良かったものの、もしもAクラスやBクラスの生徒に見られていたら、いろいろと危なかったかもしれない...

 

 

特にBクラスに関しては、次に仕掛けようと考えているクラスなだけあって、なおさらだ。

 

 

「椎名さんって、勘が鋭いんだね。」

 

 

「はい、私...こう見えて、洞察力には自信があるんです。」

 

 

原作で、龍園が一時的にリーダーから降りた際に、新リーダーを任された理由がなんとなく分かった気がするね...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

「では、今から帰りのホームルームを始めます。」

 

 

いよいよ、全てのネタバラシがされる帰りのホームルームが始まった。

 

 

(真鍋さんがどんな反応をするのか、ちょっと楽しみ...)

 

 

そして...配布物に連絡事項など、全てが終了した...本来ならば、最後に坂上先生の一言が終わると同時に下校となる予定だ。

 

 

 

 

...本来ならね?

 

 

 

 

「では...これで、ホームルームを終了...といきたいところですが、最後に真鍋さん...」

 

 

「...はっ、はい...」

 

 

今日で退学だから、最後に別れの挨拶でもしておけと言われるんじゃないかと思ってるのか、真鍋さんがゆっくりと立ち上がる。

 

 

「あなたの退学は取り消しになりましたよ。」

 

 

「えっ⁉...取り消しですか⁉」

 

 

坂上先生の一言に教室中がザワついている。落ち着いているのは、大体はこうなる事を読めていたひよりちゃんと龍園だけだ。

 

 

ちなみに龍園は『武子め、やってくれたなぁ』と言いたげな表情で私の方を見てニヤニヤしている。彼も私が真鍋さんを救済する事自体は読めていただろう。

 

 

「志保‼良かったね!」

 

 

「本当だよ‼退学にならなくて良かったじゃん‼」

 

 

真鍋グループの皆が、嬉しそうな様子で真鍋さんに駆け寄る。だが、当の本人である真鍋さんはどこか、腑に落ちない様子を見せている。恐らく、自分の退学が取り消しになった理由を知りたいのだろう。

 

 

「先生‼何で、私の退学は取り消しになったんですか⁉救済措置は...ないんじゃなかったんですか⁉」

 

 

そして、真鍋さんは当たり前のように坂上先生に質問を投げかける。

 

 

「よく、聞いてくださいね。...それは、西野さんがあなたの点数を2点分、200万ポイントで購入したからですよ。」

 

 

その瞬間、周囲の視線が私に集中した。そこには、当然ながら真鍋グループのメンバー達も含まれている。

 

 

「えっ⁉西野さんが⁉」

 

 

「おいおい、200万って‼マジかよ⁉」

 

 

「それよりも...何で自分の悪口を言っていた真鍋さんをポイントを払ってまで?」

 

 

「武子ちゃん、どういう事?」

 

 

私が、皆からの質問攻めにあっていると...

 

 

「てめえら!...一旦、静かにしやがれ。坂上...とりあえず、ホームルームをさっさと終わらせろ。話はそれからだ。」

 

 

この状況を見かねた龍園の一喝で、教室内は一時的に静けさを取り戻した。

 

 

「とにかく、真鍋さんの件に関しての詳しい話は西野さんから聞いてください。では、これにて帰りのホームルームを終了とさせてもらいます。」

 

 

そう言うと、坂上先生は教室を出ていった。

 

 

これで、先程の質問攻めが再開される...と思ったが、真っ先に口を開いたのは真鍋さんだった。

 

 

「西野さん、なんで...なんで‼私を助けてくれたのよ⁉ねぇ⁉」

 

 

私に駆け寄って、そう言うと同時に私の胸ぐらを掴んでくる。

 

 

「ちょっ‼武子ちゃん⁉」

 

 

「ちっ‼...武子姐さん!」

 

 

「麻里子ちゃん‼石崎君!動かないで!」

 

 

その真鍋さんの行動を見て、私を助けるべく駆け寄ろうとしてきた、麻里子ちゃんと石崎の二人をとりあえず制止する。

 

 

「人を助けるのに理由なんてないとか、言っても信じてくれなさそうだね。」

 

 

「当たり前よ‼私は...私は‼散々、あなたの悪口を言ったし...あなたからの優しさを何度も振り払ってきた!それなのに‼...なんで!」

 

 

真鍋さんはそう懺悔する。実際に彼女が言っている事は全て事実なのだから...

 

 

「私は...龍園君と一緒にこのクラスの皆をAクラスで卒業させてあげたい...その中には、当然だけどあなただって含まれているんだよ?」

 

 

「えっ⁉」

 

 

「それに...あなたは、自分の長所が私や伊吹さんにしてたように『女子を威圧できる』ってところだけだと思ってるかもしれないよ...だけどね‼私から見れば、その『女子を威圧できる』っていうのも、実力主義のこの学校においては、今後も立派な武器になり得ると思ってるの!気が弱いとかよりは、遥かに使えるじゃん!」

 

 

「西野さん...」

 

 

私の言葉に思うところがあったのか、私の胸ぐらを掴んだ手がゆっくりと下ろされた。

 

 

「真鍋さん、だからこそ西野さんはあなたが寝落ちしてしまった英語だけ、わざと点数を落としたんですよ?英語の平均点を下げて赤点ラインを少しでも低くするのと、仮に赤点を取ってしまっても救済可能な金額に抑えられるように...」

 

 

「なっ⁉そっ...そうなの⁉私、あの時...あなたに酷い事を言ったのに...」

 

 

ひよりちゃん、そこにも気づいちゃってたか...私が5教科中、1教科だけ100点を逃した理由はお分かりいただけただろうか?

 

 

この為だけに私は英語の点数だけ、50点にまで落としたのだ。

 

 

「真鍋さん...これからはあなたの長所をこのクラスのために生かしてほしいの。いいかな?」

 

 

「ううっ‼西野さん...今まで悪口を言ったりして本当にごめんなさい‼」

 

 

「気にしてないよ‼だって、もう過去の事じゃん‼そんな後ろめたい過去よりも、これからの未来を楽しもうよ!...ね?志保ちゃん?」

 

 

そう言って、私は真鍋さんを優しく抱き締める。

 

 

「あっ...ありがとうございます...武子お姉様...」

 

 

 

 

こうして、真鍋さんは救済されたのだった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ククッ‼中々、おもしれぇ芝居だったぜ...武子。これで、アイツらは二度と舐めた真似は出来ないな。」

 

 

「やっぱり、あなたには見抜かれてたんだね...」

 

 

その日の帰り道、ニヤニヤしている龍園君に声をかけられた。

 

 

「で?真鍋を助けたのにも、ちゃんとした理由があるんだろ?」

 

 

「...もちろんだよ。私がただの善意で彼女を助けるわけがないじゃん...」

 

 

「まぁ、とりあえずは真鍋を助けたお前の選択が吉と出ると信じてやる。ただし、近いうちに真鍋を使って何かしらの成果を出してみろ。」

 

 

「えぇ、任せて!ドラゴンボーイ君!」

 

 

「次、そのふざけた名前で呼んだら...殺す。」

 

 

真鍋さん、ごめんね?あなたに一つだけ嘘ついちゃったんだ...

 

 

 

 

あなたを助けた本当の理由は...

 

 

 

 

...私の次の計画の駒になってもらうためなんだよね...

 

 

 

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