転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します! 作:たかきょう
「...さぁ、遠慮なく部屋に入ってね。」
「えぇ、失礼させてもらうわよ...」
この日、私は今回の件の証言者になってもらう予定のスパイKMを自分の部屋に招いていた。
「それで、ちゃんと...その瞬間は撮れたんだよね?スパイKMちゃん?」
「もちろんよ。ていうか...なぜ、イニシャル呼びなわけ?」
「あっ‼嫌だった⁉じゃあ、スパイ髪のヘアーちゃんでいい?」
「いや...尚更、悪いわ‼大体、なによ?その変なコードネームは‼」
神室▶神の部屋▶髪のヘアー...とかいう語呂合わせ的にぴったりなコードネームだと思うけど、本人に言ったら余計にキレられそうなので黙っておこうかな...
そして...読者の皆様も大体は察していた通り、スパイKMの正体は神室真澄である。
この子は原作では坂柳さんに万引き現場を見られた事で弱みを握られ、こき使われるという不運なキャラである。
この世界では、坂柳さんではなく私に弱みを握られる形になったが、私は坂柳さん...いや、有栖ちゃんほど残酷な性格ではないので、原作よりかは丁重な扱いをする予定だ...
「さて、おふざけはここまでにして...真澄ちゃん?Aクラスにはちゃんと馴染めてるの?」
「...まぁ、坂柳をいじるのも楽しいし...」
「えっ⁉あの坂柳さんをいじってるの⁉命知らずだね...」
この世界の真澄ちゃんは有栖ちゃんには弱みを握られていないため...彼女相手にも原作よりかは言いたい事がはっきりと言える性格になっているようだ。
「この前なんか...さかやなぎじゃなくて、さかなやぎ‼って呼んだら、杖で私の足の指を思いっきり、踏みつけられちゃったし...」
「それは、自業自得だね...」
「あのおチビちゃん...自分を天才とか言ってる割に煽り耐性低すぎなのよね...」
確か...原作でも高円寺君から【リトルガール】呼ばわりされて、ムキになって撤回させようとしたぐらいだもんね...
「...とはいえ、私がそれなりに彼女に愛着があるのも事実かな。あの子...どこか、放っておけないのよね...」
「どういう事?」
「あの子...皆の前では、自分を大きく見せようとするタイプだと思う。実際に過去問の件で、派閥のメンバーに責められた時も...あの場では取り繕っていたけど、私と二人っきりになった瞬間に抱き着かれたりしたんだよね...」
「へぇ~、あの坂柳さんがね~。」
「うん、それでつい...庇護欲?みたいなのが出ちゃってさ...」
なるほど...この世界では、弱みを握られなかった事で有栖ちゃんと真澄ちゃんの関係性も原作から、大幅に変化しているみたいだね。
「坂柳さんのこと...友達だと思ってる?」
「...一応、私としては思ってるつもり。向こうが内心、どう思っているかは知らないけど...」
原作の真澄ちゃんなら、『アイツは友達なんかじゃない』と言ってただろうな...
「...ねぇ?じゃあさ‼私とも友達になろうよ!真澄ちゃん?」
「...人の弱みを握ってスパイ行為をさせておいて、どの口が言うのかしら?」
まぁ、言われるとは思ったよ...だから、秘策を用意させてもらった。
「じゃあ、この映像を覚えてる?」
私はそう言って、携帯を出すと...真澄ちゃんが万引きをした瞬間の映像を見せる。
「覚えてるわよ...それが、今更どうしたわけ?」
「ふふっ‼...こうするんだよ!」
「はぁっ⁉」
その瞬間...私は削除ボタンを押して、その映像をデータから削除した。
「いやいや!あんた、何を考えてるわけ?これじゃ、私を脅す材料がなくなっちゃったじゃないの...」
さすがにこの行動は予想外だったらしく、真澄ちゃんは驚きを隠せない様子だ。
「これで、私が心の底からあなたとお友達になりたいと思ってるって、信じてくれたかな?」
「.........」
真澄ちゃんは、少しだけ黙った後...
「...考えとく。とりあえず、審議にはちゃんとCクラス側の証人として参加するつもり。ただし...それからどうするかは、私が決めるから...これで、満足した?」
ツンツンした態度ながらも答えを返してくれた。
「やった~‼ありがとう!真澄ちゃん‼」
「なっ⁉...ちょっと...やめなさいよ...」
私が友情の印として真澄ちゃんに抱き着くと、彼女は顔を真っ赤にして嫌がる素振りをみせた。
だが...その言葉の割には、真澄ちゃんは私を無理矢理引き剥がそうとはしない。むしろ、少し恥ずかしがってるようにも見える。
(こういうツンツン系の女の子って案外、チョロいんだよね...)
そんな真澄ちゃんにお友達の印として、いい事を教えてあげるとしよう...
「そういえばさ...私、坂柳さんとも仲良くなりたいんだよね?」
「意外ね...坂柳とも?」
「真澄ちゃんがさっき、坂柳さんをいじってた時さぁ...こっそり、録音しちゃったんだよね‼そのデータを坂柳さんに渡したら、仲良くなれるかな?」
「あんた...やっぱり悪魔でしょ...」
まぁ...これからはお友達として、よろしくね!真澄ちゃん?
・・・・・
しばらくして...真澄ちゃんが部屋から帰った後、
(Bクラスにもスパイを作るべきかな?)
私はまたも、悪巧みをしていた...
このままいけば、いずれは原作知識が通用しなくなる日が来る...それに備えて、情報網を強化しておきたいのだ。
(作るにしても...帆波ちゃんの周りにいる子達は避けないとね...あとは、神崎君や柴田君みたいにクラスで目立ってる子もダメかな...)
あっ‼そういえば...この事件は、原作だと愛理ちゃんの成長イベントだったっけ?
仮に最初から現場を見られていたとしても、私が関与で事件の内容が変わっちゃった事...DクラスがCクラスに友好的な事から、今になって自分から名乗り出る事はないはずだ。
その代わり、ストーカー問題は解決されなくなる可能性が高いから苦しい日々を送る羽目になりそうだね...
どうする?助けたところで、愛理ちゃんが私の計画に役立てるとは思えないんだよね...
いっそのこと...見捨てちゃおっかな?
主な原作との相違点。
◆坂柳と神室の関係が、【主従】から【友情】に変わった。
・・・原作の坂柳だって、自分なりに友達を作りたかっただけだと思うんですよ...