転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します! 作:たかきょう
入学式も終わり、この日はお開きになったので私が木下さんと一緒に自分の女子寮へ向かおうとした時だった。
「おい、西野。ちょっと面貸せ。」
ドラゴンボーイこと、龍園がニヤニヤした笑顔を浮かべながら、私に声をかけてきた。
まぁ、用件は大体、想像がつくんだけど...
「あなたは確か、龍園君だっけ?ただの普通の女子高生の私にいったい何の用かな?」
「ククッ、てめぇみたいな切れ者が普通なわけがねぇだろ。まさか、この俺以外にもこの学園の本当のシステムを解き明かす奴がいたとはなぁ。」
龍園がそう言いながら、私に近づいてくる。
「ちょっ...西野さん、どういう事⁉それに、この学園の本当のシステムって...」
「ふん、お前のような雑魚には分からない話だから黙ってろ。」
私と龍園の話についていけてない木下さんが困惑しているのが分かる。
「西野、とりあえず俺について来い。ここだと目立つ。」
「分かった、すぐに終わるんだよね?」
「そりゃあ...まぁ、てめぇ次第だな。」
龍園は5月にこのクラスの王になるつもりだ。その過程で脅威ともなりうる私を事前にどうにかしておきたいのだろう。
「じゃあ、私は龍園君と話してくるから!木下さんは先に寮に戻っててもいいよ!」
「うっ、うん...あっ‼龍園君!絶対に...絶対に‼西野さんに変な事しないでよ‼」
「おいおい、てめぇらは俺が女を襲うようなバカな奴に見えるのか?」
『『はい!見えます‼』』
「ちっ‼...てめぇら、後でぶっ殺す...」
いやいや、私達を睨まれても...そもそも、貴方の見た目と口調のせいなんだから...
・・・・・
「ここなら、誰かに見られる心配もねぇな。どうだ?」
「うん、確かにそうだね。」
龍園に連れられてやって来たのは、原作で須藤暴力事件の舞台となった、あの特別棟だ。確かにここなら監視カメラもないし、密談には絶好の場所だろう。
「単刀直入に言うぜ。西野、俺の下につけよ。」
「はぁっ⁉どういう意味⁉」
「俺は近いうちにCクラスの王になる男だ。お前のような優秀な奴ほど手元に置いておいて損はねぇからな。」
内容は案の定、私に対する勧誘だった。
「はぁ...クラスの王とか言ってるけどさぁ...確かに絶対的なリーダーが生まれるのは悪くない話だとは思うよ。...だけど、私達のクラスのメンバーってくせ者揃いじゃん...まずは生活態度や授業態度を良くする事から始めないといけないけど、貴方の言うことを皆が聞くとでも?」
「安心しろ、もしもの時はこの世で一番強い力...暴力で分からせてやるからよぉ。俺は権力なんぞに頼らねぇ。」
何事も暴力で解決しようとしてる辺り...やっぱり、龍園は龍園だね...
「あなたは暴力って言うけどさ...もし、あなたより喧嘩が強い奴がいたらどうするつもり?...例えば、山田アルベルト君。贔屓目抜きにしてもあなたが彼に勝てるとはとても思えないんだけど?」
「まぁ、すぐには勝てないだろうな。俺もそのぐらいは承知だ。...だがな、最後に勝てればそれでいい。俺にとっては最後に立っていた奴こそが勝者なんだよ。」
話してみて分かったが、龍園翔という人間には人を惹き付けるカリスマというものが多少はあるらしい。
原作でも龍園をあれほど嫌っていた伊吹さんでさえ、彼からの命令には素直に従っていたし、彼がリーダーを降りた時は復帰を願っていたくらいなのだから...
「俺についてくればお前らを必ずAクラスまで導いてやる。さぁ、どうする?西野。」
まぁ、ここで龍園に歯向かったとしてもAクラスの葛城VS坂柳のような派閥争いが勃発するだけだし、派閥を作るのはめんどくさい。
それに私は元の世界で親の職業の影響からか...多少は合気道や柔道、空手といった武道や武術の全般を習わさせられたとはいえ、それは数年前の話。
よって、多少ブランクが存在する。
堀北さんや伊吹さんレベルならまだしも...龍園に勝てるかはちょっと微妙か...
いや、単純な戦闘能力では私が勝ってるかもしれないが体格差による防御力並びに彼特有の執念で押し切られる可能性も否定はできないし...
特に龍園と敵対する理由もないから、ここは引き受ける事にしよう。
「分かった...龍園君、あなたについていく。その代わり、絶対にこのクラスをAクラスまで導いてほしいの。」
「ククッ、いい選択だ。...安心しろ、お前の判断に誤りはなかったってことをこの俺が証明してやるからよぉ。」
「うん、これからはあなたの左腕としてクラスを支えるからよろしくね。」
「おいおい、そこは右腕って言う場面だろうが。」
確かに普通なら、右腕と言うのが正しいのかもしれないが...
「ふふふっ...いい?右腕というのは、あなたの事を絶対に裏切らない人間の事を言うの。私はもし、あなたがクラスに悪影響を及ぼすと見なしたら容赦なく切り捨てちゃうかもよ?」
その瞬間、龍園が私に向かって殴りかかってきたので、とっさに受け止める。さすがに龍園の方も本気ではないようだが、私の腕にはしっかりとその拳の衝撃が伝わった。
「危ないなぁ...いくら監視カメラがないとはいえ、ここで仕掛けてくるとは思ってなかったからびっくりなんだけど...」
「ククッ、腕っぷしの方もそれなりにあるとはなぁ...お前は本当に面白い女じゃねぇか。なぁ、武子。」
(たっ、武子呼び⁉)
このドラゴンボーイ...ナチュラルに私を下の名前で呼んできやがったから一瞬、不覚にもドキッとしちゃったんだけど⁉
私は初期の堀北さんほど、他人に無愛想なわけじゃないんだからね‼
まぁ、原作でも堀北さんの事を鈴音って呼んでいたし、この男は気に入った女を下の名前で呼ぶ趣味でもあるのだろうか?
「さっきも言ったが、俺に従うと言ったお前の判断に誤りなんかねぇよ。...だから、俺を裏切ったら容赦はしねぇ。これだけは覚えておくんだな、武子。」
「そっか‼一応、覚えておく。改めて、あなたの左腕になるからよろしくね!ドラゴンボーイ君。」
「...次、そのふざけた名前で呼んだら...殺すぞ。」
あいにく、恨むなら私じゃなくて、このふざけたネーミングを生み出した高円寺六助を恨む事だね...ドラゴンボーイ君?
この世界の龍園は、これから西野に振り回される予定です笑(本当か?)