転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します! 作:たかきょう
何とか真鍋グループのメンバー達の行動を思い留まらせる事に成功した私は楽しい食事を再開!...するはずだった。
「なんだと!てめぇ!!」
「ふん!この店はお前達のような不良品が来るような場所じゃねぇんだよ!不良品は不良品らしく、ジャンクフードでも食ってろよ!これだからDクラスは...」
それなのにさぁ...店の端の方から聞くに堪えないくらい酷い罵声と怒鳴り声が聞こえてきちゃったんだよね...
その声を聞いて私は思い出す。
(そういえば小説版の事ばかりに気を取られてたけど、アニメ版ではこういう流れで2人の言い争いは始まったんだっけ...)
それぞれ声の主は原作ファンならお察しであろう、怒鳴り声の方は須藤...そして、罵声の方はAクラスの戸塚弥彦という名の男子生徒だ。
確か...原作での戸塚弥彦も自分がAクラスに所属している事を誇りに思っていて、自分よりも下のクラスの人間を必要以上に見下すタイプの人間だったっけ...
また、彼は同じクラスの葛城くんを尊敬しており、葛城派の一員(というよりかは彼の腰巾着)として傲慢に振る舞っていた。
しかし、最終的には2月におこなわれたクラス内投票という特別試験にて有栖ちゃんの謀略とはいえ、その葛城の失策によって彼自身が退学に追い込まれてしまうという哀れ過ぎる末路をたどったというキャラである。まぁ、半分くらいは彼の自業自得なので同情はしないけど...
「あれって、噂のAクラスの戸塚くんだよね?」
「そうそう!Aクラスに所属しているってだけで偉そうにしてるやつだよね~!」
「分かる~!Aクラスに所属している以外には何の取り柄もない癖にさぁ...」
美野里ちゃんや薮さんや山下さんの反応から分かる通り、彼は私達のクラスの人間の間でもかなり有名になっていたりする。
もちろん、悪い意味でね...
「須藤!一旦、落ち着けよ!ここでキレても良い事なんてないだろ?...な?」
「なっ!山内!...けどよ!」
戸塚の態度に怒りを見せている須藤を止めに入ったのは意外にも山内だった。
「聞いたところ、Aクラスの生徒だよな?悪かったよ...俺達のマナーがなってなくてお前らを不快にさせてしまったならお詫びさせてもらうし、他の店に移らせてもらおうとも思っている。」
そう言って戸塚のみならず、店にいた他の生徒達にも頭を下げてきた山内に店内は何とも言えない空気になった。
もちろん、私だって例外ではない...
(いや、あんたは本当に山内春樹であってる!?)
原作の山内ならば絶対に言わなさそうな台詞な辺り、やっぱり...彼の例の愛理ちゃんを助けたという噂は真実であり、人間的に成長したというのも本当だったのだろう。
「ほう、Dクラスにも多少は物分かりの良いマシな奴もいたとはな。」
「まぁ...実際にDクラスは俺を含めた大半がお世辞にも優れているとは言えないからな。...だけどな。」
そこまで言い終わると...それまで椅子に座っていた山内は席を立って、そのまま戸塚の元に近付いていく。
これを無言の威圧感と言うのだろうか...
山内の雰囲気がさっきまでとは変わった事に戸塚の方も僅かながらに動揺の色が見える。
「なぁ?個人とかじゃなく、『Dクラス』だからという理由で他人を見下すのだけはやめてくれねぇか?Dクラスにも俺なんかと違ってそれなりに優秀な人間だっているんだぜ?」
一応だけど、不良品呼ばわりされているDクラスにも堀北さんや高円寺くん、そして何よりも...原作の主人公でホワイトルームの最高傑作である綾小路くんといった、優秀な人材も何人かは在籍しているという点では山内の主張は決して間違いとは言えないんだよね。
その実力が周囲に認知されてるかは別として...
「ふっ...ふん!所詮は不良品の中のどんぐりの背比べみたいなものだろうが!俺がお前なんかにあれこれ言われる筋合いはねぇんだよ!」
とはいえ...戸塚は戸塚で自分がAクラスに在籍している事に異常なプライドと誇りを持っているからか、その程度の事では自分の意見を変えたりするはずもなく...逆に当たり前のように山内に対して食ってかかっている始末だ。
(さて、そろそろ止めに入ってあげようかな...)
このまま、あの光景を傍観しておくのも悪くはないけど...美野里ちゃんや麻里子ちゃんが戸塚にウザそうな視線を向けてるからね~。これから行われる予定の過酷特別試験を前に余計なストレスを溜め込ませるのもかわいそうだし...
そう思った優しい私は言い争いを止めるべく、山内と戸塚の元へと向かった。
「確か...Aクラスの戸塚くんだっけ?あなたさぁ...そんな風に自分より下のクラスに執拗に突っかかって何が楽しいのかな~?」
「えっ?西野ちゃん?」
「西野!」
「おっ...お前はCクラスの西野!?」
予期してなかったであろう、私の乱入に戸塚のみならず、山内や彼の周りにいた須藤や池も驚いている様子だ。
あっ!せっかくだし、一つだけ訂正しておくね?
「はい、残念~!今は
「なんだと!!」
そう言うと、Bクラス...いや、元Bクラスで現在はCクラスに降格してしまった一之瀬クラスの一部の生徒達から殺気らしきものを感じた。だけどね?恨むなら私にターゲットに選ばれるくらいポテンシャルの低い白波さんか、私の策にまんまと嵌まってしまった自分達のリーダーである帆波ちゃんを恨むがいい...
「はぁ...いやいや!あなたの気持ちは分かるんだよ!?あなたはAクラスの癖に学力も低いし、運動能力もへなちょこ...正真正銘のAクラスの不良品だもん!だからこそ、下のクラスの生徒を見下さないとやっていけないんだよね~?」
「なっ...黙れ!!元はといえばCクラスの奴に言われたくねぇよ!」
「えっ!?何で怒ってるの?私はあなたを擁護してるんだよ~?というわけだから、須藤くん達もさぁ...戸塚くんの言う事は所詮はAクラスの負け犬の遠吠えだと思って、温かい心で許してやってあげようよ!...ね?」
私がそう言った瞬間、店内が笑いに包まれた。この時ばかりはBCDの3クラスの生徒達の心も一致したみたいだ。
しかも...同じクラスにも戸塚の事を快く思っていなかった人間もいたのか、Aクラスの生徒の中にも笑いを堪えている人達の姿がちらほら見える。
「そっ...そうだよな!俺達は心が広いから許してやろうぜ!なぁ!?須藤!」
「あっ...あぁ!そうだな!いやぁ~!悪かったな~!戸塚だっけな!お前の気持ちを理解してやれなくてよぉ~!」
挙げ句の果てには...ついさっきまでキレていた須藤さえも、今では笑いを堪えて戸塚に謝罪(笑)をしているくらいだ。
「黙れ!黙れ!!黙れえぇぇっ!!!」
当の戸塚は顔を真っ赤にしてプルプルと震えながらも声をあげているが、最早...周囲から完全に舐められちゃっているね...
「やれやれ...色々とお腹がいっぱいになっちゃったし、そろそろ私はお暇するね~!」
私はそう言いながら、最後に喚いている戸塚の耳元で...
「あなたのような疫病神を派閥に入れておくなんて、葛城くんもかわいそうに...」
...と、呟いておいた。
そして...私はそのまま、店を出ていった。これ以上、戸塚の見苦しい喚き声を聞いちゃうと流石に不快な気分になりそうだからね...
「ちょっ!武子ちゃん?」
「武子お姉様~!待って下さ~い!」
後ろの方では私のグループのメンバー達が慌てて私の後を追おうとしている声が聞こえていた。
ちなみにだけど...葛城くんの事を悪く言われて絶対に逆上して私に掴みかかって来る...もしくは、更なる暴言を浴びせてくると予想していた戸塚が意外にも特に大きな反応を示さず、俯いているだけだったという点が少しだけ気になったかな?
主な原作との相違点。
◆成長した山内と西野ちゃんとで戸塚を撃退した。
・・・西野ちゃん曰く、言いたい事が言えてスカッとしたらしい...
余談だが、山内は裏で佐倉とお互いに名前呼びの関係になる事に成功している。しかし、一方で池が櫛田と名前呼びの関係になった事を聞いた時は池に憐れみの視線を向けていたとか。(誰かさんのせいで櫛田の本性知っちゃってるからね笑)