転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します! 作:たかきょう
龍園との密談から数日が過ぎた。
あれから龍園は早々に石崎達を屈服させるのに成功したらしく、次は山田アルベルトに喧嘩を売っている。
とはいえ、原作でもアルベルトは龍園より喧嘩が強い設定だった筈だ。石崎達ほど簡単には屈服しないだろう。
実際に今日も木下さんと一緒に彼が全身、傷や汚れだらけになって寮に帰るのを目撃している。
「ねえ、西野さん。龍園君ってここ最近、ずっとアルベルト君と喧嘩してるのを見るよね?いい加減、懲りないのかな?」
毎日、喧嘩をぶっかける割に龍園がアルベルトに勝ったところなど1回も見れていないのだから...木下さんがそう思ってしまうのも無理はない。
「それは違うよ、木下さん。彼は絶対に諦めないという執念深さと忍耐力で最終的にアルベルト君を自分のボスと認めさせるつもりだからね。」
「ひっ!正気の沙汰じゃないよ...」
龍園の策に木下さんがドン引きしている。原作では後に自分も龍園の汚い策に協力させられる羽目になるという事は黙っておこう...
「あっ‼そろそろ、陸上部の練習が始まるから‼西野さん、じゃあね!」
「うん、練習頑張ってね!」
ちなみに木下さんは原作と同じく、陸上部に所属している。龍園に駒として利用されないか心配だな~...なんて、思いながら部活へと向かう木下さんを私は見送った。
「...さて、そろそろ連絡が来るはずなんだけどな...あっ‼さっき、かかってきてたんだ...折り返さないと...」
一人になった私はとある人物と連絡をとろうとしていた。
「あっ‼もしもし⁉西野だよ...さっき、取れなくてごめんね!周りに友達がいたからさ~。」
『はぁ...私よ。あんたに言われた通り、無事に坂柳の派閥に入れたから...その事を伝えようと思ってかけたのよ。』
「ふ~ん、まずは第一段階を乗り越えたってところだね。さすが、Aクラスの人間だね~。」
『あんたに褒められても複雑なんだけど...』
時を遡る事、3日前...
コンビニにて買い物をしようとしていた私は、商品を万引きしようとしてる女の子を見つけ、その瞬間を携帯で盗撮した。
その後、店の外で彼女と接触し問い詰めたところ、案外すんなりと彼女は自分の犯行を認めた。そして、【自分を退学にしたいなら好きにすればいい】と私に言い放ったのだ。
さすがにそれはかわいそうなのと、話の流れで彼女が原作通りにAクラスの人間だと知れたので、とある取引をする事になった。
それは、万引きの事を黙っておく代わりに彼女にはスパイとして私のために働いてもらうという事だった。
手始めに坂柳さんの派閥に入ってもらったのもスパイ活動の一環だった。
『全く...人使いが荒いんだから...まぁ、私が文句を言える立場じゃないんだけど...』
「まぁまぁ、報酬も払うからさ‼月に15万ポイントなんて贅沢だからね。」
『てかさ...あんた、そんなに払えるの?毎月支給される金額は10万だし、よっぽど節約しないといけないんじゃ...』
「その心配は無用だよ。私、500万ポイント持ってるからね。」
『はぁっ⁉そんな額をいったいどこで⁉』
彼女が電話先で驚きの声をあげている。まぁ、入学したばかりの新入生がこんなにポイントを持ってるとなるとそりゃ、驚いても仕方がない。
「実はね...」
早速、私は彼女...名付けて、スパイKMにポイントを手に入れた経緯を話し始めた。
・・・・・
その日...私が学園にある全ての監視カメラの位置を把握しておこうと学園中を徘徊していると、
「なるほど、お前が噂の西野武子か。」
金髪頭で見るからにチャラそうな男が私に話しかけてきた。無論、私は彼の正体には気づいている。
「初めまして、南雲副会長。」
「ほう、既に俺の事を知っているとはなぁ。先生方の言う通り、見込みがありそうだ。」
原作を読んでる私はこいつに目をつけられた綾小路が苦労していたのを知っている。だから、なるべく関わりたくない相手なんだけど...
「はて?なんのことでしょうか?私はただの生徒に過ぎませんが?」
「とぼけなくてもいい。まさか、初日で【Sシステム】の全貌を暴くとはなぁ...」
さすが、生徒会副会長。抜かりない情報網をお持ちのようだ。
「ふっ...気に入ったぜ。生徒会に入るつもりはないのか?俺が推薦してやるからよ。」
.まさかの生徒会への勧誘来たー‼...確かに生徒会に入れれば、何かと...いや、待てよ?...ふと、思い出しちゃったんだけど...
「その答えは保留という形にしても構いませんか?」
「これは意外だな...思ったよりも欲がないみたいだな。」
原作であなたが推薦した生徒は、いずれも審査で落とされましたよ?だから、あなたの力を借りるわけにはいかないんです!...なんて、本人の前で言えるわけがない。
「まぁ...いい、それよりも西野、ちょっと携帯を貸せよ。」
「私の携帯を...ですか?」
訳も分からないまま、私が南雲副会長に携帯を渡すと...
「ほらよ、喜んで受け取りな。」
「ごっ...500万ポイント⁉こんなにいいんですか⁉」
「遠慮するな、お前に対する先行投資ってやつだからよ。それじゃあな、期待してるぜ。ポイントは好きに使いな。」
...いくら生徒会の副会長といえど、こんなにくれるとは思わなかったよ...いや、彼は原作でも3年生に2000万ポイント渡すぐらいだし、この程度のポイントは大した支出じゃないってことなのかな?
・・・・・
「まぁ、簡単に言うとそういうわけ...分かったかな?」
『なるほどね...』
私の説明を全て聞き終えると、スパイKMは納得できたようで落ち着きを取り戻した。
『じゃあ、そろそろ切るから...また、何かあったら連絡して。』
「うん、ポイントはちゃんと払うから...これからもよろしくね。」
こんな感じで、波乱の4月はあっという間に終わりを告げ、いよいよ運命の5月1日が迫っていた。