転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します!   作:たかきょう

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第6話.最高で最低な悪巧み

 

 

「おいおい~、自分で何を言ってんのか分かってるのか?そもそも俺にそんな事ができるとでも?」

 

 

私の願いを聞いた南雲先輩は私に対してまるで、『正気か⁉』と言っているような表情をして笑みを浮かべている。

 

 

しかし、私はこの人ならできると確信を持っている。だからこそ、この願いを投げかけたのだ。

 

 

「南雲副会長の所属しているAクラスのクラスポイントはBクラス以下との差は歴然です。」

 

 

「まぁ、確かにそうだが?それがどうした?」

 

 

「おまけに副会長という役職を得ている上に私に500万ポイントを余裕で渡せる程の懐の広さ、しまいには前に会った2年Dクラスの先輩方が南雲副会長に逆らう事を異様に恐れていた事。これらを見るにあなたは他のクラスの人間にも【自分の指示に従い、それなりの働きをしたあかつきにはAクラス行きの切符を与える】などと言っているのでは?」

 

 

「なんだと?...」

 

 

「私はあなたをAクラスはおろか、2年生全体を掌握していると見なしましたが...果たして、勘違いでしたか?」

 

 

その瞬間、南雲先輩の笑みが一瞬、...ほんの一瞬だけ消えた。だが、すぐに笑みを戻すと、

 

 

「...はははっ‼まさかだぞ!入学して1ヶ月足らずでここまで把握してやがったとはなぁ‼コイツは傑作だ!面白れぇな‼お前って奴は!」

 

 

私の肩を軽く叩きながら、大絶賛してきた。

 

 

「あぁ、ちなみにお前の言う通り、今の2年はほとんどが俺の支配下だ。」

 

 

「ですよね。」

 

 

私は原作通りである事に安心していた。そうでないと私の計画は失敗に終わるかもしれなかったからだ。

 

 

「何でこんな事をする?って聞くのは愚問だな。大方、Aクラスを崩したいんだろう?」

 

 

「はい、その通りです。」

 

 

「逆に聞きたいのは、どうせならBクラスとDクラスには偽の過去問を配らなくてもいいのかってところだな。」

 

 

「Bクラスは所詮は仲間を大切にする余り、攻めの戦法に出れない仲良しクラスに過ぎません。よって、後回しにしても問題はありません。Dクラスは1ヶ月でポイントを全て使い切るレベルの人間の集まりですからね...わざわざ、偽の過去問を渡すまでもありません。」

 

 

確かに南雲先輩の言う通り、3クラス全てに偽の過去問を配ってもいいのだが、もしも何かの拍子で私の計画が3クラス全てにバレてしまった場合、Cクラスを除いたABD連合なんて築かれる可能性もある。そうなれば、Cクラスは一気に窮地に立たされてしまうし、さすがの私でも今後、太刀打ちできるか怪しくなるのだ。

 

 

(特に嫌なのが、綾小路君と坂柳さんに手を組まれる事だよ......あの化け物二人を相手に立ち回るなんて、心臓に悪いって...)

 

 

よって、今回は攻撃対象をAクラスのみに絞るつもりでいるのだ。

 

 

「それと、もう一つ問題があるんじゃないか?」

 

 

「3年生の先輩方の件ですか?」

 

 

「あぁ、Aクラスの奴らは過去問を手に入れるために必ずしも2年を頼るとは限らないからな。3年生の先輩方を介して過去問を手に入れられた場合、お前の計画は失敗に終わるだろうな。」

 

 

「心配ご無用です。」

 

 

「なぜ、そう言い切れるんだ?」

 

 

「南雲副会長がその気になれば、3年のBクラスまでなら関与する事が可能なんじゃないですか?」

 

 

綾小路君だって、原作で3年Dクラスを相手に選んで交渉していたくらいだからね...私の推測は合ってるはずだ。

 

 

「まぁ..その通りだがな。3年Dクラス、3年Cクラス辺りなら俺が何とかしてあげられなくもない。3年Bクラスもポイントで釣ればいけるかもな.........だが、3年Aクラスは無理だ。」

 

 

3年Aクラス.........堀北会長が所属しているクラスだ。確かに南雲先輩でもこのクラスに裏工作を持ちかけるのは無理だね。

 

 

「それで、十分です。確率的にはかなり低くなるので。」

 

 

「だが、万が一なんて話もあるぞ。本当にそれでもいいのか?」

 

 

万が一でも1年Aクラスの人間が、過去問を入手した相手が3年Aクラスの人間の場合は私の計画は失敗するだろう。

 

 

でも...失敗したところで大した問題ではない。

 

 

「恐らく...1年Aクラスで過去問を手に入れようとするのは坂柳さん、もしくは坂柳さんの派閥の人間でしょう。」

 

 

「葛城やその派閥の人間が過去問を手に入れようとする可能性はないのか?」

 

 

「なくはないですが、彼は保守的な思想の持ち主のため、確証が持てないような賭けには出ないと思います。そして、葛城君に従う者達も彼の人徳に惹かれてますので、彼を無視して勝手な行動はしないでしょう。むしろ、好戦的な性格の坂柳さんの方が過去問を手に入れようとする可能性が高いはずです。」

 

 

「やけにAクラスの内情に詳しいな。これは、もしかしてスパイでも作ったか?」

 

 

今、言った事はスパイに頼らずとも原作知識を利用すれば簡単に分かる事だ。だが、南雲先輩には原作知識なんてあるわけないのでスパイを疑うのも無理はないだろう。

 

 

まぁ、実際にスパイはいるのだが.........

 

 

「はい、Aクラスに二人ほどスパイを作りましたよ。」

 

 

「ほう、その見返りは?まさか、無償で受けるバカはいないだろ?」

 

 

「私達のクラスがAクラスに昇格したら、卒業までに二人を2000万ポイントでAクラスに移籍させる事です。」

 

 

「ポイントでクラス移籍ができる事まで知ってやがったか。まぁ...今更だから、もう何も驚かないがな。」

 

 

今度ばかりは南雲先輩も冷静さを保っていた。

 

 

「そのスパイからの報告で、坂柳派と葛城派が中間試験の平均点で勝負をするという事が分かってます。偽の過去問が坂柳さんの手に渡った場合は葛城派が勝つでしょう。一方で、本当の過去問が坂柳さんの手に渡った場合、加えてどちらの派閥も過去問を手に入れられなかった場合は坂柳派が勝つでしょう。」

 

 

南雲先輩は黙って私の話を聞き続ける。

 

 

ちなみにどちらの派閥も過去問を手に入れられなかった場合も坂柳派が勝つとみなした理由は、スパイ曰く、葛城派の戸塚が足を引っ張るだろうという報告を受けたからである。

 

 

「坂柳派が負けた場合、坂柳さんは過去問を手に入れたのにも関わらずに負けたとして派閥の人間から激しく責められるでしょう。結果として坂柳派を失墜させれます。すると、クラス内の主導権を握るのは保守的な葛城派のみ。彼ならば、龍園君でも戦える相手です。葛城派の独裁は長持ちせず、坂柳派と再び抗争になるでしょう。」

 

 

「坂柳が勝った場合は?」

 

 

 

「一方で葛城派が負けた場合、予想よりも早くリーダー争いのライバルである葛城君に汚点を残せたがために坂柳さんが調子に乗るでしょう。そこにスパイ二人を利用して更に仕掛けます。幸いにもスパイの一人は坂柳派の人間ですから。ついでに葛城派の何人か及び、中立派を調略するつもりです。彼らには坂柳さんの足を引っ張ってもらいます。」

 

 

「つまり、どっちが勝ってもお前には損はないどころか、Aクラスの内部抗争を更に泥沼化できるチャンスってことか...」

 

 

「そういう事です。私の頼みを聞き入れてくれますか?」

 

 

ここで、南雲先輩が断った場合のプランも考えてはいるが、できれば協力してほしいものだ。

 

 

そして...南雲先輩は何やら、少し考えるような表情をした後、

 

 

「いいぜ、乗ってやる。お前の計画にな。今回だけは無償で協力してやるよ。」

 

 

私の予想よりもはるかに良い答えを出してくれた。

 

 

「無償でいいんですか⁉」

 

 

「あぁ、お前からは俺と同類の匂いがするからな。是非とも面白いものをみせてくれよ。」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

「楽しみにしてるぜ、.........武子。」

 

 

そう言えば龍園の影に隠れがちだけど、この人も気に入った女子には名前で呼んでたっけ...

 

 

 

 

という事は私は完全に認められたって事でいいのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

南雲side

 

 

その日、俺がいつも通りに生徒会室へ向かう最中だった。西野武子という後輩と出会ったのは...

 

 

先生方の話によるとコイツは初日でSシステムを見抜いた1年Cクラスの片割れらしい。

 

 

(せっかくだから、そいつの実力が本物かどうか試してみるか!)

 

 

俺はそんな軽い気持ちで声をかけた。この日は時間もなかったから奴が既に自分を副会長と認識しているくらいの収穫しかなかったが、俺からの生徒会への誘いを即座に承諾しなかったのは驚かされたな...

 

 

これは、将来的に俺の支配下に置こうという考えが見破られたか?どうやら、そう簡単には俺の玩具にはなってくれないらしいな......

 

 

そして、5月。奴と再び接触できたのだが、何て言ったと思うか?簡単に言えば、『南雲副会長に上級生に対して1年Aクラスにだけ、偽の過去問を渡すよう指示していただけませんか?』だとよ。

 

 

コイツ...過去問はおろか、俺が既に2年生全体を掌握している事や従わせる方法まで見抜いてやがる!

 

 

しかも、その後の奴の計画には驚かされたな.........どちらが勝ってもAクラスにだけ損失を生ませ、自分達は無傷で済むもんだからなぁ...おまけに早くもAクラスにスパイまで作ってやがる。この俺でさえ、入学して1ヶ月でAクラスにスパイなんか作れなかったのによ......

 

 

(コイツに声をかけたのが俺じゃなくて堀北先輩だったら?もしも、この二人が手を組んでいたらとしたら?未来の俺はどうなっていただろうな...)

 

 

俺はどこかで奴を昔の自分として見ていたのかもしれない。だからこそ、期待の証として500万ポイントも渡したのかもなぁ?

 

 

あっ‼最後に奴が最終的に生徒会への誘いにどんな答えを返したか気になるだろ?

 

 

『大変、ありがたいお誘いですが、今はまだ時期が早いです...』

 

 

『どういう事だ?』

 

 

『堀北会長が健在の今では私は思うように動けないかもしれません.........なので、あなたが生徒会長になったその時に声をかけていただけませんか?その方が動きやすいので。』

 

 

これがアイツの答えだぜ⁉いったい、生徒会に入った後に何をしようとしてるのか、俺でも分かんねぇ...

 

 

こう言われると、意地でも堀北先輩とは接触させないようにしないとな......堀北先輩がアイツを利用して俺との勝負を避けてくる可能性もなくはない。

 

 

いずれアイツとも勝負したいところだが、まずは堀北先輩との勝負が優先だ。

 

 

(だがな、お前にも期待してるぜ...精々、俺が卒業するまで楽しませてくれよ?武子。)

 

 

 

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