転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します! 作:たかきょう
アンケートの締め切りはもうすぐ!
「それで、武子。無事に過去問は全員に配り終えたのか?」
「はぁ...真鍋グループは相変わらずだね...でも真鍋グループ以外の皆は受け取ってくれたよ。」
中間試験3日前、私は龍園の指示で南雲先輩から貰っていた過去問を配った。ほとんどのクラスメートが受け取ったが、真鍋グループの4人はよっぽど私の事が気に入らないらしく、過去問を突き返されてしまった。
全く、逆恨みもほどほどにしてほしいものだ。
「ふん、武子の慈悲を無下にするとはなぁ...バカな奴らめ。アイツらは石崎ほどじゃねぇが、成績はドベも同然。下手をすりゃ退学もあり得る。」
「だから、困るんだよ!退学者が出たら1人につき、クラスポイントが-100ポイントになっちゃうのに‼-400ポイントも引かれちゃ、こちらとしても話にならないんだけど...」
救済するにしても原作通りに1点につき、10万ポイントもするなら、かなりの額を失ってしまうだろう。
それも、1人ならまだしも4人ともなると、必然的に原作の須藤以上のポイントを出さなければいけないのだ。4人とも、あと1点だけ足りない場合とかでも最低、40万ポイントは必要になってくる。
「ほう、それも南雲から得た情報か?」
「まぁ、そんなところ。」
「なるほどなぁ、退学者が出るとそうなるのか...武子、いい事を聞かせてもらったぜ。」
今の会話でさりげなく、退学者が出た際のペナルティを龍園に伝えてあげた。
(あっ、そういえば...)
原作の暴力事件は、龍園がペナルティの内容を知りたいがために起こしたものだっけ?
もしかすると、龍園が既にペナルティの内容を知った事で暴力事件の内容も変わるかもしれないね...
・・・・・
その日の夜、
『それで、坂柳さんは2年生の先輩から過去問を貰ったのは間違いないんだよね?』
『うん、間違いない。確か...2年Dクラスの先輩に売ってもらったって言ってたし...』
『一応、その過去問の内容を写真に撮って、送ってもらえるかな?』
これで、何かの手違いで坂柳さんが本物の過去問を手に入れていた場合がまずいからね...
『はぁ...はい、送ったわよ。どうなの?』
『ありがとう。どうやら、南雲先輩は上手くやってくれたみたいだね...』
私は、電話先のスパイKMからの報告と坂柳さんが手に入れた過去問の内容を確認した事で、私自身の思惑通りに事が進んでいる事を把握した。
『あんた...本当に恐ろしい奴だね。副会長を利用して、1年Aクラスだけに偽の過去問を渡させるなんて、坂柳がこれを知ったら発狂そのものよ。』
『褒め言葉として受け取っておくね。これで坂柳さんは派閥の人間からの信頼を失うはず。それを見て、調子に乗った葛城派に無人島で仕掛けるつもり。』
『はっ?無人島ってどういう事?』
『あっ‼何でもないよ!気にしないでね。』
おっと、危ない...確か、無人島試験の事は直前になるまで生徒達に明かしていないんだった。軽々しく、口にするもんじゃないね...
『それと...坂柳派に橋本正義って奴がいるんだけどさ...そいつがあんたと接触しようとしてる。』
『その橋本君がねぇ...』
『アイツが坂柳に近づいたのは勝ち馬に乗りたいって理由だけ...もし、坂柳が失脚するなら、すぐに見捨ててあんたを頼るつもりらしい。』
(橋本は原作と似たような行動をとってるんだ...)
Aクラスにならなければ、希望の進学先及び、希望の就職先に100%入れるわけじゃないという、この学校の特殊なルール的に勝ち馬に協力してAクラスに上がらせてもらうという彼の考えも間違いとはいえないだろう。
ただ、彼に対する他者からの信頼は失われるだろうが、私の知った事ではない。
『まぁ、私としては...使える駒が増えるのはありがたいかな。』
『あっ‼その言葉で思い出した!あんた、私以外にもAクラスにスパイがいるんでしょ⁉そろそろ、そいつの名前を教えて欲しいんだけど...』
彼女の言う通り、私はKM以外にも保険としてもう一人、Aクラスに別のスパイを作っている。
『あいにくだけどその子は保険でもあるからねぇ...あなたが裏切る、もしくは坂柳さんに切り捨てられた時に備えての...』
『ねぇ、そいつも私みたいに何かしらの弱みを握って?』
『う~ん、そこはあなたのご想像にお任せしようかな~。』
スパイにした二人には申し訳ないが、私は頭が良い坂柳さんならば、いずれは自分のクラスのスパイの存在に気づくと思っている。
そこで、スパイにあえて私の事を白状させて、【西野武子がクラス闘争で有利に立ててるのは他のクラスにスパイを作ってるからだ】という先入観を植え付けてしまえば良い。
もし、何かの拍子で坂柳さんがそれをBクラスやDクラスに漏らしてくれれば、さらに好都合だ。実際にはスパイを作っていないBクラスやDクラスも混乱に陥れる事ができ、同時に原作知識の事を隠し通す事も可能だ。
そもそも、原作知識がある私にはスパイなどいなくても各クラスの大体の人間関係や主要キャラの性格や能力などは既に最初から頭に入れているのだ。なのに、わざわざスパイを作った理由が分かっただろう?
...まぁ、今後の私の行動次第で原作知識が通用しなくなっていく可能性もゼロではない。
『はぁ...やっぱ、あんたから聞き出すのは無理そうね。じゃあ、もう寝たいから切る。』
『えぇ、おやすみなさい。こんな時間までお疲れ様...』
こうして、この日の夜の私とスパイKMの電話による密談がようやく、終わったのだった...
◆◆◆◆◆
それから、中間試験当日までの2日間はあっという間だった。
木下さんと矢島さん...いや、美野里ちゃんと麻里子ちゃんとお互いに下の名前で呼び合うようになったり...
勉強会に誘った真鍋グループに相変わらず、嫌みを言われたり...
櫛田ちゃんとテスト勉強ばかりの息抜きということで一緒に買い物に行ったり...
なぜか、小宮と近藤まで私を【武子姐さん】と呼ぶようになったり...
ひよりちゃんと好きな小説の話で見事に意気投合したり...
南雲先輩から鬼龍院楓花先輩に気をつけるよう、忠告されたり...
南雲先輩と同じクラスの朝比奈なずな先輩に可愛がられたり...
たまたま、放課後に出会った高円寺君に【ウェストフィールドガール】とかいう変なあだ名をつけられたり...
(彼曰く、西を英語でwest=ウェスト、野を英語でfield=フィールド。これを合わせて、ウェストフィールドガールらしい...)
龍園からポイントをいくら持ってるか聞かれたり...
(実際に見せたら、顔には出さないが驚いていた)
えっ⁉ほとんどが試験と関係ないって⁉もちろん、勉強だってちゃんとしてるのでご安心を。
もしも、私が酷い点数を取りでもしたら、真鍋グループから更に悪口を言われるのは明らかだからさ...ここで彼女達に格の違いを見せつけてやりたいんだよね。
そして、ついに中間試験当日の朝がやって来たのだった...