転生したら西野武子だったので、原作知識を生かして無双します! 作:たかきょう
アンケートの結果、Bクラスが圧倒的に多かったので、暴力事件はBクラスに仕掛けていこうと思います。
中間試験当日の朝、
「あっ‼おはよう!武子ちゃん‼」
「おはよう、木下さん...いや、美野里ちゃん。」
登校中に会った木下さん...じゃなくて、美野里ちゃんと挨拶を交わした。
「早く、下の名前呼びに慣れないとな~。」
「いやいや、そんなに急ぐ事じゃないと思うよ!武子ちゃんのペースで慣れてくれればいいからさ‼」
「そうだね...」
元の世界の私は小説漫画やノベル系ゲームを好むあまり、友達作りを疎かにしていたからねぇ...特に下の名前で呼び合う友達なんて、一人もいなかった気がする。
だから、名前呼びは新鮮すぎて慣れる事に時間がかかりそうだ。
「テスト...大丈夫かな?」
「いやいや、心配する事ないよ。私が配った過去問を覚えておけば楽勝だからね‼」
「そうそう!ほんとに武子ちゃんって頼りになるよね‼」
「あっ‼麻里子ちゃん、おはよう!」
いつの間にか矢島さんこと、麻里子ちゃんが会話に加わってきた。
「それにしても真鍋さん達って、性格悪いよね‼この間も武子ちゃんがいないところで武子ちゃんの悪口言ってるの聞いちゃったし...」
「ちなみにどんな悪口を言ってたの?」
「なんかね...武子ちゃんの事を龍園君に媚びてる尻軽女とか言ってたよ。」
「うわ...」
むしろ、私の方がこのクラスをAクラスにするために龍園をリーダーにして利用してるというのが正しいかもとは、口が裂けても言えない。少なくとも、私は龍園に媚びてなどいない。
「そんなの酷すぎるよ!武子ちゃんは、そんな真鍋さん達にすら過去問を渡そうとしてたぐらい、優しい子のに‼何であなた達から恨まれなきゃいけないの⁉...って感じだよね‼」
「うん!全くだよ‼私だって、一発殴らせろ‼...って思うような気分だったもん!」
美野里ちゃんと麻里子ちゃんが私への悪口にまるで、自分の事のように怒りをあらわにしている。
「美野里ちゃん...麻里子ちゃん...ありがとう。」
私は本当にいい友達を持ったものだ。
「でも、私は気にしてないから...真鍋さん達は多分、クラスポイントを減らした元凶として白い目で見られちゃったから、ぶつけようの無いストレスがあったんだと思う。それをあらかじめ、Sシステムを見抜いていた私の悪口を言うことで発散するしかないってことぐらい、分かってるから。」
「武子ちゃんがそういうなら...」
「武子ちゃん、何かあったら私達に相談してね!」
「うん...」
全く...真鍋グループが白い目で見られるようになったのは自業自得なのに、何で私が恨まれなきゃいけないのやら...
まぁ、周りからの好感度を稼ぐために真鍋グループをさりげなく擁護する羽目になる私って...まるで、原作の櫛田ちゃんの気持ちが少しだけ分かった気がする。
「あっ‼麻里子ちゃん、今度の練習内容なんだけど...」
「テスト明けから疲れそうだね...」
その後の会話は美野里ちゃんと麻里子ちゃんが所属している陸上部の話題になり、部活に所属していない私はその会話に入れず、ちょっとだけ疎外感を抱いたのは秘密の話だ。
・・・・・
「どうやら、欠席者はいないようですね。もし、欠席者がいたのならばペナルティが発生していましたよ。」
この日のホームルームにて、坂上先生が中間試験のスケジュールをホワイトボードに書きながら、皆にそう言ってくる。
「赤点を取らないよう、頑張って下さい。ちなみに中間試験と期末試験を乗り切る事ができれば、皆さんには夏休みのバカンスが待っていますよ。」
「えっ⁉バカンス?ほんとッスか?よっしゃぁぁぁー‼」
何も知らない石崎が喜びの叫び声をあげており、他の皆も言葉には出さないが、ワクワクしている様子を見せている。
『うおぉぉぉっ‼』
『バカンスだあぁぁぁっ‼』
『やってやるぜぇ‼』
どうやら、お隣のDクラスも同じ気持ちのようだ。というか、声がでかすぎる...まさか、三馬鹿の叫び声がここまで響いてくるとは...
だが、既にそのバカンスの全容を知る私からすれば、全然、喜べる話ではない。
(皆も呑気だなぁ...この学校は裏がありまくりなんだからさぁ、普通のバカンスが出来るわけがないって考えないのかな?)
「では...これで、私からは以上です。皆さん、頑張って下さいね。」
私が内心、呆れている間にホームルームが終了し、坂上先生が退出した。...それと入れ替わるように1限目の監督の先生が入ってきた。
(よし、最後の見直しをしておかなきゃ...)
あと5分もすれば、ついに中間試験が開始される。私は意識を切り替えて、過去問の見直しに取り組んだ...
「全員、準備はいいな?...では、始め!」
全員にプリントを配り終えると同時に先生からの始まりの合図を受け、ついに中間試験が始まった。
(ふ~ん、ほんとに全く同じだね...)
私はプリントを確認すると、原作同様に問題の内容が過去問と全くの同じだった。
これなら、楽勝だろう。あとは、解答欄ズレにさえ気をつければ赤点は余裕で回避できるはずだ。
そう確信した私は、慎重に問題を解いていった...
◆◆◆◆◆
Cクラスの教室内で異変が起きたのは4限目が終わり、5限目の英語のテストまでの休憩時間が始まった時の事だった。
「やばい!...やばい!...どうしよう‼...」
これまでは、特にリアクションを起こさなかった真鍋さんが急に何やら、ブツブツと呟き始めた。おまけに顔は青ざめている。
その様子を不審に思った真鍋グループの諸藤さんが声をかけにいった。
「ねぇ、志保⁉なんか、焦ってるみたいだけど...どうしたの?」
「あっ‼リカ⁉...そっ、それが...寝落ちしちゃって...英語だけ勉強できてないの‼...」
「えっ⁉それって、まずいじゃん‼」
「早く...とにかく、少しでも覚えないと‼リカ‼試験範囲を見せて‼」
おいおい!英語だけ寝落ちって...あんたは須藤健かよ⁉と突っ込みそうになるのをなんとか堪える。
「真鍋さん、大丈夫?もし、良かったら...」
「うるさい!あんたには関係ないでしょ‼引っ込んでなさいよ!この性悪女‼」
その様子を見かねて、真鍋さんに声をかけに行くが...案の定、追い払われてしまった。もし...ここで私を頼っていれば、過去問を見せてあげたのにな~。
「ちょっと!真鍋さん⁉今の言い方は酷くない⁉」
「武子ちゃんはあなたの為を思って声をかけたんだよ⁉」
「ふん!それを、余計なお世話って言うのよ!」
どこまでも、私に対して横暴な態度に美野里ちゃんと麻里子ちゃんが抗議するが、それでも真鍋さんは突っぱねる。
...だが、その彼女の表情には微かに焦りの色と冷や汗がも生まれていた。大方、自分が赤点になって退学になるかもしれないという恐怖心を抱いたのだろう...
その後...真鍋さんは青ざめた表情を浮かべながら、休憩時間のギリギリまでグループの皆から問題を教えてもらっていた。
...その様子を見ていた美野里ちゃんと麻里子ちゃん...そして他の生徒達は、いい気味だと言うように微笑していた。
「...全員、席につきなさい。これより、英語のテストの配布を始める。」
休憩時間が終わり、真鍋さんの方を見てみると、彼女はブルブルと震えた様子だった...
そりゃ、真鍋さんの頭だと...あんな短い時間ではたったの1教科といえど、テスト範囲の全てを完全に見直すのは無理なはずだからね...
こうして...中間試験は終わりを告げ、あとは3日後の結果発表を待つのみとなったのだった...