愛知県の郊外にある田園地帯にて。
シンジは雨の中走っていた。
その傍らには少女が抱えていた。
彼の胸にはかつて愛した女性の形見が首から下がっていった。
シンジたちは避難所は突如破壊され、生き残ったのはシンジとこの少女だけだった。
怪獣同士の対決は大自然の中荒くれている。
「いくぞ!!!」
シンジは少女を抱き、低姿勢で走り回った。
怪獣にみつからないようにした。
ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!
怪獣は雄たけびをあげた。
巨大な角を持った恐竜の姿をした怪獣ゴモラ。
ゴモラはその鋭い角で赤い姿をした巨人を推していた。
巨人はゴモラに取っ組むと角をつかみへしおろうとした。
「グギャあああああああ!!!!!!!!」
ゴモラは上半身を振るうと、巨人を地面にたたきつけた。
ドシンッ!!!!!!
山の中に土煙が立ち込める。
身長150m体重90万トンのゴモラは鋭い牙をみせた。
まるで今から巨人を食おうとしていた。
二体に隙がでている。
その時だった。
「おい、君たちなにをしている!!!」
兵士の声がした。
生きていた。
別の避難所から派遣されたんだ。
「この娘を!!!」
シンジは兵士に少女を手渡した。
「キミもこい!」
その時だった。
シンジの動きが止まった。
声だ…。
声がした。
『…こっちにこい』
シンジは耳鳴りを疑い、兵士に問い詰めた。
「聞こえませんか?」
「いや、知らん。」
シンジは再び声がした。
『来るんだ…。』
シンジは苦虫を嚙み潰した表情をすると、兵士の目を見た。
「誰かが呼んでいる!僕は助けに行く!先に避難所に逃げて!!」
「おい、どこへ…。」
兵士はシンジを追いかけようとしたが、怪獣が近づいていることに気が付き目の前の少女を助ける事を優先させた。
シンジは声がする方向に向かって走っていった。
『はやく、こっちだ』
森を越えて、速しを越えて、そこにはゴモラが巨人を足で押さえつけている姿があった。
ゴモラは鼻を鳴らすと巨人の腕に食らいつき、余った尾で首を締め上げていた。
そして、腕を離すと首に巻き付いていた尾を使いウルトラマンを地面にたたきつけた。
ドシャアああああああああン!!!!!
地面が揺れた。
まるで地震がきたようだ。
巨人は劣勢か。
巨人は地面に倒れ伏した。
『早くこっちへ…』
声がした。
どこにいるんだ。
『ここだ』
シンジは驚いた。
まさかコイツ…心が読めるのか。
『そうだ』
誰だ、お前は。
シンジが心の中で叫ぶと、巨人が大きな腕をのばした。
「まさか…まさか!!!!」
先ほどの巨人だ。
巨人の胸に装着した発光部が赤く点滅していた。
シンジは本能的に彼が死にかけているのだとわかった。
『そうだ私だ。』
そんな馬鹿な…。
巨人は、精神に話しかけてきたのか。
信じられない。
巨人はシンジの頭に話を続けてきた。
『私はもう死ぬ、死ぬ前に私の能力を君に授けたい。私はウルトラマン。宇宙を守るためにやってきた。』
シンジは面食らった。
ウルトラマン!?
そんなのがいるのか…。
そして肩をすくめていると、ウルトラマンはつづけた。
『私は死んだ後、キミの体と同化する。キミの頭脳と私の経験がシンクロする。』
「ふざけないで!僕は怪獣と戦う気はない!」
『キミの心は怪獣への憎悪で包まれている、私が助けよう。」
シンジは目をつぶった。
父ゲンドウ、ろくないい思い出がなかったが、最後怪獣の火炎で全身やけど状態になり、死んだ。
その前に少しだけ和解した。
そして、ミサト。
シンジに愛を教えてくれた女。
始めての女。
怪獣に人生を狂わされ怪獣に命を奪われた、悲しい女。
シンジは決意した。
「わかった、やるよ。」
その時契約は決まった。
シンジは巨人の指に手を触れた。
その時だった。
巨人の体は大きな光となった。
光は全てを包み込んだ。
ゴモラの周囲を眩い光が差し込むと、ゴモラは悲鳴を上げのけぞった。
ゴモラは雄たけびをあげ、眼をちかちかさせながらみつめた。
その光の中を100m程の巨人が立ち上がった。
先ほどのウルトラマンとは違い、より筋肉質な姿になっていた。
銀色の肌をまとう赤い線、そして胸に輝く青鉱石。
ウルトラマンの誕生だった。
ウルトラマンの中にいたシンジは目の前の後継が理解できなかった。
なぜだ?なぜ?こうなっている。
地面が小さくみえる。
怪獣は変わらない大きさのようにみえる。
そして、全身に生命エネルギーを感じる。
「…行くぞ。」
ウルトラマンは光の力をためると、胸に中にあるカラーテイマーの中に閉じ込めた。
ゴモラはそれを無視し、牛のような角を突き出しウルトラマンの胸に突き刺した。
素早かった、ウルトラマンはそのままゴモラの角が腹部を突き刺すのがわかった。
「!!!!ぐううっ!!!!」
ウルトラマンの腹部に電撃が走った。
その時、シンジの感情が出てきた。
「まさか、コイツ…ウルトラマンで感じた痛みはシンクロするのか!」
『当たり前だ。』
声がする。
どうやら先ほどまでいた本人のようだ。
シンジはゴモラの角をつかんだ。
「そうか、じゃあそっちがこうなら・・・こっちはこうだ!!!!」
シンジはゴモラの角をつかむと突き刺さった腹部から無理矢理引っこ抜いた。
赤い血がブシャーっと飛びとるのがわかった。
「ぐ、う・・・・・・・・・!!!!」
『ウルトラマンといえども、ダメージは通じる。気を付けるようにな。』
ウルトラマンことシンジは片膝をついた。
すると、胸のカラータイマーが点滅することに気が付いた。
ピコン、ピコンピコン…。
『まずい、今の傷でエネルギーを消費した。早々にトドメを刺さなければ死ぬぞ。』
ウルトラマンの魂は言った。
シンジは「えええ!?」と驚いた。
「どうやって、倒すんです!!」
『両腕をクロスしろ、そして全神経を集中させ生命エネルギーを集中させるのだ!!!』
シンジはいわれたとおりにした。
両腕をクロスし、全身の力をためこんだ。
まさか、ここまでできるなんてシンジには信じられなかった。
シンジの体にエネルギーがたまっていった。
ウルトラマンのいる部分には小さな地割れとクレーターができている。
空中から物が浮かんでは破裂している。
『いくぞ!放て、スペシウム光線だ!』
シンジは掛け声とともにスペシウム光線を投下した。
巨大な白い光の刃はゴモラの腹部を突き刺した。
やがて、怪獣は断末魔の悲鳴をあげると爆破四散した。
『よくやった、もういい。しばらくは休眠させてもらう。』
「えええ!?でも‥」
シンジの体は徐々に小さくなっていった。
そして、周囲から見られていないことを確認すると、そのまま姿を消していった。
シンジは、これから数奇な運命に巻き込まれて行くなど知りもしなかった。