シン・ウルトラマンエヴァ   作:井上ああああ

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第十四話「孤独」

ウルトラマンが殺人行為を行った。

この報道は世界中で拡散された。

多くのニュースはこの部分のみが切り取られセンセーショナルに話された。

 

そして、それと同時に密かにアメリカ政府がウルトラマンの正体をつかんでおりその正体が碇シンジという少年であることが報道された。

 

シンジは一瞬で殺人鬼に、ウルトラマンは一瞬で狂った怪物という評価に変わっていった。

 

そして、名古屋市で三姉妹が殺される事件。

有名バンドのギタリスト夫婦が行方不明になる事件。

これらが相次いだ。

やがて、無能な日本の政府はこれらの事件の犯人をシンジと決めつけた。

 

 

しかし、これらはあくまで日本政府がアメリカ政府に忖度をきかせて描いたストーリーの一つでしかない。

そしてこのストーリーを書いたのはレックス・ルーサーだった。

 

 

それから数日ほどたった。

ルーサーは、日本政府と交渉をしていた。

彼は秘書と米国将軍サミュエル・レーンを連れ、京都にある首相官邸に来ていた。

 

 

 

首相の大河内は恭しい笑顔を作り、ルーサーに媚びを打った。

何せルーサーは次期大統領候補者。

媚を売るしか敗戦国の首相にできることはない。

 

 

 

「これはこれは、ミスタールーサー。」

「…ああ、礼はいい。」

 

 

ルーサーは首相に顔を合せなかった。

そして、何も言わずゆっくりと椅子にすわった。

首相は何か気に障ることをしたのかと気にしながらも笑顔を作り挨拶した。

 

 

 

「あの、ミスター・ルーサー・・・・。」

「なんだ?」

「わ、私は・・・・あなたの指示通りウルトラマンを犯罪者にしました、そのですから我が国にキングジョーを・・・。」

 

 

首相は媚びた笑顔をしながら、ルーサーに話しかけた。

 

 

「ああ、無論そのつもりだ。そうだな、料金は日本円82兆円でいいよ。」

 

 

首相は腰を抜かした。

とんでもない金額だ。

まずい、そんな金額払う金はない。

 

 

「いや、ミスター・ルーサー。わ、我が国は今とんでもない金額の借金が。」

「はあ、はっきりさせておこうか。」

 

 

ルーサーはわざとらしく踵を返した。

 

 

「お前らはゴミだ。」

「え?」

「ゴミだよ、ゴミ。」

 

首相は顔を赤くした。

恐らく生まれて初めて他人にバカにされたのだろう。

 

 

ルーサーは微笑むと立ち上がり、日本側を一人一人指さして糾弾した。

 

 

「私たちがおぜん立てをしておいたのに、結局ウルトラマン一人も捕まえることができなかった。この国の人間なのに、お前らはゴミだよ、一人一人がゴミだ。お前らが軍事でも経済でも我がアメリカに勝つことができなかったのがよくわかる、この日本という国の政治が腐敗して腐っているからだ。ろくに民主主義が根付いてないようだな。」

 

 

その時だった。

奥にいた陸上自衛官総監の高雄コウジは肩を怒らせて立ち上がった。

 

 

「もういい貴様!!!!」

 

 

大河内は焦っていた。

 

 

「あ、た、たかおくん・・・?」

「貴様黙っていればなにを、そもそも、我が国で好き勝手に諜報活動しやがって!同盟国だからって連絡の一つや二つあっても悪くないだろうが!!!なぜできん!」

 

 

高雄コウジは怒りながらルーサーの前に躍り出た。

すると、高雄よりも大柄な男がやってきた。

サミュエル・レーン。

今や米軍制服組トップの男だ。

 

 

「なんだお前は・・・」

 

 

高雄は睨んだが、サミュエル・レーンは冷たい見下げるような目で高雄を観ていた。

レーンは高雄の太い声より野太い声で話し始めた。

 

 

「…戦略自衛隊か、俺には媚を売っておけよ。張り子の虎どもよ。お前らもその内米軍が手に入れるからな。」

 

レーンは微笑んだ。

 

だが、これは事実だ。

戦略自衛隊はまもなく、米軍主導の国連軍に編入される。

存在は消えてしまうのだ。

 

 

「いい加減にしろ!!!」

 

 

高雄は殴りかかろうとしたが、レーンはその腕を受け止めた。

高雄の剛力がレーンの怪力におし負けている。

高雄の腕が震えているのがみえた。

 

 

「まあまあ・・落ち着いて!将軍!」

 

 

ルーサーは睨み合う軍人二人をいさめるように間に立った。

 

 

「私も言い過ぎましたよ。日本人には恩がある。だが忘れないでいただきたい。貴国の全ては我が国の手の上にあることを。そうだ。特別に我が国で使わなくなった戦闘機と空母もさしあげましょう!今日はいい日だ。」

 

 

ルーサーは首相官邸の窓を覗いた。

彼は気にかかった。

宿敵ウルトラマンはいないようだ。

この日本に来ればヤツとあうことができる

そう信じていたが、期待外れで終わりのようだ。

 

 

「この国は美しい、私は守りたい。」

 

 

ルーサーは心にもない事を言った。

本当の目的は兵器を売りつけることであったので、それには成功をした。

 

 

「あ、ああそうでしょう!!でしたら貴殿らの要求をのみましょう!!!」

 

 

高雄は首相を睨んだ。

こんなフヌケが日本の首相であっていいものか。

 

 

「総理…」

「黙れ、高雄!貴様をクビにするぞ!」

 

 

総理は高雄にそういった。

高雄は恨めし気ににらんだ。

 

 

「…」

 

 

飼い犬同士が喧嘩している

ルーサーは嘲笑しながらそれをみていた。

 

 

「まあ、考えておいてください。では、私はこれで失礼いたします。」

 

 

ルーサーはレーン将軍を連れ、首相官邸の外に出た。

近くではクラーク・ケントが待機していた。

 

 

「待たせたな、ケント!」

「遅いぞ、ルーサー!」

 

 

ケントは日本車に乗ったSPたちとともに律儀にルーサーを待っていた。

 

 

「何をしていたケント」

「日本観光さ、いい街だよ京都はぜひとももう一度来たいね」

「そこは同意せざる負えないな、素晴らしい歴史素晴らしい文化、だがそれに不釣り合いなほどにこの国の政治家は腐っているようだ」

 

 

ルーサーは車に乗る前に天空を観た。

天敵がやってこないか。

やってくれば、クラークも死ぬな。

それだけは何とか避けたいが…。

 

 

「…」

「どうした」

 

 

ルーサーは心配そうに空を観た。

クラークは首をかしげていた。

親友にルーサーは微笑んだ。

 

 

「心配しないでくれ」

「どうしたんだ、今日のお前は気分がよくないのか」

「本当に何もないんだ」

 

 

ルーサーはSPの待機させていた車に乗り込んだ。

ケントも同様に乗り込んだ。

 

 

「さっき、キミが言っていた日本の政治腐敗とはどんなもんだ」

「話すと長くなるが、どうやらこの国はもう大国じゃあない。だが日本の政治家はその現実をわかっていない。国民に重税を敷いている。国民はそれに耐えている。普通の国では革命が起きるところだが、日本人は飼いならされてしまっているようだな。」

 

 

ルーサーは車の窓を観た。

日本人は暗い顔をしている。

世界で名高い特色の強い歴史をもったかつての大国は、もはやその威厳がない。

 

 

「これがかつての侍たちの国か。悲しいものだ」

 

 

ルーサーは車の窓際にうつった張り紙をみた。

碇シンジの顔写真が貼られている。

こいつはもうすっかりお尋ね者だ。

高い賞金を懸けて探しているようだ。

だが、捕まえてすらいないようだ。

とことんこの国の役人どもは無能が勢ぞろいのようだ。

 

 

 

「まあ、いつかは俺がこの国を買ってやろう、その時はこの国をもう一度よくしてみせよう」

「…正気か?」

「どう思う?」

 

 

ルーサーは勝気に微笑んだ。

ケントは何も聞かないことにした。

ふと高速道路に入った。

 

 

「キミ大阪にはいかないのかね?」

 

 

ルーサーはふと気になり、運転席にいる運転手に話しかけた。

 

 

「いえ、大阪は2年前のゴジラ騒動で壊滅しました」

「…ゴジラか。」

 

 

ゴジラといえば、ウルトラマンだ。

ルーサーは窓を心配そうにみつめていた。

ケントはその様子に少し疑問を感じた。

 

 

「まるで、恋する乙女だなルーサー。キミはずーっと窓の外をみている」

「…恋か、あながち間違ってないな。」

 

 

ルーサーは微笑んだ。

ケントはますます、親友の様子を不気味に感じた。

やがて、車は国際空港にたどり着いた。

 

 

 

「…さあ、アメリカに帰ろう。」

「もっと日本を楽しみたかったのに」

「次来ればいいさ」

 

 

別の車両に乗っていたレーン将軍もとうちゃくしたようだ。

彼らは待機していたレックスコープお手製の航空機に乗り込んだ。

航空機のスタッフがモニターをみていた。

 

 

「来月行われる次期大統領選挙は、今現在の世論調査では現職候補者が支持率20%で野党候補者が支持率10%なのに対してルーサー候補は70%です。政権交代はやむなしでしょう。」

 

 

 

ルーサーは微笑んだ。

大統領選挙は俺が勝利するか。

 

 

 

「みろよ、ケント。俺が勝つと言っているぞみんな。」

「ああ、間違いない。君が次期大統領だ。僕の上司も妻も言っているよ。悔しいけど君の勝ちだってね!」

「そうなれば次期大統領候補の自伝を書いているお前がピューリッツアー賞を得るぞ。」

「かもしれないな。」

 

 

ケントは満足そうに微笑んだ。

ルーサーはそれに微笑み返した。

ケントの妻は、レーン将軍の娘。

それを紹介したのはルーサーだった。

 

 

彼は飛行機のシートに座った。

ふと、窓を目にした。

ヤツはいない。

来るとすれば今しかないが…。

 

 

ルーサーはわかっていた。

彼が全てを計画していた、シンジはそれを知っているはずだ。

ウルトラマンには人間の心に話しかける特殊能力がある。

そして、殺されたジャックはシンジがウルトラマンであることを知っていた。

ヤツをたどれば俺につながる。

だから、間違いなく殺しに来る。

ルーサーは確信していた。

 

 

「…」

 

 

ルーサーは窓を見つめた。

ふと思い出した。

全ての始まりは、今から20年近く前のこと。

あるファイルをみたことがきっかけだ。

 

 

レックスはまだ子供だった。

父のライオネル・ルーサーは世界一の大富豪だった。

彼はある政治結社の構成員でもあった。

その名前は「ゼーレ」だ。

 

 

元々はドイツにあったゼーレ。

その祖はユダヤ系であったとされている。

しかし、第二次大戦ナチスの迫害を恐れたゼーレは、多くの人間がアメリカに逃亡したという。

ゼーレの一部はナチスの軍門に下り、彼らが進めていた科学研究の資料をナチスに渡したという…。

 

それが次元空間移動の装置。

これを使い、多くの事をナチスは探ったという。

だが、そんなナチスもソビエトとアメリカという二大国の前に崩れ去った。

 

 

ゼーレは再び集合すると、そこのリーダーが決まった。

キール・ローレンツという男だった。

キールは元々ゼーレの構成員だったが、ナチスやゲシュタポの激しい拷問の前に体のほとんどを失った。

彼は何とか逃げのび、復讐を決意し、ナチスを根絶するためにアメリカに協力した。

 

 

戦争が終わると、キールは環境破壊が進む地球で人は住むことができなくなると予想。

彼は異次元の先にある多元世界の地球をみつけた。

キールはそこを神の楽園か何かと思っていたのだろう。

その楽園には怪獣たちがいたといわれている。

 

 

最終的にレックスの父であったライオネルはキール議長を暗殺すると組織を乗っ取り、この異次元空間を様々な兵器の実験場に変えていった。

 

 

ライオネルは米露中の共同で、超大型核兵器『ゼウス』を生み出した。

この爆弾はツァーリ爆弾以上の威力を持ち、10兆度以上の熱エネルギーを放出したといわれている。

だが、これが原因で怪獣たちはやってくるようになった。

 

 

このすべてをルーサーが知ったのは20年近く前の事だった。

ライオネルの部屋の隠されたファイルの中にこのすべてが乗っていた。

 

 

世界中の怪獣被害を巻き起こしたのは父だった。

だが、ルーサーは父を批判する気はなかった。

むしろ、これを利用しようとした。

 

 

ルーサーはライオネルの食事に毒を持った。

ライオネルは次第に衰弱して、ある日とうとうベッドから起き上がらなくなりそのまま死んだ。

レックスが全てを支配するようになった。

 

 

だがいつまでも裏の世界を牛耳るばかりでは気が済まない。

レックスはその日、アメリカ大統領になり表の世界を支配する事を選んだ。

 

 

ルーサーは父ライオネルが日本人の研究者であった碇ゲンドウ・冬月コウゾウ・赤木ナオコらとともに「ゲヒルン」と呼ばれる生物化学兵器を制作する会社をしていたことを判明、彼らを脅し人間怪獣を生み出した。

これを生物兵器として売り出すことで、ルーサーはさらに巨万の富を得た。

 

 

そして、その一方で怪獣対策兵器であるキングジョーを産んだ。

これを世界中に売り飛ばすことで、さらに巨万の富と、世界の救世主であるという名声を得た。

 

 

そんな時だ、邪魔者がやってきた。

ウルトラマン。

だが幸運にも、彼の正体を知っていた。

ヤツができる限り怪獣を倒したあとで、ヤツの大事な人間を奪い、怒らせることでヤツを犯罪者に仕立て上げる。

 

 

その時、ルーサーは英雄になる。

これが彼の計画だ。

 

 

「レックス、どうしたんだ窓ばかり見て」

 

 

親友ケントの声がした。

彼は隣の席にいる。

 

 

「・・・・ウルトラマンだ。」

「え?」

「ウルトラマンがくるかもしれん、ヤツは俺に恨みがある。」

「まさか何を言っている。」

 

 

ルーサーは黙った。

ケントはそれ以上聞く気はなかった。

 

 

 

やがて、夜になった。

ケントはいびきをかいて寝ている。

ルーサーはそれでも窓をみつづけた。

 

 

 

「どうやらいないようだ・・・。」

 

 

 

ルーサーはそのまま気が付くと眠っていた。

朝起きると、ルーサーは自分が眠っていたことを恥じた。

だが、同時に生きていることからウルトラマンが来なかったことを感謝した。

ふと彼は周囲を見ると、もうアメリカの空港についているのか、スタッフたちが荷物をまとめていた。

 

 

「ああ、ごめんよルーサー。疲れているだろうと思って起こさなかったんだ。」

「そのおかげでゆっくり寝たよ。」

 

 

 

 

ルーサーはふと時計をみた。

9時間たっている。

どうやら、ずーっと寝ていたようだ。

 

 

彼とケントとスタッフたちは、すぐさま車に乗り込んだ。

今からアラバマの支援者たちに講演会を行わなくてはいけない。

ルーサーは車の中でも窓をみつめていた。

 

 

 

 

「ウルトラマンか?」

 

 

 

親友のケントは呆れていった。

ルーサーは無愛想に返した。

 

 

「ああ」

「きっと来ないよ。」

「・・・・。」

 

 

 

ルーサーは黙った。

やがて彼らはアラバマのホテルにたどり着いた。

そこでは貧富の差を越えて多くの人々が集まっていた。

皆が、ルーサーの演説を聞くためだ。

 

 

 

 

「ああ、ようやくホテルだ。まだ演説まで5時間あるな。お腹がすいたな。」

 

 

 

ケントは無邪気なことをいった。

ルーサーは真逆だった。

疲れすぎている。

腹など減っていない。

飯など喰う暇などない。

 

 

 

「…時間になったら、部屋に来てくれないか。」

「え?、ああ」

「頼むぞ」

 

 

ルーサーはそう言った。

彼の胸の中が重い。

ルーサーはSPを連れると、最上階の一室にたどり着いた。

彼はSPに言った。

 

 

「お前たちも疲れているだろう、仮眠をとってこい。」

「でもルーサーさん。」

「いいから、いけ。」

 

 

彼はドアを開けた。

そこには先客がいた。

 

 

「やっと会えたね。」

 

 

声がした。

少年の声だ。

ルーサーはわかっていた。

碇シンジだ。

 

 

「…フフ、ここに来ると思っていた。」

「そうか。」

 

 

ルーサーは冷蔵庫を開けた。

そこにはのみさしのオレンジジュースがあった。

 

 

 

「ああ、ごめんまだ飲み切ってない」

「俺の部屋のジュースを勝手に飲んだのか、まあいい」

 

 

シンジは机に座っていた。

ずっと彼を待っていたのだろう。

 

 

「ここで泊まるとなぜ知っている。」

「顧客名簿を読んだのさ、スタッフの頭を読んでね。」

「賢いやつだ」

 

 

ルーサーはソファーにこしかけた。

そして、グラスにワインを入れた。

 

 

「・・・・で、何から聞きたいんだ。」

「なぜだ?」

 

 

シンジの声が震えていた。

ルーサーはワインを飲むのをやめにした。

 

 

「なぜ?」

「なぜ、こんなことをした。」

「どのことだ?」

 

 

シンジは机から飛び上がると、ルーサーの方に近づいた。

 

 

「なぜ洞木ヒカリを殺した!!!!」

 

 

シンジはルーサーの胸倉をつかみ、脅しかけた。

一見優男だが、この男の腕には宇宙一の文明と戦闘力を宿した戦闘種族の血が流れている。

 

 

 

「お前を狂わせるためだ。」

 

 

シンジはルーサーの胸をつかんでいた腕の力を弱めた。

 

 

 

「全部お前のせいだよ、シンジ。」

「何?」

「…お前が、あの女と出会わなければよかった。お前がウルトラマンにならなければよかった。というか、お前が生まれてこなければよかったのさ。根本なことをいえばね。」

 

 

ルーサーは微笑んだ。

シンジは唇を噛み、怒っている。

 

 

 

「ああ、そうだよシンジ。ぜーんぶおまえのせいだ。お前が起こした行動全てが悪いんだ。」

 

 

 

ルーサーはテレビをつけた。

するとそこには、シンジの顔がうつっていた。

テレビの内容はウルトラマンの正体は日本人の少年であったことと、日本政府が捕獲に失敗したことを告げるものだった。

シンジの顔の下に『WANTED』の文字がある。

 

 

 

「お前は国際指名手配犯だ。」

 

 

 

ルーサーは微笑んだ。

 

 

 

 

「お前は社会の敵だ。」

 

 

 

 

シンジにちかづいた。

シンジの顔は暗い。

ルーサーはほくそ笑んだ。

 

 

 

「お前は、モンスターだ。」

 

 

 

シンジは動揺していない。

 

 

 

「…僕がここに来た理由、わかるよね?」

「ああ。俺を殺したいんだろ。」

「ああ、そうだ。」

 

 

 

シンジはウルトラマンに変身した。

その瞬間だった。

ルーサーはスーツを脱いだ。

そこには緑色の装甲があった。

 

 

「教えてやろう、地球にいる宇宙人はな、ウルトラマンだけじゃあないんだよ!」

 

 

装甲はルーサーの全身を覆った。

すると徐々に、人型の姿に変わっていった。

それはみるみるうちに巨大化していった。

シンジは、ルーサーをつかむと窓の外へ放り投げた。

 

 

 

がしゃああああああああああん!!!!!

 

 

 

窓ガラスが割れる音がした。

だが、ルーサーの体を覆った緑色の装甲は宙に浮かんでいる。

それはみるみるうちに巨大化していった。

それは巨大な西洋鎧の如きロボットに変わっていった。

人々は怯え逃げ惑っている。

 

 

『なんだこれは』

 

 

 

ロボットは赤い目を光らせた。

 

 

『このアーマーの名前は機械生命体・ブレイアニックだ!1947年!アメリカの軍基地ロズウェルにあるものがやってきた!それは機械の姿をしたエイリアン・ブレイアニックだった!ルーサー家はこのブレイアニックを代々守ってきていた。これは宇宙の全ての英知が詰まっている!!キングジョーの設計図もこいつが生み出したんだ!!!』

 

 

 

ルーサーの声だ。

シンジは窓を飛び出て、ブレイアニックを追いかけた。

ブレイアニックは120mの巨体になると、空へと飛びあがった。

ウルトラマンは、シンジはそれを追いかけた。

 

 

 

『待て、逃げるな!!!』

『待てといわれて、待つバカがいるか!!!』

 

 

 

二体は大気圏を越えた。

想像以上に速い。

シンジは焦った。

このまま逃げられるのではないか、その時だった。

彼は、宇宙空間に達したことに気が付いた。

まるでシンジを取り囲むように複数の人工衛星が近づいてきた。

 

 

 

『やれ!!!!』

 

 

 

ブレイアニックは何かを押した。

すると、100万V以上の電流がウルトラマンにあたった。

だが…。

 

 

 

『こんなもの痛くもかゆくもないぞッ!!!!!!!』

 

 

 

シンジは両腕に念力のエネルギーをためこんだ。

そして…。

 

 

 

『くらえっ!!!!!!!』

 

 

 

念力は放出された。

人工衛星のほとんどはふきとんだ。

ブレイアニックは、吹き飛ばされそうになった。

 

 

 

『…!?』

 

 

 

ウルトラマンは、シンジは不動だった。

阿修羅のように立ちふさがった。

 

 

 

『英知か、笑えるなルーサー。これが英知か?お前のいう英知とやらは、僕を殺すこともできないのか、おかしなもんだ。』

 

 

 

ブレイアニックは両腕を伸ばした。

そして、巨大な触手のようなコードをウルトラマンに絡みつけた。

やがて、そこから先ほどの人工衛星と倍以上の電気が流れた。

 

 

『死ねッ!!!!!!』

 

 

だが、ウルトラマンはその機械の触手をつかみ逆に電流を吸収していった。

 

 

 

『‥‥ルーサー、残念だ。お前は敵を勉強していない。お前ほどの男なら敵の事を知り尽くしているはずだ。なのにわかっていないんだ。もうぼくほどのウルトラマンに電気は通じないってことが』

 

 

 

シンジは少しの力を入れて、機械の触手を引きちぎった。

ブレイアニックはその力の強さに震えあがった。

 

 

 

『‥ならば、これではどうだ!!!!!』

 

 

 

ブレイアニックは両腕をかざした。

そして、巨大なレーザー光線を放出した。

ウルトラマンはよけなかった。

なぜなら威力は大したことがないことがわかっていたからだ。

 

 

 

『…なんだこれは、子供の喧嘩か?』

 

 

 

シンジは次第に苛立ってきた。

こんなショボい攻撃しかできないバカのために洞木ヒカリは殺された。

 

 

 

『お前のために、お前如き小物のために…洞木ヒカリは死んだんだ!!!!!』

 

 

 

シンジは攻勢に回った。

ブレイアニックは急いで逃げた。

そのスピードは光速を越えるウルトラマン以上に速かった。

そして、ブレイアニックは左腕からレーザーをメス状に変えると素早いスピードでウルトラマンに斬りかかった。

 

 

『死ねッ!!!!!』

 

 

 

ウルトラマンはよけなかった。

それをつかむとそのままへし折った。

ブレイアニックは怯えると、地球へ逃げかえった。

 

 

 

 

『逃げ足だけは早いな。』

 

 

 

シンジは感心した。

ブレイアニックを追いかけた。

やがて、ブレイアニックは大西洋上に逃げのびた。

 

 

 

『は、はあ・・・はああ・・・・・』

 

 

 

ルーサーは焦っていた。

まさか、そんな馬鹿な。

ここまで強いのか。

ブレイアニックが、機械生命体ブレイアニックがこんなに・・・・。

 

 

 

その時だった背後から気配がした。

ウルトラマンだ。

追いかけてきている。

その時、ルーサーはわかった。

 

 

追われる者の気持ちが。

ライオンに狩られるインパラが。

シャチに食われる魚が。

彼らの気持ちがわかってきた。

 

 

 

ルーサーはブレイアニックを通じ、捕食者から逃げた。

シンジはウルトラマンを通じ、追いかけた。

だが、とうとう疲れがみえた。

 

 

 

大西洋をつっきった。

ふと、怪獣がいた。

巨大な魚の怪獣だ。

ブレイアニックはその怪獣をつかむと、ウルトラマンに放り投げた。

だが、ウルトラマンはその怪獣に腕をクロスしスペシウム光線を当てた。

 

 

 

バがァァァァン!!!!

 

 

 

破裂する音がした。

ブレイアニックは海の中へ飛び込んだ。

大西洋を突き進みながら、何とか逃げた。

だがウルトラマンは追いかけてくる。

 

 

 

 

『ああ、あああ・・あああああ・・・・・』

 

 

 

 

ルーサーは絶望した。

まさか、こんなに強いなんて。

彼らは気がつけばメキシコ湾近くにきていた。

 

 

 

『ああ、ああ・・・あああ・・・ああああ』

 

 

 

ルーサーはブレイアニックは這いながらメキシコ湾を泳いだ。

ウルトラマンはあとをおいかけてきている。

 

 

 

その時だった。

米軍の戦闘機が近づいてきていた。

それも複数きている。

 

 

 

「ウルトラマンが何かをすれば攻撃しろ!!!」

 

 

 

戦闘機を指揮している指揮官が叫んでいる。

 

 

 

 

シンジはそれを黙って観ていた。

ルーサーは立場が逆転したのがわかった。

 

 

 

 

『死ねッ!!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

ブレイアニックの腕を動かした。

先ほど倍以上のレーザーの威力をチャージした。

これがあたればウルトラマンも死ぬだろう。

 

 

 

ルーサーは過信した。

そして、荷電粒子砲は放出した。

胸のカラータイマーめがけて。

それは当たった、ウルトラマンの体が吹き飛んだ。

 

 

 

 

『やったか!!!!!』

 

 

 

 

ルーサーは喜んだ。

土煙がしている。

その中を歩くものがいた。

 

 

 

 

ウルトラマンだ。

 

 

 

 

『あ、ああああ‥‥あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…!!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

ルーサーは震えた。

ウルトラマンが生きている。

こんなことになるなんて。

 

 

 

 

ウルトラマンの拳が放たれた。

ブレイアニックの装甲が吹き飛んだ。

人々は悲鳴を上げている。

 

 

 

ウルトラマンはブレイアニックをアラバマの港町に押し倒した。

 

 

 

 

ごぉおおおおおおおおおおおおおんん!!!!!!!

 

 

 

 

地面が揺れた。

人々は困惑し、あわてている。

ルーサーもそうだった。

 

 

 

シンジは黙って、ブレイアニックを何度も何度も殴り飛ばした。

機械生命体は装甲を剥がし、ダクトから赤い汁を血のように流し傷ついていった。

 

 

 

シンジは馬乗りになると、ブレイアニックの顔面を殴り始めた。

ふと、思い出した。

 

 

 

青葉シゲル。

僕を友人と認めた人、彼は死んだ。

殺された。

僕と関わったために、コイツに殺された。

 

 

 

『お前、こんなことをして…ただですむと思うな!!!!俺は世界一の金持ちレックス・ルーサーだぞ!!!!』

 

 

 

ルーサーの声がした。

無視をして青葉のために顔を殴りつけた。

 

 

『‥‥』

 

 

青葉だけはない。

青葉の妻のマヤを思い出した。

彼女はヒカリとの結婚を打診してくれた。

何の罪もない彼女は怪獣に変えられると、シンジは殺してしまった。

 

 

 

 

『おい、いい加減やめろ!!!やめないかあああ!!!』

 

 

 

ルーサーは泣き言をいった。

シンジは黙って顔を殴り続けた。

 

 

 

『‥…!!!!』

 

 

そして、思い浮かんだ。

ヒカリとその姉妹。

自分を愛してくれた女性と認めてくれたその妹、これから知るはずだった姉。

何の罪もない、洞木三姉妹は殺されたゴミのように。

ルーサーが呼んだ殺し屋のために。

 

 

 

『…もう、やめ、やめてクレ…』

 

 

 

ブレイアニックの装甲は剥がれ落ちスケルトンがみえていた。

複数のパイプやケーブルから赤色や青色の液体がぶちまけられていた。

それはまるで血を流しているようだった。

ふと、胸の中にルーサーがみえた。

彼の体はケージのようなものに隠れていた。

ルーサーから恐怖の精神エネルギーを感じた。

 

 

 

 

「うわっ。」

 

 

 

ルーサーは苦痛の声を出した。

すると、ウルトラマンの手はブレイアニックのケージをつかんだ。

そして、引き千切った。

心臓部を奪われたブレイアニックはとうとう機能が完全に停止した。

コアが音を立てて崩れれて行く。

ルーサーはその時わかった。

 

「…」

 

 

自分はここで死ぬのか。

否、ただでは死なない。

彼は作戦を変えた。

強きの笑顔を再び浮かべた。

 

 

「おい、バケモノ、アスカを覚えているか?」

 

 

ウルトラマンの腕が止まった。

 

 

『‥‥!』

 

 

反応があるな。

ルーサーは微笑んだ。

 

 

「お前が出会ったあのアスカ式波モデルは私が生み出した、ヤツのオリジナルは天才児だ。だが、クローンは劣化した無能だった。お前を殺すことができなかった。役立たずの凡骨だった。俺の失敗は奴を生み出した事にある。」

 

 

 

ウルトラマンのシンジの腕が強まった。

怒りが、無意識の怒りが働いた。

ケージの中からルーサーをつかんだ。

そして、その掌で全裸のルーサーをつまんだ。

 

 

 

「くくく」

 

 

 

ルーサーは微笑んでいた。

全裸で公衆の面前でさらされてる。

だが、心理的にルーサーは優位だった。

 

 

「…お前の親父碇ゲンドウを知っているぞ。俺の元で働いていた。年下の俺に偉そうにこきつかわれていたけど逆らえなかったなぜかわかるか?お前の親父は浮気をしていたのさ。お前の親父はな…だらしないクソ以下の汚物だったんだよ。」

 

 

シンジはその時、ルーサーをつかんだ瞬間に彼の記憶が頭の中に入り込んだ。

ルーサーは、父を罵倒していた。

何度も何度も罵倒していた。

 

 

「親父だけじゃない、お前のお袋もそうだ。」

 

 

シンジはみえてしまった。

母碇ユイが、この男と生まれたままの姿のままベッドにいる光景を・・・。

 

 

 

『‥………!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

シンジは腕を止めた。

ルーサーの心をさらに読んだ。

読みたくない物だった。

 

 

 

ヴィジョンがみえる。

母だ。

 

 

 

 

『ごめんなさい、レックス。夫が抱いてくれなくて…』

『いいんだ、ユイ気にしないくれ』

『私、もう死にたいのこんな世界生きていてもどうしようもない怪獣だらけで腐った世界で子供を作るなんて…』

『…死にたいのか、死なない方がいいと思うけどな。だが死にたいときはこの薬を飲めそうすれば死ぬことができる』

 

 

 

 

シンジは思い出した。

母碇ユイは孤独に耐え切れずその薬を飲んだ。

そして、自殺した。

彼は、その光景をみていた。

 

 

 

『‥………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

シンジは頭を抱えた。

全てこいつか。

父ゲンドウに全ての責任を押し付け仕事を押し付け、母碇ユイを抱き、死へ追い込んだ。

全ての元凶、それは…。

 

 

 

『お前だったのか…、母さんを殺したのは。』

 

 

 

ルーサーは微笑んだ。

効いている。

効きすぎている。

畳みかけよう。

 

 

「お前の母親の抱き心地は、イマイチだったよ。」

 

 

その時、シンジは本能的にルーサーを地面にたたきつけた。

ルーサーは、次期アメリカ大統領候補は公園の中にあった騎士の像に堕ちていった。

そして、騎士の像の持っていた剣に深々と突き刺さった。

諸悪の根源は噴水のような血を吹き出した。

 

 

 

 

「が、ぐ・・・・」

 

 

 

ルーサーは口から血を吐きもだえ苦しんだ。

群衆はルーサーの元へ集まった。

そして、ウルトラマンを指さした。

 

 

「みろ!!!殺したぞ!!!!」

「ウルトラマンが人を殺しちまった!!!」

「ルーサーさんが殺された!!!」

 

 

 

群衆をかきわけ、一人の男が近づいた。

クラーク・ケント、ルーサーの親友だ。

 

 

「ルーサー!!!!レックス・ルーサー!!!ああ、ああああああああ・・・・神様!!なんてこった!!!」

 

 

ルーサーは串刺しになった親友の頭をなでながら泣き叫んだ。

 

 

「あああ、ルーサー!!!死なないでくれ!!!」

 

 

ルーサーは親友に微笑んだ。

 

 

「ああ、あ、ケント…。」

 

 

ルーサーはふと上空をみた。

ウルトラマンはそれを呆然とみていた。

レックスは微笑んだ。

そして、心の中で叫んだ。

 

 

俺の勝ちだ、ウルトラマン。

これをみろ、完全にお前は人類の敵となった。

もうここにはいられない。

 

 

「お前がピューリッツァー賞をとるところが…みれない、これが、心残りだ。ケント。」

 

 

最後の最期に彼は勝った。

ウルトラマンは人類の敵に、レックス・ルーサーは人類の英雄になった。

彼は勝ち誇った笑みを浮かべた。

 

 

動かなくなった。

とうとう死んだ。

諸悪の根源は息を引き取った。

 

 

 

「ルーサー…!!!」

 

 

 

ケントは友人の頭に自身の頭を近づけ泣き叫んだ。

そして涙を浮かべたままウルトラマンを指さした。

 

 

「お前は化物だ!!!!」

 

 

 

シンジは震えた。

 

 

『バケモノ…』

 

 

 

それに賛同するように、群衆は口々にシンジ=ウルトラマンを罵った。

 

 

「ルーサーさんを殺しちまった!!!」

「なんて化物だ!!!」

「ルーサーさんは私たちを守ろうとしたのよ!!!」

「地獄へ落ちろ!!!!」

「宇宙に帰れ!!!!」

 

 

 

物を投げる人々がいた。

ウルトラマンはそれに当たっていない。

 

 

その時だった。

米軍の戦闘機がウルトラマンを狙っていることに気が付いた。

 

 

「発射を許可する!」

 

 

戦闘機からミサイルが放たれた。

それは、ウルトラマンに当たった。

 

 

『・・・ッ!!!』

 

 

 

どうやら近年の米軍のミサイル技術は上がっているようだ。

ドリル状の先端部分が、突き刺し爆破した。

 

 

『・・・・・!!!!』

 

 

 

シンジは周囲を観た。

敵だ。

こいつらみんな敵だ。

彼は念力を放ち、戦闘機の数台を破壊した。

 

 

「攻撃された!!!!!」

 

 

戦闘機の群れは悲鳴をあげていた。

シンジには、破壊したパイロットがどうなったのかわからなかった。

恐らく死んだだろう。

もう、彼には人の生き死になどどうでもよかった。

 

 

シンジは背を向け、そこから去った。

 

 

 

数時間後

シンジは、日本に戻ってきた。

彼は、ウルトラマンの能力を使い、透明に擬態しすべてを観ていた。

 

 

 

叔父の家にきた。

叔父は選挙の事を気にしていたのか落ち着かない様子だった。

叔母は邪魔者であるシンジがいなくなったことに喜んでいた。

シンジの荷物は全てゴミ捨て場に捨てられていた。

 

 

彼は学校にきた。

学校ではケンスケがいた。

ケンスケは暗い表情をしていた。

 

「おい、相田聞いたか。ルーサーが殺されたってよしかも、ウルトラマンに。」

 

ケンスケはイラだった表情をしていた。

 

「俺はあいつを友達と思ってたんだ。でも…あいつは、シンジは俺にずっと黙っていた。自分がウルトラマンだってことを教えてくれなかった。俺がウルトラマンをやりたかったぐらいだ。嘘をついていたんだ。残念だけど、もう嘘つきは俺の友達じゃないね。」

 

 

ケンスケは拳を強く握った。

苛立っていた。

 

 

「あいつは、シンジはあの能力を使って人を殺した。ただの人殺しだったんだよ!」

 

 

ケンスケは吐き捨てるように言った。

友人は呆然とその様子をみていた。。

もうケンスケの目にはシンジへの友情が残っているようにはみえなかった。

 

 

『‥‥』

 

 

シンジはその時わかった。

元々わかっていたが、これで確信に変わった。

やはり、もう自分はここに居場所はない。

否、世界中で居場所がない。

彼はウルトラマン形態のまま、天高く飛んでいった。

 

 

 

『僕が邪魔ものなら、僕はもう帰ってこなくていいだろ』

 

 

 

一人呟いた。

そして、太陽系を越えると宇宙の先にあった何もない惑星の上にたどりついた。

そこで、彼は体育座りをして物思いにふけた。

 

 

ミサトさん、ごめんね・・・あなたみたいに強くなれなかったよ僕は。

彼は心の中で言った。

 

 

 

 

すると大きな光が近づいてきてるのがわかった。

その気配の主も知っていた。

ユリアだった。

 

 

 

『シンジ様』

 

 

 

ユリアから失望のオーラが溢れていた。

 

 

 

『あなた様のやったことは、宇宙でも知られていますよ。なぜウルトラマンの力を使い、人間を殺したんですか』

 

 

 

ユリアの答えに反応しなかった。

無視をした。

 

 

『‥‥‥』

 

 

ユリアはそれでも彼の心に話しかけた。

 

 

 

『あなたは自分のやった事の重さを知っていますか?もうあなたは光の国からも絶縁処分ですよ。私はそれを伝えに来ました。でも、それでいいんですか?あなたのやってきたこと全てが無駄になりましたよ?いいんですか?』

 

 

シンジの反応はない。

ユリアは、ウルトラマンの姫君は話し続けた。

 

 

『兄上は、ゼットンを地球に派遣することを決めました。あなたの惑星は太陽系ごと消滅します。それで全てを終わらせる気です。それでいいんですか?』

 

 

シンジはようやく声が出た。

 

 

『もう僕にかまわないでくれ』

 

 

シンジが言えた言葉はそれだけだった。

ユリアはためいきをつくと、言った。

 

 

『何を言っても聞かないようですね、もう結構‥‥おさらばです』

 

 

 

ユリアはシンジに背を向けた。

彼は孤独になった。

宇宙の先にある惑星の上で、シンジは黄昏ていた。

深い深い失望の中で、シンジはゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

その頃地球では

ある存在がやってきつつあった。

一体はゼットン、そしてもう一体はゼットンを凌駕する圧倒的な存在。

シンジたちが倒したゴジラの父、偉大なるエルダーゴジラがきつつあった。

 

 

目的は復讐、そしてこの次元を滅ぼすことだ。

 

 

 

 

 

 

 




次の更新は少し遅れて12月15日以降になります
あと二回で終わります
お付き合いください
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