シン・ウルトラマンエヴァ   作:井上ああああ

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今回の敵怪獣はオリジナル怪獣を出します。


第二話「再会」

シンジが「巨人」と融合して1か月がたった。

巨人の声は響くことはなかった。

相変わらず退屈な日常がしばらく続いた。

 

彼が今現在、通う高校では今日も授業が行われていた。

ゴモラ襲撃以前、通っていた高校は閉校となり隣町の学校と合併となった。

退屈な老教師の話には、辟易しているのか多くの生徒は寝ていた。

 

「…はあ」

 

シンジはためいきをついた。

こんなことじゃいつまでたっても自衛隊に入ることは不可能だ。

日向さんとした約束もこのままじゃ、意味がないな。

 

チャイムの音が鳴った。

老教師は小さな挨拶を済ませると姿を消した。

シンジはそれをぼーっとした表情で追っていた。

 

「…はあ。」

 

 

シンジはそれと入れ替わりできたクラス担任教師に目を移した。

担任教師はそれとなく、生徒たちがだらしないと注意をいつものようにするとその日のクラスを終わらせた。

彼もかばんを持つと、教室から出た。

 

生徒たちは皆死んだような顔をしている。

いつ何時怪獣がやってくるかわからない。

いや、それだけではない中国やロシアとの戦争が再開すればどうなるだろう。

皆心境は暗かった。

 

 

そんな時だった。

 

 

「碇君。」

 

 

女子の声がした。

シンジが女性に話しかけられるなどそうそうはなかった。

 

ツインテールのような髪型を下げたそばかすの少女。

少女は笑顔を浮かべていた。

シンジは、この少女に見覚えがあった。

 

 

 

「…洞木さん!?」

 

 

洞木ヒカリ、シンジがミサトと生活していた時一緒にいた少女。

否、山口県からずーッといた少女だ。

 

 

「えへへへ…懐かしくって話したくなって声かけちゃった。」

「そ、そうなのか…。」

 

 

ヒカリは微笑みながら、シンジの横に立った。

 

 

「キミもこっちに来たの?」

「うん、でもここは友達なんていないし、誰にも話しかけられなくって困っちゃったの。」

「へえ、僕もそうだったんだ。」

 

 

ヒカリはシンジのことをみると、小さく言った。

 

「なんかさ、暇だし…一緒に喫茶店でもいかない?」

「…え?いいけど?」

 

 

シンジは驚いた。

彼女のあだ名は「委員長」だ。

校則やマナーにうるさいあの洞木ヒカリがまさか授業後に遊びにいこうといってくるとは。

とはいえ、シンジも暇だ。

なるべく叔父夫妻の家には早く帰りたくない。

 

 

「嬉しい!」

 

 

ヒカリは目を輝かせた。

こんなに楽しそうな彼女はそういえばみたことがないな。

二人は世間話をしながら、喫茶店に向かっていった。

ちょうど、他の生徒や教員なども利用していたようだ。

顔見知りはいたが、シンジは挨拶はしなかった。

店員に案内された席に座ると、ヒカリは笑顔をぶつけてきた。

 

 

「碇君にこんなところで再開できるとはおもわなかったな」

「僕もだよ。」

「あ、そうそう、そういえば碇君、あの年上のお姉さんとはどうなったの。」

 

 

ヒカリは笑顔で聞いてきた。

そうか、彼女は知らないんだ。

 

 

「死んじゃったよ。」

 

 

シンジはストレートに言った。

その時、ヒカリの顔から笑顔が消えた。

 

 

「え!?本当なの?」

「うん。」

「あの、私ごめんね…。」

「いや、いいんだ。気にしないでくれ。」

 

 

ヒカリは押し黙った。

シンジは笑顔を浮かべると、ミサトを思い出した。

 

 

「あの人、私生活は本当にだらしなかったな。」

 

 

シンジの顔に笑顔が戻ったことを知ると、ヒカリも笑顔を浮かべなおした。

 

 

「私、あの人が時々学校でソフトボール部のコーチしてるのみたことある。友達がそうだったもん。」

「へー、どんな感じだったんだろう。」

「指示が曖昧だってボヤいてたわ。」

 

 

シンジはヒカリの目を見つめ、部活の指導を行っているミサトが頭に浮かび思わず笑い声がでた。

ヒカリはそんな、シンジをみて思わずつられて笑い声をだした。

 

 

「神戸は神戸で楽しかったな、毎日。」

「本当にね。」

 

 

ふと、ヒカリは喫茶店のテレビで流れているニュースをみた。

ニュースは世界で起きている怪獣の被害をうつしていた。

怪獣が暴れながら街を破壊している。

生中継のようだ。

場所は南米。

 

 

もう怪獣が出てきて20年近くになるのに、人類は対策を打ててはいない。

否、倒している個体もあるが、それは中型・小型の怪獣のみ。

大型に対処はできないのだ。

 

 

「碇君、知っている?怪獣は数年おきにやってくるらしいわ。」

「そういえば、ここ2年ほど中々こなかったよね。」

「もしかしたら、誰かがあいつらを操っているんじゃないかしら。」

「どうなんだろう‥。」

 

 

そういえば、例の巨人からの声もあれっきりしない。

何かあったのだろうか。

そんな時だった。

 

 

『碇シンジ』

 

 

声がした。

例の巨人だ。

 

 

『おまえに用がある。』

 

 

理不尽なヤツだ。

 

 

「委員長、連絡がきてるんだ。悪いけどまた今度遊びに行こうよ。」

「うん、いいよ」

「ケータイの番号変わってないから。」

「ありがとう!」

 

 

シンジはアイスコーヒー代を払うと、洞木に挨拶をすませた。

彼は喫茶店に出ると、路地裏に入った。

 

 

「なんだよ!忙しいのに」

『知っている、だがお前に用がある。』

「…なんだよ!」

『貴様の中にある私の力を再び解放しろ、怪獣討伐の時間だ。』

 

 

シンジは舌打ちをした。

 

 

「でも、どうすれば。」

『手を掲げるんだ。天空に。』

 

 

シンジは大きなため息をつき、拳を天空に掲げた。

その時、シンジの体中に大きな光が包み込むと天空高く浮かび上がっていった。

 

 

 

「うわあ!!?」

 

 

 

シンジはふとみた。

宙に浮かんでいる。

やがて、シンジの住んでいる東海地方がみえた。

それは日本列島に変わった。

やがて、太平洋を突き抜けていった。

 

 

『時間だ、ウルトラマンエヴァ』

 

 

シンジの頭の中で巨人が声を出した。

 

 

 

 

 

 

その頃、南米アルゼンチン最大の都市ブエノスアイレスでは二体の怪獣が街で暴れていた。

 

 

 

巨大な猿のような見た目をした怪獣オーガはゴリラのように胸をドラミングしていた。

赤い肌に黒いうっそうとした髪の頭部には、角のようなものが生えていた。

角から電気を蓄えたオーガは大きく空気を吸い、空気中にある電子を溜め込んだ。

 

 

対戦相手の怪獣は、クワガタのような見た目をした昆虫ガイガーは大きなアゴを動かしながら待ち受けていた。

ガイガーは電気をエネルギーにしている。

 

 

 

ウキャアああああああああああああッ!!!!!!!!!!

 

 

 

猿のような雄たけび声をあげたオーガは全身の毛から電気を感じ逆立たせると、口・角・両腕の掌から電流を放電させた。

だが、ガイガーはアゴをむき出しにし、その電流を吸い込んだ。

ガイガーの体内に電気のエネルギーが蓄積した。

しかし、オーガには別の武器があった。

怪力だ。

 

 

 

ウキャアああああああああああああッ!!!!!!!!!!

 

 

 

オーガは素早くジャンプをすると、ガイガーの顎をつかんだ。

ガイガーは対処ができなかったのか呆然としていた。

そして、オーガは力任せにガイガーの顎を左右に動かした。

ガイガーの顎には電気エネルギーと緑色の血が吹き飛んだ。

 

 

 

ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!

 

 

 

そして、次に鈍い音がなった。

 

 

ゴキッ

 

 

ガイガーの顎は砕けた。

そして、オーガは顎の一部を力任せに千切り放り投げた。

緑色の血しぶきはブエノスアイレスの街を包み込んだ。

ガイガーは地面に倒れると、痙攣し次第に動かなくなっていた。

オーガは勝利の雄たけびをした。

 

 

そんな時だった。

 

 

天空からあるものがやってきた。

ウルトラマン、宇宙の正義の守護者。

その正体は碇シンジだ。

シンジはこの怪獣に見覚えがあった。

 

 

 

 

『シンジ、気をつけろヤツは電気を扱う。安易に近寄るな。』

 

 

 

知っているよ、シンジは言わずに毒づいた。

 

 

オーガは突如乱入した侵入者に怒りの声をあげた。

そして、先ほどと同じように全身の毛を逆立たせると手のひらから電流光線を放電してきた。

シンジはそれを光の速度で走り、避けた。

彼は横たわっている、ガイガーの死骸からちぎれた顎を拝借した。

 

 

 

『シンジ、何をするんだ。』

 

 

 

シンジは巨人の声を黙って無視した。

彼は顎の一部をオーガに向けて放り投げた。

しかし、オーガは顔に顎が近づいた瞬間で素早く避けて回避した。

 

 

「ちっ」

『なるほど、周囲を武器にしたのか。だが、相手の方が素早かったな。』

 

 

その時だった。

 

 

 

ウキャアああああああああああああッ!!!!!!!!!!

 

 

 

雄たけびを上げるとオーガはウルトラマンに向かってジャンプをした。

シンジは素早く避けた。

だが、オーガは怒り粗ぶっているのかナックルウォークでシンジを追いかけた。

そして、巨大な握りこぶしをつくるとウルトラマンの顔に向かって拳を当ててきた。

 

 

「ウッ!!!」

 

 

シンジは激痛を感じ、身をねじった。

その時、オーガは素早くウルトラマンに飛び乗るとマウントポジションをとった。

そして、何度も何度も拳をぶつけてきた。

ウルトラマンを通じて、シンジの顔や腹部に激痛が走った。

 

 

「うわああああああああああああ!!!」

 

 

そして、オーガは残酷な笑みを浮かべると全身の毛を逆立たせた。

電流だ。

オーガはウルトラマンの頭部を手でつかむと一気に全身の電気エネルギーをぶちあててきた。

 

 

シンジの全身に激痛が走った。

 

 

「うわああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

その時だった。

胸のカラータイマーが点滅をした。

 

 

『まずい、我々は地上では3分しか活動できない。このままでは死んでしまう』

 

 

このまま死ぬのか。

 

 

シンジは絶望した。

電流が全身に走る、とても耐えられない。

この激痛は、ウルトラマンといえどもひとたまりもない。

 

 

そんな時だった。

 

 

 

シンジの頭の中に、何かが浮かび上がった。

それは女性だった。

 

 

『シンジ君、あきらめないで…』

 

 

ミサトの声だ。

なぜだろう。

なんでこんな時にミサトさんが。

 

 

シンジには理解できなかった。

だが、その時奇跡が起きた。

オーガの放つ電流をウルトラマンは吸収しはじめた。

痛みを感じなくなっていった。

 

 

うきゃあああ?!

 

 

オーガは困惑した。

全身のエネルギーを取り戻したウルトラマンは両腕で、オーガの手の拘束を解いた。

 

 

 

 

「…お前には死んでもらう。」

 

 

 

オーガは相手が何を言っているかわからなかった。

だがその意味は本能でわかった。

ウルトラマンは先ほどの仕返しといわんばかりに、オーガの顔面に拳をぶち当てた。

 

 

ゴンッ!!!!

 

 

オーガは顔を抑えた。

角がむき出しだ。

シンジは両腕の怪力を使い、角の一部をつかんだ。

電流がする、だが痛みを感じない。

 

 

そして、力任せに…。

 

 

 

グキッ!!!!!

 

 

 

角がへし折れた。

赤い血がドクドクと流れている。

オーガは地面に倒れた。

もはや、戦意はない。

だが、シンジは決意していた。

シンジはオーガの角をつかむと、そのままオーガの脳天めがけて突き刺した。

 

 

ブシュっ!!!

 

 

 

オーガは目を白黒させると、そのまま動かなくなっていった。

死だ。

 

 

 

 

その時、シンジは気が付いた。

住民たちがウルトラマンをみていた。

彼らの反応はまちまちだった。

ある者は希望の目で、ある者は恐怖していた。

 

 

 

シンジは周囲の人をみつめると、そのまま天空に飛びあがった。

仕事は終わったからだ。

 

 

 

シンジは再び日本の地に戻ってきた。

数時間ほどしかたっていないようだ。

辺りはまだ明るい。

 

 

 

「あれでいいかい。」

 

 

 

シンジは言った。

巨人は反応がない。

よくわからないやつだ。

首をかしげながら、シンジは叔父夫婦の待つ家に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ国防省。

 

 

 

彼らはアルゼンチンで起きた一幕を映像でみていた。

その様子を大柄な白髪の生えた白人男性がみていた。

彼の名前はサミュエル・レーン、アメリカ陸軍将軍であり統合参謀本部議長であった。

 

 

レーンは隣にいた部下に話しかけた。

 

 

「これをどう思う。」

「危険ですね、どこから来たかもわからない巨人。果たしてこれは人類の味方なのか。」

「うむ、中国ロシアの兵器かもしれない。」

「そうなれば、我が国の敵になります。」

 

 

レーンは振り返った。

 

 

「君はどう思う?」

 

 

レーンの視線の先には黒スーツをきた30代ほどの白人の男が立っていた。

男はいかめしい表情をして小さく言った。

 

 

「これは戦争を意味している、」

 

 

レーン将軍は沈黙した。

男の話を黙って聞いているのだ。

 

 

 

 

「しかし、将軍。我らには『キングジョー』がいます。」

「…フン、楽しみにしているよ。ミスタールーサー。」

 

 

 

男の名前はレックス・ルーサー。

人類史上最大の億万長者の一人であった。

彼はほくそ笑んだ。

 

 

宇宙人ごときに、私の邪魔はさせない。

 

 

 

 

 

 

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