シン・ウルトラマンエヴァ   作:井上ああああ

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今回もオリジナル怪獣がでてきます


第三話「光の戦士」

ブエノスアイレスでの一戦から1週間以上がたった。

世間はウルトラマンの事を知った。

もはや世界中のテレビ・ネットはウルトラマンの話題でいっぱいだ。

 

シンジの通っていた高校でも、教師や生徒の間でウルトラマンの話題はもちきりだった。

怪獣に破壊された町から寄せ集められた子供だらけの高校でも、話題が生まれた。

その目には希望があるのがわかった。

 

シンジはふと、クラスメイトを覗いてみた。

 

「おい、あの巨人の正体ってなんなんだ」

「わかんねえ!でも怪獣をやっつけてくれるってのはいいモンじゃねえのか!」

「なんだろう、俺怪獣どもがぶっ倒されてるのを見て胸がスカッとしたよ!」

 

男子生徒たちが笑っている。

こんな光景はあまりみたことがなかった。

そんな時だった。

隣の席にいる眼鏡をかけた少年が怪しそうな雑誌を読んでいた。

 

この少年をシンジは名前だけ知っていた。

相田ケンスケだ。

以前に科学実験の際に一緒に班を組んだことがある。

 

「…相田くん、何読んでるの。」

「…?ああ、碇君か…。巨人のことが書いてあるんだ。凄いよな。」

「ああ、僕も動画をみたよ怪獣をあっさりとぶちのめしてた。」

「…ありゃキモチよかったよ!」

 

相田ケンスケは眼鏡を揺らして告げた。

 

「って、苗字呼びは何か、歯がゆいな。」

 

確かにそうだ。

なぜかわからないが、らしくない。

シンジは思わず笑った。

 

「俺の事はケンスケでいいよ!」

「じゃあ僕の事もシンジでいいよ。」

 

ケンスケとシンジはお互いに微笑み合った。

すると、男子生徒が近づいて話しかけてきた。

 

「おい、碇…お前のところに女のコがきてるぜ。」

 

シンジはケンスケに「ちょっと待ってて」というと、すぐに教室の外へと向かっていった。

そこにいたのは、洞木ヒカリだった。

彼女は少しドギマギしていた。

 

「おいおい、あれひょっとして碇の彼女かな」

「マジかよ」

 

そんな声がする中、シンジはヒカリに声をかけた。

 

「何か用?」

 

ヒカリは、シンジの方をみると、問い詰めた。

 

「あなた、ずっと前に怪獣が来た時、女の子をおぶって助けた?」

「え!?」

 

ああそういえばそんなこともあったかな。

シンジはその程度の認識で顎に手を当てながらうなづいた。

 

「うん、そうだ…そんなことがあったな。」

 

ヒカリはすると口に手を当てて驚いた。

 

「ああ…」

 

ヒカリは少し照れ臭そうに微笑んだ。

シンジはその様子を少し小首をかしげて見つめた。

 

「どうかしたの」

「‥いや、その…さ、実はさ…」

 

ヒカリは苦々しく笑うと顔を赤くして言った。

 

「それ、アタシの妹なのよね…」

 

シンジはそれを聞くと、ヒカリのマネをするように口に手を当てた

その光景に思わずヒカリも微笑みが漏れた。

 

「碇君、今度さ…ご飯食べに来てくれない?妹があってみたいらしくてさ。」

 

まさか、食事のお誘い?

こんなこと考えたこともなかった。

シンジは少し面食らうと首を縦に振った。

 

「わかった。」

「そろそろ戻るね、じゃ碇君。」

 

ヒカリは照れ臭そうに手を振った。

その後ろ姿にシンジは、少し胸が苦しくなる何かを感じた。

頭をポリポリと掻くと、背後に何か気配を感じた。

相田ケンスケだ、ニヤニヤとしていた。

 

 

「…何か用?」

「いや、おまえも隅に置けないやつだなと感じてさ。」

 

ケンスケの冷やかしをシンジは無視した。

だが、シンジの心にほんのりと何かを期待するものが生まれつつあった。

そんな時だった。

 

『碇シンジ、仕事の時間だ。今度は、南アフリカだ。行け。』

 

この声に聞き覚えがあった。

ウルトラマンだ。

だが、シンジもこの声の対処に馴れてきた。

 

「もうちょっとで授業が始まるよ。」

「そうだったな。」

 

シンジはケンスケに言っているふりをしながら、遠回しに言った。

だが、ウルトラマンはそんなことを知らないというそぶりでつづけた。

 

『お前の力を必要としている人がいるのに、無視か。』

 

シンジは、こっちの責任にするのかと内心腹立たしい気分になった。

声でしゃべるのを抑えて、心を通してウルトラマンに話し始めた。

 

『今は授業中だ、勘弁してくれないか』

『お前は宇宙の戦士だ、忘れるな』

『学生は勉強をするのが本文なんだ』

 

すると、ウルトラマンの声は聞こえなくなっていった。

シンジは足早に教室に戻った。

 

ようやく授業が始まった。

 

科目は日本史だった。

教員が黒板に書いている。

 

 

戦国時代の話だ。

赤穂浪士と吉良上野介だ。

自害した主君の復讐のために立ち向かったサムライたちの話。

 

復讐か。

 

「ミサトさん、父さん…」

 

思わず声が出てしまった。

だがシンジのか細い声は教員の声にかき消されて行った。

 

そうだ、僕はミサトさんの無念を晴らすために、怪獣に殺された父さんのために復讐がしたかった。

 

この心の炎が燃えている。

その炎にシンジ自身が気付かなかった。

少年は授業に集中ができなかった。

 

怪獣、どんなものだろう。

僕がこうやって日常に集中している脇で人が死んでいる。

それを放置していると知れば、もしもミサトさんが知ってしまえば悲しむだろう。

 

 

『そうだぞ、碇シンジ。お前が放置している中人々は死んでいる。何かできるのは地球でたった一人お前だけだ。』

 

 

シンジは手をあげた。

 

 

「あの、先生」

「何だ、碇」

「気分が悪いんです、吐きそうなんです」

 

シンジは実際に気分が悪かった。

嘘をつける人間ではなかった。

だが、これで外に出る口実はできた。

 

「…わかった、トイレに行ってこいそれでもダメだったら保健室へ行け」

「はい。」

 

シンジは首を縦に振った。

その時、また声がした。

 

 

『いい行いをしたな』

 

 

つくづく都合のいいやつだ。

シンジはトイレの中へ入った。

そして、以前と同じように変身しようとした。

だが、思いとどまった。

もしもここで変身すれば、この学校はつぶれるんじゃ‥。

 

 

『いや、大丈夫だ問題ない君には瞬間移動ができる、イメージをすればそれが実際にできるようになる集中しろ』

 

 

シンジは集中した。

そして、アニメのキャラがやるように行う瞬間移動のイメージを思い浮かべた。

その時だった。

彼の体は学校のトイレから消えていた。

 

 

そして、気が付くとそこは見慣れない風景がみえていた。

多くの黒人の男女が逃げている。

 

シンジは二度見をした。

高層ビルが破壊されている。

破壊されたビルの中を何かが蠢いていた。

 

 

蛇だ。

否、蛇なのだが眼がない。

巨大な口だけの頭部を巨大な手足の無い胴体が這っている。

色は白かった。

 

 

『アレが今日の怪獣だ。』

 

 

 

シンジは驚いた。

大きい。

全長は、800mほどあるだろう。

今まで戦ったやつのなかでは最もデカい

 

 

『ビビったのか?』

「まさか、あれよりデカいヤツをみたことがある。」

 

 

シンジはほくそ笑むと、全身のエネルギーを掌にため天空に突き上げた。

すると体は光が覆い、全身を銀色の体そして赤い線がついた巨人に変化していった。

ウルトラマンに。

 

 

蛇の怪獣ガルズはウルトラマンの存在に気が付いた。

そして、大きな口を開けた。

その口の中にはびっしりとした牙が生えまるでミキサーの刃のように回転していた。

だが、シンジは恐れなかった。

 

 

ビルの破片をつかむと、ガルズの口の中に破片を放り投げた。

轟音とともに牙たちはコンクリートの塊を一瞬で砂のように変えていった。

その時、隙ができるのがわかった。

 

 

シンジはすぐさまガルズの胴体をつかみ投げ飛ばそうと怪力を振るおうとした。

その矢先だった。

ガルズの口元がニヤリと動くのがみえた。

 

 

『まずい、罠だ』

 

 

すると、ガルズの体はウルトラマンの首や胴に絡みついた。

ウルトラマンは振り払おうとした。

だが、ガルズの怪力は強かった。

 

 

「…ああああッ!!!!!」

 

 

シンジは首と胴に激痛が走るのがわかった。

もだえ苦しみながら、激痛に悶えた。

 

 

その時、胸のカラータイマーが赤に点滅し始めた。

まずい、これが点滅するということは、かなり命もやばいということだ。

 

首と胴を締め上げるガルズの肉体をシンジは掴んだ。

だが、動かない。

強すぎる。

 

 

 

「ぐうううううッ…!!!!!!」

 

 

 

このままでは3分が過ぎてしまう。

まずい。

このまま、死ぬのか。

意識が薄れてきた。

 

 

『シンジ、シンジ…エネルギーをためろ。腕にためろ。』

 

 

 

あの声だ。

シンジは、声の通りに自らの左腕にエネルギーを溜め込んだ。

全身の電気を、エネルギーを集中した。

そして、そのまま掌からエネルギー群を放出した。

それは巨大な雷のような音をたてると、大きな歯車のような形になった。

 

 

空気を切る音がした。

歯車のような光輪は回転しながら、ガルズの首に振り堕ちた。

すると、赤い血しぶきをたてながら蛇の怪獣ガルズの首を切り落とした。

哀れな怪獣は自分の最期を認識することのないまま死んだ。

 

 

ウルトラマンは解放されたことを知り、怪獣の死を確認した。

そして、再び天空に戻っていったのだった。

怪獣を倒した。

その幸福感に包まれたシンジは、気が付くとトイレの中にいた。

 

 

『まだ3分しか経過していないぞ。』

 

 

体もシンジのままだ。

生きている。

シンジは急いで教室に戻っていった。

巨人の声の通りだった。

まだ日本史をしていた。

 

 

教師はシンジの顔を見つめると聞いてきた。

 

 

 

「保健室にいかなかったんだな」

「ちょっと吐いたら気分がよくなったんです」

「そうか」

 

 

彼は教室で授業を受けた。

次は、かなり集中して授業を受けることができた。

そして、1日が過ぎた。

 

 

学校の帰り間際、バスに乗ると再びウルトラマンの話が聞こえた。

男子生徒たちだ。

 

 

 

「例の巨人がまたやったらしいぜ!」

「すげえな!」

「あいつが人間の味方ならいいのにな!」

 

 

シンジは微笑みながら心の中で「もちろん人間の味方さ」と付け加えた。

彼はスマホをチェックするとヒカリからのメールがきていた。

 

 

『今週火曜日どうですか』

 

 

シンジはもちろん返信した。

 

 

『大丈夫だよ』

 

 

 

ヒカリの家での食事、一体どんなものがでるのだろう。

シンジのワクワクは止まらなかった。

 

 

 

 

 

それと同じ頃

 

 

 

レックス・ルーサーはある場所にいた。

そこは大きなモニターがあった。

そこでは少女が繰り返しビデオを見ていた。

 

 

ルーサーは微笑みながら彼女に聞いた。

 

 

 

「気になるか、そいつの戦い方だ。もっと研究しておけ、いずれは敵になるんだからな。」

 

 

 

少女はルーサーの言葉に反応した。

 

 

 

「こんな化物にすがっているようでは、人類の先行きは不安ね。」

「その通り、だから君がいる。」

 

 

 

少女は真剣なまなざしでビデオをみていた。

ルーサーはそれに満足していた。

 

 

 

「君は特別なんだよ、アスカ。」

 

 

 

ルーサーは少女の名前を言った。

 

 

 

 




次回、アスカ登場!?
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