高松家の双子は迷子   作:ローマン

4 / 18



※後半、シリアス注意





私の気持ち

 

 

 

※煌視点

 

 

 

 〜RING、スタジオ〜

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

「私、間違えずに出来たよ!」

 

「さすが、姉さんたちのバンドですね。」

 

 

 

 今は、MyGO!!!!!の練習を見学させてもらっている

 

 一見バラバラに見える5人だが、いざ演奏が始まると、バンドの世界観を醸し出した独特な雰囲気を魅せる

 

 特に、先程まで練習していた碧天伴走は5人で初めて作った曲らしく、心に問いかけてくるものがあった

 

 

 

「そろそろ、煌の琴見せてもらってもいい?」

 

「私も見たかったんだ。」

 

「時間が過ぎるのはあっという間ですね、約束でしたからやりますよ。」

 

「私は帰る。」

 

「ちょっ、帰っちゃうの!?」

 

 

 

 ギター練習に満足した楽奈ちゃんは、機材を片付けて早速帰ろうとしていた

 

 なるべく私の演奏は誰にも見られたくなかったから、かえって都合が良い

 

 

 

「じゃあ、いきますね。」

 

 

 

 軽く深呼吸をしてから、琴の弦に触れる

 

 私は昔から、琴の優しい音色が好きだ

 

 

 

「このメロディー……!」

 

「これ、詩超絆だ……!」

 

「おもしれ〜。」

 

 

 

 詩超絆のメロディーを奏でていると、帰ろうとしていたはずの楽奈ちゃんが足を止め、片付けたギターをもう一度取り出し、アンプに繋いでいた

 

 すると、楽奈ちゃんはイントロ部分をギターで弾き始める

 

 

 

「そよ。」

 

「えっ、ま、まさか……!?」

 

「準備しよ〜!」

 

「う、うん……!」

 

 

 

 すると他のメンバーもそれぞれの持ち場に付き、楽器を構える

 

 

 

「うたううた〜♪ うたういま〜♪ ああ届け、君の胸にまだ間に合うかい〜♪ こころを叫ぶ、言葉を超えるため〜♪ (僕には)たったひとつのやりかただから、ああ〜♪(僕はうたう、うたううた、きみに届くまでうたう〜♪)きみに届くまでうたう(僕はうたう、うたううた、きみに届くまでうたう〜♪)

 

 

 

 ここのコーラスは、以前のライブでは見られなかった

 

 新たに追加したのだろう

 

 

 

「一緒に泣きたいよ〜♪ (きみと)一緒に笑いたいよ〜♪ (きみと)僕らの道が平行線だとしても〜♪ 昨日を握ったまま〜♪ (きみの)ズキズキ震えてる〜♪ (こころ)痛いほど伝わるから、きみを離れない〜♪」

 

 

 

 ここからゆっくりと転調したフレーズに変わる部分

 

 私のとても好きな所だ

 

 

 

「うたう、手と手をつなぐうた〜♪ ほどきたくないんだ、ずっと一緒にいよう〜♪ うたう、僕らになれるうた、うたう〜♪ ここではじめよう、もう一度〜♪」

 

 

 

 そしてラストまで、私たちはセッションをしたのだった

 

 気が付けば、私の目元はうっすらと濡れていた

 

 

 

「あれ〜? きらりん、もしかして泣いてる〜?」

 

「……目にゴミが入ったんだと思います……」

 

「声震えてる、やっぱひかるもおもしれ〜女……の子」

 

「煌、ありがとう。」

 

「和のアレンジもありだな……」

 

 

 

 やはり私は、姉さんたちに敵わない

 

 こんなに良い曲を作れて歌えるのだから、数年後にはかなり大化けしていそうな気がした

 

 迷子のままで進むのだろうけど……

 

 

 

「煌ちゃん、私たちと合わせてみてどうだった?」

 

「良かったとは思います、ただ……」

 

「ただ?」

 

「MyGO!!!!!以外のバンドとは合わないと思います、こんな性格ですから……」

 

「え〜、勿体ないよ! 折角なら和楽器のクラブとか入ってみたら!?」

 

「っ……!」

 

「ひ、煌?」

 

「あなたに……あなたに私の何が分かるんですか!!?」

 

「えっ、きらりん……!?」

 

「煌っ!!」

 

 

 

 私は愛音さんにそう怒鳴り散らし、姉さんの静止も聞かず、スタジオを飛び出した

 

 あぁ、やってしまった……

 

 結局、私は逃げ続けることしか出来ないのだろうか……?

 

 もうイヤだ……誰かとセッションすることが……

 

 琴なんてやるんじゃなかった……

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 外はいつの間にか気温が低くなり、ポツポツと雨粒が当たる感覚があった

 

 無我夢中で走り続けた先にたどり着いたのは、とある公園

 

 ここは確か、姉さんがよく綺麗な石を拾ってくる所だ

 

 そういえばあの日も……あそこで姉さんが……

 

 

 

「煌っ!!」

 

 

 

 私を呼んだのは聞き間違える筈のない、たった1人の姉の声だった

 

 

 

「姉さんっ……」

 

 

 

 もう感情なんてぐちゃぐちゃだった

 

 息を切らした姉さんを見た途端、私は姉の懐に抱きついた

 

 

 

「煌……もう大丈夫だよ……?」

 

「ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」

 

「煌は琴が弾けるだけでも充分だよ、不安ならお姉ちゃんがいつまでも側に居てあげるから……」

 

「うん……お姉ちゃん、ありがとう……」

 

 

 

 そして、そっと姉さんに抱きしめられたのが分かった

 

 今だけは、普段の敬語を使えなかった

 

 まるで、昔の私に退行したみたい

 

 けれどそれは決して嫌ではなく、むしろ懐かしくて、このままこの優しさに包まれていたいなと感じるものだった

 

 

 

「きらりん!!」

 

「愛音さん……?」

 

 

 

 私は愛音さんの言葉で、元の世界に戻される

 

 後ろには、傘をさしたそよさんと立希さんの姿があった

 

 

 

「燈、煌は大丈夫そう……?」

 

「うん、だいぶ落ち着いたと思う。」

 

「ひとまずRINGに戻ろう、ここだと風邪引いちゃうかもしれないから。」

 

「そうだね。」

 

 

 

 ひとまず雨足が酷くなりそうだったので、一旦私たちはRINGに戻り、話を整理することにした

 

 

 

____________________________________

 

 

 

 〜RING、カフェテリア〜

 

 

 

「燈ちゃんと……煌ちゃんだっけ? 今日は傘持ってきてなかったの?」

 

「いえ、私が自発的に飛び出してしまったので自業自得です。」

 

 

 

 私たちにタオルを貸し出してくれたのは、ここのライブハウスのスタッフである真次さん

 

 立希さんの上司にあたる人らしい

 

 

 

「さっきはごめん! きらりんの気持ちを考えずにあんな事言って!」

 

「……大丈夫です、元はといえば、あれは私が原因なんですから……」

 

「ひかるの琴、もっと聴きたい。」

 

「パフェあるから、野良猫は少し黙ってて。」

 

「……煌ちゃん、何があったのか私たちに話してくれないかな?」

 

「そよちゃん、それは……」

 

「大丈夫です姉さん、皆さんになら話してもいいですから。」

 

 

 

 私の忌まわしき過去

 

 家族以外で話すのは初めてかもしれない

 

 話してあげよう……トラウマになったあの頃のセッションを……

 

 

 

 

 

 







 お姉ちゃんしてる燈を描きたかっただけ……

 次回は、更にギスドリでシリアスな回を予定


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。