高松家の双子は迷子   作:ローマン

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 いよいよ、彼女の復讐の前編です

 それと、この小説では今年最後の投稿になります

 それではどうぞ!!







宵闇への願い星

 

 

 

 

※煌視点

 

 

 

 

「な、何でお前が……!?」

 

「私の願いだったんです……あなたとの因縁を断ち切ることが!!」

 

「煌ちゃん、あんまり感情的になってはいけないよ、これから演奏なんだからさ!」

 

「……すみません、取り乱しました。」

 

「あ、君は客席に戻っていいよ、あくまでも君はお客さんだからね。」

 

「チッ……! 何なんだよ、コイツら……」

 

 

 

 そう不満を漏らしつつも、榎戸は客席に戻っていった

 

 一旦、落ち着かなくては……

 

 私が怒っていては、相手のペースに呑まれてしまう

 

 

 

「なんて……言うとでも思った?」バチン

 

「なっ……!?」

 

「あっ……! 琴が……!」

 

 

 

 榎戸はポケットからペンチを取り出し、私の琴の弦を一本切った

 

 さすがの行動に、姉さんも言葉を失っている

 

 

 

「ははは! どうだ!? これでもう演奏できないだろ!?」

 

 

 

 ん? でも、何かがおかしい

 

 これだけ榎戸が騒いでいるのに、なぜ観客は何も言わない……?

 

 普通ならブーイングが起きそうなのに……

 

 そう思い、周りをよく見渡してみると、客席の方だけ時間が止まっているように見えた

 

 

 

(煌ちゃん、こっちは大丈夫、今はあの娘に集中しな?)

 

(あ、ありがとうございます。)

 

 

 

 神主さんが、力を貸してくれたんだ

 

 ありがとう……!

 

 

 

「……細い弦を一本切られたみたいですね、良かった。」

 

「は?」

 

「客席に戻ってください、そろそろ開演時間なので。」

 

「フッ、お前の恥晒しが見られるみたいで楽しみだよ!」

 

 

 

 そう捨て台詞を吐いて、榎戸は客席に戻っていった

 

 私は、メンバーと同じ狛犬のお面を着ける

 

 フフッ……

 

 それはこちらのセリフなのだということを、あの女はちっとも分かっていないようだった

 

 

 

 

 

_____________________________________________

 

 

 

 

「さぁ、気を取り直して開演だ〜!皆、準備はいいか〜い!?」

 

「おぉ〜!!」

 

「OK! それじゃあ、最初はこの曲からだ……どうぞ!」

 

 

 

 

♪星空へと続く坂道

 

 

 

 イントロは神社の鐘が鳴る音から始まり、バイオリンのピチカートが演奏される

 

 

 

『気づけば... 駈けだしていた〜♪ 揺れ動く... 心の侭(まま)に〜♪ 遠ざかる... 白い壁〜♪ 一度も... 振り返らずに〜♪《生命(いのち)》が... 消え逝く季節の... 胸を刺す... 気配の中で〜♪ 迫りくる... 暗い闇〜♪ 二度と... 明けないような気がして〜♪』

 

 

 

 ちなみに歌っているのは姉さんだ

 

 もう1人の人は分からないけど、この曲は姉さんがソロで歌う

 

 

 

『転がり落ちそうな心、必死に抱き止めていた〜♪ 星空へと続く長い坂道は、永遠にも... 思えたから〜♪ 咲く花や...(咲く花や) 散りぬるを... (散りぬるを) 神代(かみよ)の《時代(とき)》より繰り返す... 私はそれを... 美しいとは... 思ったことがない〜♪絶えず... 久方(ひさかた)の...(久方の) 春の陽(ひ)を... (春の陽を) 仮初(かりそめ)の影が奪い合う... その営みを... 美しいとは... 思ったことがない〜♪』

 

 

 

 やはり姉さんの歌声は、心に問いかけてくるものがあって素晴らしい

 

 けど、あの女は気づいていないのだろう

 

 あの日、間違って襲った私の姉のことを……

 

 

 

『諦めながら... 生きてた... (生きてた) 何も望まないように... それでも... 手放せなかった... 最後の願ひ(ねがい)を... 握りしめて...

 

 

 

 

♪狼欒神社

 

 

 

 それまで出番無しだった、私の琴のイントロから次の曲は始まった

 

 

 

『あれ? 私が生まれ育ったのは――狼欒神社(ろうらんじんじゃ)?』

 

『嗚呼、其処に《…へと至る物語の可能性(ロマン)》は、在るのだらうか(あるのだろうか)?』

 

『掛けまくも畏(かしこ)き、狼欒大神(ろうらんおおかみ)の〜♪ 貴(うず)の大前(おおまえ)に、恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(もう)さく、蒙(かうぶ)り奉(まつ)る、恩頼(みたまのふゆ)を、尊(とうと)み奉(まつ)り、忝(かたじけな)み礼(いや)び奉(まつ)る〜♪』

 

 

 

 歌うのは姉さんではなく、神主さん

 

 あの絵馬に、姉さんだけが歌いますようにと書いておくべきだったかもしれない

 

 

 

『ゑ(え)? 何を宣ひ(のたまい)奉(たてまつ)つてんのか解らなゐ(わからない)? 君つて本当に 神社の娘(こ)? まあ、祝詞(のりと)つて基本こういふ(こういう)ノリだからね。 ささ、次の《文節(バース)》には君の出番もあるよ!)』

 

『此処(ここ)なる女(おみな) 高松燈(たかまつともり) 』

 

 

 

 ん?

 

 原曲に、姉さんの名前なんて出てきていないはずじゃ……

 

 神主さん、そんなのアリですか……?

 

 

 

『参上(まいのぼ)り来て、御前(みまえ)に仕へ(つかえ)奉(まつ)る状(さま)を、愛(めぐ)しと思(おも)ほし給ひ(たまい)、妹の煩ひ(わずらい)を、祓ひ(はらい)給へ(たまえ)と、恐(かしこ)み恐(かしこ)みも白(もう)す』

 

『(はゐ(はい)、奏上(そうじょう)終了。さつきの縦糸(たていと)タイムでも説明したけど、もう一度御浚ひ(おさらい)しておこうか!)』

 

『とりま、単純に復讐|復習(ふくしゅう)するなら、君が、従順に神に仕へ(つかえ)たら、皆の願ひ(ねがい)が叶つて《誰も損をしなゐ幸福な関係(ウィンウィンでハッピー)》何処かで誰かが、叫び続けてる〜♪』

 

『(其の想ひ(おもい)、神に奉(たてまつ)れ!)』

 

『『絵馬に願ひ(ねがい)を!』』

 

 

 

 ここで、姉さんともう1人の歌い手が一緒にセリフを唱える

 

 

 

『嗚呼... 八百万(やおよろず)の幻想の神々、掛けまくも畏(かしこ)き、狼欒神群(ろうらんしんぐん) 〜♪ 解釈で、地平(ちへい)を塗り替え、異なる結末へと〜♪』

 

 

 

 ここからは、それぞれのバンドメンバーのソロパート

 

 まずはキーボード、かなりの早弾きですね

 

 続いてはバイオリン、音色に乱れがない、これは実力者だと思います

 

 そのまま、ギター2人が前に出てきてソロを奏でる

 

 その次はベースとドラムのソロ、かなり激しいですね

 

 ラストは私たち、和楽器のソロ

 

 ……無事、弾ききれました

 

 

 

『君が契つた(ちぎった)灼(あらた)かな神は、刹那、節理を捩ぢ曲げ〜♪ 信徒の祈りを、切な願ひ(ねがい)を、必ず叶へ(かなえ)る〜♪ 君が仕へ(つかえ)る新たな社(やしろ)の〜♪ 責務、石碑に浮かべば〜♪ 昏(くら)き瞳で、赤(せき)の光で、地平(ちへい)を導く〜♪ 宵闇(よいやみ)に、願ひ星(ねがいぼし)、集めてはヒカリを解き放とう〜♪ 何刻(いつ)か、キミを《否定する(すくう)》為に〜♪』

 

 

 

 神主さん、割と歌い手も務まっていますね

 

 

 

『こぞりて、天降(あまくだ)る万能の神々、掛け値(かけね)なく賢(かしこ)き、狼欒神群(ろうらんしんぐん) 閃きで 因果(いんが)を書き換へ(かえ) 望みの結末へと〜♪ 侭... 言の葉(ことのは)の調べを辿(たど)りて、駈け廻(めぐ)る彼処(かしこ)へ狼欒随神(ろうらんずいじん) 考察で 事象を跳び超へ(こえ) 未(ま)だ見ぬ結末へと〜♪ 輪∞廻(りんね)の始まりへと〜♪』

 

 

 

 神主さんが歌い上げた時、私のすぐ側に銀色に光るものを突きつけた者が見えた

 

 それは、私を苦しめ続けたあの女の刃だった

 

 

 

 







 絵馬に願ひを!より2曲、登場しました

 読みづらい可能性もあると考え、ふりがなをふらせていただきました

 最凶の敵がラストで向けた刃とは? 以降は来年明かされます

 それでは皆様、良いお年を!!





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