Fate/Extra Contract 欠けた月は堕落の泥に抱かれて   作:欠けた月の契約者

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欠けた月は星見にて堕落の獣と共にある

 

 欠けた残響(ユメ)を見た。七つの海の底に君臨する熾天の檻へ辿り着き、新天地への道を切り開いた『月の王』。

 

 欠けた残響(ユメ)を見た。閉ざされた月の辺獄で産まれ、憎悪の死相を浮かべながら生きたいと願った『復讐者』

 

 欠けた残響(ユメ)を見た。七つの特異点を修復し、終局へ辿り着き獣を討伐した『星見の契約者』

 

 欠けた残響(ユメ)を見た。己の旅路が彼方の模倣であると全てが獣の策略であると知りながら収束へ向かい獣に抗った『黙示の証明者』

 

 ある『救世主』が言った、自身は欠片だと。

 

 『パズルの欠片、絵に開いた穴、未だ埋められない空白』

 

 その『救世主』は諦めていた熾天の檻で待ちながら。しかして結論は下せない。自身は終わりを待つ欠片(ピース)の一つなのだと。

 

 だからこそ

 

 『その絵は完成(終わり)に足る、美しい模様(アートグラフ)と言えるのかね?』

 

 確かに一つのパズル(世界)を完成させるには欠片は必要だろう。それがパズル(世界)のあるべき姿なのだから。

 

 ならば、完成したパズル(世界)で余っている欠片(◼️◼️◼️)はどうすればいい。

 

 自身が埋める隙間など何処にもない。例え、無理やり埋めたとて周囲の模様と馴染めない。

 

 だから、私は探したのだ。その欠片(◼️◼️◼️)が美しい模様となる場所を…

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 「きろ……起きろ…我が契約者(マスター)よ…」

 

 耳元で声が聞こえる凛とした少女の声だ。私にとってここ数年で一番耳にしている好ましい音。

 

 「ようやく、起きたか…。貴様が多忙の身であるのは承知だが惰眠を貪る時間は無い筈だ。それに寝るならちゃんと寝ろ、そのように机で伏して眠るから休息にもならぬのだ」

 

 微睡みの中でうとうととしていた意識が浮上する。少女の小言を聞いている内に先程まで夢の中で何か考えていた気がするが最早思い出せない。夢とはそういうものだ。

 

 『おはよう、ドラコー』

 

 声の主へ目を向けるとそこには深紅のドレスを身に纏い黄金に煜く王冠を身に付ける童女の姿をした私の相棒(サーヴァント)が居た。

 

 不機嫌そうな表情と深紅の瞳で私を叱責するように睨み付けるが彼女からは私を心配する気持ちが伝わってきている。

 

 「おはようではない。今は昼の2時だ」

 

 しまった、そんな時間か。既に予定していたミーティングには遅刻してしまっている。所長やドクターにも迷惑が掛かっているだろう。

 

 椅子から立ち上がり会議室へ向かう準備を始めようとすると唐突に足を払われ、部屋のベッドへ倒れ込む。

 

 『何をするんだドラコー、これから会議にッ…?!』

 

 抗議の言葉を彼女へ投げ掛けるが腹部への衝撃で遮られる。殴られたのではないベッドに寝ている私の腹部へドラコーが勢い良く腰を下ろしたのだ。

 

 現在、彼女は人と変わらぬ姿をしている。その為、体重が重いわけではないが童女の姿をした彼女の体重は確かさん…

 

 「貴様…その首が惜しくないのか?いいぞ、いっそ余がお前に終演の幕を降ろしてやろう」

 

 女神のような微笑みだか一切目が笑っていない。笑顔は本来、相手を威圧するものということを想起させるそんな笑みだった。

 

 すまないと言葉にし、しかして彼女自身はとても軽いと言葉にする。すると彼女は笑みから呆れたような表情になった。

 

 「重い、軽いの問題ではない。女子(おなご)の体重について語るなぞどの時代に於いても禁忌の中の禁忌だ」

 

 乙女心というものは難しいものだ。長い付き合いである彼女とはお互いに醜い心の内も晒け出しているがそれでも尚地雷というものはあるらしい。

 

 『ドラコーはその姿でも十分過ぎる程に愛らしいよ』

 

 「であろうな、余は貴様とって至高にして至上の名器。この姿こそが…」

 

 『でも、ドラコーは抱くには若干細いよね。ネロ帝程とは言わずとももう少し肉が付くと…』

 

 その瞬間、空気が凍りつく。この施設の外である南極の寒空の下の方がマシなまでに。いや、私自身これが地雷なのは理解していたがここで変に嘘を吐くのはいけないと考えていたら要らない言葉まで付いてきてしまった。

 

 「ほう…浮気か?なぁ、契約者(マスター)よ。浮気なのか!そもそも薔薇の皇帝である余よりも再臨した余の方が『ナイス・バディ』であろう!何が不満だ!」

 

 『だって、あっちのドラコーってネロ帝の意識が強くでしょ?私には今のドラコーの性格が好きなんだ』

 

 「そ、そうか、やはり余でないといけないか!愛いやつよの我が契約者(マスター)は!」

 

 天動説体である時の彼女は薔薇の皇帝であったネロ帝の『全てを捧げ、燃やし尽くす愛』を体現している。異様にボディタッチが多かったり、直接的な愛情表現が多い彼女に些か戸惑いを感じる。

 

 地動説体である今の彼女は普段の言動は厳しいながらも私との適切な距離を図りながら時折私に甘えてくる様子が可愛らしく。普段、共に過ごすならこの状態の彼女が私は好きだ。

 

 若干、今のドラコーもネロ帝の側面が強く出ていると思わなくも無い。しかし、普段ツンツンとしている童女の彼女が今はない尻尾を勢いよく犬のように振ってそうな姿は可愛らしく、私はその様子を微笑ましく眺めていた。

 

『そろそろ、退いてくれないか?会議に顔を出さなければいけないのだけど』

 

 「Dr.アーキマンが訪ねて来た時に会議資料とやらは渡してやった。既にお前の欠席は伝えておるわ。余の気遣いに感謝するといい」

 

 『そっか…じゃあどうしようか。次の仕事でも…「…ふんっ!!」ごはっ!?』

 

 腹の上で跳ねられ肺から空気が絞り出される。何をするのだと彼女へ非難の目を向けるといつもの冷めた目で私を見下ろしている。

 

 「余が気を遣ってやったのだ、今日は休め。『下手の考え休むに似たり』というだろう。今の貴様が作業を続けたとてマトモなものにはならぬ。余の共に休息を取れ愚か者」

 

 『……ありがとうドラコー、心配してくれて』

 

 「…ふんっ、我が契約者(マスター)の死因が過労なぞ笑い話にもならぬ。貴様が洛陽を迎えるときは余と共にだ。貴様が切った啖呵を忘れてはおらぬな?」

 

 『勿論だ、君をこの世界へ呼んだ私にはその責務がある。私の最期は君と共にあることを忘れはしない』

 

 数秒の間、互いに視線を逸らさなかった。紅玉のように燃える赤い瞳の中に私が写っている。私の瞳にも彼女が写っているのだろう。

 

 「忘れていないのならよい。……先程まで机で寝ていた程だ、まだ眠かろう。貴様が次に起きたら厨房から何か小腹に入れる料理を持ってきてやる」

 

 『そうだね、まだ少し寝たりないみたいだ…こう話している内にも…眠気が…』

 

 急に訪れた眠気に瞳を閉じると私の両頬に柔らかく小さな手が添えたれた。

 

 「さぁ、余に溺れろ…堕落の泥に包まれて眠るがいい…おやすみ…愛おしい人(マスター)

 

 唇に柔らかな感触を感じると私の意識はまた夢の中へ深く深く落ちていく。それは底の無い沼へ沈むようであるが私は不思議と安心したのだ。

 

 これは『どの風景にも馴染めない欠片』と『ソラを目指し、手を伸ばし続けた獣』の物語。

 

 彼らがいずれ訪れる最期(洛陽)までに描き続ける美しくは無いかもしれないがきっと誰かに望まれた軌跡(模様)である。

 


 

【資料1 スタッフ:Dr.キシナミ】

◯詳細1

前所長マリスビリー氏の時代から勤務をしているスタッフ。顧問であったレフ・ライノール氏が自殺し、その引継ぎとしてカルデアの顧問となるまでは施設外で他組織との交渉や主に海洋油田基地セラフィックスでの勤務。

 

近未来観測レンズ「シバ」に故レフ・ライノール氏の後任として管理・維持に携わっており、レイシフトに必要な知識を保有。

 

魔術師(メイガス)としてよりも霊子ハッカー(ウィザード)としての適正が高く。事前検査ではレイシフト適正もあることが確認。

【資料2 過去の経歴】

◯冬木:聖杯戦争

2004年日本の冬木にて行われた『聖杯戦争』と呼ばれる儀式にて勝利。その際に儀式にて使用されていた冬木の英霊召喚術式を解析。現在カルデアにて研究が進められているカルデア英霊召喚術式の元となっている

 

聖杯戦争後はその経歴を買われ、マリスビリー前所長のスカウトでカルデアに所属。海洋油田基地セラフィックスでの勤務を行いながら西欧財閥やアトラス院などの他組織との交渉を担当した。

 

1999年以前の経歴はほぼ不明であり、時計塔にも所属していない魔術師。使用する魔術属性は『虚数』である。彼の使用する簡易術式(コードキャスト)は多くの点で既存の魔術師と異なっている。

 

過去にある一族に招かれてアトラス院を訪れている。その際に行った契約によって全身の魔術回路を霊子ハッカーとしての機能に特化したものに変換した為に現在では現実世界での魔術行使はあまり想定しておず、今はまだ広まってはいない霊子虚構世界に特化した魔術師となった。









FGOACイベントでドラコーがあんなにヒロインしたのに
二次作品少なくないですか?…

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ところでEXTRARecordって…
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