Fate/Extra Contract 欠けた月は堕落の泥に抱かれて 作:欠けた月の契約者
私は人生の中でも最大に困惑しています。窓の外を覗くと大吹雪、何処に居るのかも分かりません。どうしてこうなったかというと。
先月、街中の献血に協力した際に私は特別な体質であるとかでそれは多くの人の役に立つことなので協力してくれないかというものでした。
私に出来ることがあるならと契約書にサインをして、ある施設へ行くとのことで荷造りをして出発すると守秘義務だとか何とかで到着まで外の風景は見せてもらえませんでした。
幾つかの乗り物を乗り継ぎながら長時間の移動の末にたどり着いたのがここ…。
『──塩基配列 ヒトゲノムと確認』
『──霊器属性 善性・中立と確認』
「あの…ここって…」
頭の中に響く声、機械的な抑揚の無いシステムボイスは私に疑問をさせてくれる暇もなく言葉を続ける。
『ようこそ、人類の未来を語る資料館へ。ここは人理継続保証機関カルデア。当館では入館に際して個人証明をする必要があります。名前をお願いします』
私の名前は…
「藤丸立香、日本人です」
『指紋認証、声紋認証、遺伝子認証。魔力回路の測定を完了しました。職員登録名と一致します。貴方を霊長類の一員である事、当館の職員である事を認めます』
大きなガラスの扉が開いたので私は歩く。するとまた直ぐに扉で行く手を阻まれました。扉にはこのカルデアという組織のマークらしきものが大きく描かれている。
扉早く開かないかなと考えているとまたアナウンスが聞こえてくる。それは先ほどの機械的な女性のアナウンスではなく。男性の落ち着いた声であり、声の先には人間がいることを理解させる。
『ようこそ、No.48マスターの藤丸立香。申し訳ないが入館手続きには3分程必要なんだ。』
「えっと…貴方は…?」
『私はここの職員だ。本日、カルデア最後のマスターが到着すると待っていたのだが想定よりも少々遅れたようだね。それはこちらの不手際だな』
「三分間待っていればいいんですか?」
『そうだね……少しゲームをしようか。そこにマークがあるだろう?そこへ立って待っていてくれ』
「ゲームですか?…分かりました。場所はここでいいんですか?」
『レギュレーション:シニア。想定契約サーヴァント:セイバー、ランサー、アーチャー。スコアの記録はありません。サーヴァント使役シミュレーション開始します。』
機械アナウンスが室内に響くと私の周囲の風景が無機質な部屋から少し開けた草原になった。そして目の前には青い服に甲冑姿の金髪の女性、赤い槍に青いタイツのような服装の男性、両手に白と黒の剣を握っている褐色白髪の男性が並んでいる。
その三人の人物の対面には幾人もの骸骨の兵士が戦闘態勢なのか剣や盾を構えている。
「えっ!えっ!ここ何処!?そして誰!?あの骸骨なんなんですか!?」
『そんなに慌てないでくれ。君は先程の部屋から移動していない。君の視界に映る風景はこの施設の技術の一つだ。』
「はぇ…凄い技術ですね…」
私も最新のゲーム機などは確認しているけど一体何世代先になったらこれが家庭用に出るのだろうか。
『これから君には彼らに指示を出して、
槍を持ってる人が【ランサー】なのは分かるけど【セイバー】と呼ばれた女性は剣など持っていないし、【アーチャー】と呼ばれた人も弓を所持していない様に見える。
「あの彼らはどんなことが出来るんですか?」
『そうだね、【セイバー】は万能型の剣士だ。他二人に比べてもステータスが平均的に高く、並大抵の
典型的な前衛タイプのキャラクターなのだろう。私よりも身長は小さめだが後ろ姿には騎士の風格がある。
『【ランサー】はスピードと攻撃に優れた戦士だ。彼を戦地へ放り込めばそれだけで一騎当千の活躍を見せるだろう。この中では特に継続戦闘能力に優れている。』
【ランサー】はスピード型…しかも、よくある耐久が極端に低いというような感じではないみたい。
『最期に【アーチャー】だが彼は能力数値だけを見るのならこの中では最弱だ。しかし、彼の真髄はあらゆる局面に対応できる手数の多さ。近接戦闘、遠距離、護衛に戦闘支援と戦略にある穴を埋めることの出来る』
【アーチャー】も近接戦闘が出来るんだ…
「何となく分かりました!この三人に指示をして戦えばいいんですね!」
『そうだ、勝利条件は敵性存在の殲滅、敗北条件は【セイバー】、【ランサー】、【アーチャー】の全滅。若しくは君が怪我をして死傷判定が出ても駄目としよう』
「頑張ります!」
『それではこれよりシミュレーションを開始する』
「はぁ…はぁ…お、終わりました…」
『お疲れ様、【セイバー】、【ランサー】、【アーチャー】共に損傷率は70%を下回らず、君も負傷判定は出ていない上出来だね。中盤に気の緩みで後方の遠距離型
「【セイバー】さんや【ランサー】さんには敵の殲滅をお願いして【アーチャー】さんは私の護衛を優先して貰いました。正直、負け筋としては私がやられるのが一番可能性として高そうでしたので…」
セイバーさんやランサーさんに前衛を任せて戦闘をしていた所、遠方に隠れ潜んでいた遠距離型の敵が私に向けて弓を放ってきた。もう少しで頭を貫かれるというところで【アーチャー】さんが何処からか取り出した剣でもって叩き落してくれた。
気づいた瞬間には目の前に鏃が迫っているというのはこれがVRのようなものであると理解していても恐怖した。あまりにもリアルなその光景はあと一秒にも満たない時間で私の命を奪うのだと理解できてしまったからだ。
戦闘が終了したとアナウンスがされても未だに私の心臓はドクドクといつもよりも早く脈打っている。
『君の入館手続きも終了したようだね。済まないが扉の先で待っていて欲しい。そちらへ案内人を送るので飲み物でも買ってソファーにでも座っていてくれ』
「えっと、ここって日本の通貨で支払い出来ますか?それに今はあまり持ち合わせが無くて…」
『館内の自動販売機等は入館の際に渡された職員カードでもって自動決済される。基本的にマスターは館内のものは無料で購入できるから心配することはない』
「あ、本当だ…」
試しに近くの自動販売機で水を購入し、電子マネーの支払いのように職員カードを近づけると購入が完了して。受け取り口からペットボトルが出てきた。横にはお菓子の入った自動販売機も並んでいる。無料ってことはこれも無料で…
『無料で菓子類も購入できるが職員には定期的な健康診断もある。あまり大量に買い込んで暴食はしないでくれると助かる』
「ギクッ!!りょ…了解しました!」
『では、また待たせることになるが寛いで待っていてくれ。少し時間は掛かるかもしれないがそっちへ案内人を向かわせている。それでは君と会えるのを楽しみにしている』
その声を最後に男性の声は聞こえなくなった。私は近くのソファーへ腰かけると先程購入したペットボトルの蓋を開ける。
ゴクッゴクッと喉を鳴らして一気に三分の一程飲み切ってしまった。私も自覚していなかったけどかなり緊張していたみたい。
全く知らない場所で知らない組織に加入していた。スカウトの人の必死さと自分に出来ることということで了承してしまったが本当に遠い場所へ来てしまった様な気がする。
「ふぅ…」
緊張から解き放たれた為か無意識に息を深く吐き出した。これからどうなるんだろうかと考えていると少し眠気が来てしまった。いけない案内の人がもうすぐ来るのにと思っていても抗えない眠気が私を誘う。
こうして私はそこそこな不安とかなりのワクワクを胸にこのカルデアに迎え入れられた。年末には一回実家へ帰って家族とカルデアの事を守秘義務に反しない程度に話そうかな等と呑気に考えながら。
この先に待ち受ける苦難を『私』は知らない。でも、きっとここへ来たのは間違いではなかったと最後には私は言いたい。
| 【資料1 マスター No.48 藤丸立香】 |
◯経歴
国籍は日本で東京出身。霊基属性は善性・中立である。各国で行われたレイシフト適正検査で選ばれた一般人枠のマスター。
日本で行われた血液検査によって他のマスター候補生よりも突出したレイシフト適正を確認。現地にて本人にスカウトを行い同意を得たため。一般人枠であるNo.48のマスターとして登録。
類い稀なるレイシフト適正を持っているが魔術師としての際は平凡、そもそも一般家庭の生まれてある為。このカルデアに赴任するまで魔術世界についての知識が無い。
Dr.キシナミの要請により藤丸立香がカルデア到着後に付け焼刃ではあるが基礎的な知識を教える為の教育を行う。補佐にマシュ・キリエライト、教員としてロマニ・アーキマンを任命する。