僕に欠けているもの   作:鯖と羊

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電撃少女

「ドーン!偉大なる我の登場なり!恐れおののくがいい……、む、まだ誰もいないのか。」

 

 輝く優男は恥ずかしすぎる名乗りをあげながらサークル棟の部屋を開け放った。まさかとは思うがいつもこの入場してるわけじゃないよな?

 

「ふーん、成程ここが神秘サークルの活動拠点ね、そうだな…、まだ知らぬサークルメンバーと君に最大限の配慮と優しさを込めて評価するなら……襤褸だな。」

 

 もうなんというかいかにも使われていないといった様相を呈している部屋だった。果たしてここで活動できるのか?

 

「なに、実は部屋を割り当ててもらったのもつい先日でね、今日の活動は此処の掃除なんだよ少年。」

 

「妙な呼び方はやめてくれ。俺の名前はベルトット・サイダー、好きに呼べばいいが少年という呼び方だけはやめてくれ。」

 

 もう二度と少年などと呼ばれるのだけは勘弁されたい。切実に。

 

 あの嫌な女の顔が今でも頭をよぎる。行き過ぎた天才、俺がかかわるべきではなかった欠陥人物だろう。

 

「む?そうか。ではベルでいいだろうか?親しみやすいし。」

 

「それでいいよ。いやそれがいい。ところでお前の名前は?」

 

「僕の名前はサイモン・フレッド、皆からはサイモンと呼ばれてる。」

 

「じゃあ俺もサイモンで、わかりやすいことに越したことはないよな。」

 

 ようやっと自己紹介を終えたところで周りを見渡して埃をかぶった何が入っているかよくもわからぬ箱に腰を落ち着ける。サイモンも何か適当に掃除して座れる場所を確保している。

 

「しかし、サイモンさんよお。活動拠点だなんだと来てみたが誰もいないわけだ。つまり俺は騙されてるか、お前の妄想に付き合わされてるって可能性も出てきてるんだが…。」

 

「なんで君はこう一々悲観的なとらえ方をするんだい全く。すべてに肯定的な僕を少しは見習ったらどうかな。おい帰ろうとするんじゃない!頼むから少しくらい待っててくれ!そのうち皆来るよ。油断も隙もないな君は。」

 

 サイモンの言われてもう一度腰を落ち着けなおす。

 

 中々からかいがいがあるというか、まあそれだけサークル設立に本気なのだろう。

 

「はあ、時にベル君、僕の顔を見てまだ気づかないのか?いや気づいているのに気づいていない振りをしているのか?もし後者なんだとしたら君も結構性格が悪いね。」

 

「あん?顔?あーそうだな、まあ好きになる奴はいると思うぜ、多分。だからそう心配すんなよ。学院を駆けずり回ればお前を愛してくれる奴も一人はいるはずだよきっと。」

 

「どれだけ失礼なんだよ!別に顔が良いか悪いかという話をしてるんじゃないよ!というかその言い方だとまるで僕が不細工みたいだろうが!」

 

 俺とサイモンがやいやいくだらないこと言い合っていると襤褸の部屋の扉がギギギと鈍い音を上げて開かれる。

 

 現れたのは、なんとも、そうビビッドな女の子。鮮烈、その一言に尽きる。学院から与えられた制服をこうもデコる奴がいるのかという印象を押し付ける可憐なやつだった。やれやれ顔がよければどんな服をきてようが様になるらしい。

 

「はあ。マジで此処で学園生活を過ごすの?最悪なんだけど。来てるのはサイモンと…、眠り姫じゃん。」

 

「おいサイモン。まさかと思うんだけどあの子自分の事、眠り姫とか自称してんのか?俺そういう感じの娘はちょっと苦手なんだが…。」

 

「…。コロス…。」

 

「いやー!冗談ですよお嬢さん!貴女のように美しさと麗しさを兼ね備えた人間など世界広しといえども3人といないでしょう!なんて幸運なんだ俺は!」

 

「わかったからそのキモチワルイ称賛としゃべり方を止めて。ますます殺意がわいてくるから。」

 

「マジですみませんでした。」

 

 見た目の通り言動その振る舞いも鮮烈なようだった。

 

「ふーん、眠り姫があの女以外の奴といるところなんて見たこと無かったけど、あんたら知り合いだったの?」

 

「いや俺もさっきサイモンと知り合ったところだ、というよりなんだ俺のことを知っているのか?つかなんだ眠り姫って。360度どこから見てもイケてる男だろうが。」

 

「あら、あんた知らないの?どの講義でも余すことなく全て寝てるような馬鹿がいたら眠り姫なんて言われても仕方ないでしょ。しかもわざわざ最前列に座って寝る馬鹿なんてなおさらね。」

 

「健やかな成長のために睡眠は大事だろうが。」

 

「はは、やっぱり君は僕の見込んだ筋金入りの馬鹿だよ。」

 

「おい、マジで俺の周りからの評価はこんな感じなのか?ちょっと泣きそうなんだが。」

 

「自業自得ね。」

 

 返す言葉もなかった。情けない話だ。

 

「して、ここにいるということは君もこの神秘サーのメンバーの一人ってことでいいのかな。」

 

「大変不本意ながらね。」

 

「おいエリー嘘はいけないな、こと神代魔術について早口で語れるのはアガガガガガガ」

 

 サイモンがビリビリビリビリ、ビビッド少女の放った雷属性魔法が彼を襲っていた。結構ランク高めの魔法使ってない?人に向けて撃つ威力じゃないような…。

 

「アンタもこうなりたくなかったら妙なことは言わないことね。皆が皆サイモンみたいに丈夫だとは限らないんだし。」

 

 誰だろうと撃つ感じなのかこれ、言動には気を付けないとトンでもねえな。

 

 ドサッとサイモンの体が床に崩れ落ちる。え?死んでないよね?マジで大丈夫だよね?

 

「はあ、それで?アンタの名前はベルトットで間違いない?」

 

「ん?俺の名前を知ってるのか?君とは話した記憶がないんだが…。」

 

「そりゃ授業ごとの点呼で毎度名前呼ばれて怒られてるのなんてアンタ位でしょ。つかアタシの事知らないの?アタシも悪い意味で目立ってる方だとは思うけど。」

 

「あー、すまん。俺ってば人の顔とかあんま見ないんだよね。」

 

「興味がないの間違いじゃないの?」

 

 痛いところを突きやがる。

 

「まあいいわ。アタシはエリー・ショック。好きに呼びなさい。気に入らなかったらああなるけど。」

 

 床で物言わぬサイモンを指しながら言われると重みが違う。

 

「…。エリーで…。」

 

「まあいいわ。50点ってところね。」

 

 及第点…。でいいのだろうか。まあビリビリしてないだけマシだろう。

 

「まあどうせサイモンから何も聞いてないんでしょうけど、このサークル全員あんたの事知ってるわよ。というよりあんたと同じ授業とってて知らない方が難しいか。」

 

「ということはつまりメンバー全員俺と同じ1年生か?まあ新設サークルなんてそんなもんか。つかスゲー行動力だな。入学して早々サークル作るとか行動力の化身じゃん。」

 

「行動力があるのはそこの馬鹿だけ。アタシ達は付き合わされてるだけよ。」

 

 成程まあ確かにこのサイモンとやらは思い立ったら動くを信条にしてそうな顔をしている。俺に顔で人を判断する能力などまるでないが。

 

「サイモンが言うにはメンバーは4人なんだよな。となるとサイモンとエリー以外の二人もタメか、まあ先輩とかその辺の上下関係はやや苦手だし丁度いいよ。それに残りの二人は俺も知ってる奴かもしれねえし。」

 

「アタシを知らないならアイツらも分かんないわよ、多分。癖はあるけど見た目は派手じゃないし。というよりあんたがあの女以外と話してるところなんて見たことないし。」

 

「なんだララの事も知ってるのか。」

 

「知らないわけないでしょ、あの天才。皆なんであんたみたいなやつとつるんでるのか不思議に思うくらいにはね。」

 

 マジで俺の評価が最低値じゃん。まあどうでもいいが。

 

「まあいいわ仲良くしましょう?これからこのサークルに入るならそれ以外の選択肢なんてないんだし。」

 

「もし仲良くならなかったら…?」

 

「今までのやり取りでまだわからないの?アンタがこのサークルから消えるか…、

 この世から消えるかよ。」

 

「よろしくお願いします!」

 

「いい返事ね、70点あげるわ。」

 

 なんてことだろう早速友達ができてしまった。エリーという最高の友人が。

 …、身の振り方には気を付けよう。

 

 などと考えているとコンコンとドアをノックする音が。またメンバーが来たようだった。

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