オガミ婆は私の嫁   作:記憶破損

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少し短い【閑話】


未来
新たな始まり


 

 敗戦国となった日本…多くの日本人を失い、植民地を失い、心の支えも失った。自宅、工場、会社、全ては消失したことで失業者が増加、食品なども物価高騰が止まらず戦争は無くなっても餓死者が出るほどの混乱が襲っている。

 

 自宅を消失した者は多くいる。そのような者達は近親の者を頼るか、野宿をするか、日雇いで寝床を借りるか…それとも…

 

『どうか…我々を・・・・・ッ』

 

 元は上等な生い立ちだと服装や動作で察せられる者達が、頭を下げるようにして待っていた。継ぎ接ぎの見える衣服にはせめてもの見栄が覗いている。その顔は歯を食いしばり、顔に出さぬようにしているが誰でもわかってしまう…言葉を受ける対をなす者は歴史の流れを受け止めた。

 

『お気持ちは察する…ああ勿論構わない、我ら加茂家(かもけ)は歓迎しよう。同じ御三家の者同士、顔を上げてほしい』

 

 率いて来た者達は安助の表情を浮かべ、泣いてしまっている者さえいた。その者達の代表は己に乗る重さを感じながら空を眺めた。

 

『だが…我々加茂家はあの忌まわしい男を出してしまった家だ…何故…』

 

 瞼を閉じ、一族の恥を言葉に出す。まだ100年も経っていない汚点…受胎九相図という、呪霊との子を宿す事ができる女子に九度妊娠させた上で堕胎させる人として、呪術師としての枠を超えた外法を生みだした呪術界の汚点…それが加茂家…今も統領である自分が背負う重みが消えず圧し掛かっている。

 

『…禪院家に非ずんば呪術師に非ず 呪術師に非ずんば人に非ず、例外はないそうだ』

 

 率いる者達は女・子どもが多く、先の天災(・・)において男手が前に出たのが窺えた。謎の呪詛師が率いる米国の攻撃…無限に続くと思われる火の雨を予想できる者はいただろうか…

 

『・・・そうですか。失礼、中へどうぞ』

 

 一度生まれたものはそう簡単には死なない…名を変え、形を変え、それでも生き続けるのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「計画性が無さ過ぎませんか?呪術師のしぶとさはご存じでしょう」

 

「ていうか、あの時そんなことしてたのね…よくもやってくれたわね!?あの匂いが中々とれなくて大変だったのよ!しかも妊娠中でメッチャ気持ち悪くなるし!」

 

「姉さん、全部僕に食べさせ」

 

「まあまあ、赤ちゃんが泣いちゃうよ?…私も生き残りが出るぐらい想定済みさ」

 

 とある一軒家の食卓で一家団欒の風景が見られていた。思い出したように久々に見た般若顔を尻目に話し出す。

 

「術式は相伝できる可能性(・・・)があるのは教えたね。今回私が攻撃した五条家は無下限呪術、名の通り無限を操る事の出来る術式…まあ、使い手は稀だけど本当に出てくると厄介極まる連中だよ。それに六眼という術式から始まり呪力を認識出来るようになる目が付く場合もある、そうなったら手に負えないよ」

 

 わざとらしくお手上げをアピールした。青井は別としてオガミ達は何故か実体験のように語る親の前に動揺を隠せなかった。

 

「何ですかそれ!反則じゃ」

 

「うん、反則だよ」

 

 いい笑顔で正定し、だからこそ…と続けた

 

「出てくる確立を下げることにした。他の御三家のところに行けば、他の術式と混ざり更に出現しずらくなるからね」

 

「でも、全部の術式を持った凄い術師が誕生する可能性が…」

 

「出るかもしれないね。でも、術式を複数持って生まれたら…一つ一つの術式が弱まるんだ。これは魂が分かれるようなモノ、その術式は使えても呪力を多く使用しなきゃいけなかったり、中途半端な出力しか出なかったり様々な弊害が生まれる。こればっかりは六眼持ちでも呪力を節約するぐらいしか方法がない」

 

 それでも十分恐ろしいのではとオガミ達は感じたが…未来の知識を共有した者達は・・・五条悟よりマシと感じた。家を維持できなくなった者達が合併・吸収され五条の名が消えれば実質的に五条家は消失する。戦時中だからこそ、物資も無く、当てもなくなる時に仕掛けることで成立する神の視点からの奇襲。問題があるとすれば、知識が当てにしずらくなる事、だが元よりお互いに参考程度で動いており、未来は自ら歩むと決めている。

 

「ま、君たちに被害が出るような事は控えるから安心してね…本当はもう一か所行ってみたかったけど、流石に米国側の動きが激しくなって無理だったよ」

 

 天元のところだな・・・・・と察した青井だったが、口には出さなかった。そもそも、天元は因果、運命的な視点で守られている…本当に嫌がらせの為に向かおうとしたらしい。

 

 話も一通り終わった頃、森少年はある事に気づいた

 

「あれ?でもお母さんは呪術師に顔を見られたんだよね、大丈夫なの」

 

「見られたね。でも大丈夫、あ、そうだパパとママどっちがいい?」

 

「?え?…ママ?」

 

「じゃあ母を続けようか。そういえば最近、森はあの子と遊んであげてるでしょ?様子はどう」

 

「え、うん。音楽が好きな子で、少しうるさいけど弟みたいだよ」

 

「あげた琵琶は大事に使ってくれてた?」

 

「うん…鳴らした時に僕、吹き飛ばされたけど…」

 

 思い出したのか、自分より半分ほどの歳をした子にやられたことを…

 

「そうか~、また天ぷらでも食べに来てって伝えてね」

 

 

 

 小さな芽はすくすくと成長していく。時には摘み、時には腐らせ、時には呑み込む…着々とまた一つ、大きな目を出そうと動き始めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し飛び、とある高等専門学校での出来事

 

 

 

 

「あ~かったり、サボらねぇ?」

 

「また夜蛾先生に怒られるよ、()

 

 青白く光る眼を持つ少年が、親友の仏頂面を見てげんなりした

 

「おいおい、ビビってんの傑?」

 

「学んでいるだけさ、ここは学び場だからね。少しは君の兄弟を見習ったらどうだい?」

 

 そのまま教室に入ろうとする親友の後ろから、術式を発動させた。呪力の流れを目で捉え、親友なら防ぐことは容易いと考えたから実行した。

 

「余計なお世話だ。それに本家の皆さんと一緒にいると息が詰まるんだよ」

 

「…はぁ、君の術式は汚れるんだ、どうするんだいこれ」

 

 呪霊操術で適当な呪霊を出して親友の攻撃を防いだ…衣服は汚れなかったが、床がびちゃびちゃとなってしまった。

 

「木製の床に()の跡は残るよ」

 

「俺の目を知ってるだろ?例え離れた血液だろうと俺のなら…ほら」

 

「離れても操れたのかい?」

 

「あ~空気中の水分に反応して徐々に動かしずらくなるけどなっと」

 

 水道の流しにそのまま血液を流していく

 

「俺の目は呪力の流れを見れる。本家様と違って必要な血液も代用が効く、呪霊の奴もな」

 

「ああ、だから呪霊に触れた時爆発するみたいになるのか」

 

「そ、体内から血液を操作してバン!ってこと。流石に直接触れないと操作が上手くできないけどな」

 

「それでも強力な術式だと思うけどね」

 

「本家様からしたら忌々しいだろうよ、なんせ良いとこどりした継承者が流れの子だからな…じいさん達からは肝心の五条家の術式を相伝できなくて残念がられるし・・・・・あーームカついてきた!」

 

『加茂 悟』…過去に五条家という家が相伝していた六眼を保持し、加茂家の赤血操術を操る。現在、1級術師であり将来優秀な術師になるだろう。

 

「おい…馬鹿二人…」

 

「「ゲ!」」

 

 

 

 

 

 排水溝が血だらけじゃねえかァァァ!

 

 

 

 

「ウケる」

 

 

 

 

 これは少し変わった「さしす組」の物語

 

 

 

 

 






 未来編を書こうか、止めるか迷っています。
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