オガミ婆は私の嫁   作:記憶破損

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青井、オガミ婆の青春は終わったので完結としてます。未来編はオマケ程度に考えてね。


不穏分子

 

 京都府立呪術高等専門学校…東京都立呪術高等専門学校の姉妹校に当たる四年制の呪術教育機関である。先の戦争でも被害が出ず、地元の者達から守護寺と似たような目を向けられることもあるそうな。表の顔は私立宗教学校とされているが、実は府立扱いなのは意外と知られていない。

 

 その学校内で慣れた手つきで書類整理を行う者がいた。老いている姿でありながら、その肉体から放たれる覇気には相応の貫禄が見て取れる。

 

(天ぷらが食べたいのお…)

 

「学長、交流会での計画書です」

 

 都に提出する書類に目を通し終わった直後、次は呪術界からの要請などこれまた面倒な書類が舞い込んだ。一息つき、茶をすする…

 

「…元御三家からの訴えは無視できんのか」

 

「上からの一声もありますので難しいかと…それと、元は付けない方が…」

 

「…腐ったミカンは捨てるべし」

 

「は?」

 

「あのクソガキがあいつらを例えた言葉じゃ、いやワシも入っとるかの?」

 

 ははは…軽い笑いをされ、苦笑いで合わせる補助監督。学長が交流会の参加者一覧を見ながら続ける。

 

「禪院家の奴らが動いておる。威厳の為に六眼持ちは消したいんじゃろう…落ちぶれた家に囚われるとは、哀れなもんじゃて」

 

 現在五条の家名は存在せず、実質呪術界において禪院家がトップを独占している状態である。加茂家も五条家を吸収し、新たな土台でのし上がろうとしているが悪名がその足を未だに引いている。根も葉もない噂では五条家を陥れたのではという悪意ある言葉も耳にしている。

 

「まあ、問題ないじゃろ。禪院家の問題は禪院の者にさせればよい。君、後で伝える口座に入金を」

 

「…学長は何故そこまで」

 

 言い淀みながらも、いくら貴重な六眼持ちだろうと度が過ぎる加護に疑問が生じる

 

「死んでほしくないからじゃ。これでは不満か?」

 

 上手い事経費で落ちんか・・・・・と聞こえた事で感じた思いは消え、別な厄介ごとに発展しそうな事を止める為に頭を使った 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はこの家が嫌いだった。勝手に期待され、勝手に失望される、全ては産まれてきた俺が悪いと名指しするんだ

 

『半端者』

 

 俺は今は無い五条家の血を引いて生まれ、六眼を発現させた。父は五条の生き残り、母は加茂家の分家…所謂、俺の親はおこぼれを貰って加茂の名を受け入れた負け組だっただけの話。そんな奴に六眼持ちが現れたらどうなるか…

 

『悟、お前が五条の名を取り戻すのだ』

 

 小さかった頃、六眼を持ってるだけで五条の術式も持ってると妄信した馬鹿親は加茂家にとっての不穏分子となった。こっちからしたら迷惑以外の言葉もない、最悪な始まりだ。

 

『悟…お父さんを許してあげて。あの人は悟に期待しているだけだから』

 

 今、加茂の名を名乗れている理由もわかっていなかったのだろうか?五条という名に囚われた大人たちが汚い瞳で見てくる時、心の底から理解できなかった。

 

 俺が術式を発現した時の顔…思い出してもイラつく。だがそのおかげで不穏分子たちは干されて二度と眼に入れなくて済んだのは幸いだ。母は悲しんでいたが、俺を優先して本家の方に送ってくれた…本家の皆さんもイラつく眼で見てくるが、それだけで済まされている現状甘んじて受け入れるしかない。

 

 鬱憤が溜まる日々が続く中、ある日面会を求める老人が現れた。いい歳した老人が耳にピアス、部屋の傍にギターなんて置いてるから第一印象は何だこいつ、しかもいつも上を向いてる連中が一定の敬意を出してるから文字通り、お上の人なのだろうと予想しながら席に着いた。慣れない敬語で挨拶をして相手の言葉を待った。

 

『お主は五条悟か?』

 

 開幕早々、俺を五条家の悟かなんて言ってくるから本気でぶちのめそうかと思った

 

『…は?ボケてんのじいさん、俺は加茂悟だ!名前も聞いてないのかよ、ええ!』

 

『ほほ…下手な敬語も不要、お主の事は知っとるよ五条悟君?』

 

 よくよく考えると、あの時が一番内に秘めたモノを吐き出せた…今まで抑えられていた感情の蓋をあのじいさんが開けやがったんだ。

 

 俺をバカにすんじゃねェ‼・・・あの時は感情に任せて術式を発動させちまったが、思い出すと肝が冷える。でも、じいさんもわかってやったんだろうな…

 

『若さは良いのお!』

 

 俺が飛ばした血液が衝撃波で吹き飛んだ…今なら見えるだろうが、当時の俺ではいつの間にかギターを担いで術式を発動させていたように見えた。 

 

 そっから警備の連中や本家、母まで呼ばれて謝罪だ…俺は頭を地面に叩きつけられる勢いで土下座させられた。あっちから煽ったのにな、マジふざけんな。

 

『いいや、ワシが使わせたんじゃ。悪かったな加茂悟君?いつでも遊びに来い』

 

 癪に障る連中なら家の中に多くいたが、あそこまで露骨にしてくる奴は初めてだった。

 

『上等だよ、じいさん!』

 

 時間がある時、じいさんの家に突撃してはやられ、時には茶を貰い、イタズラしたり、雑談して呪術について教えられたり・・・今の呪術を上手く使えるようになったのもじいさんの指導が上手かったからもある。縛り(・・)での呪術補助なんて考え方も教えてくれて、あの五条について完全に断ち切ることもできた…ムカつくじいさんだが、それだけ貰った物も多い。

 

 

 

 

 

「どうしてるかな、じいさん。今度行ってみるか」

 

「悟、護衛中なんだ、しっかりしなよ」

 

「大丈夫だろ、俺達がいればどんな奴も対処できる」

 

 やる気を感じない発言をしながら、学園で青春を楽しんでいる少女を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 日本全土は天元様の結界によって覆われており、結界術の多くは天元様の補助が入っている。故に呪術を扱う者達は敬意を込めて天元様と呼んでいる。

 

 天元様は不死化術式の影響で死ぬことは無いが寿命は減る。その術式の影響で500年に一度体を作り替え高次の存在へと自動で進化するのだが、天元としての自我を失い、人類に対し敵対的存在になりうる可能性が生まれてしまう。それを防ぐため500年に一度天元と適合する肉体を持つ「星漿体」という器を同化させる事で進化のリセットを行ってきた。

 

「で、星漿体の護衛に何で特級候補の俺達がいるわけ?過剰過ぎない」

 

「盤星教からの依頼も兼ねている。万全な状態で天元様に与えたいとのことだ、多額の寄付が振り込まれている」

 

「確か非術師の宗教団体の筈ですよね…どこから天元様の情報を」

 

「…ここだけの話だが、呪詛師との関わりが懸念されている」

 

「なるほど…派閥割れか、それとも独断か、どっちにしても一悶着あるってことだ」

 

 面白くなってきた…露骨にニヤけていく親友と違い、真面目に話を聞いていく。

 

「呪詛師集団Q…呪術界の転覆を企む連中だ。星漿体の暗殺に動いたらしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから星漿体の同化について改めて説明され、同化とは消失する意味だと言ってきたが…

 

「いいか天元様は我で、妾は天元様なのだ‼」

 

 最初から同化を受け入れている護衛対象を見て、変な同情も引っ込み後腐れなく終われると感じていた。

 

 道中で言われていた呪詛師集団に攻められるが何も問題なく対処し、あとは天元様のいる薨星宮まで連れて行けば終わる…あいつが出てこなければそうなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「護衛ご苦労さん、悪いんだがその嬢ちゃんを同化させるなって依頼でな。安心しろよ、殺すなって言われてるから」

 

 

 

 

 

 






 この世界線の話はだいぶ端折る。別の作品を考えているので、気分で投稿=短い以上だ。脳内補完してくれると嬉しい。
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