1話 虫の知らせ
20○○年3月×日
某所、
呪術総監部──
「──」
「―月破壊の声明を出した特級被呪者についての報告は以上となります」
「……さて、どう対処するか……」
「……今回の被呪者は特級相当なのであろう? であれば同じ特級にやらせれば良いだろう」
「無駄じゃ。あれは変わらず海外をぶらついとるよ」
「九十九め、相変わらずの放蕩ぶりよのぉ……特級なのを良い事に、好き勝手しおって」
「ならば五条の坊が適任じゃろう。癪ではあるが、奴なら遅れを取るまいて。
仮に万が一の目が出れば、それはそれで嬉しい誤算というものよ……」
「待て。今回は政府だけでなく外の目がある。諸外国に呪術の存在を知られる事は、何よりも避けねばならん。
その点、あやつは勝手をやり過ぎる……どこから漏れるかも分からん以上、慎重を期すべきであろう」
「それに、こちらが手を回すより先に厄介な条件を付けられた」
「あぁ……被呪者本人から提示されたとかいう
化け物がごっこ遊びがしたいとは……
おかげでこちらが打つ手も既に限られた。
全くもって忌々しい……」
「ならばどうする?
公にできん以上、リスクを減らすのは分かるが、対処できんようでは本末転倒じゃろうて。
それに
仮にこれが事実であれば、我々にも火の粉がかかるやもしれん」
「呪術発覚の可能性を極力無くすとすると、やはり紛れ込ませるしかないだろう」
「条件にある例の教室に捩じ込むのは如何様にもできよう。問題は何処に、誰を入れるか……」
「教師はいかん。防衛省、しかも情報部が選出権を握っておる上、監視の目が厳しい。それに、外部から凶手を送り込もうとする動きもある」
「とすると、高専生を使うべきか。
その上でやり手となると……誰がおったか」
「……ああ、あやつがおるわ。あの若槻の」
「ふむ……奴なら上から数えた方が早いか。それに融通も効く。現状、それしかなかろう……」
「……では、本件は
◆◇◆
「ックシ! ックション!」
「お疲れ様です、若槻さん。……風邪ですか?
そろそろ季節が変わるといっても、まだ冷え込んでますからねぇ」
車内に乗り込む自身の盛大なくしゃみを横目に、スーツの男がエアコンの温度を上げる。
「……いやぁ、やっと寒さに慣れたと思ったら、今度はコロコロ変わってきたじゃん?
少し上脱いだらこの
ホント、今年は寒暖差がバカみたいに激しいよねぇ……
……毎年言ってる気がするけど。
やっぱりあれかなぁ、月の影響とかもあったりすんのかな? ほら、月の引力が満ち引きに関係するって聞いたことない?」
制服の上着に袖を通しながら、そう言えばと曖昧な記憶を口に出す。
「ああ、これからは分かりませんが、現状大きな影響はないそうですよ。テレビの特集でやってました」
「へぇ、流石真田さん。補助監督イチの抜かりなさ。そういうトコが夫婦円満の秘訣だったりする?」
「……報告書の山に追われて記念日をすっぽかしてしまい、現在冷戦中です」
「……なんかすいません」
居た堪れなさここに極まれりの現状、打開策はないものかと視線を宙に泳がせるも、努力虚しく沈黙は続く。
面倒だしもう良いかと瞼を閉じるもその瞬間、
ピリリリリリ! ピリリリリリ!
……間の悪いことに携帯の着信が鳴り響く。
半目になりつつ億劫そうに携帯をつまみ出し、
相手の名義を確認すると、
「……うわぁ」
『夜蛾正道』の4文字が目に入った。
ここまでお読み頂き感謝します。
書くの初めてなので、色々教えて頂けると助かります。
(句読点、改行の入れ方とか…)
スマホで入力する時に注意点とかあったりします…?
▪️補足
真田さん
オリキャラ。
補助監督。
非術師の妻子持ちの為、
仕事(話せない)とプライベートの板挟みに苦しむ31歳。
今後の出番は不明。