「遅いぞ。徹」
高専に戻った直後、自身に降ってきた担任の言葉に、気力が削がれ心が折れそうになる。
任務終わりの一言目に「すぐ高専に戻って来い」と言われた己の気持ちを考えて欲しい、切実に。
「……これでも真田さんにかっ飛ばして貰ったんすけど。というか、なにもこんな入口で待たんでもいいでしょう……」
「それ程厄介な話ということだ。任務をバックれられてはかなわんからな。……歩きながら説明するぞ」
ささやかな抗議をあげるも、
「次のお前の任務が決まった。長期任務だ」
「うげぇ……どんぐらいなんです?」
実質の死刑宣告に目の前が崩れそうになるも、気持ちを抑えて続きを促す。
帰ってきた言葉は、
「……1年だ」
「は?」
今度は抑えられなかった。
◆◇◆
「……それで?」
教室に移動した2人。
その一方である徹は、先程呪言のごとく脳を揺らされた原因に、続きを促した。
「……まず結論から言おう。徹、お前が行うのはある場所への潜入、及び脅威の排除だ」
「それだけなら1年はないでしょう。つまりそれだけ特殊なケースって訳ですか」
「そうだ。……正直な所、俺もどうなるか読めん。なんせ特級相当が絡んでいる」
「嘘でしょ?それなら尚更冥さんとかのベテランに任せるでしょうに……」
「話を最後まで聞け。
……今回の
「!」
「外国の殺し屋だったらしい。それも一流のな。これだけならまだ問題は無いだろう。
しかし、この対象は肉体が異形へと変異し、身体機能が人間のそれを超えている。
……信じられるか? コイツは最高速度マッハ20を記録しているそうだ」
(……! くそったれ……!)
誰でも思い付く最悪のケースが徹自身も思い浮かんでしまった。
「……殺しの技術を持った特級のバケモノがマッハ20で無差別殺人を起こしうるって事ですか。新聞の一面待ったなしだ。よく今まで揉み消せましたね?」
「……」
(……? なんだ?)
疑問が更に深まっていく。
このむさ苦しいオッサンが、これ程神妙な顔をしながら黙りこむとはどういうことだ……?
「……その心配は無い。それにする必要も、おそらく無い」
「?」
夜蛾は資料を徹に渡しつつ続けた。
「被呪者本人から各国政府に声明があった。自分が月を破壊した犯人だと」
「は?」
なんて?
「来年3月までに自身を殺せなければ、同様に地球を破壊すると」
「 」
頭が真っ白になった。
お読み頂き感謝します。
主人公くんの受難は始まったばかりです。楽しみですね。
ちなみに拙作において呪術サイドは年代がズレてます。
具体的にはさしす組がスマホ使うくらいズレてます。
ごめんちゃい♡