暗殺教室×呪術廻戦   作:ストレスマッハ

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3話 潜入

 

 

「……えー、つまり話を整理すると……」

 

 徹は資料を机に放り、頭をガシガシと掻きながら、黒板に書き込んでいく。

 

 ①対象は各国首脳に自白及び犯行声明を発した

 ②現状殺人などの殺傷行為は確認できていない

 ③対象は持ち前の速度を活かして各国の軍隊と鬼ごっこをしており、今なお無敗記録を更新中

 ④なぜか被呪者本人から椚ヶ丘(くぬぎがおか)中学校3年E組の担任教師ならやってもいいという提案があり、現状殺せない以上、この提案を呑む選択肢以外残されていない

 ⑤提案了承後は成功報酬100億円の暗殺依頼が国より発行予定であり、既に暗殺者の選定が始まっている

 

「以上を鑑みて、自分にお鉢が回ってきた……って事ですよね?」

 

「……そうなるな」

 

「「…………」」

 

 なんだこれ??? 

 マジで意味がわからん。

 何がどうしてこうなった? 

 どこから突っ込めばいいんだ? 

 

(いや落ち着け……冷静に今ある情報を整理・確認しよう)

 

 一気にスケールが膨れ上がった話をなんとか処理しようと、徹は口を開く。

 

「……今回の対象は、被呪者でしたよね? 原因と、判明した経緯については? 資料ないですけど……」

 

「……それについては、情報が降りてきていない」

 

「えぇ……? いくらなんでも露骨過ぎません?」

 

 今夜蛾の口から出た言葉は、要するに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そうだ、通常ありえん事だ。術師の生死に直結するからな。……だが、上が隠そうと思えば出来ただろうに、それすらせんとは妙だ。俺の方でも、少し調べておこう」

 

「そんなツテあるんですか?」

 

「ああ、お前も知っているだろう。京都の学長だ」

 

「……楽巌寺の爺さんですか。確かに、あの人ゴリゴリの保守派筆頭でしたもんね」(……そこ仲良かったんだ)

 

 担任の意外な繋がりに、内心驚く徹。

 

「──話を戻すぞ。今回の任務で特に厄介なのは、多くの“目”がある事だろう」

 

「クソ面倒な事してくれましたね、このタコ……」

 

 資料の上、一つの写真に目を落とす。

 まるで見る者をおちょくるかの様な、憎たらしい笑みを浮かべる黄色いシルエットに目を細める。

 

「よりにもよって呪的存在が全世界に喧嘩売ったって訳だ。そのせいで術師は派手に動けなくなった。……まさかここまで全部折り込み済みなのか……?」

 

「……流石に考え過ぎだろう。声明を出すような奴が知っていたならば、上層部に直接交渉してくる筈だ。先にも言ったが、対象は海外の非術師の元人間……例え裏の者であっても、呪術の存在は知らんかもしれん」

 

 あくまでも憶測に過ぎんがな、と夜蛾は言う。

 

「じゃあ各国政府の動きはどうですか?」

 

「呪術に関する干渉は確認されていない。……今のところはな」

 

「この状況が、こっちの打つ手次第で全部ひっくり返るかもしれない。……今回、特に注意すべきは、“機密保持”。

 その点、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そういう事だ」

 

 整理しようと得た情報で更に頭が痛くなるのを感じ、思わずため息が出る。

 

(なんだこの超生物は? 術師とはいえ、こっちは歴とした人間やってんだぞ? 対処できるもんなのか? というかそれ以前に、握り潰しの件もそうだが、厄介事の匂いしかない……。アレは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って事だ。……あぁ、知れば知るほどやる気が微塵も湧いてこねぇ〜)

 

 任務へのモチベーションが過去最低レベルを大きく更新していくのを感じつつ、思案を重ねる。……なんとかこの任務降りられないかなぁ、と。

 

(…… 今回の任務は、確か潜入と排除。なら索敵のできる冥さんやそれこそ……()()?)

 

 だが、現在進行形で逃避を行う徹の脳は、生来の地頭の良さを遺憾なく発揮し、自身へ無慈悲にも現実を突き付けてきた。導き出されてしまった一つの解に、思わず──

 

「──お、おい、待て待て待て……!! まさか、まさかとは思うけど、冗談だよな……!?」

 

「……そうだ、徹。お前の任務は──

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 ──名門、私立椚ヶ丘中学校

 

 この学校には、独自のシステムがある。

 

 一つ、2年から3年への進級の際、

 落ちこぼれを1つの教室に集める

 一つ、その教室及び生徒への差別は容認される

 

 この歪なルールが存在する事により、一部の弱者を切り捨て、効果的に強者を量産する、一つの「社会」とも言える異様な空間となっていた。

 

 幾重にも積み重なった負の感情の受け皿として、一身に背負う事を義務付けられた存在。

 

 それこそが、3年E組。

 ──通称、エンドのE組である。

 

 彼らは学年問わず、他のクラスから徹底的に排斥される。旧校舎への隔離、本校舎への立入禁止などの様々な特例措置の下、“悪い見本”を強制される。

 詰まる所、見せしめである。弱者の心を挫くと同時に、「こうはなりたくない」と思わせる事でE()()()()の生徒の危機感を煽るのだ。

 そして最初の一環として、E組行きが決定した生徒達は、「学力向上」を免罪符とした特別補習が実施される。……春休みを返上して。

 

 そんな中、どこか陰鬱な雰囲気を漂わせるこの教室に、

2()()の異物が入り込む──

 

 

「初めまして! 転入生の茅野(カヤノ)カエデっていいます。よろしくね!」

「同じく、若木薫(ワカギ カオル)です。……よろしく」

 

(──どうしてこうなった!!!!)

 

 

 




ここまでお読み頂き感謝します。

●若木 薫(ワカギ カオル):E組潜入時の若槻徹の偽名。

ちなみに偽名いる?って思う方もいるかもしれませんが、オリ主君が言うにはちゃんと理由があるそうです。
なんでも、名前から個人情報がバレないように、だとか。
決して、現役中学生の中に高2が本名のまま混ぎれこむのが流石にキツかったとか、そんな理由じゃないそうです。
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