前々から主人公のイメージ考えてたんですが、決めました。
網◯慎平君を少しタッパとがたいをデカくした感じです。
なんで俺がこんな目に……と内心呪詛塗れとなりつつ、『若木薫』として挨拶する徹。
……改めて教室を見渡すと、見るからにアクが強そうなのがチラホラ居るな。
中でも「なら今度はこっちから2人に質問していこう!」と声を上げた、爽やかイケメン
磯貝がそう言った直後、
「はいはいはーい!!」
勢い良く手を挙げるのは金髪ギャル。……お前さっき俺の顔見た瞬間、吹き出してたヤツだろ。見逃してねぇからな? お前と初対面だよね? 流石に酷過くない? ……まぁいいや。で、何? ……俺に質問?
一体何を「若木ってどんな男がタイプ!?」
……もうヤダこの教室。
◆◇◆
(……うん、出だしの印象は悪くないかな)
初っ端からフルスロットルの質問をいくつか捌いた転入生2人は、チャイムが鳴ったタイミングで自席に座る事を許された。
教室の喧騒はいまだ収まらず、興味は尽きる事はない。
茅野カエデは、窓側の席に向かう途中、先の自己紹介に手応えを感じていた。
(同じ転入生の若木君が、いい感じにみんなの気を引いてくれた。……あそこまでツッコまれなくて良かったぁ……)
もう一人が、改めて金髪女子に絡まれているのを見て、心の中で安堵する。
(あと、クラスに紛れる為に必要なのは──)
そう、造らなければならない。自らが
そして、かつて天才子役と言われた彼女の目は、
(……この子にしよう)
目的の為に必要な
話の中で、髪の長さを気にしている事に気付く。……丁度いい。付け入る隙になる。そう考えた彼女は、予備のヘアゴムを取り出し、自分そっくりの“主役”を造り出した。
ただの打算に過ぎないこの行動が、
◆◇◆
(……凄いなあの子。一瞬でもう馴染んでるよ……。それに比べて俺は一体どうすりゃ良いんだよ)
その様子を横目に見つつ、薫、もとい徹は内心愚痴る。
(俺もう高2だぞ? 何が悲しくて中学生やり直さにゃならんのだ……。というか今の俺って、まんま留年したみたいになってないか? ……一方的に気まずいわ!)
そして何より気が進まないのは、
「いや〜、さっきはゴメンね? ちょっとテンション上がっちゃってさ。なんかわかんない事あったら、色々教えたげるから許して! このとーり!」
……
「……キニシテナイヨ」
「ブフッ! 嘘つくの下っ手すぎ! リアクション変だし、キミ面白いね〜!」
そっちは言動が変だけどなという言葉を呑み込み、代わりにため息を吐く。
「中村……流石に笑いすぎだろ。ほら、若木困ってるって」
呆れた様に声をかけるのは、前の席の磯貝。コイツほんとイケメンだな……。
「あー、笑った笑った……ごめんごめん! 隣になったんだし、改めてよろしくね?」
「……いきなりで面食らっただけだよ。というか中村だっけ? お前人の顔見るなり笑ったり、開口一番人を男色扱いしたり……なんか俺に恨みでもあるの?」
「げっ! ……気付いてたかー。失敬失敬、ソレには深〜い事情があってだねぇ。気にしなくていいよ?」
イカン思い出したらまた笑いそう、って言ってるし……
「こっちは当事者だってのに……。はぁ、もういいや。色々教えてくれんだろ? 期待しとく」
「それはもう、まっかせなさい! なんでも聞いていーよ! えーっと……」
「薫でいいよ。そういえば、ここに教師は居ないのか?」
「あー……少し前までは居たんだよ? でも家庭の事情で辞めちゃってね。代わりの人は一応いるんだけど、やる気ないってんでこのまま。……それに何より、E組なら別にいいだろ……ってワケ」
話す中村の顔は、どこか諦めの色が見えた。
……なるほど。これがE組か。
徹底的に心が折られている。
それに、対象がここに来る為の準備は出来てるらしい。
不要な教師をクビにする口実作りも兼ねているとは、合理的だな。いかにもあの理事長が考えそうな事だ。
ふと、カレンダーに目を向ける。
月が変わるまで、あと3日もない。まず、潜入という最初の関門は越えられた。
問題は……
◆◇◆
「そうだ、徹。お前の任務は、声明にあった学校への潜入、及び対象の排除──
ヒートアップしていた脳が一気に冷める。
「まだ何か?」
「……これは未確定情報だが、呪詛師共に動きが見られた。どうにも、上が掌握出来ていないところから、依頼に関する情報が漏れたようだ」
徹は、自らの顔が険しくなっていくのを感じた。
「生徒を護衛しろって事ですか? 対象を殺そうとする呪詛師連中の相手しながら?」
「それも誰にも気づかれる事なく、だ」
「……無茶苦茶言ってくれますね。これを一人でやれってんですか?」
「基本的にはな。無論、バックアップは付ける。支援向きの術師を選定中だ。……だが、潜入先に生徒として捻じ込めるのは1人が限界だ。
「……」
「……俺も可能な限りお前をサポートする。何かあれば都度報告しろ。これは、お前にしかできんことだ」
そう言って担任は、力の籠った目を向けてくる。
「……分かりました。やりますよ。もとから拒否権ないでしょうし。……ちなみに、対象の暗殺成功報酬の賞金って100億でしたよね?」
「?……そうだが?」
一転、何が言いたいと言わんばかりの表情の夜蛾。
「条件があります。もし、俺が必要だと判断したならば、追加の術師を寄越してください。術師の投入はこっちで判断します」
「……要望をこちらに送り、問題がなければ良いだろう」
「それと、今回の対象を殺した暁には、賞金の100億を頂きます。……勿論、任務の成功報酬とは別でね」
「……抜け目のないヤツめ」
「ありがとうございまーす!」
褒めとらんわ! という声と同時に、教育的指導が徹の頭に落ちてきた。
◆◇◆
(はたして、どうなる事やら……)
徹の胸中は、迫りつつある相対の時を見据えていた。
──新たな季節がやって来る。
ここまでお読み頂き感謝します。
茅野さんもそうですけど、転入生がなんであんな席に座れたんでしょうね……結局分からなかったので、心優しい生徒が新しい環境に馴染みやすい様に変わってあげた事にしました。
というわけで、三村君。君の席こっちで。……そう、菅谷の後ろ行ってくれ。