昼休み。生徒が各々の場所で束の間の休息を取る中、廊下の窓際にもたれて話す姿が一つ。
『……今、近くには?』
「あぁ、それなら大丈夫です。周りに人はいませんし、アレは今麻婆豆腐を食べに行ってますよ……四川省まで」
『……』
「ハハ、そうなりますよねぇ……俺ですらまだ受け入れられてないんですから」
『……やはり厳しいか』
「正直言って、戦闘じゃ100%無理ですね。殺す以前の問題ですよ。呪力で強化しても、目で追い切れやしない。しかもこれ、呪力を一切使わずに、ですからね。……天与呪縛も真っ青だ」
『聞けば聞くほど規格外だな』
「それだけじゃない。俺が発した呪力に反応してますね。弾幕の中で、一発だけ呪力込めて撃ってみたんです。
……それもバレないように一瞬で、かつ
これだけでもふざけてんのかって話ですけどね……とため息を吐く。
「……アレは呪力を持ってる。が、
『……! 他の生徒に影響は?』
「無いですね。まあ、授業の邪魔した生徒を軽く叱る程度でしたから」
『……徹。万が一、対象が理性を失うような事があれば……』
「──その時は命懸けで何とかしますよ」
『……頼んだぞ』
空気が辛気臭くなったのを感じ、話を切り上げようとする徹。
「んじゃ、また報告書書いて真田さんに送っときますんで──」
『待て。お前、次の休みの予定は?』
意外にも夜蛾がそれを止めた。
「? なんです急に……まぁ空けてますけど……」
『前にも伝えただろう……近々、新しい1年が揃う。その内顔合わせするから、そのつもりでいろと』
「あぁ、そういえば言ってましたね。分かりました、顔出しますよ」
『……着いたら連絡を入れろ』
ハイハイと一言入れて、電話を切る。
ふと、窓の外、グラウンドの方から、声が聞こえた。
確か、後ろらへんにいたゴリ、寺坂のグループと……
(……思い出した! 初対面で変な顔してた、渚って奴だ)
徹は、結構根に持つタイプだった。
◆◇◆か
──潮田渚は、
あの
そして、担任が居なくなった昼休み。
寺坂、吉田、村松達3人組に呼び出され──
◆◇◆
「──渚、言ってたやつできてるか?」
「……一応。余裕な時は緑のしましま、生徒の解答が間違ってたら暗い紫、正解だったら赤い朱……」
僕が続けようとするも、止められ言われた。
「お前が知ってりゃそれで良い。その時に刺しに行け」、と。
「……僕が? で、でも……」
抵抗しようとするも、寺坂君は有無を言わさない。
「俺達はE組だぜ? 落ちこぼれの俺等が、100億稼ぐチャンスなんて、この先一生回ってこねぇぞ」
その言葉に言葉が詰まる。
「抜け出すんだよ……このクソみてぇな状況から。例え……どんな手を使ってもな……!」
そう言いながら、彼は紐の付いた小袋を渡してきた。
3人は笑いながら戻っていく。……分かってる。これは、彼に利用されているだけだ。でも……
先生の言葉を思い出す。
「狙われるのは、力がある証」だと。
……鼓動が早まる
先生には分からない。
期待も、警戒も、認識さえもされなくなったなった、人間の気持ちなんて。
鼓動が早まる。そして、
──殺せるかもしれない。
だってこの
殺意が定まった。
「良いのか?」
突如聞こえたその声に俯いた顔を上げる。
「……若木君? なんでここに?」
彼はそこに立っていた。
「聞こえてたんだよ。殺る気なんだってな。……それで? オマエはどうなんだ? 本当にやれるのか?」
彼は、こちらの目を真っ直ぐ見つめてそう言った。
その言葉に、その視線に、「お前には出来ない」と言われているような気がして、
「やれるかどうかじゃないよ。殺らなきゃ、いけないんだ……」
思わず否定の言葉が出てしまった。
ハッとした僕は、すぐに笑顔で取り繕う。
「……もうすぐ5限だよ? 僕先に戻ってるね!」
急いで戻ろうと、彼の横を通り過ぎていく。
「……」
彼の言葉が、しばらく頭から離れなかった。
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ちなみに今回のオリ主君、俯いてた渚に「大丈夫?お前本当にやれる?無理してない?代わろうか?」くらいのニュアンスで言ってます。
日本語って難しいですね。