暗殺教室×呪術廻戦   作:ストレスマッハ

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8話 暗殺の時間

 

 

 ──そして迎えた5限目。

 

 内容は古文。

 今回の授業では、連語についてを学習するようだ。

 

(……連語って確か、諺や格言、後は特定のイメージを示す言葉……だっけ?)

 

 徹は脳を回して、記憶を捻り出す。

 

 一通り教師(タコ)が教え終えると、今度はお題を実践するらしい。

 

「短歌を作ってみましょう。ラスト七文字を触手なりけりで締めて下さい。書けた人は、先生のところへ持ってきなさい」

 

 ……季語は? 

 と首を傾げながらも、課題に取り組む生徒達。

 

 そんな中、手が上がる。

 

「先生しつもーん」

 

「……? 何ですか茅野さん」

 

 同じ転入組の茅野だ。

 

「今更だけどさぁ、先生の名前なんて言うの? 他の先生と区別する時不便だよ」

 

 授業内容と関係の無い質問に対して、当の本人は答える。

 

「名前……ですか。名乗るような名前はありませんねぇ」

 

 なんなら皆さんでつけて下さいとのこと。

 

(……アイツの名前か。確かに気になるな。元の……人間の時の名前が分かれば、事の経緯について何か分かるかもしれない……)

 

 今の様子を聞く限り、素直に教えてくれる筈もないかと思考を打ち切る。

 

 ふと、プシューと音を立てながら、奴の顔が“薄いピンク色”に変わった。

 

 それを待っていた暗殺者(なぎさ)が、席を立つ。

 

 その姿を見て、クラスに緊張が走る。

 気付いたのだ。彼の殺る気に。

 

 短歌を書く為の用紙を盾に、ナイフを隠す。

 自然体で歩きながら、目線を下に。

 相手に殺気を感じせていない。

 

(……!)

 

 様になる姿に思わず見入る徹。

 

 そして渚が、教卓で待ちかねる奴の前に立った

 その瞬間。

 

 ナイフを振りかぶり、勢い良く首元に突き込んだ。

 

 結果は──当然の無傷。……それでは足りない。

 

「……言ったでしょう。もっと工夫を」

 

 失敗した暗殺者に、

 いつもの如くアドバイスを始める怪物教師。

 

 そんな中、渚は……ふわりと奴に抱き付いた。

 

 刹那、

 

    バ ァァン!! 

 

 大音量と共に、大量の特殊弾が周囲に飛び散った。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

(……視界がぼやける。……僕は、倒れてるのか……?)

 

 渚は、自身の身に降りかかった衝撃に、身を捩らせる。

 

 耳鳴りで周囲の音が歪んでいる。

 

 ……誰かが声を荒げている。

 

(……確か僕は、先生を……)

 

 五感と思考が戻りつつある渚が感じたのは、自身に触れる“布のような”感触と、()()()()()感じる威圧感だった。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 誰かが騒いでいる声がしたが、どうでも良かった。

 

 

 眩い光に目を顰めながら、徹は見た。

 

 

 確かに上へ飛び上がったのを。

 

 

 だが、目の前から目を逸らせない。

 

 

 危機から自分を守る為に、()()に目を向けるなと本能が叫ぶ。

 

 

 ひりつく肌。

 

 

 蠢く“ナニカ”。

 

 

 本能を押し殺し、目線を上げる。

 

 

 

 ──その目に映ったのは、天井に張り付く「黒」と、その身から漏れ出る「呪力」だった。

 

 

 

「実は先生、月に一度ほど脱皮します。脱いだ皮を爆弾に被せて威力を殺した。……つまりは月イチで使える奥の手です」

 

 ソレから、怒りを孕んだ声が聞こえる。

 

「寺坂、吉田、村松。首謀者は君等だな」

 

「えっ、いっ、いや……! 渚が勝手に……!」

 

 事の重大さに、ようやく気付いた寺坂は、咄嗟に誤魔化そうとした。

 

 が、次の瞬間、奴の姿は掻き消えた。

 

 そして再び姿を現したかと思えば、大量に何かを抱えている。

 

 この間、実に数秒である。

 

 それを成した当人の足元に零れ落ちたのは……『表札』だった。

 

「政府との契約ですから、先生は君達に決して危害は加えないが……」

 

 バラバラと音を立てて、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「次また今の方法で暗殺に来たら、君達以外には何をするか分かりませんよ?」

 

 怪物はそう言って、笑みを向けてくる。

 

「家族や友人……いや()()()()を地球からを消しますかねぇ」

 

 いかにも、モンスターと呼ぶに相応しい、悍ましい笑顔を。

 

「なっ、何なんだよテメェ……!」

 

 寺坂は声を荒げ、続ける。

 

「迷惑なんだよォ!! いきなり来て地球爆破とか暗殺しろとか……迷惑な奴に迷惑な殺し方をして、何が悪いんだよォ!!」

 

 己の本音を泣き叫ぶ寺坂に対して、奴は、

 

「迷惑? とんでもない。君達のアイディア自体はすごく良かった!」

 

 顔と模様を一変させ、穏やかな表情で「正解」の赤丸を浮かばせた。

 

 急な変わり様に、徹は目を丸くする。

 表情が切り替わった瞬間、漏れ出る呪力が綺麗さっぱり消え去ったのだ。

 

 そこからは、いつもの授業だ。

 今回の暗殺の良かった点を褒め、悪かった点についてはしっかりと正す。

 

 そして最後に、教室を見渡し、締め括る。

 

「人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員、それが出来る力を秘めた有能な暗殺者(アサシン)だ」

 

暗殺対象(ターゲット)である先生からのアドバイスです」

 

 

 徹は頬を引き攣らせた。

 

(……なんてデタラメな……)

 

 ここが、教室だと理解したからだ。

 

「暗殺」を学ぶ、「教室」なのだと。

 

 

 そんな変わった教室の、教師の言葉に。

 

 渚は、どこか吹っ切れたように

 「殺してみせる」と宣言した。

 

 今度はその顔に、笑みを浮かべて。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 ──俺達は殺し屋。対象(ターゲット)は先生。

 

 

 殺せない先生、「殺せんせー」と俺達の暗殺教室。

 

 

 始業のベルは、明日も鳴る。

 

 




ここまでお読み頂き感謝します。

これにて1章は終了となります。
次の2章からは、待望の呪術キャラとも絡ませていく予定です。

是非お楽しみ頂ければ幸いです。


…それはそれとして、アニメ12話最高でした。
原作を“理解ってる”職人の業でしたね…
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