つい先程、小説情報というもの初めて知りました。
評価して下さった方、お気に入りにして下さった皆様、遅ればせながら誠にありがとうございます。
9話 小劇的な出会い
休日。
それは、誰もが等しく享受する束の間のひと時である。
これは、エンドとはいえ、3年E組も例外ではない。
「──ふぅッ……!!」
東京都立呪術高等専門学校に来ていた。
正面入口前の階段を登り切り、乱れた息を整え、汗を拭う。
「……そういや、なんでここの階段こんな多いんだろ……」
ふと答えの無い疑問が浮かぶも、それより優先すべき事を思い出し、携帯を手に取った。
◆◇◆
「遅い……!! またバックれたのかと思ったぞ」
夜蛾は、やっと掛かって来た連絡に、開口一番声を荒げる。
『日課のトレーニングも兼ねて、ここまで走ってきたんですよ。予定では、もうちょい早く着く筈だったんですけど。あ、汗だくなんでシャワー浴びてから向かいますね』
「……ハァ……お前という奴は……場所は分かってるんだろうな?」
『いつもの教室でしょ? 15分くらいでパパッと済ませるんで、上がったらすぐ行きますよ』
待てと言う暇も無く、電話を切られる。
アイツが今住んでいる椚ヶ丘から、ここまでとなると……フルマラソン並みの距離があった筈だ。……途中で遅れると分かったならば、タクシーでも使えば良かったろうに。
「……全く、どいつもこいつも勝手なものだ」
そして、
「……来たぞ。あと30分程でここに来るそうだ」
「マジぃ? やっと来たのかよ先輩。重役出勤にも程があるでしょ……こりゃ、とびっきりイジり倒さなきゃねぇ〜」
「……はぁ……仮にも先輩なんだから、そういうの良くないと思うよ?」
「あ、じゃあ私迎えに行ってきますねー」
更に渾然となった状況に、夜蛾は頭痛を感じた……
◆◇◆
シャワー室にて爆速で汚れを落とし、「真っ昼間に浴びるシャワーってなんか新鮮……」とアホな事を考えつつ、教室までの道を足早に向かう。気持ち程度。
すると、向こうから近づいてくる影が一人。
ん? と目を凝らして見ると……見覚えのある顔だった。
ちょうど、向こうもこちらに気が付いた様だ。
「……硝子じゃん。久しぶり」
「徹先輩。どもども〜」
◆◇◆
あれは確か……そう、去年の頭頃だったか。
受験シーズンで、みんな心が荒んでいたんだろうか、例年より呪霊が多かった。
引っ切り無しに依頼が来てたのは覚えてる。
帳を降ろして、呪霊祓って、帳上げて、また次に。
その日は、東京都内のビル街に、呪霊が出たんだっけ。
まぁやる事は変わらない。
いつも通りパパッと終わらせて、寿司でも食うかって思ってたんだ。
……あぁ、任務自体はすぐ終わったよ?
問題は帳上げた後に、近道しようとビル裏の路地通ってな。
その時に……蠅頭が目の前をふよふよ浮いてたもんだから、思わず手で祓ったんだ。
そしたらさ、目の前で丁度タバコ吸ってた硝子が、目を丸くしてこっち見てたんだ。
その時、コイツ中3だぜ? その頃からもう吸ってやがったんだよ……
そんで、そっから興味持たれて色々話してたら、
コイツが反転持ちだってわかってな。
そっからは早かったよ。
翌年から高専に通うよう、エスカレーター組まれたんだ。
……なんでって? 俺が全力で囲い込んだんだよ。
こんな人材逃す訳ないだろ?
当たり前だよな。
◆◇◆
「そうか……そういえばお前、今年からだったなぁ……」
「ひっどぉ。忘れてたんですか、こんなに可愛い後輩の存在を」
「仕方ないだろ……最近バカ忙しいんだよ……」
会話を楽しみつつ、改めて硝子を見る徹。
コイツ、身長少し伸びたか? と過去の記憶と照合していると、
「……なんです? 急にそんなジッと見て。面白いものでもありました?」
それに気付いたのか、顔をこちらに向ける硝子。
「いんや、別に? 目と鼻と口が付いてる。……別に取れたりしないだろ?」
そう返す徹に、硝子はじとぉー、とした視線を向けてくる。まるで何かに抗議するかのようだ。
「……ていうか、何でこんなに遅れたんです? もう1時間も経ってますよ?」
抗議するのを諦めたのか、溜息を吐いて別の話題を振ってくる。……余計な所に飛び火してしまった。
「あー……他の任務との兼ね合いでね。遅れるならまあ、仕方ないかって、つい……」
咄嗟に目を逸らして言い訳する自身に、硝子は呆れた顔を向ける。
「面倒に感じたら、まあいいやって開き直るクセ、まだ治ってないんですね。しかも、仕事に限っては真面目にやるから、余計
「そんな事ない。仕事もちゃんとサボってる」
「そんな自身満々に言う事じゃないですよ? それに、サボってるって言っても書類仕事とかでしょ? フツーの任務は後ろめたくて出来ないくせに」
「……」
当たりだ。こうも的確に口撃されては沈黙するしかない。
……だがその沈黙に耐えきれず、結局自分から口を開いてしまう。
「……そういうお前はどうなんだよ。今年は3人だっけ? 上手くやってけそうか?」
「あ、誤魔化した」
なおも追撃する硝子を無視して見つめる。
そんな徹に根負けしたのか、今度は硝子が目を逸らす。
「……あー、それについては自分で確認した方が早いと思いますよ?」
そう言って硝子は教室を見る。
……いつの間にか着いていたようだ。
それもそうかと扉に手を掛け──開く瞬間、硝子が一歩下がるのを目の端に捉えながら──扉を開けると、
パァン!
という音と共に、色取り取りのテープと紙片が宙を舞う。
口を開けて呆然とする徹に、
「イェーイ! ま〜ってましたぁ〜!!」
という声と共に、目の前の白髪の男が持つ携帯からシャッター音が聞こえる。
「さあさあ、こっちこっち!!」
「本日の主役」と書かれた襷を肩にかけられ、
後ろから硝子が背中を押してくる。
男が指し示すのは教卓の方。
憐れにも、もう1人の被害者の姿が。
苛立たしげな
そこには、『先輩歓迎会』という文字がデカデカと。
それを見た徹の感想は、
(……普通逆じゃない?)
至極もっともであった。
ここまでお読み頂き感謝します。
今回ツッコミ所多いかもです。
文系なんで目を瞑ってください。
…オリ主君が速すぎ?ギリギリまで自力で走って、そっから呪力でがっつり強化してるよたぶん。
…椚ヶ丘どこ?八王子と相模原市の境目くらいに生やしてるイメージで。
高専は知らん。奥多摩らへんで良くね?
生まれも育ちも関西の為、地理が全く分からない。