ベアトリーチェ(ゲマトリア)、キヴォトスにて 作:ふぁっしょん
そしてあるものを受け取り、白洲アズサに渡した。
少女は手が震えないようこらえながら、その手紙を開いた。
「聖園ミカへ
私がこの手紙を書くことにした理由はふたつだ。
ひとつめの、私の安否確認については、この筆跡から無事であることがわかると思う。
ではふたつめはなんなのか。簡潔に書く。
私が突然いなくなって、ナギサは血眼になってあたりを探りまわっているだろうから、止めてほしい。
それを頼むため、いくつかのリスクを冒してでも、この手紙を送ることにした。
私がいまどこにいるのか、どうしていなくなったのか、どうやって……
そういうことを書くと、君はとんでもないことをしでかすだろうから、書かない。
ただ、安心してほしい。私は元気に、とは言えないが、まあそのぶん健康的な生活を送らせてもらっている。あんまり健康的だから、毎日疲労困憊で筋肉痛だよ。
そういうわけだから、心配はしなくていい。
むしろ私は君たちのほうが心配だ。
いろいろと、普段から思うことが多いからね。
いつまで離れているのか、気になっていると思う。
今のところ分かっている事実は、おそらくエデン条約調印式のあとなら、トリニティに戻れるだろうということだ。
なぜなのかは、前述の理由のとおり、書かない。
君たちが下手にことを起こすと困る。
本当に困る。念押ししておく。
これはフリじゃないよ。私がいない間も仕事はちゃんとやるように。
特にエデン条約に関しては、絶対に壊さないようにすること。
あれは本当に重要なものなんだ。
こうも強調すると、裏の意図を感じたりしだすかもしれないが、そんなことは本当にやめてほしい。
頼む。
それと、ある事実について示しておかなければならない。
私はある事情によって、トリニティを離れざるを得なかったのだが。
それはトリニティ内部の謀略などが原因ではない、ということだ。
トリニティに裏切り者はいない。
君が編入させた生徒も、この手紙が渡った経緯を察すればわかるとおり、裏切り者ではない。
そういうわけだから、ナギサを止めておいてほしいんだ。
彼女は動揺すると大抵とんでもないことをしでかす。君はいつもだが
だからなんとかして、軌道修正をしておいてくれ。
百合園セイアより
P.S
こっちには紅茶がまったくない。この手紙を渡した生徒に、せめて私がいつも使っている茶箱を渡しておいてくれ。切実に困っている。」
「よかった……」
少女、聖園ミカは思わず声をこぼした。
そして去ろうとする生徒、白洲アズサに対して声をかける。
「ちょっと待って!いま送らないといけないものができたから!」
「……私は郵便ではないんだが」
解像度が高まらないのでひとまず。
今日ももっと投げます。