【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

101 / 292
Part-B

「現在、HF損耗率は味方19%。帝国25%です」

 

 空母エンタープライズの艦橋で、太陽系という戦場全体を俯瞰した情報が共有されていた。

 

 メインスクリーンに敵味方の光点が入り乱れている。未だ見えない所で霊電子戦が繰り広げられており、確定した情報にはなっていない。霊電子戦の支配率を示すグラフが60%前後で揺れ動いている。

 

「損耗率は敵が上回っていますが、損耗機数で言えば同じくらいですな」

 

 オペレータの報告を報告を聞いて副官が艦隊司令に話しかけた。

 

「ふん、総機数ではこちらが上だ。時間の問題であろう」

 

 艦隊司令官レイモンド・スプルーアンスは、余裕の笑みを浮かべる。

 

 確かに敵は思ったよりも手ごわいようだ。防御に徹していて、想定よりも戦闘が長引いている。こちらを迎撃に来た機動戦闘機群も、こちらに近寄れないが撃退もできていない。

 

 余裕の態度を見せていたが、レイモンドは敵がなにか隠してることを直感で感じていた。

 

 

 と、そのとき、霊電子戦の支配率を示すグラフが一気に傾いた。連邦側へ。

 

「霊電子戦の支配率100%!霊探(Aether Rader)がクリアになります!」

 

 オペレータの言葉通り、戦場マップで点滅を繰り返していた光点がなくなり、鮮明に表示され不明情報がなくなった。

 

 そのとき、機動戦闘機の小さな光点に交じって、大きな光点が現れた。

 

「新たに敵HF反応がありました!第七惑星軌道付近に9機!」

 

 これまで観測されていた場所には居なかったHFだ。機動戦闘機群に紛れていたのか。

 

「やはり仕掛けてきたか。直掩のHF隊を半分迎撃に向かわせろ」

 

 密かに艦隊に近づいていたHFにも動揺せず、迎撃の指示を出す。

 

 これが敵の策のようだ。防御に専念した遅滞戦闘も納得できた。こちらのHFを引き付けておいて、隠したHFで艦隊を襲撃する計画であろう。

 

「下らん策だ。うちの魔女の能力を見誤ったな」

 

 新たなHFの位置にイーグルが向かう様を見ながら肘を突き嘆息する。

 

 先に機動戦闘機F6Fヘルキャットが敵HFを捕らえた。機動戦闘機ではHFに敵わないため、戦闘は避けさせる。

 

 接近したヘルキャットの光学映像が届いた。標準の帝国HFティーガーとは違う。

 

 これまで冷静だったレイモンドが、高い位置にある席からガタっと立ちあがる。

 

「こ、皇帝機カイザー・ティーゲル!!」

 

 驚愕で叫んだ艦隊司令を、副官は思わず見上げた。

 

「司令?」

「あれは皇帝機だ!!直掩のHF全て向かわせろ!絶対逃すな!!」

 

 スクリーンに映る敵HFはマントを羽織り、豪奢な装飾を付けている。周りの護衛も皇帝色の赤で塗装されマントを背負う。皇帝直属の部隊で間違いない。

 

「ちょ、直掩全機ですか?」

「皇帝さえ捕えれば、この戦争は終わる!最優先だ!」

 

 興奮した艦隊司令の指示に従い、直掩していたHFが全て皇帝機に向かう。

 

--

 

 第7機動騎士団第704機動戦闘飛行隊は直掩任務を離れた。彗燐光を輝かせながら第七惑星軌道付近に向かう。新たに表れたHF隊を捉えるために。

 

「704各機!こちらガレスリーダー!敵は少数だ!艦隊に近づけるな!」

 

 HFの速度であっと言う間に、指定空域に到着する。

 

 敵HFを光学でも捕らえた。他のティーガーと違い、なんか派手だ。

 

 先頭を行っていた隊員のイーグルが襲い掛かる。と同時に腰から真っ二つにされた。

 

「な!?」

 

 コールサイン『ガレスリーダー』は相手が皇帝だと知らされている。護衛は兎も角、皇帝機はちょっと腕などを切って、中破させ捕えるつもりだった。

 

 その皇帝機に味方が一瞬でやられた。

 

 皇帝機カイザー・ティーゲルは、大きな両手斧グレートアクスを2本持って振り回す。まるで木の棒の様に軽々と扱う。いくらHFでも恐ろしい膂力だ。

 

 周りの護衛から討とうとも、こちらも無類の強さ。近寄れば大破確定だろう。

 

「半包囲して距離を取れ!増援が来るまで持ちこたえる!」

 

 対応方針を変える。後続の隊が合流してから数で圧倒すればいい。

 

 距離を取っていると、皇帝機が踵を返して逃走に移った。

 

「逃がすな!追え!」

 

 敵の目的、艦隊攻撃は阻止できたようだ。逃げるのであれば追い掛けるまで。

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。