【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

 ツクモが指を立てつつ3つの要素を説明。まず1つ目は、連邦艦隊の直掩HFを囮を使って引き寄せたこと。

 

「その囮が皇帝本人だから大胆過ぎる。直掩を全部回すのは判断ミスだが、決断に十分な理由だろう。なにせ皇帝を捕えれば戦争自体が終わるからな」

 

 直掩が離れ、空母が手薄になった隙を逃さず攻撃したのが成功の要因。

 

 そして2つ目。霊電子戦艦を空母化したこと。例えば、皇軍のDDHを同じように運用したとしても、艦隊護衛の巡洋艦、駆逐艦が殺到し撃沈させられる。

 霊電子戦艦を使用することで、着空後エーテルステルスを発動させ行方を晦ませた。神出鬼没の霊電子戦艦だからこそできる芸当だ。

 

「実は皇軍でも霊電子戦艦の空母化を検討していた時期があった」

 

 検討したが、結局はボツとなる。理由は搭載HFの問題だ。霊電子戦艦はその特性上大型化はできない。そのため艦載HF機数が限られてくる。HFが少ないと攻撃力も減り、奇襲の際のリスクが大きい。

 

「艦載HF機数問題。これは3つ目に関わってくるが、帝国の強襲霊電子空母は9機しかHFを艦載できない。これは一個中隊にも満たない数だ。ただこのHFが違っていた」

 

 スクリーンが切り替わり、帝国の新型HFが表示される。兜にある羽飾りが特徴の軽鎧姿の女性型HF。名称は戦乙女型HFパンターというらしい。

 

「このHFパンターは、女性が搭乗している」

「え?帝国でですか?」

「そう。帝国では戦闘員は頑なに男性で構成されている。それを特例で女性戦士にしているのは理由がある。彼女らは戦士であり術士。つまり制空戦闘も対艦攻撃も一機のHFで可能。これが3つ目だ」

 

 皇国では制空戦闘用の人型機動戦闘機と対艦攻撃の術式作戦機、例えば佐世保アラヤの人型対艦攻撃機ブラックボマーがあるが、それを合わせた機能を持つHFを帝国が開発したということ。零式でも対艦攻撃は可能だが、空母のような巨大艦を落すのは時間が掛かるだろう。逆に護衛なしのアラヤだけでは、攻撃前に迎撃されてしまう。

 

「ワルキューレ隊という名前の部隊らしいが、帝国の新型HFは対艦攻撃魔術で空母を撃沈。また対HF戦闘でも遜色ない結果をカノープス運河、サルガス運河を制圧するときに見せている」

 

 太陽系攻防戦だけでなく、連邦内の運河制圧にも強襲霊電子空母+ワルキューレ隊という組み合わせで実戦に参加。戦果を出している。

 

「囮を使った戦術が1つ目。強襲霊電子空母という新艦種での奇襲が2つ目。戦士であり術士でもある新型HFでの対艦攻撃が3つ目。この3つの要因で、帝国が連邦に勝利したと言っていい」

 

 再びブリーフィングルームが静寂に包まれる。新戦術に新型HF。戦争のゲームチェンジャーに成りえる要素に不安を覚える。

 

「まあ、連邦には悪いが皇国との戦争でなくて助かったな。情報さえあれば対策は可能だ。これからの訓練でその辺りを重点的に行うぞ!」

 

 ツクモはその空気を読んでお道化た感じで訓練内容を伝える。確かに初めから正体が分かっていれば対応できるだろう。隊員たちは訓練に向けて気合が入った。

 

 

 周りが盛り上がる中、横田ユイは複雑な顔をしていた。

 

「飛行長」

「ん?なんだ横田」

「太陽系攻防戦で降伏した連邦軍ってどうなったのでしょう?知り合いが居るのですが……」

 

 ユイが環局所泡合同演習で仲良くなったヒルデガルド・ラムシュタインは、確か第二艦隊に所属していたはずだ。敗戦で彼女の行方が知れない。

 

「そうだな。HFパイロットは早々戦死しない。恐らく捕虜となっているだろうな」

「ひどい目に合ったりしてないですかね……」

 

 赤壁戦争での開魂者(Openian)の扱いが頭をよぎる。彼女の扱いが心配だ。

 

「ああ、帝国では人は資源という考えがあるから大丈夫だろう。敵兵でもできれば懐柔して味方に引き入れようとするのが伝統だ」

 

 汎ペルセウス帝国は元海賊の集まりだが、当初は海賊がお互いの資源を奪い合うことで、まったく生産的なことができず全体的に疲弊していった。その内、戦士や農民自体を資源として扱うようになり、戦士は味方に取り入れ、農民は土地ごと手に入れる。そうすることで破壊だけではなく生産的なこともし始めた。そのうち貿易も行うようになり、国として成立するまでに至る。

 

「そうですか……」

「ああ、その内連邦と帝国で捕虜交換が行われるだろうから、その時分かるはずだ」

「分りました。生存の報を待ちます」

「うん。ところで俺からも話しがあるのだが」

「はい?」

「えー、横田ユイ1等武尉、星菱レイ2等武尉。本州に戻って皇居に出頭せよ。女帝陛下がお呼びだ」

「え!?」「え?ボクも?」

 

 ユイもレイも女帝から呼び出しを受ける理由が思い当たらない。

 

「なんだろう……」

「ユイなんかやらかした?」

「なんでよ!」

 





【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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