【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
地球自由連邦の北東部に汎ペルセウス帝国が侵攻した当初、各星系で激しい防衛戦が予想されていたが、実際は殆ど戦闘は発生していない。
例えば、ある星系州に侵攻した時、迎撃を想定しながら州都惑星へ降下したが、一切の攻撃を受けなかった。
そのまま都市部まで移動しても、なんの反応もない。都市の中央通りを通ったとき驚愕の出来事が。
”歓迎!汎ペルセウス帝国軍!くたばれ!連邦貴族!”と書かれた横断幕で迎えられる。
マルダー歩兵戦闘車で都市に入った帝国兵が、呆然としていると、周りの建物から色とりどりの紙吹雪が降って来た。
「帝国ばんざーい!」
民衆が手を振って歓迎している。最初、罠を疑ったが、歩兵戦闘車を降り話を聞いてみるとそうでないことが分かった。
「連邦貴族のやつら、俺たちを置いてさっさと逃げやがったんだ!」
「やつら重税ばかりで、私腹ばっかり肥やしてる!居なくなって済々した!」
「貴族でなければ人にあらずみたいな態度でいやがる。
などと人々は口々に言う。相当不満が溜まっていたようだ。民衆は帝国軍を解放者として歓迎した。
州知事に会い説明を聞いてみると、民衆が言ったことが正しいことが分かる。州知事もお飾りで、連邦貴族が州を支配していたという。
「連邦貴族は守備隊を引き連れて、逃亡しました。守るべき民衆を置いて。私達に武器はありませんし、抵抗もしません。どうか略奪などはご勘弁を……」
元々皇帝より、市民への暴力や略奪などは禁止の命令が出ている。元海賊の帝国だが、現在の帝国軍は規律正しい軍隊となっていた。
そのことを伝えると、州知事は安心したようだ。
「ありがとうございます。我々は帝国軍を歓迎します」
州星系は帝国軍を受け入れ、あっさり占領が完了してしまう。
実際に貴族の館や、守備隊、軍の基地に乗り込んでみると、本当に何も残っていなかった。まるで夜逃げだ。
州知事に聞いてみると、保管していた食料まで持って行ってしまったらしい。今すぐには影響はないが、予備がないため、時間が経つと不足するとのこと。
実は帝国軍は農業国フランクスから、輸送艦で食料などを持って来ていた。当初なんの意味があるか兵士達は分からなかったが、上層部は、このことを予想していたらしい。
州知事に伝えると、涙を流して感謝された。
その後、代官を置くことはするが、基本的に自治に任せる方針。しばらくは帝国軍の補給だけ行うことを約束する。
他の北東部の州星系でも帝国軍は歓迎された。どれだけ連邦貴族が恨まれていたのだろうか。
かくして地球自由連邦は、帝国軍に北東部を占領され30%の領土を失う。