【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

 と、からかわれているところに通信が入る。

 

「待って、個通が来たわ。切るわね」

『了解です』『了解』

 

 側近との通信を切り、秘匿個通に応じた。

 

「こちらインペリアルフォース1です」

『インペリアルフォース1。こちら横田ハジメです』

 

 インペリアルフォース1は、皇国の帝が乗った機体に付けられるコールサインだ。通信相手は第01護衛隊群司令の横田ハジメ武将補。

 

「あら横田武将補。どうされましたか?」

『新しい機体はどうですか?』

「ええ、問題ないです」

『それは良かったです。それでご報告したいことですが……』

 

 通信ウィンドウのハジメは、言いづらそうにしていた。

 

『家に戻って妻の部屋などを探してみましたが見つかりませんでした。家のものにも手伝って貰って総ざらいしたのですが……』

 

 以前ユイにも聞いた、横田ユリアの遺品に何か本やファイルがないかという話だ。連邦の始まりの四家に伝わるとされるS-Filesと呼ばれるものが、もしあったらと聞いてみたが、見つからなかったようだ。

 

「そうでしたか」

『申し訳ありません』

「いえいえ、お手数をお掛けしました。こちらこそ、お亡くなりになった奥様のこと思い出させるようなことをして、申し訳ありません」

『いえ、そんな。妻の真実を知って良かったです。娘もそう言っていたでしょう』

「そうですね。ユイさんは、お強い方です」

 

 先に伝えたユイは、悲しみを隠すように気丈に振舞っているようにみえた。自分も両親を亡くしているので少しは気持ちが分かる。

 

『それでS-Filesとはどういうものなのでしょう』

「まだ調査中ですが、どうやら地球時代の記録のようです。移民時代の前ですね。古い移民用航路の情報もあるかもしれません」

『なるほど……それがあれば、帝国の地球侵攻も予測できたかもしれませんね』

「ええ、始まりの四家は連邦建国時に、古い地球統合政府の情報を手に入れていたようです」

『地球統合政府ですか。二千年以上前の地球の中央政府ですな』

 

 地球統合政府とは、銀河に移民する前に地球を纏めていた組織だ。移民するまでは国家間の戦争を起こさなかったらしい。全世界の統一国家となったのは後にも先にもこれだけ。

 

 移民後は、銀河国家群が広範囲に散らばり制御できず、また地球自体を出て行ったため中央政府の役割を終えたという。

 

 二千年以上の年月と当時の状況から、地球統合政府の情報は余り残っていない。

 

『何にせよ、真実を陛下に伝えていただけたことに感謝いたします』

「12貴族に関して思うことがあるとは思いますが、今は抑えてください」

『今は、ですか』

「はい、詳しくは話せませんが極秘に進行中の話があります」

 

『なるほど。御恩は職務を全うすることでお返しします』

「はい、第01護衛隊群をよろしくお願いします。ときに帝国の動向はどうでしょう?どうやら連邦と帝国で時限的な停戦を行うようです」

『なんと。それは気になりますね。第1霊電子戦艦隊群で現在把握している所では、帝国の第1機動隊群は太陽系に駐留。第2はフランクス領内。第3第4は連邦の北東部、今は帝国の新領土でしたかな?に居るようです。少数の人員は本土に帰還したりしているようですが、艦隊としては連邦近くに存在しているようですね』

「なるほど分かりました。引き続き動向監視をお願いします」

『はっ!では失礼します』

 

 ハジメは敬礼をして通信を切った。

 

 女帝は、青く光る帝都惑星を見て独り言ちる。

 

「皇国も戦火を免れないかもしれませんね……」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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