【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第三十三話 帝国
Part-A


 汎ペルセウス帝国(Pan-Perseus Empire)は、PER OB2と呼ばれる巨大分子雲や電離水素領域の近傍に分布した、大規模な星生成領域にある。

 宇宙の尺度で見れば比較的若い星の群れであるため、安定した居住可能惑星は少なく、常に乏しい領土の奪い合いが繰り広げられてきた。

 

 銀河国家群の中心地から遠く離れ、様々な理由で故郷を追われた民族や、犯罪によって居場所を失った流浪の民が集まったこの宙域は、かつて治安の概念すら存在しない魔境だった。中央のような統制組織がないのをいいことに、人々は海賊と称して私欲のために暴れ回った。

 

 しかし、限られた資源と土地を奪い合っていては、全体の経済規模が縮小する一方である。このままでは共倒れになるという危機感から、有力な海賊たちが結託。組織を大規模化させ、略奪から生産と貿易への転換を図ることで、国家としての体裁を整えていった。

 

 そして、その群雄割拠の地を圧倒的な武力でまとめ上げたのが、現在の帝国である。

 

 帝国を構成する地方国家は「領邦」と呼ばれ、それぞれ帝国諸侯が統治している。各領邦は独自の軍隊を保持しており、平時は地方の治安維持を担っていた。

 

 その領邦の一つ、ブランデンブルク領。帝国諸侯アルブレヒトは、屋敷の執務室で不機嫌そうに愚痴をこぼしていた。

 

「ふん、中央の連中め。連邦領でやりたい放題ではないか」

 

 帝国国防軍は皇帝に忠誠を誓った直属の軍隊だ。もともとは他勢力を力で押さえつけるための矛であり、現在は連邦との戦争の主軸として投入されている。

 

 皇帝の要請があれば領邦軍にも動員が掛かり、戦果に応じて新たな領地が下賜されるのが帝国の仕組みだ。そうして帝国は勢力を拡大し、今や銀河国家群第2位、20億人の人口を抱える大国となった。

 だが、現在の領土拡大は飽和状態にあり、諸侯へ分け与えられる土地も少なくなっている。アルブレヒトは、今回の連邦戦に加われなかったことに強い不満を感じているようだった。

 

「赤壁戦争の折、クライーナ国の一部を下賜されたばかりではありませんか」

 

 アルブレヒトの前に控えていた執事長が、なだめるように口を挟む。

 

「あんな何もない田舎を手に入れたところで何になる。いっそのこと、もっと先まで踏み込んでも良かったのではないか?」

「皇国との緩衝地帯を作りたかったのでしょう。大八洲皇国の軍事力は侮れませんから」

「はん、あんな極東の蛮族など、我が艦隊を差し向ければ一ひねりだわ」

 

 ブランデンブルク領は強力な私設艦隊を保持しており、領邦軍でありながら軽空母さえ運用していた。

 

「しかし、現在は皇帝陛下が不可侵条約を締結しております。その期間中は手出しはできぬでしょう」

「ちっ! かつて猛虎帝(Raptor-Kaiser)と恐れられた陛下も、随分と丸くなられたものだ」

「今は連邦との戦いに注力したいのでしょう。ただ、連邦との戦闘が一段落すれば召集が掛かるかもしれません。準備だけは進めておいたほうがよろしいかと」

「そうだな。いつでも出撃できるようにしておけ」

「御意」

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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