【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

 帝国軍の巡洋戦艦『シャルンホルスト』が、地球の衛星『月』の元連邦軍基地アリスタルコス要塞にある軍港に接岸してタラップを下ろした。

 

 タラップの前には大勢の帝国軍兵士が並ぶ。その真ん中に道ができ、一番内側には赤い動甲冑を着た親衛隊が列をなす。

 

 タラップを鎧を着た大柄な男が降りて来る。この男こそ汎ペルセウス帝国皇帝フリードリヒⅣ世。後ろには親衛隊が付き従う。

 

 皇帝が降り立つと、兵士が一斉敬礼した。答礼をしながら兵士の列にできた道を歩く。

 

「ようこそ赤き月(Roter Mond)要塞へ。陛下」

 

 道の先に立って居たのは、第1機動隊群司令ハンプシャ・ポーツマス大将。

 

「うむ」

「こちらへ」

 

 ポーツマス大将は皇帝を先導して基地の廊下を歩く。

 

「進捗は?」

「80%ほど。電装系は全とっかえですが、それ以外は再利用可能でした」

「さすがグンテルだな」

「ええ」

 

 魔道艦隊群司令部直轄のグンテル・グリュックスブルク中佐による対要塞魔道重砲トールハンマーによって破壊された要塞だが、魔術の稲妻による大規模攻撃だったため直接的な破壊の規模は小さかった。

 

 要塞の修復はキューボット(Cubot)と呼ばれる立方体のロボットで行われている。反重力装置で浮きながら立方体の8つの頂点から伸びるアームで、切断、溶接、細かい作業用ハンドなどでどんな作業内容に対応できる。

 なぜ立方体かというと資材用コンテナの規格に合わせた大きさで一緒に運搬が可能だから。大きさも大小様々で、工事、建築、農作業など用途は多岐に渡り、一般でも広く使われていた。

 

 AI戦争以来、人間型のロボット、いわゆるアンドロイドは姿を消す。明文化された訳ではないが、人の形そのものが神聖なものという考えが広まったからだ。特にHFが開発されて以降、顕著になった。

 

 

「それで停戦交渉はいかがでしたか?」

「うむ。影から見ていたが、連邦国務長官の顔は見ものだったぞ」

 

 帝国と連邦の一時的な停戦交渉と捕虜交換は、地球自由連邦の首都星系、みなみじゅうじ座アルファ星付近にある、ロードン星系で行われた。

 

 敵地の首都と言うこともあり、皇帝は不参加を表明していたが、巡洋戦艦『シャルンホルスト』に乗ってこっそり来ていた。巡洋戦艦と駆逐艦2隻だけで敵地中央に乗り込む大胆さ。

 

 停戦交渉自体は、代わったばかりの連邦国務長官と帝国外務大臣でスムーズに行われた。最後に握手をするとき、帝国外務大臣がこう言う。

 

「では、よろしくおねがいします。地球自由連邦どの……いや地球は帝国に併合されましたから、今は『自由連邦』でしたな。わははは!」

 

 これを聞いた連邦国務長官は苦虫を噛んだような顔をしていた。舞台の袖でこっそり見ていた皇帝が爆笑して危うくバレそうになったオマケ付き。

 

 捕虜交換は、連邦側1万人。帝国側500人。帝国の捕虜は、フランクス軍が連邦側に脱出するときのケンダルク包囲戦時のもの。人数的には連邦が圧倒的に上だが、帝国としてはこの後の戦闘のため一人でも多く取り戻したかった。停戦は次の戦闘のための準備期間。

 ちなみに2千人も亡命で戻ってこなかった連邦側はショックを受けていた。特に娘が帰らなかったラムシュタイン卿とラングレー卿は激怒したという。

 

 

 廊下の突き当りにあるエレベータに乗り込む。重力制御されたエレベータはかなりの高速で月の地下に降りる。

 

「……ずいぶん深く潜るな」

「ええ、月の中心部近くまで向かいますので」

 

 エレベータの窓を見ると照明が飛ぶように過ぎていく。それでもしばらくすると終点が近づき減速した。

 

 エレベータを降りると、灰色のローブを着た禿頭の男グンテル・グリュックスブルク中佐が待っていた。

 

「陛下、ご足労いただきありがとうございます」

「うむ。で、見せたいものとはなんだ?」

 

 そこはとても広い空間だが、なにか見るべきものは無い。ただつるつるとした赤い床が一面に広がっている。

 

「その足元が見ていただきたかったものです」

「む?」

「今我々が立って居るのは、月の中心核にある直径13.75kmの球。コアと呼んでいますが、HFでいうところの操魂球(Cockpit Sphere)にあたるものです」

「なにぃ!?」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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