【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第三十五話 黒鷲
Part-A


 第03護衛隊群第03護衛隊所属、人型搭載護衛艦DDH-5181『ひゅうが』は、全長600mと『いずも』『かが』の800m級に比べれば二回りほど小ぶりだ。HFの搭載数も16機と半分以下であり、飛行甲板上の加速霊符も備えていない。

 

 だが、この『ひゅうが』型での運用実績に基づき、後継の『いずも』型が設計されたという経緯がある。いわば皇国における空母型護衛艦のテストベッドであった。

 

 とはいえ、他国の軽空母に匹敵するHF運用能力と、駆逐艦並みの重武装を両立させた『ひゅうが』型は依然として強力な軍艦だ。アウトレンジからの攻勢を得意とする『いずも』型に対し、周囲に数的有利を作り出す守備的な盾。それが本艦の役割である。

 

 その皇軍護衛艦隊第03護衛隊群は、現在カムイ州に駐留していた。カムイ州は大八洲(おおやしま)皇国の銀河方位最北端に位置する星系州だ。かつては赤壁連合(Red Cliffs Union)に接していたが、連合崩壊後の現在は、その旧構成国であるラヴァーグ国と国境を接している。

 ラヴァーグ国は皇国と帝国の緩衝国となっているが、二大国に挟まれた小国ゆえ、どちらの側にも組みしない「絶対中立」を宣言していた。

 

 だが今回、その中立方針が皇国側にとって最悪の形で裏目に出ることとなる。

 

 

「艦長! 星系外縁、銀河方位北西部に複数の着空(touchdown)を確認しました!」

「『うずしお』が掴んだ情報の通りね」

 

 『ひゅうが』艦長、舞鶴ユカ1等術佐は、30分前に第2霊電子艦群SS-5592『うずしお』から(もたら)された情報を再確認した。帝国領土から現れた艦隊が、ラヴァーグ国を何ら制止を受けることなく素通りしてきたということだ。徹底した不干渉。少しでも近隣国としての警告があれば先手を打てたはずなのだが。

 

「霊探員、数と艦種の確認を。副長、群司令部へ至急連絡して」

 

 折悪く、第03護衛隊群司令部の主要メンバーは今後の作戦会議のため皇都へ向かっていた。武将補の群司令が不在の今、旗艦艦長である舞鶴ユカ1等術佐がこの宙域の最高責任者となる。

 

「情報通りであれば、現れたのは領邦軍なのよね?」

「はい、ブランデンブルク領の艦隊です。事前情報によれば、軽空母『オイローパ』を旗艦に、駆逐艦2隻、フリゲート4隻の構成のはずですが……」

 

 副長が答える。帝国軍の主力である国防軍艦隊は、現在連邦領内への侵攻に注力しているはずだ。その動きは『そうりゅう』を始めとした第1霊電子艦群がマークしており、皇国方面への大規模な転進は確認されていない。ならば、この奇襲の主は帝国の地方軍である領邦軍と見て間違いない。

 

 領邦軍は国防軍に比べれば小規模で旧式装備も多いが、それでも油断は禁物だ。やがて霊探員からの報告が響いた。

 

「霊探結果、出ました! 軽空母2隻、駆逐艦2隻、フリゲート6隻を確認! 霊紋より順次特定に入ります!」

「軽空母が2隻?」

「ブランデンブルク領邦軍だけではない、ということですか……?」

 

 事前情報と艦数が合致しない。艦長と副長は顔を見合わせ、(いぶかし)げに眉をひそめた。

 

「照合完了! 1隻はブランデンブルク領邦軍所属の軽空母『オイローパ』。随伴の駆逐艦2隻、フリゲート4隻も同様です。……しかし、残りの軽空母1隻とフリゲート2隻は所属が異なります。データにありません!」

 

「他の領邦の加勢か、それとも……。情報がないのは不気味ね」

「同感です。ですが、侵略者であることに変わりはありません」

「そうね。分からないものは後で調べればいい。今は目の前の敵を叩くわ。副長、第一種戦闘配備!」

「了! 全艦、第一種戦闘配備!」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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