【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「────────ッ!!!」
ユウと呼ばれたセミロングの髪にリボンを巻いた一見可憐な少女が、強烈な掛け声を出す。
トンボの構えもこの掛け声も三大剣術の一つ、サツ・ジゲン流の特徴だ。
少女2人が一気に間を詰め、甲高い金属音を鳴らす。
「初太刀を防ぐとはやるわね」
「そちらこそ、
鍔迫り合いのまま笑顔で会話するユウとツクミ。お互いを弾き飛ばし距離をとり、即座に打ち合い始めた。金属音が連続で響き渡る。
(ヤバい!)
モモは戦慄した。先ほどの一撃、腕どころじゃない。完全に袈裟切りで胴体ごと切ろうとしていた。力がほんのちょっとでも負けていれば、どちらかが死ぬ。
止めるすべを模索したモモが出した結論は、腕組みして見ている男性、入間に寸止めで脅して、止めさせることだった。入間の隣にいる少女も2人の戦いに注目している。
小柄なモモがさらに低く構え独特の歩法で床すれすれを滑るように一気に近寄り、抜刀術で刀を繰り出す。が、隣にいた少女の刀に防がれる。
(な!?こちらが先に抜刀していたのに防がれた!?)
それだけではない。後から抜刀した相手の刀が既に納刀されてた。鯉口を切る音が聞こえていたので、抜刀していたのは間違いない。抜刀も納刀も見えなかった。また切りかかっても同じ状況になるだろう。
「そこまでだ」
入間が声を上げると2人は切り合いをやめ離れる。
「ユウ、寸止めとはいえ一の太刀を防がれた時点でお前の負けだ」
「はい」
ユウはしょげた様子で納刀した。ツクミも納刀するが手が震えているのが分かる。
「シグレも相手の殺気はなかったぞ。その見極めくらいはしろ」
「すみません」
モモの攻撃を防いだ黒髪に飾りを付けた少女は、シグレと言うらしい。恐ろしい技量だ。あのままだと切られたのは自分だ。
ユウもあれで寸止めだったらしい。2人ともこちらより実力が上とみる。
ツクモが帽子を直しながら入間に向き直った。
「さすがですね。その2人が入間の『狂犬』と『忠犬』ですか?」
その異名は聞いたことがある。皇国の剣術大会は数あれど、天覧試合は帝が観戦する格式高い大会だ。その大会で連覇した姉妹が居た。その名前が姉の『忠犬』入間シグレと妹の『狂犬』入間ユウだったはず。
「はは、大層な異名だな。まあ見ての通りまだまだ若輩ものだ」
「まさかセンパイの娘さん?」
「あほ。俺の子供はまだ3才だ。二人は姪っ子だよ。ツクモも早く結婚して子供作れ」
「あはは……」
先ほどまでは殺気をぶつけ合ってたのに、こんなほのぼのとした会話がができるとは。
さすがのモモも呆れ
(さすがツクモ兄ぃ!すてき!)
て、居なかった。子供の頃からの憧れはそう簡単には崩れないらしい。
笑ってごまかしているツクモの横を通り過ぎる入間だが、すれ違う瞬間小声で耳打ちする。
「連合の艦隊が演習と称して出航後、姿を消したらしい」
「え、巫女達を撒いたんですか?」
「ああ、新星系の件、連合のバックになにかが居る。気を付けろ」
といって、そのまま振り返らずに立ち去った。ツクモはその背に敬礼で答える。