【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

 ガス惑星の分厚い雲海を割り、ホオジロザメを模した魚雷群が次々と飛び出してきた。白煙をなびかせ、牙を剥くように領邦軍艦隊へと殺到する。

 

「迎撃魚雷では間に合わん! 光子砲で叩き落とせ!」

 

 艦長の怒号を背に、アルブレヒトは信じがたい思いで執事長を見た。

 

「ガス惑星の内部を通ってくるなど、正気か?」

「容易なことではありません。アンモニアや水素の雲が猛烈な速度で流れるあの場所は、風速100m/sに達する地獄です。放電現象も居住惑星の1,000倍という規模で荒れ狂っています」

「そんな場所を抜けてきたというのか」

 

「はい。皇国の魚雷は極めて高性能と聞きますが、それでもこの雷撃を成功させるために、数割が失われたはずです」

「ふん、思い切った真似を……」

「いかがなさいますか、閣下」

黒鷲(Schwarzadler)を呼び戻せ! 敵艦隊を抑え込んでいる間に戦線を離脱する!」

 

――

 

 領邦軍艦隊の直下から、100機を超える魚雷が殺到する。各艦は近接防御用の収束光子連射砲――通称「光子砲」を乱射。高速で回避運動を繰り返す魚雷の群れを必死に迎撃する。

 

 だが、弾幕を潜り抜けた数機が艦の外壁に接触。魚雷の重力子弾頭が炸裂し、艦を包む霊殻体(Aether Force Shell)を強制的に減衰させる。その無防備になった隙間へ、魚雷本体と反陽子による対消滅エネルギーが容赦なく叩き込まれた。

 

 直撃を受けた艦の内部で凄まじい誘爆が発生し、大破、航行不能となる艦が相次ぐ。巨大ガス惑星の強大な重力圏では霊殻体の出力が不安定になるため、特に防御の薄いフリゲート艦は一撃で沈黙。退避もままならぬまま、引力に引かれて暗い雲の中へと沈んでいく艦もあった。

 

「敵、駆逐艦『レーベレヒト・マース』が大破! 旗艦『オイローパ』を庇って魚雷3発を被弾! 敵残存艦隊は第五惑星方面の部隊と合わせ、軽空母2隻、駆逐艦1隻のみです。フリゲート隊は全滅。生存艦は離脱行動に移っています!」

「上空の直掩戦、および魚雷戦もこちらが優勢です!」

「『みょうこう』『あたご』、全魚雷を撃ち尽くしました!」

 

 オペレーターの報告を聞き、優勢とみた舞鶴ユカ艦長が即座に決断する。

 

「敵旗艦へ降伏勧告を送って!」

「お待ちください! 上空より高速接近する反応あり! 例の黒いイーグル隊です!」

「なんですって!?」

 

 『ひゅうが』の直掩HFは離れた宙域で交戦中だった。HFにとって、霊子出力が低下し霊力場(Aether Force Field)が展開できなくなる惑星重力圏内での戦闘は致命的なリスクを伴う。

 それを承知で突っ込んでくるのは、敵がそれだけ追い詰められている証拠でもある。

 

「副長、直掩機を呼び戻して! 同時に第07護衛隊へ救援要請!」

「了! しかし救援が着く前に袋叩きにされます」

「高度を下げて、あの雲の中に隠れるわ。リスクは承知の上よ。このまま剥き出しでいるよりはマシでしょう」

「了解。僚艦にも伝達します!」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/

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