【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「砲雷長! アンモニア大気との予期せぬ連鎖反応が起きる恐れがあるので雲の中では光子砲の使用を禁じます! 重力子砲と主砲のみで応戦! 敵HFを追い払うのが目的よ、無理に撃墜しなくていいわ!」
『了解!』
「航海長! 私はHFRの霊子出力維持と全体指揮に集中するので操艦を任せます! 航海長操艦!」
「頂きました! 航海長操艦! 両舷前進原速!」
舞鶴ユカの指示が飛ぶ。ガス惑星内での航行経験はあるが、そこでの戦闘は未知の領域だ。各部署が手探りの状態で対応を急ぐ。
『ひゅうが』がゆっくりと高度を落とし、巨大なアンモニアの雲海へと肉薄する。重力制御によって機体を支えているが、艦全体の出力低下により動きは鈍い。
「雲海に接触します!」
次の瞬間、ボフンという鈍い衝撃と共に、真空の宇宙では決して聞こえるはずのない轟音が艦内に響いた。アンモニアの飛沫が大きく舞い上がり、『ひゅうが』の巨体が暗い雲の中へと沈み込んでいく。
「面舵五度! 操舵手、気流の乱れに艦首を立てろ! 横風に流されるなよ!」
「了解! 面舵五度! ヨーソロー!」
雲の内部は視界ゼロの暗闇、そして乱気流が荒れ狂う嵐の世界だった。全長600mの巨艦ですら翻弄される。至る所で巨大な稲妻が走り、凄まじい雷光と衝撃波が絶え間なく艦を揺さぶった。
「艦長! 直掩HFが帰還しました!」
「各機は飛行甲板で待機! 敵HFが雲を抜けて接近した際、即座に迎撃に出て!」
帰還した直掩機は、領邦軍のブルムベア隊を退けてきていた。だが、今度はあの黒いイーグル隊が相手だ。視界不良と乱気流の中、パイロットたちは小銃を捨て、最初から抜刀して敵を待ち構える。
「霊探に反応あり! 敵イーグル16機を捕捉! 『みょうこう』『あたご』『さざなみ』へ各2機。残る10機が本艦へ接近中!」
領邦軍は旗艦である『ひゅうが』を仕留めようと、戦力を集中させてきた。こちらの直掩HFはわずか4機。個艦の防空能力で耐え抜くしかない。
砲雷科の戦場は戦場を極めていた。霊探員の情報を頼りに、見えない敵に向けて砲塔を旋回させる。
「右138度、高角マイナス87度、距離4000! 2機接近!」
「右24度、高角プラス12度、距離3800! 4機!」
「左24度、高角プラス65度、距離1300に1機! 重力子砲、撃てっ!」
重力子榴弾速射砲から放たれた弾頭が炸裂。圧縮された重力子が一気に解放され、時空間を激しく歪ませる。
装甲を直接破壊するまでには至らずとも、この歪みはHFの霊子防御を強制的に削り取り、機動を鈍らせる効果がある。その一瞬の隙を主砲で射抜く。
しかし、イーグルの機動力は乱気流の中でも健在だった。
「
砲雷長の怒号が響くが、砲術士たちはイーグルの、あまりの接近速度に対応が追いつかない。