【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
「レイ、ここいいか?」
「ゴウガか。いいよ。おかえり」
「おう」
『かが』艦内第二食堂でレイとゴウガが同じテーブルで食事を始める。メニューは2人ともA定食でメインはぶ厚いハムカツ。
今、丁度昼食時間のため食堂内にはけっこう人が集まっていた。第二食堂は尉官以上の階級が利用する食堂。その為、周りは士官ばかりだ。下士官以下は第一食堂になる。
「実家に行ってたんでしょ?どうだった?」
「着くなり親父に怒鳴られたよ。軍務を優先しろって」
三沢ゴウガの実家、三沢家は五大武家に数えられる名家で、主に皇国の北方を守護している一族。今回侵攻されたカムイ州に本家がある。心配だったので特別に許可を貰って惑星に降りたが、実家に着くなり怒られてきたらしい。
「でも惑星には被害はなかったんでしょ?」
「おう、もちろん親父や家族はピンピンしてたよ。ただ、惑星に攻撃があった場合でも住民全員がシェルターに入れるように訓練はしているそうだ。ここは国境だからな。ちゃんと備えと覚悟をしているから心配すんな、軍の仕事してろって怒られた」
カムイ州は帝国領邦軍艦隊に攻められたが、第03護衛隊群の活躍で防衛に成功した。ただし被害が無かった訳ではなく、殉職者も出ている。それでも艦数でもHFの装備でも上の敵によく戦ったものだ。巨大ガス惑星を利用しての戦闘は、統合幕僚本部で話題になっているほど。
「後、従兄のリュウジ兄……三沢リュウジ1等武尉の見舞いにも行って来た。こっちもピンピンしてたけどな。単なる検査入院だそうだ」
「相手は
「ああ、黒いイーグルだ。乗っているのも元連邦兵らしいな。零式でも通用しなかったのに96式で良く持ちこたえたもんだ。最後には落とされちまったが」
統合幕僚本部は、当初侵攻してくるとしても領邦軍のみと予想していた。帝国軍は地方領邦の軍と中央の国防軍に分かれる。主力である国防軍艦隊は、現在地球自由連邦への侵攻作戦を行っており、全ての艦隊はその方面に駆り出されている。
そのため一個護衛隊群で十分対応できるとし、第01護衛隊群は装備更新のため、一時的に首都星系に赴いていた。その隙を突かれた形。伏兵としての元連邦兵とフランクスの義勇軍も侵攻してくるのは予想外だった。情報戦略としての失敗だ。
「リュウジ兄と戦った黒いイーグル隊は、パイロットもかなりの手練れだったらしい。どこの部隊なんだろうな」
「ああ、それだったら判明しているよ。連邦軍第5機動騎士団第501機動戦闘飛行隊と第506機動戦闘飛行隊の一部らしい」
「機動騎士団かよ。バリバリの前線部隊じゃないか。強いはずだ」
機動騎士団は、皇国で言う機動航空団に当たる。全てをHFで構成しており、通常空母1隻につき1個機動騎士団が搭載されているが、空母が大規模整備などを行う場合、別の空母に乗り換える。有事であれば常に前線に居続ける最強部隊だ。
「具体的な人名も分かってるって。ユイの知り合いが居たって落ち込んでた」
「ほう」
黒いイーグルの部隊には、HFF-111C アードヴァークも紛れていた。それのパイロットはヒルデガルド・ラムシュタイン。連邦との合同訓練リムロックで仲良くなった連邦人だ。
(ユイを悲しませるなんて許せない。敵として立ちはだかるなら、いっそボクの手で……)
「ん?レイどうした?なんか顔が怖いぞ」
「いや、なんでもないよ。そういえばナユはどこ行ったの?」
「ああ、姉さんだったら、ちょうかいに行ってるよ。群司令部会議に参加するって」
「ユイと同じところか。やっぱりあの件かな」
「だろうな。丁度時間のようだ」
ゴウガが時間を確認すると、食堂にあるナノボット:ビジョンパネルに注目する。
艦内放送で全員、皇国公式放送に注目するように通達が出た。
しばらく待つと、画面に皇国の女帝が映し出される。いつものドレスではなく、珍しく軍服を着ていた。いつもの美しさより凛々しさが勝る。
「ついに始まるんだね」
「ああ」
『皇国民の皆さま。全銀河国家群の皆さま、こんにちは。