【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第三十八話 機構
Part-A


 皇紀4903年01月。大八洲(おおやしま)皇国は、女帝の宣戦布告通り汎ペルセウス帝国領への逆侵攻を開始した。

 

 侵攻部隊は第01護衛隊群と第02護衛隊群を主力とした混成艦隊。目標は、先の赤壁戦争で帝国領に組み込まれたクライーナ国である。

 

 侵攻に際して中立国ラヴァーグ国を通過する必要があったが、同国は以前の不干渉が嘘のように極めて協力的だった。カムイ州防衛戦での帝国の醜態を目の当たりにし、態度を改めたらしい。皇軍に対し補給拠点を提供するほどの厚遇ぶりで、トラブル一つなくスムーズにクライーナ国への進駐が果たされた。

 

 クライーナ星系外周に着空(touchdown)した第01護衛隊群所属、人型搭載護衛艦DDH-5183『いずも』から、第101人型機動戦闘飛行隊が展開。防衛に現れた帝国領邦軍のHFを圧倒し、瞬く間に迎撃した。帝国の旧式HFブルムベアに対し、101隊の新鋭機・零式52型は性能で大幅に上回っている。皇軍のHFパイロットたちは、実戦を通じて新装備の確かな手応えを掴むこととなった。

 

 当初はティーガーや黒いイーグルの出現を警戒していたが、現れたのは帝国領邦軍のみで、国防軍はおろか黒鷲(くろわし)部隊の影もなかった。領邦軍は初戦の敗北を喫すると早々に撤退を開始し、あっさりとクライーナ国を手放す。

 

 

 第05護衛隊所属のDDG-5173『こんごう』に乗艦していた女帝も、相応の覚悟を持って戦場に臨んでいたが、あまりの拍子抜けな展開に眉を寄せた。

 

「案外、あっさりと撤退しましたね?」

「そうですね。帝国にとっては赤壁戦争の正当な戦果として手にした領土のはずなのですが」

 

 傍らに控える侍従長、佐世保シズカも不可解そうに首を傾げる。

 

「横田武将補は、どうお考えですか?」

 

 モニター越しに、第01護衛隊群司令の横田ハジメ武将補へ意見を求めた。

 

『そうですね。情報によれば、帝国各地の領邦軍が東部国境付近へ集結しつつあります。クライーナ国を切り捨ててでも、本土防衛の陣を厚くする構えかもしれません』

「なるほど。領邦軍を盾にして、こちらを足止めするつもりですか」

『はい。帝国としては多少の出血を強いてでも、現在進行中の地球自由連邦侵攻を完遂することを最優先としているのでしょう』

「ある意味、皇帝フリードリヒ様らしい判断ですね……」

 

 大八洲(おおやしま)皇国としては、帝国の領土そのものには興味はない。現在は自国内の新星系開発で手一杯だからだ。主目的は帝国国防軍をこちらへ引き付け、連邦侵攻の速度を鈍らせることにあったが、皇帝の強固な意志によってその目論見は阻まれた形となった。

 

「では、予定を前倒ししてシナリオBに移ります」

『はっ! お気を付けて!』

 

 

 横田武将補との通信を終えると、女帝は毅然と立ち上がり、シズカを見据えた。

 

「では、シズカ。準備を」

「御意」

「モミジも、護衛を頼みますね」

「はっ! この命に代えても陛下をお守りいたします!」

 

 百里モミジが直立不動で敬礼する。今回の作戦の成否は、近衛師団の働きに懸かっていた。先帝のような悲劇は、断じて繰り返させてはならない。

 

「では、参りましょう。新生クライーナ国へ」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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