【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第三十九話 円卓
Part-A


「月が綺麗ですね」

「そうだな」

 

 満月を見て呟いたミリィ・メイポートだったが、ビリー・エドワーズの気の入っていない返答に小さく溜息をつく。もちろん『月が綺麗ですね』の皇国語での意味なんかビリーは知らないだろう。場所が軍の建物のベランダというのも、まったく雰囲気ではないが。

 

 まだ会議室に誰も居なかったので、暇つぶしにベランダに出てみたが、5階は夜風が強く寒い。冷えない内に戻ろうとすると、誰かが会議室に入って来たのが見えた。

 

「ぼっちゃま、ホワイトマン様とエルスワース様がいらっしゃいました」

「ぼっちゃまは止めろ。そうかジョージとソフィアが来たか。部屋に戻ろう」

 

 部屋に入って来たのは、白に青いラインが入った制服の男女2人。ジョージ・ホワイトマンとソフィア・エルスワースは軍人ではあるが、その前にエクス教の聖騎士団所属でもある。

 聖騎士団とはエクス教聖職者の護衛を主任務としており、連邦軍に所属しているが指揮系統は別となる。エクス教中央協議会直属の私兵軍だ。旧式だがHFも持っており、HFF-8D クルセイダーを駆るパイロットを聖騎士と呼んでいる。

 

「久しぶりだなジョージ!」

「おう!元気にしてたか?ビリー」

 

 挨拶と同時に拳を突き合わせた2人は同い年で同期。性格からしても気の合った親友同士だ。

 ビリーは帯剣していないが、ジョージは両手棍を背負っていた。聖騎士は剣などの刃物を装備しないのが伝統になっている。

 

「お久振りです。エルスワース様」

「ソフィアでいいと言ったでしょ?ミリィ。久しぶりね」

「はい、ソフィア」

 

 オレンジ色のショートカットのソフィアは、笑顔でミリィと挨拶をする。腰には櫛状の峰を持つソードブレイカーと呼ばれる武器を佩いていた。刃は潰されている。

 

 

 今日は円卓の騎士団(Knights of the Roundtable)の会合。12貴族出身者互助会であるため、ビリーとジョージ、ソフィアも12貴族出身だ。この場でミリィだけが違うため一歩引いているが、団長は彼女のことを準団員として参加を認めている。もちろん団員に友人も多い。

 

 笑顔で挨拶していたが、扉の方を確認してまだ他の団員が来ていないことを確認してジョージは真剣な顔になった。

 

「なあビリー。12貴族当主会議の内容は聞いているか?」

「ん?いや何にも?」

「そうか。爺さまが当主会議で不満をぶちまけたらしい」

 

 地球自由連邦を裏から支配する12貴族。その最高意思決定を行う当主会議だが、前回はだいぶ荒れ気味だったらしい。そもそも12貴族は仲良し集団でもなんでもなく、それぞれの思惑を持って集まっている。上手くいっているうちはいいが、対立することもある。そこを調整するための会議だが、帝国の侵攻を許して以来どうもギクシャクしていた。

 

 帝国に奪われた領地を巡って奪還を優先したい家と、後回しにして防衛することを主張する家など、意見が分かれている。また侵攻にともなって辺境では治安が悪くなっており、デモやテロが多発していた。貴族に対する反乱が起きている。

 

「そうなのか?親父もなんも言ってなかったし、領地も平和だが」

「まあ、ビリーのところはそうかもな」

 

 ビリーの家、エドワーズ家は代々軍人の家系で質実剛健を旨としており、領地の統治も平和そのもので民衆の支持も高い。連邦は緩い集まりであり、各州ごとに治める貴族に任されていた。

 市民に自治を任せる州もあれば、貴族が好き勝手にやっている州もある。

 

「とにかく今後の状況について注意した方がよさそうだ。12貴族も一枚岩ではないからな」

「なるほど良く分からんが分った。気を付けよう」

「本当に大丈夫か?ビリー……」

「ホワイトマン様。私が把握しているので大丈夫ですよ」

「そうか。ミリィに任せよう」

「……なんか不本意なんだが」

 

 ビリーの反応に4人で笑いが起きる。真剣な話をしていたが、空気が柔らかくなった。これもビリーの人柄のお陰だろう。




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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